日本経済

2023年7月16日

【三橋貴明】シーリングという予算制約

【近況】

現在の日本の財政は、
(事実上)財務省が概算要求基準、
つまりは
「このくらいまでなら要求していいよ」
という基準を決め、閣議決定され、
各省庁に伝達します。

それに基づき、
各省庁は事業をリストアップする。
例えば、国土交通省は「6兆円」。
農林水産省は「2兆円」といった感じです。

概算要求基準のことを、
何と「シーリング(天井)」と呼びます。
シーリング。
つまりは、
「それ以上の予算を使ってはいけない」と、
財務省が指示するのです。

そもそも、
政府の予算規模の基準となるべきは、
プライマリーバランス
(基礎的財政収支)でもなく、
シーリング(財務省が決めた予算限界)でもなく、
インフレ率であるべきです。

ここでいうインフレ率とは、
コストプッシュ型ではなく、
デマンドプル型の物価上昇率です。
また、インフレーションとは
「物価上昇」ではなく、
「経済の膨張(インフレート)」を
意味しています。

もちろん、非常事態
(戦争、大災害、疫病パンデミックなど)
が起きた際には、
インフレ率を無視したとしても、
政府の予算は拡大しなければなりません。
戦争に突入した国が
「予算が足りないので、
兵器や兵士に金出せない」とは、
絶対にやらないでしょ。

この時点で、政府の予算制約が
PBやシーリングではありえないことが
誰にでも理解できます。

政府の予算制約は、
1. 平時には
デマンドプル型インフレにおける物価上昇率
2. 非常事態においては、
国民を救うことが可能な支出規模
の二つのみです。
他には、ありません。

それにもかかわらず、
日本ではシーリングや
PB黒字化目標といった
教条的な基準が予算制約となっている。
シーリングやPB目標を金科玉条のごとく
大事にしている緊縮主義者たちは、
「財政均衡が維持されるならば、
国民が数万、数十万、数百万人
死んでも構わない」
と、言いたいのでしょうか。
恐らく、そうなのでしょうね。
そうでないとしたら、
彼らは単なるバカです。

現在の日本は、まさに国家存亡の危機。
それにもかかわらず、
シーリングだのPB目標だのを理由に、
政府の歳出拡大を妨害しようとする
緊縮主義者は、
国民に「死ね」と言っているのも同然なのです。

そうならば、そうだと言えばいい。
「自分は、どれほど膨大な国民が死のうとも、
財政均衡の方が大事だ」
と。
実際には「そう」であるにもかかわらず、
「そう」とは言わない彼らの欺瞞が、
本当に嫌いです。

◆小学館から「日本経済 失敗の本質:
誤った貨幣観が国を滅ぼす」
が刊行になりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4093888973

◆経営科学出版から
「歴史教科書が教えてくれない
古代日本「帝国」の誕生」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nike2_980_teika

◆メルマガ 週刊三橋貴明
Vol7341 経済成長と財政健全化の二兎
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
経済成長(GDPの拡大)と
財政健全化(政府の黒字化)を
同時に実現する方法はありますよ。
もっとも、実際にそうなった場合、
国見経済が「○〇〇化」した
という話になりますが。

◆メディア出演

財務省にとっての痛恨の一撃!
防衛費はなぜ増額されたのか?
[三橋TV第727回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/pC_JRTGb66Y

救われない世界 サラリーマンの皆さん、
次の増税ターゲットは貴方です
[三橋TV第728回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/4KVWNDhyta0

消費税の真相
パワーが弱い者に損をさせ
「それって自己責任でしょ」
[三橋TV第729回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/vpIldy5FkFU

特別コンテンツ配信中!

シンガーsayaの3分間エコノミクス
【第66回 貿易収支】
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日本は経済成長していない。
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どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
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第二巻」です。
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「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた 第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
7月15日、三橋経済塾第十二期
第七回対面講義が開催されました。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=75
ゲスト講師は森永康平先生でした。
インターネット受講の皆様は、
しばらくお待ちください。

◆チャンネルAJER
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】シーリングという予算制約への2件のコメント

  1. 何も 思い煩うな より

    全てのことは 最善のために 起こる
    仮令それが  己の死でも。。

    彼等のなさりたいこと
    それは
    この国の人口を できるだけ減らすこと かと、、

    コロナワクチン接種しかり 
    少子化対策と称する 少子化増進策しかり

    締めは 永遠に続ける 増税策と
    緊縮財政

    彼等の理想とする 日本国の人口が

    ゼロでないことを 祈る ばか り
    で ございます。。。

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