日本経済

2023年8月21日

【三橋貴明】未婚の結婚適齢期世帯への支援

【今週のNewsピックアップ】
少子化対策と格差解消という二兎を追え
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12816570460.html
未婚の結婚適齢期世帯への支援こそが
真の少子化対策だ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12816709621.html

三橋TVにおける
荒川和久先生との議論で、
日本の少子化問題の本質が
色々と整理されたのではないでしょうか。

決定的なのは、荒川先生の、
かつて日本を支えていた
所得中間層の落日
「結婚も出産もできなくなった」
この20年間の現実』に掲載されていた、
「児童のいる世帯
2000年-2022年比較」の図ですね。

年収900万円以上世帯の
「児童がいる割合」は、
怖いくらい変わっていない。
年収900万円未満の世帯が、
子供を持てなくなっていっている。

日本の少子化は、
「中間層の没落」もまた、
主因の一つになっている。
なぜ、中間層の
「児童がいる割合」が減っているのか。
もちろん、国民負担率が
狂ったほどに上昇しているためです。

特に、社会保険料の上昇が、
国民の可処分所得を減らしている。
見た目の給与は増えているにもかかわらず、
「消費税増税」などにより実質賃金が下落。
(実質賃金下落の理由には、
他にも総需要不足、
生産性低迷もありますが)

消費税が増税されると、
事業者の多くは価格に転嫁します。
国民の所得は増えていないにもかかわらず、
物価だけが上がる。

消費税増税は、
強制的な実質賃金引き下げなのです。
可処分所得が減り、
一方的に物価だけが上がる。
それまでは結婚し、
子供を産むことができていた
中間層の多くが
「児童がいない世帯」へと
転落したわけですね。

不思議なことに、
政府の「少子化対策大綱」では、
少子化の原因について、
 『少子化の主な原因は、
 未婚化・晩婚化と、
 有配偶出生率の低下であり、
 特に未婚化・晩婚化
 (若い世代での未婚率の上昇や、
 初婚年齢の上昇)の影響が
 大きいと言われている。』
と、正しく分析している。

しかも、厚生労働省の
2022年国民生活基礎調査によると、
18歳未満の子どものいる世帯数は
991.7万世帯。
86年の1736.4万世帯から、
ほぼ半減。
そして、政府の「異次元の少子化対策」は、
減り続ける「子育て世帯」への
支援が中心になっている。

正しい少子化対策は、
誰が考えても「子育て世帯を増やす」で
なければならないはずです。

つまりは、
「未婚の結婚適齢期世帯への支援」こそが、
真の意味で異次元の少子化対策、
なのです。

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第100回AT-1 / 大経連お披露目祭り
9月23日(土) 13:30(開場12:45)
※懇親会18:30〜20:30
会場:東京プリンスホテル / 2階 鳳凰の間
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◆経営科学出版から
「財政破綻論の嘘
99%の日本人を貧乏にした
国家的詐欺のカラクリ」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38zase_blog

◆小学館から「日本経済 失敗の本質:
誤った貨幣観が国を滅ぼす」
が刊行になりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4093888973

◆メルマガ 週刊三橋貴明
Vol746 輸入代替工業化と安全保障
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
輸入する財・サービスを
国内生産に置き換える
「輸入代替工業化」について
安全保障と絡めて解説しました。

◆メディア出演

サプライロス型インフレ
どうなる?24年問題と大阪万博
[三橋TV第742回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/GnHoc4dimB0

荒川和久先生登場!
90年代後半から決定づけられていた
少子化の真実
[三橋TV第743回]
荒川和久・三橋貴明・saya
https://youtu.be/WmhXeNuaiC8

少子化のワニの口
国民負担率が上がれば上がるほど
婚姻数と出生数が下がる
[三橋TV第744回]
荒川和久・三橋貴明・saya
https://youtu.be/v0sOvtyiDJY

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた 第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
8月19日、
三橋経済塾第十二期第八回対面講義が
開催されました。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2196
ゲスト講師は室伏謙一先生でした。
インターネット受講の皆様は、
しばらくお待ちください。

◆チャンネルAJER
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】未婚の結婚適齢期世帯への支援への3件のコメント

  1. 利根川 より

    荒川和久さん「日本の少子化の主因は結婚する人の数が減っていること」

    荒川和久さん「国民負担率が増えれば増えるほど婚姻率が下がっている」

    三橋さん「本物のワニの口って言うのはこれのことだよ」

    面白い。
     三橋TVで見ましたが、実は政府も少子化の原因については把握しているらしく、少子化対策大綱でその原因と対策を打ち出しているのだそう。

    政府「少子化の原因は未婚化!」

    政府「なので、この度、少子化を食い止めるために結婚をしてる人を支援する政策を打ち出しました!」

    なんでやねん!わざとやっているのか頭が悪いのか…
     全く別の話になりますが、旧ツイッターでトリガー条項がトレンド入りしたとのことで、拡散してくれた方ありがとうございました。

    事業者「ガソリン価格200円突破しちゃってんよ。2024年問題なんて来る前から終わっちまってるっての」

    政府「わかりました。コストプッシュインフレに対応すべく新たな方針を打ち出したいと思います」

    政府「ガソリン補助金、廃止いたします!」

    なんでやねん!わざとやっているのか頭が悪いのか…
     アメリカの主流派経済学者であるジョセフ・スティグリッツ教授も日本の緊縮政策を「間違いである」と念入りにキッパリと言っていましたが、まあ、誰がどんな角度から見ても(悪い意味で)頭がおかしいとしか思えないことをやっていますからね。

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  2. 利根川 より

    8月21日の読売新聞朝刊で

    編集手帳「官僚は国会議員に質問内容を伝えてもらってから答弁の作成にかかる」

    編集手帳「今年の通常国会で官僚がすべての答弁作成を終えた平均時刻は午前1時42分だった」

    編集手帳「個々の議員の通告時刻を公表してはどうか」

    ザックリとこんな内容のことが書かれていました。
     国会を見ていてたまに思うことがあるのですが、

    ・質問に答えていなかったり、

    ・誤魔化そうとしたり、

    ・時間稼ぎをして答えないままタイムオーバーにもっていこうとして変な官僚構文で文字数を稼いでいたり

    こんな無駄なことをやっているから午前1時42分になっちゃうんじゃないですかね~。
     参考までに、例として多賀谷議員の答弁を載せておきます。見たことがある方は飛ばしてください。

    <2023年 2月10日 衆議院内閣委員会>

    たがや議員「消費税は直接税と間接税のどちらに分類されるのでしょうか」

    かねこ政務官「直接税は納税義務者と税を負担する者が一致することが”予定されている税”でございます」

    かねこ政務官「一方で、間接税とは税負担の転嫁が行われて納税義務者と税を負担する者が一致しない”予定がされている税”」

    かねこ政務官「消費税は価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担をすることが”予定されている税”」

    かねこ政務官「事業者が売り上げにかかる税額から仕入れにかかる税額を控除して納税するという仕組みであるため間接税に該当する税であると考えられます」

    たがや議員「消費税法の条文(消費税法5条)ですが、事業者が消費税を納める義務があると書いてあります」

    たがや議員「入湯税、ゴルフ場利用税、印紙税などの間接税の条文をみると消費者が納めるものと記載されています」

    たがや議員「この条文を見る限りでは、消費税は事業者が納めるものとありますから直接税なんじゃないですか?」

    たがや議員「『消費税は間接税だから預かり税なんて呼ばれますが』こちらは平成二年、当時の大蔵省の主張です」

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    東京地方裁判所平成2年3月26日判決 平成元年(ワ)5194号

    (三)過剰転嫁ないしピンハネの有無

    事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である。
    この理由は、免税事業者や簡易課税制度の適用を受ける事業者についても同様であり、結果的にこれらの事業者が取引相手から収受した消費税相当額の一部が手元に残ることになっても、
    それは取引の対価の一部であるとの性格が変わるわけではなく、したがって、税の徴収の一過程において税額の一部を横取りすることにはならない。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    たがや議員「これ何の裁判かというと民間が国を相手取って『仕入れ税額控除はおかしい』と」

    たがや議員「消費税を全額納めない事業者はピンハネ横取りだろうと訴えた裁判です」

    たがや議員「それの判決が既に出ていますけども『事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である。』」

    たがや議員「『事業者が取引相手から収受した消費税相当額の一部が手元に残ることになっても、税額の一部を横取りすることにはならない。』」

    たがや議員「とあります」

    たがや議員「すなわちピンハネではない、益税、あずかり税ではないと言っています」

    たがや議員「消費税は売上金の一部であり、あずかり金ではないということになります」

    たがや議員「そこでカネコ政務官に質問です。消費税は旧大蔵省が主張した通り『あずかり税ではない』、それでよろしいですか?」

    かねこ政務官「(消費税は)あずかり金的な性格でございまして、あずかり税ではありません、という答弁を財務省は過去にさせていただいています」

    たがや議員「じゃあ、預かり税ではないということでよろしいですか?」

    かねこ政務官「その認識で結構でございます」

    たがや議員「要するに益税じゃないっていうことですね」

    この質疑に30分はかかっているわけですが、これ、最初に多賀谷議員から「消費税は直接税と間接税どちらですか?」と聞かれたときに、変にごまかそうとせず、「直接税です。預り金はありません」と答えていれば文章量も少なくて済むし10秒で済む話ですよね?編集手帳では

    官僚は一生懸命仕事をしてるのに…国会議員に問題がある!

    といった感じで書かれていますが、官僚が「やらんでいい仕事をしている」可能性もあるわけでね。
     趣味でやっているわけではなく、ましてや本人たちも不本意な仕事をしていると感じているようですし、

    若手職員「家族を犠牲にすれば仕事はできる」

    若手職員「入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている」

    国会を見ている国民からしても、誤魔化し答弁で時間稼ぎされては迷惑ですし、それは質問をしている議員からしてもそうでしょう。誰得?
     私のように頭の悪い奴は、言いたいことがまとまらずに長文になってしまうことが多いわけですが、高級官僚の皆さんはとても頭がいいはずなので、与党議員や先輩OBに忖度せずに聞かれたことだけスパッと回答すれば午前1時42分にはならないんじゃないの?

    「個々の議員の通告時刻を公表」

    なんてやったら余計に官僚は仕事が増えちゃうでしょうに(苦笑い

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      1. 利根川 より

        大阪地裁平成元年(ワ)第5180号損害賠償請求事件でした

        混ざってしまうな(苦笑い

        返信

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