政治

日本経済

2023年9月12日

【室伏謙一】国防意識に欠ける日本政府、岸田政権

 台北市内には「防空避難 Air Defense Shelter」と記載された標識が様々なところに貼られ、掲示されるようになりました。初めは住宅街で見たので、町内会での意識の醸成のためのものか何かと思っていたら、なんと警察署にも貼ってありましたし、場所によってはシェルター、要は防空壕の具体的な規模まで書いた標識もありました。

 そもそも台湾で防空壕の設置が始まったのは1970年代だそうですが、その後地下街等を一時的な防空壕として位置づけることも可能となったようです。地下街への避難と言えば大東亜戦争中、東京への空襲の際に銀座線の銀座駅(だったと思いますが)に市民が避難したところ、銀座線は地下と言っても浅いところを走っていますし、天井が今と比べれば頑丈には作られていなかったため、爆弾が突き抜けてしまい多数の市民が犠牲になる事件がありました。銀座線の改修の際にその穴を塞いだ後を見ることができましたが、結構大きな穴でした。そのことを受けて国は地下鉄の駅への避難を禁止したのですが、もちろんこれは国民の安全を守るため。ところが某公共放送局の某ドラマでは、政府が国民を軽視していたかのように描いていたとか。どうしても戦前・戦中を、嘘をついてまで否定したいのでしょうね。

 そんな日本とは裏腹に、台湾では昨今の対中脅威の高まりを受けて防空壕の設置の基準等を見直し始めたようで、先ほどの標識もそうしたことの一環として新たに掲示されるようになったとのこと。今そこにある危機に対して、緊張感を持って対処しようとする台湾政府の姿勢がうかがえますね。

 一方で、日本、地区を指定しての民間ビルへの防空壕の設置の義務づけや、国や地公体としての大規模防空壕の設置を検討すべしという話になった途端、「財源がぁ〜」とか、最近の財務省なら「有事のために財政余力をぉ〜」などと、緊張感のカケラもないことを言い出しそうですし、御用学者や誤用言論人もそれを無理矢理支持するようなコメントを連発していくでしょうね。岸田政権なら、「防空壕よりデジタルで国防」とか奇妙奇天烈頓珍漢なことも出だしそうですし。

 こんなことでは「戦わずして中国に負ける」、「戦わずして中国に併呑される」が本当のことになってしまいそうです。

 日台の国防意識や緊張感の差があまりも大きなことを、台北にて強く感じたところ、警鐘の意味も込めて、皆様にお知らせしました。

 国防力強化に防衛増税や歳出改革ですからねぇ・・・財務省、御用学者、大手メディア、緊縮派国会議員はどこまで狂いまくっているのでしょうねぇ・・・

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【室伏謙一】国防意識に欠ける日本政府、岸田政権への3件のコメント

  1. 利根川 より

     前明石市長の泉房穂氏が11日に「X」(旧ツイッター)を更新。
     泉氏は経団連が2024年度税制改正に向けた提言をまとめたと伝える朝日新聞の記事を引用。記事によると、経団連は少子化対策の財源として、消費税引き上げが「有力な選択肢の一つ」と提言したとの内容だった。

    泉氏「こういう方々が中枢にいるので、日本だけが30年間、経済成長もせず、給料も上がらず、国民は苦しみ続けている。国民がお金を使えるようにしないと、経済は回らないのに…」

    お金が金貨銀貨であった大昔や、金本位制の時代であるならばお金の原料である「貴金属」が足りなくなれば、それ以上お金を発行できなくなってしまうので「財源」という考え方にも全く正当性がないわけではなかった。(そもそも、なんで金本位制などとういうアホな制度をやっていたのかはともかくとして…)
     しかし、すでに現代では金本位制などとっくに卒業しているわけで、どうして前時代の遺物(財源論)を未だに引きずっているのか…

    経済人類学者カール・ポラニー
    「金本位制の信仰は時代の信念であった。それはあるものにとっては素朴な信仰であり、あるものにとっては意識的な信仰であり、また、ほかの者にとっては肉体では受け入れるが精神では拒否するという悪魔的な信条であった。しかし、信仰そのものは全く同一であった。すなわち、銀行券は、それが金(貴金属)を代表するがゆえに価値を持っているのだ」

    カール・ポラニーは金本位制は新興宗教であると言っているわけだが、現代の賢人である森永卓郎さんもまた、金本位制時代の財源論を引きずる財務省を新興宗教団体と喝破している。
     時代が変わっても正論が負けるのは相変わらずというところがなんだかおもしろいですね(苦笑い
     今現在、財務省が行っている緊縮増税政策はいにしえの賢人達に否定され、現代貨幣論に否定され、アメリカの主流派経済学者にも否定され、誰にも擁護してもらえなくなってもまだ

    財務省「俺たちは間違ってない」

    と軌道修正することもなく突き進んでいるわけだ。森永卓郎さんが財務省をしてたちの悪い新興宗教団体というのもうなずける話です。今、日本の舵を握っているのがそのたちの悪い新興宗教団体だという事実(コワイ

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  2. 號強自 より

    台湾は87年まで戒厳令下にあり
    戦争のみならずテロに対する危機意識が
    もともと日本の比でないです

    シナが日本を無血併合すると警告したのは
    7月に亡くなった平松茂雄氏ですね

    軍備増強を急ぐ必要を誰かが言ったら
    こんなこと言うとまた怒られるんだけど
    いやもう遅いです とピシャリ

    情緒的過ぎる嫌韓論とか
    期待値を盛り込みすぎるシナ崩壊論に興じる
    ネトウヨ系にかなり否定的で
    不真面目だとさえ思っておられた節がある

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