From 藤井聡(京都大学大学院教授)<br />
こんにちは、京都大学の藤井聡です。
突然ですが今、
経済、財政、金融、防衛、科学技術、
インフラ、農業等の様々な視点から、
今後の日本の政治のあるべき姿を「提言」する本
を書いています。
出版は5月か6月頃になるかと思いますが、
それを執筆する中で、
現在の安倍内閣による政治が、
一体どのようなものだったのかを
客観データに基づいて「検証」する作業を
進めています。
この一枚のグラフは、
今の日本で展開されている「政治の本質」
を理解する上で、
極めて重大な意味をもっています。
今日はこの「一枚のグラフ」が暗示する
恐ろしい「真実」を、解説したいと思います。
・・・
安倍内閣下で税収は、
実に17兆円も拡大しました。
安倍内閣誕生時点の2012年度の税収が
42兆円に過ぎなかった一方で、
2018年時点では59兆円にまで拡大したのです。
詳細はまた別途解説したいと思いますが、
消費増税によって7兆円、
世界経済の好景気に牽引される形で実現した
「26兆円もの輸出拡大」によってもたらされた
経済成長による自然増収10兆円によって、
合計17兆円、割合にして実に40%も拡大したのです。
では、この17兆円の増収を、
安倍内閣は一体何に投入していったのかを検証した結果、
得られたものが、このグラフなのです。
ご覧の様に、圧倒的に多くの「増収分」が、
「赤字圧縮」政策に投入されています。
「赤字圧縮」政策とはつまり、
「借金削減」政策であり、
広い意味で言えば「借金返済」政策と
言うこともできます。
その金額は10兆円、
17兆円の増収の実に「6割以上」もの水準に
達しています。
具体的に言うなら、安倍内閣は、
新しく国債発行額を縮減するために
10兆円もの巨大な税収を活用したわけです。
その一方で、
社会保障の拡大に6・6兆円が活用されているのを除けば、
17兆円の増収分は、
その他の政策項目にほとんど活用されていない様子が
見て取れます。
公共事業が0・2兆円、
防衛が0・5兆円拡大していますが、
その拡大分は17兆円の税収拡大分から
拠出されているというよりはむしろ、
総務省が所管している「地方交付税交付金」を
1兆円以上削ることで拠出したものです。
そして、
文部科学行政や環境、農水、外交に到っては、
予算が全く増えておらず、17兆円の増収分が
「一切」活用されていないのです。
つまり安倍内閣は税収が40%も拡大し、
17兆円も豊かな収入が得られる様になったにも関わらず、
(法律的に拠出する金額が規定されている)社会保障の
増分には致し方なく充当している一方で、
それ以外の全て、
実に増収の6割にあたる10兆円以上もの大量の税収を、
「赤字圧縮」行政に投入してしまっているのです。
言うまでも無く、
「赤字圧縮」政策を推進する官庁は財務省。
一方で、それ以外の政策項目を所管する省庁は、
その他全ての省庁です。
そして、
この予算の配分を決定する事務を所管するのも財務省です。
つまり財務省は、
17兆円もの増収分をどこに投入するかを決定する事務を
所管しているわけですが、
法律的に削除することが原理的に出来ない
「社会保障」に致し方なく一部(しぶしぶ)回した上で、
防衛や公共事業など、
政策的に拡大することが必要な部分については、
僅かに増やしたものの、その拡大分も、
地方自治体に回す交付税交付金を削ることで捻出したのです。
つまり、防災や国防など、
国家国民の最低限の安心や安全のため行政には
予算の拡大が必須ではないかという声に応えるために、
財務省は、地方自治体に回す分をむしり取って、
その分のカネを用意したというわけです。
こう見れば、「赤字圧縮」行政を所管する財務省は、
安倍内閣下で、
「赤字圧縮」政策ために必要な
「支出の抑制」の仕事をほぼ完璧にやり遂げたのです。
そしてそれを通して、
10兆円にも上る国民の血税を
政府の借金、あるいは赤字を圧縮するため
「だけ」に活用したのです。
すなわち・・・
財務省は今、
安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の「全て」を、
国民のためでなく自分のために活用しているのです。
借金返済は何の富も国民にもたらさないにも拘わらず、
そして、
もしも他省庁の「国民のための行政」に活用していれば、
経済が成長し、税収がさらに拡大していたにも拘わらず・・・
一人でも多くの国民が、
この恐るべき真実を理解されんことを、
心から祈念したいと思います。
追伸1:
財務省のもう一つの政策方針である「消費増税」が、如何に日本経済を破壊しているのかについては是非、こちらをご参照ください。
http://ur0.biz/MCc2
追伸2:
財務省によるこんな「赤字圧縮」政策のせいでもたらされた、「平成デフレーション」について、表現者クライテリオンで徹底的に論じました。是非ご一読ください。
https://the-criterion.jp/
「週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ」では、『物語からは誰も逃げられない。だから、良い物語を持とう!』について、お話しています。こちらもあわせてお聞きください(チャンネル登録も是非、よろしくお願いします)。
https://www.youtube.com/channel/UC9GNcWzLq0k7io20AHjN4qQ
【藤井聡】財務省は今、安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の全てを、国民のためでなく「自分のため」に活用しています。への9件のコメント
2019年3月6日 5:03 PM
既得権益
富裕層 大企業 の権益を保障するものとしての
税制を含む諸制度
議員のための 特権的地位を保障するものとしての
議会制度
公務員(議員を含む)の
特権を保障するための 公務員法
ドリルで破壊されるべきは それらの特権かと、、
革命という 二文字が
頭をよぎる 今日この頃 ♪
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2019年3月6日 9:26 PM
赤字圧縮・・・・聞いたことも無い専門語を次から次に開発して進ならぬ、晋・(錯覚)用語事典の語録馬鹿りを殖やしているんですね。コンクリートの割れ目から植物が生えて行くように。Energy、そして生き血を啜るように・・・統計だろうが国語学だろうと遠慮はしねぇっ、悪行三昧のオールスター・オンパレード!(しかも野党も家庭内鉛筆ナメナメ家計簿財政っ!)
しかも10兆円!これは機動的な財政出動!と唯一、放った第二の矢と同じ金額じゃぁアーリントン?!
これじゃぁ言ってみれば、消滅的な財政出動じゃぁーんっ!
これじゃぁ蓮舫もビックリじゃぁアーリントン?!。名付けて“第二の事業仕分けっ!”でごじゃる。
「一番じゃ駄目なんですかっ!国の借金返済がっ!」
こりゃあいいわぁー♪蓮舫とお友達に成ったワっ・タっ・シっ!(カルト過ぎてだれもかれも笑えないCMネタ)
そしてまた最後の3年間のトップで消費増税しかも“5”よりも超スーパーウルトラカップ?の“10”カウント!
もう完全に国民は騙されてノックアウト!!!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!菅っ!(ゴングは鳴り響く)
そしてその生き血の仕分けは一番に国の借金圧縮に注ぎ込む・・・あろうことか予測出来ることか安倍政権は蓮舫の大喝采で幕を閉じて、日本も幕を閉じたのであった。
でこっぱちならぬ、嘘っぱち国会騒動進?喜劇。あ太郎ちゃぁーんっ!
馬鹿馬鹿しいお笑いの一席。どーもすいません。(by三平師匠)
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2019年3月7日 12:26 AM
ひっでー話しじゃありませんか
麻生はじめこいつらロスチャイルドか?
これじゃあ我々地方が貧困化していくのもあたりまえだわ
江戸時代の年貢の取立てじゃああるまいし、同じようなことをやっとるわ
誰か糾弾するやつはいないのかぁーーー
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2019年3月7日 9:49 AM
財務省の影響力を小さくすべきですね解体するか庁に格下げすべきだと思います。国債なんて返却する必要ないのに全く意味のない事をやってるなんて呆れます。税収を赤字返済に使うって正しい風に見えますが全然違います、赤字返済なんて何の意味も無いし経済効果も無いです、そんな事に使うなら財政支出や減税や公共投資に使ってほしいです。
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2019年3月7日 12:15 PM
「ポッケにナイナイした」ということですね。
この犯罪的行為は、森友学園の文書改ざんを超えるレベルで糾弾されるべき問題と認識しました。
彼らの弱点はオープンソースにされることなので、どんどんオープンにしていかないと、クローズドな場ではめられ、あまつさえ中川昭一氏のように逆にオープンな場で社会的に抹殺されかねません。
彼らは情報の一方通行を望んでいるのは明白です。もちろん、自分たちが情報を得る側です。
例えば、今回素案に上がっている消費税のポイント還元は、金の流れを自分たちが一方的に把握するためという側面があるのではないでしょうか?
不正防止ならば、そもそも商品に紐づけ、売る時点での減税で十分なはずです。電子マネー決済だろうと、会計時の操作やバーコードの値札を張り替えればいくらでも不正できます。
頭のいい連中なのでこれくらいの悪知恵は働いているものと考えて情報を読み解いていきたいと思います。
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2019年3月7日 12:53 PM
[…] 安倍政権は、その年金も削減する政策を取っています。 財務省が国債償還という、不必要な、何のためにもならない財政政策のために巨額のお金を使い、社会保障費を削っているためです(前回の藤井聡氏の記事https://38news.jp/economy/13285参照)。 消費税の増税分は全額社会保障に回すという、真っ赤なウソを平然とつきながら。 繰り返しますが、私たちは、この緊縮財政というとんでもない悪政をやめさせるよう、あらゆる手段を使って、政治に働きかけなくてはならないのです。 […]
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2019年3月8日 9:25 AM
その10兆円を何かしらの支出に使えば4%以上の成長率とデフレ脱却を成し遂げられるでしょう。何故それをしないのか?
安倍政権は超緊縮です
財務省と戦ってもません財務省の意のままに動いてる政権です
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2019年3月17日 3:21 PM
>総務省が所管している「地方交付税交付金」を
>1兆円以上削ることで拠出したものです。
↑ 以前橋下徹前大阪府知事、前大阪市長が『「地方交付税交付金」などというものがあるから地方は甘えるのだ。
地方は独自の工夫で儲けて自主財源を確保すべきだ』などとおかしなことをおっしゃっていました。そもそも『官・公(おおやけ)』は、市場によって確保できない【市場の失敗】事象について、公共の福祉を充足するために税という強制徴収の手段を用いて業務を遂行するのであって、儲ける仕事をするのは民業圧迫になる越権行為です。
この方は地方交付税交付金と補助金の区別もつかない重大な勘違いをしているようですが、地方交付税は国が地方に与えるための、つまり地方を甘やかすための恩恵でなく、
ナショナルミニマムを確保するための
“地方の固有財源”
なのであって、国は便宜的に一旦国税として預かり配分するだけの役割しか持っていません。
総務省HPのPDFより
↓ ↓ ↓
>地方交付税制度の概要
>1 地方交付税のしくみ
>○所得税、法人税、酒税、消費税の一定割合及び地方法人税の全額とされている 、どの地域に 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのもので、地方の固有財源である。
>性 格: 本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税である。」(固有財源)
>(参考 平成17年2月15日 衆・本会議 小泉総理大臣答弁)
>地方交付税改革の中で交付税の性格についてはという話ですが、地方交付税は、国税五税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味において、地方の固有財源であると考えます。
↑ ↑ ↑(以上引用終わり)
ですから、ここに国の判断の介在する余地はなく、
総 額は『所得税・法人税の33.1%、酒税の50 : %、消費税の22.3%、地方法人税の全額』と決まっています。
これを勝手に削減するという根拠が理解できません。
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