From 藤井聡@京都大学大学院教授
消費増税&コロナショックのせいで、今日本は、戦後最大の危機を迎えています。
コロナ対策のために過激な活動禁止措置を図る諸外国においても、大不況、大恐慌による経済被害を乗り越えるために、未曾有の経済対策を決定し、執行し始めています。
その際、重要な基準となっているのが「国民所得GDPの10%程度を、政府が『真水』で財政支出する」というもの。
(以下、数字の詳細はこちらを https://www.businessinsider.jp/post-210080)
例えば、アメリカは、GDP比約10%の「2兆ドル」(220兆円)もの、国民への給付金を中心とした「真水の財政支出」を決定しました。
デンマークも、GDP比で最大13%もの予算を使い、「実体経済をできる限り守る」という方針を明確化した上で、賃金が減ってしまった労働者に対して、75%~90%もの所得を、上限42万円で支払う「真水の財政支出」を決定しています。
オランダやイギリスも、総額は明らかではありませんが、このデンマークと同様の「真水の財政支出」を決定しています。
例えばイギリスでは、労働者の給料の80%を、上限32万円で補償すると言明しています。
この様な格好で、GDPの10%程度の「真水の財政支出」が各国経済に政府から注入されれば、国民の経済活動が停滞していても、彼らの暮らしは守られ、国民経済の崩壊が避けられることになります。
一方、我が国日本はどうかというと、諸外国の動きに呼応する格好で一応、与党である自民党・公明党が共同で「60兆円規模の経済対策」を提案しています。
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3944000.html
60兆円規模といえば、日本のGDPの10%にあたりますから、日本も欧米諸国並みの経済対策をするように見えるのですが・・・・その中身は、全く違います。
まず60兆円のうちの「真水」すなわち、政府が直接、市場に注入する金額は、たった「20兆円」しかないのです。
これは、割合にして、GDP比の3%強であり、金額で言えばアメリカの「真水」の僅か十分の一!
実際、30万円や40万円を上限とする「給料の補償」が欧米では議論されている一方、我が国で議論されているのは、「一部の国民」を対象とした「10万円」の支給に過ぎません。
今まさに、自粛、禁止のせいで国民生活が潰れかかっているわけで、諸外国の政府はそれを何とか「守り切ろう」という姿勢を示しているのですが、我が国政府にはそういう気概は全く見られないわけです。
その危機感の無さは、コロナ騒動が終わってからの「反転攻勢」なるもののための、お肉券やお魚券、そして旅行クーポン券、あげくの果てに各世帯にマスク2枚支給、等が大真面目に議論されている姿勢からも明白です。
もはや、ふざけているとしか言いようがありません。
こっち(国民)はもう、死にかけているわけです。
一方で、事業費60兆円の内、真水を除いた残りの40兆円は何かというと、要するに「融資」です。
もちろん、融資も重要ではありますが、それは真水とは全く性質の異なるもの。だからアメリカの2兆ドルの中にそのようなものは含まれてはいないのです。
じゃぁ、アメリカはどれくらいの融資枠を考えているのかというと、その総額は実に最大4兆ドル。すなわち、440兆円もの融資枠を考えているわけです。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2020/fis/kiuchi/0331
したがって、アメリカの経済対策を自民党・公明党流に言うなら(貸し付け担保に0・45兆ドル使われる事を加味すると)。、
「事業規模5・65兆ドル(620兆円)。GDPで約30%」
ということになります!
でも、アメリカは、決してそんな言い方はしません。融資はあくまでも融資であって、経済対策とは別次元の話だからです。
だから、日本がアメリカのスタンダードに合わせるなら、「真水」でGDP比10%、つまり、「60兆円の純粋な政府支出(真水)」を出さねばなりません!
・・・というか、諸外国はそこまでの徹底的な政府支出を決定しているからこそ、労働者の給料を上限30万、40万円という規模で補償することが可能となっているのです。
つまり政府は、「事業規模」といういい加減な言葉を上手につかって、さもアメリカと同じような対策をやっているかのように「見せかけている」わけです。その意味で、この数字は国民にウソをついてだまそうとする悪意ある数字だと言わざるを得ません。
ただし、この20兆円(といっても、これはあくまでも与党提案ですから、政府、というか財務省での検討の結果、10兆円くらいにまで減額されることは十分にあり得ます! その点にも注意が必要ですが、それはさておき・・・)に加えて、「消費税凍結」が行われるなら、それはまた別の話になります。
実質賃金で、一人あたり、1年間で10%の賃金上昇効果が見込めるからです!
そもそもそれは、金額にして、おおよそ30兆円の真水の注入を意味しているのです。ですから、「デフレ下で消費増税を繰り返してきた」という、日本の恐るべき特殊事情を加味するなら、20兆円の真水注入に加えて、10%消費減税=消費税凍結が行われれば、欧米と比しても遜色の無い経済対策が可能となるのです。
一刻も早く、日本政府、安倍内閣が、諸外国と同様に「正気」をいち早く取り戻し、お肉だお魚だマスク2枚だ等といったくだらないレベルを脱していただきたいと思います。
さもなければ、我々日本国民は、新型コロナウイルスに殺傷されてしまう前に、政府の無為無策に殺傷されてしまうことになるのです。
追申:
『このままでは私たちは、コロナではなく「日本政府」に殺されてしまいます ~この危機の時だからこそ、狼狽えず、冷静に政府をご批評ください~』にご関心の方は、同タイトルの下記メルマガも是非、ご一読ください。
https://foomii.com/00178/2020032812520564994
【藤井聡】「事業規模」という言葉に騙されるな! コロナ不況対策「60兆円」を巡る政府のウソへの18件のコメント
2020年4月2日 3:11 PM
進め一億火の車 (財政翼賛会)
緊縮緊縮緊縮 キン シューク!!
欲しがりません 死ぬまでも!!
無為無策に はたして
どこまで 耐えられるんで せうね。。。
バカは 死んでも 気づかない ♪
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2020年4月2日 3:37 PM
暁に祈る
飲まず喰わずの日も 三日
あゝ あの山も この川も
赤い 忠義の 血がにじむ
ああ大君の 御為に
死ぬは兵士の 本分と
笑った戦友(とも)の 戦帽に
残る恨みの 弾丸(たま)の跡
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2020年4月2日 4:09 PM
[…] […]
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2020年4月2日 4:36 PM
残り20兆円で山口の企業に布マスク発注したってウワサ有りますけど。
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2020年4月2日 7:31 PM
おカネが全うに出ないと医療体制も組めないから
経済だけじゃなく医療崩壊でもアウトでしょう。
全面敗戦しか見えませんね…
諸外国に比べて時間があったし時間稼ぎもできていたのに、マスクの増産すらまともにできない渋ちん戦費ですからね…
本当に戦争に財務省が入るとろくなものじゃないですね…
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2020年4月2日 9:23 PM
安藤さん 新党立ち上げてくれないかな~
党内再教育って可能なのかな~
MMTの理解者達が政権取った方が話が早い気がするけどそう簡単では無いのですかね~(汗)
子供の教科書読、愕然とする記述ばかりで悲しくなる・・・
助けてくれ~(/_;)
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2020年4月2日 10:11 PM
国家として腐敗していなければ、医療機関を重視して真水とか塩水、関係なくあらゆる対策を模索し実行するべきなのに、海外はもとより、国内では役立たずの腐敗した警察やら自衛隊に廻すマスクはあるが、庶民へのマスクは後まわしするとか。更に庶民にはお金の貸し付けは、するが給付はしないなど。また消費税対策が魚や肉と観光のみとは、これまた国民を犠牲にし少子化を一段と加速させる戯けた天下の愚策は行わない!!ならこれは、慈愛に溢れた西郷南州が蜂起した理由と全く同じ保身の腐敗なので、トコトン納得するまで攻勢をかけて社会の在り方に信を問うべきだと思います。もっとも、これまでの有権者の社会に対する認識が自分たちだけの社会とか行政や政治まかせした愚民の発想がもたらした現状は、変えて当たり前!だって腐敗が幸せを多くもたらすことなど、ありませんから!
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2020年4月2日 10:43 PM
どうせ、他国が大規模な財政で立ち直ったら輸出で儲けよ、と思ってるのでしょう…
恐慌後、袋叩きに合いますね。内からも外からも。
何で、こんな気持ち悪い連中が日本の中核を支配してるの?
それはさておき、貨幣を考えれば考えるほど貨幣とはナショナルな物であるのが見えてくるのですが、何故に日本は日銀及び財務省をはじめとした貨幣の供給下に法律家(左翼系)が支配してるのか。
そもそもナショナルとは形が無いもの。これまでの歴史や伝統により形成される「やんわり」としたものである。この「やんわり」とした社会から生まれたのが「貨幣」である。(そもそも歴史伝統が無い国は自国通貨が育たない、又、テクニカルな仮想通貨も同じ)
では何故に「やんわり」とした貨幣の供給下に形に拘る法律家(左翼系)がのさばるのか。(ちなみに日銀の独立性を支持する人達の事)
確かに管理通貨としては法律家が重宝されるでしょう。
でもね、貨幣の本質を理解してからの話。
貨幣とは形が無いもの。無い物に形を付ければ、それは貨幣では無くなるの。お前らが勝手に作った偽金。
つまり今の日本の通貨は日銀が勝手に作った偽金を財務省及び政府が勝手に流しているので大規模な国家犯罪!!!
だから勝手に作った貨幣なので「貨幣量」でしか価値を計れないの!
本来、貨幣を管理するならば「貨幣量」ではなく国家国民の「やんわり」とした信頼度が計り! その「やんわり」とした貨幣に対しての信頼度の数値が「インフレ率」なの!
もし、このまま通貨量で通貨を計るのならば国家犯罪と見なし!
「訴えてやる!」
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2020年4月3日 1:45 AM
追伸
この貨幣の考え方は三種の神器の一つ勾玉でもあるのね。
そして民の営みを破壊しようとするものには剣で追い払うしかないの。
今で言えば民主主義(選挙)かな。
日本には良い伝統があるのに…
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2020年4月3日 8:26 AM
財務省の前でデモがしたい。。
MMT論客の誰かがやるなら絶対に参加します。
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2020年4月3日 5:24 PM
支給世帯を絞ることをトリアージと並べて論じる経済ものかきの発言を他所の媒体で読んだが、これは財政と家計を混同するに等しい錯誤なのではないだろうか。
貰える人と貰えない人との不公平にとかく目が行きがちだが、不公平はもちろんそれだけではない。
支給や補償を引き換えに開催自粛や行動集会制限について全国民に協力を要請する以上、全員に極力等しく生活保障を行き渡らせなければ、保障に与れなかった国民に制限を拒否できる言い訳を政府が与えることになる。保障されなかったから生きてゆくために営業せざるを得なかったと憲法第25条の生存権を盾にされたとき政府は答えられるのかということだ。これでは莫大な国費を投じて感染爆発対策を講じる意味が半減する。
しかも消費税減税はしないらしい。これは支給された現金が消費に回ることに政府が期待していないということだ。この期に及んで政府が国民から上前を撥ねてどうする。社会福祉制度維持に充ててなどいなかったことはとっくにバレている。まったくゴロツキの発想で、子どもたちにハロウィーンのお菓子を配って来たお兄さんたちよりタチが悪い。
そして緊急時に役に立たない東京大学や一橋大学出身者。いったい何のために存在しているのだろう。今井尚哉氏や浜矩子氏のふるまい言説を眺めてつくづく不思議でならない。
安倍の後継に岸田政調会長の名が挙がった意味がよくわかった気がする。自由民主党は民主党を煎じ詰めたような度し難い愚鈍な集団になり果ててしまったらしい。コロナ禍が落ち着いても野党にすら戻れないかも知れないですね。
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2020年4月4日 10:57 AM
簡単にGDPを30兆円嵩上げしたいのなら、全国民に一律毎月2万円、半分しか使われないというのなら4万円、三分の一だというのなら6万円を、国民年金用の口座等に振り込めばいいだけだ。消費税率の変更や所得制限といったようなことは時間と労力の無駄で、簡単な事をわざわざ難しくして、何かやったような気になりたいだけの売国行為に過ぎない。
そうやってつないでいる間に、感染症対応の公共事業の準備をすればいい。例えば、自動運転車を作れるだけ作ってもらって全量政府が買い取り、地域、時間指定の外出禁止令を出して、そこで運用するとか、全国に自動運転車専用道路網を作るとか、高速インターネットの普及と同レベルの遠隔作業環境を構築するとか、やるべき事があって、やれる環境が出来つつある。国家規模で見たら、ビッグチャンス到来としか思えないけどなあ、私には。下落は不幸ではなく、仕込みのチャンスだから。
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2020年4月5日 10:45 AM
ちなみに消費税は、一律給付金と比べると、相対的に金持ち優遇だからね。10万円支出の人は1万円で、100万円の人は10万円なんだから。しかも、政府にとって効率がいい。30兆円分が30兆円になるから。つまり、国民にとってはケチな政策となる。また、使わなければ得られないという点で、お肉券とあまり変わらない。
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2020年4月6日 9:57 PM
[…] ▼【藤井聡】「事業規模」という言葉に騙されるな! コロナ不況対策「60兆円」を巡る政府のウソ […]
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2020年4月7日 7:52 PM
地方で小さな小売店を営むもの(奴隷)です。
藤井先生、三橋先生の熱い想いにいつも感動しております。
いまの政治家や官僚は理想とか信念とか志とか正義というものを持っていないのでしょうか?
彼らは誰のために活動しているのでしょうか?
国のため・・・ 国とは誰のことをさしているのでしょうか?
疑問符ばかりの文章になってしまいます。
日本は中流社会だと思っておりましたが、現実は上流階級とそれ以外でなりたっていることを思い知らされる昨今です。
上流階級の人々は奴隷達の為に仕事をしているのではなく、同じ上流階級の人達の幸せの為に仕事をしているのでしょう。
そこには、なんの論理的齟齬もありません。
なぜならば、奴隷のことなど考える意味がないからです。
奴隷がコロナで死のうが恐慌で死のうがどうでもいいのです。
悲しいかな奴隷には上流階級に反抗する手段も存在していません。
ただ上流階級の人達が決定したことに淡々と従うのみです。
搾取され利用されるだけの存在それが奴隷です。
この先どうなるかを考えても明るい未来は見えてきません。
唯一の希望としては歴史が将来、今の政治と行政の在り方に対して正しい評価を下すと信じたいです。
『あの悪夢のような安倍政権』と。
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2020年4月8日 3:56 AM
コロナで収入が減った人の収入を政府が補填するのは、本来おかしい。月5万円を割り込んだ人に、月最大5万円という程度なら、国民年金と同額だから分かるが。会社の救済もそうだ。本来すべきではない。自粛要請のせいだと言うが、コロナを拡散させてはならないというのは、事業者の社会的義務であって、政府のせいではない。ではどうすればよかったのか。各業界で保険をかけておくべきだった。それなら、収入の100%でも何でも好きにすればいいのだから。しかし、してこなかった。だったら、政府が補償するのが当たり前、といった顔をするのではなく、どうか助けてください、という態度でなければならない。ただ、政府にも、保険の指導や支援をしてこなかったという落ち度はある。だから、救済はしなければいけない。だが、金額が莫大になる。個人に月30万というのも、気に入らない人多数となるはずだ。当然のことだ。それを納得させるためのバラマキは、一人10万では話にならない。日本人は大人しいから、直接的な反発は少ないかもしれないが、日本が正しい方向へ行くための政策を行おうとする時に、形を変えて、それを阻害するエネルギーに必ずなる。それを防ぐためには、一人50万は必要と考える。月3~5万の分割がよいのではないか。多すぎると思うかもしれないが、それだけの巨大災害だ、仕方がない。しかも、遠隔作業環境が整えば、簡単に回収できる。
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2020年4月9日 1:11 AM
事業者の救済だけど、なんで政府が個別に支援しなければいけないのかねえ。各業界は何をやっているんだろう。各業界が業界内の個々の被害を積み上げて報告し、それに基づいて各業界にまとめて給付する。配分は基本的に任せる。そういうのじゃ駄目なのか?
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