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日本経済

2022年8月8日

【藤井聡】日本政府の恐るべき弱腰外交。かつての日本はこれを『情けねえ』と批判する気分が濃密にあったのに、今はそれもない。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

米国のペロシ下院議長の訪台を危機とする「台湾危機」。連日報道されていますが、その基本的なトーンはいずれも「対岸の火事」そのもの。

しかしこれは明らかに「日本危機」です。

高市早苗政調会長が指摘する様に、台湾と日本の与那国との距離は、東京と熱海くらいの距離しかありません。そんなところに、日本に対する領土的野心を持った大量の軍隊が押し寄せてきているのであり、有事となれば日本の領海が確実に戦域に入る事になります。

事実、与那国は、二つの大きな舞台に南北で挟まれており、軍事オペレーションをかければスグにでも占領される状況にあります。

しかも今回は、日本の排他的経済水域(EEZ)に五発の中国軍のミサイルが着弾しているのであり、これは日本に対する準攻撃と見なしうる事態です。法的に言うなら、武力攻撃予測事態(武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態)、あるいは少なくともそれに準ずる事態に該当し得る事態とも言えるでしょう。

というかそれ以前にそもそも、中国は尖閣を台湾の一部と位置づけています。だからこそ、尖閣の領有権をしつこく主張し続けているのです。だから今回の台湾有事はそのまま尖閣有事そのものであり、したがってそれは日本有事なのです。

日本と台湾は尖閣を通して一つの運命共同体となっているのです。

だからこそ、高市早苗自民党政調会長が改めてこの度紹介している通り、安倍晋三元総理は生前「台湾有事は日本有事だ」と言い続けてこられたわけです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/39d4182648e02ec1d6889d140605950705de9b0c

以上の認識は、極めて常識的なもので、以上のように認識しない、いうことなどあり得ない筈なのですが……現実は以上のような認識はほとんど全く共有されていません。

例えば、そうした危機意識をいの一番に持つべき岸田総理はこんな事を口にしているのです。

「地域や国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものだとして中国側に軍事演習を即刻中止するよう求めた」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220803/k10013747261000.html

この発言を耳にしたとき、開いた口が塞がらなくなりました。

要するに岸田氏は、この事態を完全な他人事と見なしているのです!そもそも「地域や国際社会の平和と安定」って言葉は絶対に自国には使いません。総理大臣ならここは「自国の平和と安定」と言うべきところです。

つまりこれは、今回の台湾有事が日本有事であるとの認識が微塵も見られないご発言なわけです。さらには、

「弾道ミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域内に落下したことは、日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題だとして、中国を強く非難し抗議した」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220803/k10013747261000.html

そうなのですが、それで十分な筈がありません。なんといっても、家の敷地のスグ外側にミサイルを撃ち込んだのですから、「武力攻撃予測事態」と見なし、口で抗議するだけでなく、米軍が台湾に自衛隊を使った対策を取ることも法的に可能な筈です。

このような弱腰な態度では、この総理大臣は中国からの軍事的圧力から我が国を守ることなど絶対できないと断定せざるを得ないでしょう。

誠に「情けない……」と言わざるを得ません。

しかも、今の我が国では、これを「情けない……」と感ずる世論の空気は皆無。

これでは我が国はアメリカや中国に侵略されることに何も抵抗せず、奴隷として生きていくことに何の疑問も違和感も感じないクズ中のクズだと侮蔑されても致し方ないように思います。

ですが、30年前の90年代の日本はまだ、そこまで堕落してはいなかったのです。

当時、1990年、イラクがクウェートに侵略した際、多国籍軍がクウェート防衛に乗り出した時、日本は自衛隊が派遣できず、ただただカネを渡すだけに終わり、この態度に対して国内で大いなる反発がでました。

その時の空気感は、その直後のヒット曲がとんねるずの『情けねえ』だったということからも伺い知ることができます。

この曲はまさに、多国籍軍に参加できない日本の情けなさを徹底的に批判するもの。

秋元康作詞のこの曲はまず、無責任な冷たい現代日本人が、クウェート侵略に対して何も出来ない事について、大いになる批判を差し向けます。

『暖かい日だまりで 眠ってていいのかい 激動のこの時に 遠い国のふしあわせ
対岸の火事なのか そんな歴史の涙さえも 誰も見過ごすつもりか』

そして、そんな日本政府の対応に対して次の様に叫びます。

『情けねえ 自由がないている 情けねえ しょっぱい血を流し
 お似合いだぜお前にゃ 口を閉ざしお休み 腐りにつながれた子犬みたいに

情けねえ 涙も出やしねえ 情けねえ 無力装うなんて
 今振り上げた拳は 芝居じみた正義さ この世の全ては パロディなのか』

もちろんこの曲の背景にあるのは、国連中心主義という戦後レジームに踊らされる戦後日本人の軽薄な正義感であることは間違いありません。したがって、この楽曲がヒットしたことそれ自身を諸手を挙げて賞賛することなど到底できません。

しかし、正義を貫こうとして戦おうとする時に「鎖」のせいで何もせず、カネを払うという「しょっぱい血」しか流せない日本政府に対して、大いに批判する気力が我が国国民の間に満ち満ちていたことを明らかに示しています。

ところが現代の我が国は今、対岸の火事どころか「此岸」(こちら側の岸)の火事に直面しているのです。それにも拘わらず、政府は「他人事」を決め込んでいるのです。こんな政府はメチャクチャに批判されて然るべきですが……誠に恐るべき事に、こうした政府対応について、何ら批判を差し向けないの我が国の現代の社会・世論の実情なのです。

我が国社会の腐敗、ここに極まれり、と言う他ありません。

というか現総理は、こういう腐敗し倒した社会・世論が産み出した悪魔の毒々モンスター的な「腐敗モンスター」と言うべきなのかも知れません。

つまり岸田総理も現代世論も、双方、同じ穴の狢なのですから、一方が一方を批判するということ事態があり得ない、ということなのでしょう……誠に哀しい話です。この情けない国の有り様に治して、誰も情けねえと叫ぶ気力を持ち合わせてはいないなんて、哀しすぎる話しです。

ただしこうした情けない状況は、憲法9条についても、デフレについても、緊縮財政についても、コロナについても、日露外交についてもずっとずっと続いている話しではあります……が……事態改善のためには、深く認識し、発言し続ける他ありません。

また引き続き、よろしくお願いします……。

追伸:今回、「情けねえ」のは、日本だけじゃ無くてアメリカもなのです。アメリカ軍の情けなさ、是非、下記よりしっかりご認識下さい。ますます日本が絶望的状況にあることがクッキリとお分かりいただけると思います。

『米国が中国に本格的にビビり始めた今、台湾・尖閣が中国に侵略される日は近い』
https://foomii.com/00178/2022080721522097880

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【藤井聡】日本政府の恐るべき弱腰外交。かつての日本はこれを『情けねえ』と批判する気分が濃密にあったのに、今はそれもない。への5件のコメント

  1. クズのクズ呼ばわり より

    2012年11月尖閣公務員常駐の政権公約を掲げて衆院選に勝つも公務員常駐どころか実効支配をみるみる弱体化させた安倍晋三のウソつきクズっぷりにはいっさい触れず日本人をクズ呼ばわりし慨嘆してみせる大学院教授。
    そして「中国は尖閣を台湾の一部と位置づけています」と中国の言い分のみを書いて台湾の立場にはまったく触れない大学院教授。
    なぜ「尖閣の領有権は中国だけでなく中華民国(台湾)も主張している」とお書きにならないのか(中華民国外交部「釣魚台(尖閣)が中華民国固有の領土であると改めて主張する」2018年7月)。
    安倍推し高市推しのあまり不都合な事実を読者の目に晒さぬよう平気で言を進めてしまう大学院教授はクズの日本人のうちに入らないんですかね。

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  2. 利根川 より

    「世の中には『手段のためには目的を選ばない』者もいるのだ」

     少数ながら

    「実現したい『目的』があって、それを実現するための『手段』として政治家になる」

    というまっとうな人もいるんでしょうけれど、大半は職業政治家だと思います。要は

    「政治家であり続けることが目的で、そのための手段として流行りそうな政策を掲げてみたり、団体票がとれそうな団体に顔をだしてみたりする」

    外食産業組合ができたとたん、コロナ禍でさんざん塩対応したことなど記憶の彼方に追いやって”すり寄ってくる”政治家達をみれば職業政治家がどの様なものか分かるんじゃないでしょうか。安倍元総理に限らずそういった職業政治家が世の中の政治家の大半を占めるのだと思います。なぜならそうした政治家の方が当選しやすいから。
     新興宗教団体とべったりなのはなにも自民公明維新に限った話ではなく、立憲や社民も新興宗教団体である立正佼成会や崇教真光、PL教団といった団体のイベントに参加しているわけですし、やっていることは変わらんわけです。
     新興宗教に関してはオウムや統一教会にかぎらず

    「経済的理由もないのに子供を学校に通わせない」

    「教義を理由に病人を入院させずに死亡させる」

    「教団を脱会した元信者に嫌がらせをする」

    「信者による盗聴や集団ストーカー行為」

    「霊感商法」

    等々、いろいろなトラブルがあったようですが、今に至っても規制は強化されていません。宗教票の力で当選を果たしている職業政治家が多い状況では規制が強化されるはずもなかったというわけですね。
     以前にも言いましたが、信教の自由を掲げているアメリカやEU諸国にしても「なんでもOK」でやっているわけではないそうなので、国民をこうしたトラブルから守るためにも規制は強化した方がいいと思います。そのためにも、新興宗教票以外でまとまった票が期待できる「職業組合」「地域団体」などの中間組織の力を再び活性化させる必要があるんじゃないでしょうか。
     職業政治家は金と票とボランティアさえもらえれば何でも良いのだから宗教票の力が弱まれば宗教以外の意見を気にするようになっていきますよ。

    因みに言うと、「中間組織」の力を弱めたのは「既得権益の打破」とか「構造改革」とか言っていた日本国民ですし、そんなことをしたらダメだと警鐘を鳴らしていたのは藤井聡教授でした。

     さて、ここまでいろいろ書いてきましたが、何をするにも「予算」がいるわけです。そして、その「予算」は緊縮増税を繰り返しているかぎり政府も民間も確保できないわけです。

    何かをするためには”最低限”緊縮増税をやめなくてはいけない

    「緊縮増税をやめよう」こんな話を大手を振ってできるようになったのは三橋貴明、中野剛志、藤井聡、こうした人達が10年以上の歳月をかけて粘り強く情報発信をしてくれたからです。今では多くの協力者が情報発信してくれるようになりました。

    君たちはまだ長いトンネルの中

    こんな映画まで世に出るようになったわけです。なるせゆうせい監督や出演者の方々ありがとうございます。こうした流れができたのは10年ものあいだ粘り強く情報発信を続けてくれた人が居たおかげです。その最大の功労者がクズ呼ばわりされるのは面白くないですね。

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      1. 利根川 より

        日銀の黒田総裁が

        日銀黒田総裁「今の円安はちょっとくらい金融引き締めをしたくらいでどうにかなるようなものではない」

        と発言しています。現在も円安は進行しているわけですが、この円安を

        「円の実力が下がった」

        と表現される方も居ます。

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

        世界各国の名目GDPの推移 出典:IMF 単位:百万US$

        2000年→2021年

        アメリカ 10,250,950→22,997,500

        中国 1,205,532→17,458,036

        日本 4,968,359→ 4,937,422

        ドイツ 1,948,843→4,225,924

        イギリス 1,665,276→3,187,626

        インド 476,610→3,041,985

        フランス 1,362,525→2,935,488

        イタリア 1,147,184→2,101,276

        カナダ 744,631→1,990,762

        韓国 576,483→1,798,544

        ロシア 278,264→1,775,548

        オーストラリア 399,624→1,633,290

        ブラジル 655,454→1,608,080

        イラン 366,917→1,426,300

        スペイン 598,628→1,426,224

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

        まあ、そうね。20年間で日本以外の国はGDPが2倍以上になっているのに世界で唯一日本だけが

        「まるで成長していない」

        のだから円の実力が下がらないわけがないという(苦笑い)
         円安に苦しんでいる方も多いかと思いますが、円安の進行をどうにかしたいのであれば、その原因である「まるで成長していない」状況をどうにかしなければならないわけです。

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        1. 利根川 より

           どうして「まるで成長していない」しないのかといえば、世界で唯一日本だけが「60年償還ルール」をやっているからです。まあ、発行した国債(いわゆる国の借金)を60年でかならず返済するという日本独自のルールですね。
           ちなみに、日本以外の国は「政府が黒字になった時だけ返済する」というルールで、政府が黒字になるのはバブルが発生した時だけ。そして普通はバブルなど発生させないわけです。なので事実上、自国通貨建ての借金については永久に借り換えを続けて返済などしていないわけです。
           どうして返済しないのか?いわゆる国の借金を返済すると貨幣(銀行預金)の全体量が減ってしまうからです。

          >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

          2022年1月15日に行われた大学入試共通テスト「倫理・政治・経済・問4」

          生徒たちは、次の図1と図2を用いて市中銀行の貸し出し業務を学習することになった。
          これらの図は、すべての市中銀行の資産、負債、純資産を一つにまとめた上で、貸し出し前と貸し出し後を比較したものである。
          これらの図から読み取れる内容を示したのちのメモを踏まえ、市中銀行の貸出業務に関する記述として最も適当なものを、後の1~4の内から一つ選べ。

          <図1 貸し出し前のバランスシート>

          資産:日銀当座預金15 すでにある貸出85 合計100

          負債・純資産:資本金10 すでにある預金90 合計100

          <図2 貸し出し後のバランスシート>

          資産:新規の貸出20 すでにある貸出85 日銀当座預金15 合計120

          負債・純資産:新規の預金20 すでにある預金90 資本金10 合計120

          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
          ※メモ

          個人や一般企業が銀行から借り入れると、市中銀行は「新規の貸出」に対応した「新規の預金」を設定し、借り手の預金が増加する。
          他方で借り手が銀行に返済すると、市中銀行の貸出と借り手の預金が同時に減少する。

          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

          図1、図2、メモを踏まえた上で正しいのは次のうちのどれか選べ。

          1、市中銀行は「すでにある預金」を個人や一般企業に貸し出すため、銀行貸し出しは市中銀行の資産を増加させ負債を減少させる

          2,市中銀行は「すでにある預金」を個人や一般企業に貸し出すため、銀行貸し出しは市中銀行の資産を減少させ負債を増加させる

          3,市中銀行は「新規の預金」を創り出すことによって個人や一般企業に貸し出すので、銀行貸し出しは市中銀行の資産と負債を減少させる

          4,市中銀行は「新規の預金」を創り出すことによって個人や一般企業に貸し出すので、銀行貸し出しは市中銀行の資産と負債を増加させる

          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

          答えは4なんですけどね。社会全体の貨幣の量(銀行預金)は誰かが借金をした時に増えるわけです。逆に言うと、誰かが借金の返済をすると社会全体の貨幣の量は減ってしまう。
           いわゆる国の借金とは政府による貨幣発行なわけです。なので、政府が借金の返済をすると世の中からモリっと貨幣が消えてなくなるわけですね。だから、日本以外の国は自国通貨建てのシャッキンに関しては借り換えが基本で返済などしていないというわけです。
           60年償還ルール。まあ、定期的に世の中からモリっと貨幣を消滅させていれば「まるで成長しない」のは当たり前だったというわけです(苦笑い)
            

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      1. クズは自他のクズがわからない より

        この人はせいぜい背伸びして渡邉哲也レベル止まり。公安捜査対象の反社カルトと宗教トラブルの違い、カルトが政治政策に深く食い込んでいる問題が全然わかっていない。あるいは少しも理解しようとしていない。しかもエントリーと全く関係がないことで藤井のかばい立てにのこのこ出て来ている。こういう独りよがりが自公政権の延命に手を貸している。
        この後のコメでもエントリーとまったく無関係のひとり語りと膨大なコピペで埋め尽くし、論点をすり替えようとする。この期に及んで極めて悪質。クズの中のクズ。

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