政治

日本経済

2021年6月9日

【藤井聡】コロナ禍の本質は身体医学的問題ではなく精神病理学的「集団パニック」問題である

From 藤井聡@京都大学大学院教授

新規感染者数も少しずつ減少し始め、人々のコロナに対する恐怖心も、幾分緩和しつつあるように思います。

「恐怖心」というものはしばしば、人々から思考を奪い去るものでもあります。したがって、コロナ恐怖が緩和し始めたということは、人々の「思考停止」的傾向が幾分緩和してきた事を意味します。

ついては今日は改めて、このコロナ禍と呼ばれる騒動が一体何だったのかを、総括的にお話してみたいと思います。
(こうした議論にさらにご関心の方は是非、こちらの書籍、ご一読下さい『自粛と緊縮で日本は自滅する』
https://www.amazon.co.jp/dp/4828422269/

まず認識しておかねばならないのは、このコロナ禍と呼ばれる「災い」は、単なる感染症の拡大に伴う公衆衛生被害だけではない、という点です。それに対する対策と言うタテマエで進められる「自粛」が、国民経済と社会生活に甚大な被害をもたらしており、それこそが、コロナ禍の主要な部分を占めているのが実態です。

すなわち、感染死者数の増加のみならず、GDPの5%弱もの低下によってもたらされる倒産、失業、貧困、うつ病、そして自殺の拡大がもたらされています。そして、そうした様々な被害は、自粛によって人々が他者とふれ合う機会が失われる事を通して加速しているのが実態です。

さて、その「自粛」行為は、国民一人一人のコロナに対する恐怖心に煽られたものであると同時に、行政から推奨・要請されているものでもあります。さらには、「自粛をしなければ批難されてしまうのではないか」という他者からの批難・バッシングに対する恐れがその自粛をさらに加速しています。

こうした恐怖心は、TVを中心としたマスメディアによるコロナ恐怖を煽る連日の報道によって加速しているのが実態です。そして、マスコミに煽られ、肥大化した大衆のコロナ恐怖心が今度は逆に、マスコミの公正中立性を歪めるに至っています。すなわち、コロナがさして危険なものではないという事を示す情報を提供すれば、仮にそれが客観的に正しいものであったとしてもコロナに怯える大衆世論からの「反発」が生じ、その反発の声、ならびにそれに対する「忖度」がコロナは必ずしも危険では無いという客観的情報の報道を「萎縮」させてしまい、マスコミ報道内容をより過激なものにさせてしまうのです。結果、それによって大衆のコロナ恐怖がさらに加速するという循環的な強化プロセスが進行しているのです。

これはしばしば、パンデミックならぬ、歪められた情報が氾濫するインフォデミック状況であると解釈されると同時に、精神病理学的なある種の集団パニック状況であると言うことができます。さらには政治思想的にはしばしば「全体主義」状況であると解釈することができます。

この大衆のコロナ恐怖の加速に裏打ちされたインフォデミック、集団パニック、そして、全体主義こそが、コロナ禍と呼ばれるものの本質を成しているのです。

この集団パニックや全体主義は、新規感染者数が目に見えて一定収束することで落ち着きを見せます。したがって、ワクチンの普及によって一定程度収束していくことも予期されます。

ただし仮にその感染拡大が「さざ波」と呼ばれるほど僅少なものであったとしても、マスメディアの報道の仕方一つで幾らでも「大津波」の様なものとして社会的に捉えられ、コロナ禍を引き起こしうるものとなります。さらには、ワクチンを打ったとしても感染リスクは低減はするもののゼロとはならないことから、いつ何時、マスメディが煽る事が可能な事態が発生するとも限りません。

ましてやワクチン効果の薄い変異株がいつ何時拡大するかも分かりません。

すなわち、このコロナ禍の出口は、大衆の精神の内にメディアに煽られてスグに恐怖心を抱いてしまう傾き(しばしば現代思想では現代人は存在論的不安を本質的に抱き続けているとも言われています)を持っている以上、ワクチンが普及したとしてもなかなか訪れ得ない可能性が、深刻に危惧されるのです。

そんな中でももちろん、政府が客観的合理的な基準(クライテリオン)をもって、感染症による被害と、自粛に伴う経済損失・社会被害の双方を見据え、総合的な観点から、

(1)適切な行動変容「リスク・コミュニケーション」戦略(手洗い、うがい、鼻口接触回避など)

(2)「コロナ対応供給力増強」戦略

(3)適切な「行動抑制」戦略(=年齢や属性を加味した「自粛戦略」)

(4)コロナ対策に伴う「経済被害補償」戦略(=消費減税や粗利補償等)

等を適切に組み会わせながら、「総合的被害の最小化」を目指す理性的合理的な存在であれば、過剰恐怖は広がらず集団パニックによる被害は最小化されることとなるでしょう。

しかし誠に遺憾ながら、現在の日本政府は上記の四戦略の内の「(3)自粛戦略」だけを、世論に引き摺られるようにして発出したり解除したりする、という不条理極まりない対策に終始しており、それが人々のパニックをさらに増幅するだけの状況が続いているのが実情です。

この様な不条理な政府の下では、どれだけワクチンが広がったとしても、ワクチンを打ったのに感染する人が複数であり、ワクチンが原因で亡くなる方が複数人出たり等の何かのきっかけですぐにコロナ集団パニックが生ずることとなるでしょう。

―――誠に残念な現状ですが、我が国に理性的合理的な政府が誕生することを、心から祈念する他ない、というのが、現在の日本の姿なのです。

では……また来週。

追伸;このような無定型な政府が推進するワクチン接種の加速対策に、不信感をお持ちの方もおられると思います。そんな中、様々な医師からのアドヴァイスを伺った下記まとめました。是非、参考になさってみてください。
『「私、ワクチン打った方が良いんでしょうか?」という質問を受けました。当方が「即答」したその内容と理由を詳述します。』
https://foomii.com/00178/2021060608274480984

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【藤井聡】コロナ禍の本質は身体医学的問題ではなく精神病理学的「集団パニック」問題であるへの7件のコメント

  1. たかゆき より

    政府は国民の鏡像

    かと、、

    >我が国に理性的合理的な政府が誕生することを、心から祈念

    とのことですけど

    数珠を握って 空拝んでも

    有能な 大臣様やら 官僚様やらが
    ある日 突然降臨なさることは ないでせう(たぶん)

    先の大戦のように
    マスコミに煽られて 舞い上がってしまったものの

    降り方を知らずに 顔面着地

    バカは何度でも 
    同じ過ちをくりかえす(小生のことです 念のため)

    では どうするか、、、

    鏡を磨く もとい 面(ツラ)を洗って
    出直して鯉 ♪

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  2. この世は既にあの世 より

    暑いです、マスクなんか出来ません。

    コロナは風邪の一種。

    現に何とも無いっすからね。

    別に色々と騒いだって、我々ダメ人間ダメ属国国家は、色んなことをなるようにしかならないのではないでしょうか。

    多くが食えなきゃ政府の要請なんか無視して営業、或いはベーシックインカムの導入、ダメ経営者の企業が潰れるのは当たり前。アホな煽動テレビなんか無視。怖がりも無視。無視、無視、無視。

    ただ漠然とコロナ脳から風邪じゃないと言われても、飯を食う、活動する、用事がある、いい外出日和、今日も多数の車や人が出歩いてます。

    「もっと縛って〜、閉じ込めて〜、あ〜んキムチいい〜、給与上げないで〜、虐めて〜、大企業に投資うれぴー、転換!さらに転換して一周回って元通り!」という変態趣味に私は付き合ってられないわけでして。

    「ママ〜、恐い夢見た〜」「トランプおじさんがやっつけてくれるんだよ」「アヘ、麻生、甘利の自民党議連、AAAの半導体投資、、おめでたい頭で日本すごーい、ピポットピポットピーポーピーポー、はい救急車通りま〜す、はい救急車通りま〜す」

    我々は何年も前に個人主義社会を選択し、他人とは基本的に金でしか繋がってないのです。その社会は今も継続中なんです。暑苦しく幼稚な政治運動、馴れ合いのような群れという蒸れ、お手手繋いでおままごと、学級会、お化け屋敷で怖がるオカマ、気色悪いだけですね。

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      1. そこにもここにもクズばかり より

        コロナは風邪と言っていた某政党党首が新型コロナに感染、微熱でない発熱や咳、脈がぜんぜん元へ戻らない、食欲も一進一退しているので入院を考えている、とのこと。

        「『コロナは風邪じゃないか』と言っていたじゃないかと批判はあるかもしれないが、それはそれとして、対応していきたい」だとよ。

        コイツもオカマってことになるんじゃないの。レッテル貼りのクズ野郎。

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  3. 大和魂 より

    藤井先生コロナ禍も問答無用の国際社会の支配者層からの内圧と外圧ですよ。

    だって日本国民の例年の死亡者数とコロナ禍での死亡者数とを比較すれば一目瞭然ですし、しかも東京五輪や尖閣や台湾問題や半導体産業やコロナワクチンなども合理的に加味して分析すれば、国際社会を支配し易いように仕向けているのが伺えるのは周知だからです。

    そこで是非の難題になるのがグローバリズムとメディア関係者と個人の情に流される人権問題の存在です。

    つまるところ私は次の総選挙の争点の判断は、厳格に国際社会の動向も踏まえながら、各党と政治家の発言と行動で決定しますし、何より軽薄な陰謀論の扱い方をやる反日政党と関係者は維新の会と同じく論外にします。

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  4. おくび より

    この標題、精神病理学的「集団パニック」は医学的問題じゃない、というふうに読めるんですけど。精神病理学って医学じゃないんですか。日本語おかしくありませんか。

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  5. おくび より

    「医学的問題」が『「身体」医学的問題』に修正されてる。

    修正した旨も合わせて追記すべきだと思います。

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  6. あくび より

    × 『自粛と緊縮で日本は自滅する』

    ○ 『水際対応の不備と緊縮で日本は自滅する』

    慌てるのは自らがパニクってるということですね

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