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2022年9月28日

【藤井聡】安倍元総理「国葬儀」は、現代日本の真の姿の「象徴」であった。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

こんにちは、表現者クライテリオン、京都大学の藤井聡です。

令和4年9月27日、安倍元総理の国葬儀に、元内閣官房参与として参列いたして参りました。ついてはその様子を昨日、下記記事にて配信致しました。

「安倍元総理・国葬儀」は一体、如何なるものだったのか? ~武道館からの一報告~
https://foomii.com/00178/2022092803193699965

この記事では、この国葬についてかなり正直な感想(岸田さんのスピーチについて感想や、それと対照的な菅さんのスピーチ等について等)も記述していたのですが、ここではそうした個人的感想はさておき、『安倍元総理「国葬儀」は、現代日本の真の姿の「象徴」であった』という当該記事の部分に焦点を当て、抜粋・再調整する形で、下記にご紹介差し上げます。

是非、ご一読下さい。

――――――――――――――――――――――――――
一参列者として、何よりもまず思いましたのは、納骨される直前の安倍さんのお骨に献花差し上げ、手を合わせる機会を頂くことができたのは、当方個人として、大変に有り難く感じたという率直な気持ちです。ついてはこういう機会を頂けましたことについて、まず、関係各位に、心より深謝の意を表したいと思います。

ただし……この度の参列は、思う所の実に多いものとなりました。

まず、当方はじめ、参列者の多くが行った「荼毘に付された故人のお骨に手をあわせる」という行為は明確に「仏」に対する行為ですから、仏教的宗教行為と言わざるを得ないものなのですが、この度の国葬は、形式上は仏式でも神道でもない「無宗教」の体裁で執り行われました。

政教分離ということなのだからしょうがないのだとは思いますが、何とも言えない不自然さを感じざるを得なかった方は決して少なくは無かったのではないかと思います。

そもそも、先日執り行われたイギリスの国葬はイギリス国教会が取り仕切るものでしたが、この我が国の国葬では、宗教とは全く無縁で、したがって葬儀とも全く無縁の一般業者が、国家宗教組織の「代わり」に取り仕切りました。ですから、そうした不自然さが拭えないのも必然だったとも言えるでしょう。

安倍さんのお骨が据えられたの祭壇は「宗教的理念」で作られたものでなく、その「代わり」に、無い安倍さんの生前の「政治信条」を象徴するものとして作られました。

葬儀の冒頭では、結婚式の際に新郎新婦を紹介するため等に昨今では頻繁に使用される様になった「ビデオ動画」が活用され、生前の安倍内閣の成果が紹介されました。なお、その動画のBGMには、安倍さんのピアノ演奏が使われました。

そして一般的な葬儀の際には僧侶のお経が唱えられますが、その「代わり」に、三権の長(総理大臣、衆参両院議長、最高裁判長長官)、ならびに「友人代表」のお別れの言葉が捧げられました。

また、お骨到着の折りや黙祷の折り、ならびに国歌斉唱をはじめとした数々の音楽には、自衛官達が号令や演奏が終始活用されました。ただし、本来なら、英国の国葬と同様、「軍隊有らざる自衛隊」ではなく「国軍」がその任に当たるべきところではあります。が、国軍無き日本では、その「代わり」に自衛隊がその任に当たったわけです。

このように、宗教組織の「代わり」に一般業者が仕切り、祭壇は宗教的理念の「代わり」に故人の政治理念が活用され、故人には宗教的経文の「代わりに」お別れの言葉が捧げられ、国軍が為すべき任を国軍の「代わり」に自衛隊が担う、という格好で、何もかも、「無宗教の平和国家」の体裁を整えるためにホンモノが活用されず、その「代替物」(有り体に言えば、紛い物)が活用される格好で、国葬が進められていったわけです。

ただし……一般参列者の献花の前に、天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下の名代が拝礼され、秋篠宮皇嗣以下の皇室の皆様方が供花されたことで、ようやくこの儀式が紛う事なき「日本国の国葬儀」であるという認識をギリギリ持つ事が出来るようになったように感じました。

我が国はやはり、皇室以外に、諸外国に誇れる“ホンモノ”は無いのだと……改めて感じた次第です。

しかも、天皇皇后、上皇上皇后の各陛下は直接ご臨席なさらず、名代を遣わされたということで、この国葬が単なる俗物であると外国から仮に見下されることがあったとしても、その遙か上に、我が国の権威があるのだということを暗示しうることが可能となった(しかもそれを通して我が国の威厳を保ち、逆説的にこの国葬自身の価値を上げる事にもなった)……という点でも、皇室のこの国葬に対する関わり方は素晴らしいものであったとも感じました。

すなわち、一言で総括するなら、国葬それ自身は、単なる俗物になっても何ら不思議ではない代物に堕してしまい兼ねぬことであったところ、本物中の本物である皇室のお陰で、諸外国から見てもさして恥ずかしくない物としてやり終えることができ、どうにか”国葬”としての体裁が整ったものと、感じた次第です。

つまり、この国葬は、我が国の俗物かがとめどなく進行していること、結果、皇室だけが日本の聖性、品位を保つ最後のご存在となりつつあることを同時に指し示すものであったわけです。

そうした傾向は五輪の折りにも感じましたが、今回の国葬でより鮮明に、そうした日本の実態が浮かび上がったのではないかと思います。

……哀しい話しですが、この現実を受け止め、何とかする手立てを考えていかないといけませんね……。

追伸
本記事のフルバージョンは、昨日配信したものです。ご関心の方は是非、下記ご一読下さい。
「安倍元総理・国葬儀」は一体、如何なるものだったのか? ~武道館からの一報告~
https://foomii.com/00178/2022092803193699965

なお、この記事を配信したメルマガ「藤井聡・クライテリオン編集長日記」https://foomii.com/00178)は、先日より連日配信を基本としています。ここ一週間では例えば、下記記事を配信しております。ご関心のものがありましたら是非、ご一読下さい。

岸田氏が「国葬の是非は弔問外交の結果を見て判断下さい」と発言したと報道。これは純然たる「死の政治利用」を暴露する発言と解釈せざるを得ません(9/26)。
https://foomii.com/00178/2022092803193699965

忘れ去られた『安寿と厨子王』と、滅びゆく『日本人』 ~
25年ぶりの丹後由良・釣行記~(9/26)
https://foomii.com/00178/2022092609291199872

日常用語に言うところの「こころある人なら…」の「こころ」……それが岸田総理にあるか否かが今の日本最大の問題である。(9/24)
https://foomii.com/00178/2022092422441399822

国交省と経産省の役人達の「責任の取り方」の違いに見る、「コロナ」における言論対立の本質的構図(9/23)
https://foomii.com/00178/2022092318042599779

「ポスト岸田」の世論調査における筆頭株は「河野太郎・新総理」という新たな悪夢。このままでは、日本は無限地獄に突入しかねません。(9/22)
https://foomii.com/00178/2022092218292599751

台風14号の被害が“限定的”だったのは単なる(不幸中の)ラッキー。経路がズレてれば関西・中国・東日本は確実に“地獄”だった。(9/21)
https://foomii.com/00178/2022092123145799730

「英国エリザベス女王の国葬」によって浮き彫りとなる、“岸田文雄”に象徴される令和日本の無残な姿(9/20)
https://foomii.com/00178/2022092017031699661

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【藤井聡】安倍元総理「国葬儀」は、現代日本の真の姿の「象徴」であった。への5件のコメント

  1. ヒトそれぞれ で せうが、、 より

    白洲次郎 の 遺言

    「葬式無用 戒名不用」

    とか 好きだな こういう生き方

    ちなみに
    東京都千代田区千代田1-×
    の お宅は

    粉屋の娘を 嫁に入れてからは
    堕ちる一方 で ございますね。。。

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      1. 葬式無用 戒名不要 より

        たとえば コロナ

        ワクチン無用 警戒不要
        とか
        好きだな こういう 生き方

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        1. より

          コロナワクチンの 接種率
          判事の 方々 は どれくらい か
          しら ん。。。

          これから 予想される ワクチン接種による
          星の数ほどの 副反応 訴訟

          判事さまの 客観的判断が 下されないことを
          恐れる 今日この頃で ございます。。。

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  2. 参列するのもご自由、でしょうけど より

    宗教に基づく荘厳な葬儀を27日の国家イベントに期待する方がおかしい。そうしたゆかしいものに期待するなら、7月12日の港区浄土宗の増上寺か、荘厳かどうか知らないが8月12日の統一教会によるソウル・ロッテホテルに参列すべきだったのでは。
    少なくとも増上寺の方は政界、経済界、ゆかりのあった人物たちが内外から1,000以上参じたと報じられている。むしろ故人を心から悼むなら増上寺にかけつけるのが真の人情だろう。
    そもそもなぜこれだけ国論を二分する結果を生んだのか。宗教色を徹底して排除した誇れぬのも哀しいといわれたが、論ずるべき肝に一切触れない言論人というのもまた哀しい。

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  3. 日本晴れ より

    自分も藤井先生と同じような感想を持ちました
    宗教色も日本的な色も無くて 本当に無機質な感じがしました

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