From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表
先週3月11日、安藤裕衆議院議員らによる議連「日本の未来を考える勉強会」が、「「令和の恐慌」回避のための30兆円規模の補正予算編成に関する提言」を西村経済再生担当相ら政府関係者、岸田政調会長他与党関係者に提出したことについては既にご存知のとおり。詳細についてはこちら(https://nihonm.jp/post_article/20200311)をご参照いただきたいと思いますが、今、まさに今、我が国政府が採るべき必要な施策が詰まっています。
特に消費税の軽減税率を0%とし、全品目に適用するというのは、直ちに決定し、出来るだけ速やかに施行すべきでしょう。(一部には、安倍総理はこの提言も踏まえて、税率を一時的に5%に引下げる案を検討しているとの話もあります。これはれいわ新選組や国民民主党が消費税の5%への減税を訴えていることへのカウンターとも言われています。減税自体はいいことなので、悪い案だとは思いませんが、どうせやるのなら0%、そして無期限化・恒久化、つまり実質的な消費税廃止でしょう。)
さて、提言に掲げられた施策は確かに必要なものではあります。ただし、より徹底するのであれば、もう少し加えてもいいのでは、というのが今回の本稿の趣旨です。
具体的には、①自社株買いの凍結又は少なくとも自粛要請、②四半期決算の凍結、③不要不急の法案の国会審議の延期、④不要不急の施策の検討の凍結、及び⑤新型コロナウィルス感染症の感染拡大の経済社会への影響の詳細な把握・分析です。
まず、①について、何の関係があるの?と思われる方も少なくないかもしれません。しかし、自社株買いというのは自社の株価を吊り上げ、株主への配当を増やすことを主な目的として行われるものであって、その一方で設備投資の削減や従業員の給与を低く抑える、場合によっては減らすことにつながっています。
先週からの急激な日経平均株価の下落を受けて、政府を筆頭にこれを相当深刻に受け止める雰囲気が強いですが、端的に言って、昨今の株式市場の動きは実体経済とはかけ離れた、雰囲気や空気に敏感に反応して株価が上下する、まさに投機相場。確かに消費税増税による不況というベースに、新型コロナウィルスの感染拡大を受けた外出控え、人が集まるイヴェントや宴会等の中止や延期といったことが加わった経済活動、消費の大幅な減退により、各企業の収益も大幅に悪化しているし、今後更に悪化するであろうことは容易に推測できます。
しかし、それで逃げてしまうのなら何のための株主か、という話になるわけですが、それはさておき、こんな状況だから少しでも株価を上げようと自社株買いなんてされたら、ただでさえ売上(経常利益ではありません)が減っているのに給与に回されるお金は減ってしまいかねないわけです。したがって、小中高の休校やら大規模イヴェント等の中止等を要請するのであれば、政府は一般国民を貧困化させる要因の一つである自社株買いぐらい、自粛要請すればいいと思いますが、株価の動きに「敏感な」安倍政権では・・・
次に②の四半期決算の凍結ですが、この四半期決算も株主、もっと言えば投機家のためのもの。短期で企業の財務状況を見るためものですから、この先どうなるか分からない中で、投機家どもは早く利益(配当)を確保するために、あれが無駄だどうのと言い始めかねません。そうしたらいざという時のために確保してある内部留保(あえてこの言葉を使います)を吐き出せ、配当に回せという話になってしまうでしょう。それを食い止めるためにも、日本の企業の倒産・廃業等を阻止するためにも、直ちに検討するべきだと思いますね。
そして③、不要不急の法案、以前もお伝えした売国・某国法案を含め、ですが、この危機的状況にあってそんなことに貴重な人的資源等を振り分けている場合ではないはずです。種苗法改正案はそんなに急ぐ話でしょうか?国家戦略特区法を改正してスーパーシティを整備することはそんなに急ぐ話でしょうか?デジタルプラットフォーマー規律法案はいますぐ必要ですか?(このトンデモ法案については別稿で解説しています。)中小企業の事業承継円滑化法(に名を借りた地域の中小企業をハゲタカファンドでもどこでも売り払ってしまえ法)の改正は急ぐ必要がありますか?そもそも新型コロナウィルス感染拡大を巡る状況が日々変化している中で、あれもこれもと言っていたら、霞が関がパンクしてしまいますよ。政府も与党も、そして対する野党も、良識を持って考えてください。
更に④、これは③と同旨ですが、特に着目したいのが、全国の公立・公的病院を整理統合しようと目論む地域医療構想。このような状況下にあっても、着々と、粛々と進められようとしています。新型コロナウィルスの感染の急速な拡大により、イタリアではこれに対応しきれず医療崩壊が起きているようです。その背景にあるのは、ベルルスコーニ政権下で進められた緊縮財政による病床数の大幅な削減とのこと。日本は減らされてきているとは言え、まだまだイタリア程にはなっていません。
こうした実態があるにも関わらず、今この状況下で病床を減らそうなどと、とても正気の沙汰とは思えません。しかし、緊縮大好きの日本政府は、そんなことはどこ吹く風で公立病院や公的病院に狙いを定めて病床数削減を進めようとしています。この手の話はまだ他にもあると思いますから、皆さん注意して、気づいたものについては声を上げていきましょう。(野党も気づけって話なんですがね・・・)
最後に⑤、これは基本中の基本ですが、現状では令和恐慌への対応策は場当たり感が否めません。この危機的状況です、仕方がない面はあるでしょう。しかし、だからいつまで経っても行き当たりばったり、思いつきでは、国家・国民を守ることはできません。やはり、多少時間はかかっても徹底的に調査を行うか、確実に情報が上がってくる仕組みを作り、とにかく実態を把握すること。後から抜け落ちていたと気づいたとしても、廃業してしまってからでは後の祭りです。
以上、私なりの提言です。是非ご検討いただければ。
【室伏謙一】令和恐慌を乗り切るために、財政政策・消費税減税以外でなすべきことへの5件のコメント
2020年3月17日 12:49 PM
わたくしも、室伏先生の考え方に同意しておりますが、なによりも大事なことは我が国の常識あるナショナリズムによる行動、つまり室伏先生のおっしゃることを要約すれば、その事になると思います。それと問題は永田町に出入りする議員と公設秘書などを考えてみても、その大半が無能な身内や知人を配する姿自体、日本国民を背信している保身なんですよ!コレこそ先生がおっしゃる衆愚政治を改める論拠です。
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2020年3月19日 11:04 PM
衆愚政治
酷民が衆愚では、
酷民が政治、経済に
無関心ではいけません!
だから、自民党の自民党による自民党の為の政治
=経団連のちょうちん持ち。になりました。
国民は英知ある地球市民でなければなりません。
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2020年3月17日 4:12 PM
「正気」の沙汰
世界の全ては MONEYのために 存在する
よって、、
①社員は 株主のために全てを捧げるべし
②株主の利益を優先すべし
企業の倒産など日常茶飯事
企業など掃いてすてるほどあり
③コロナに目を奪われている いまが 稼ぎ時
審議などせず閣議決定で
全ての法案を通すべし
④MONEYにとっては
下々の命など ゴミ以下
⑤無駄 先の大戦と 同じ
以上
この国のアホに つける 薬はない。。。
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2020年3月19日 1:30 AM
藤井のアホ!!
イギリスも方針転換したぞ!
藤井の言うことを信じて100人以下のイベントなら大丈夫だと
参加した人たちから次々感染者が出たら
目も当てられないな!
●イギリス「劇場・パブは避けるように」
●【英で衝撃の研究結果】「現行の新型ウイルス対策では25万人が死亡」(字幕・18日)
↑この調査結果をもとに、方針転換したという
藤井方式だと、
コロナも抑えられないし、
経済的にも死ぬ
今、各国がやってるように2か月ぐらいの自粛をしておけば
コロナの感染者が大量に出て人がたくさん死に、
さらに1年、2年と終わらないといった事態は避けられるかもしれない。経済的にダメージを食らうのは間違いないが。
感染者を抱えながらの経済活動は無理だから
各国が封鎖や自粛やってるんだろ!
一番最悪なのは
コロナも抑えられない、経済も破壊っていうパターンだ
藤井は、コロナ肺炎の感染力を甘く見ていたし、
感染者数なども相当甘く見ていた
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2020年3月19日 1:37 AM
「移動やオフィス、パブを避けて」 イギリス政府が新型ウイルス対策を発表 BBCニュースより
イギリス政府の新方針の骨子は以下の通り――。
●集会に加え、パブやクラブ、劇場といった混雑する場所を避ける
●可能な人は全員、在宅勤務にする
●介護施設に住む家族や友人への「不要不急」な訪問は控える
●国民保健サービス(NHS)の医療施設は「本当に必要な場合」だけ利用する。NHSのウェブサイトから情報を得て、医療従事者の負担を減らす
●来週末までに、健康状態が最も深刻な人たちは「約12週間は他人との接触を避ける」態勢に入る
●欧州で最も新型ウイルスの被害の大きいイタリアに比べ、イギリスは「3週間遅れている」状態にある
●同じ家に住む誰かに断続的なせきや熱の症状がある場合、同居者全員が14日間、家にとどまる
●自主隔離が必要な人は可能ならば、「食料や日用品の購入」でも外出を控える。しかし「運動をするためなら外出してもいいが、他者と十分な距離を取ること」
学校は現時点では閉鎖しない
またイングランド主任医務官のクリス・ウィッティー教授によると、「社会的な接触を最小限に抑える必要が特にある」人は以下の通り――。
●70歳以上の高齢者
●既往症などで、インフルエンザのワクチン接種を勧められている人
●妊娠中の女性
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