日本経済

2018年11月28日

【藤井聡】「消費増税と緊縮」で日本経済は最悪「ミャンマー級」に凋落する

From 藤井聡@京都大学大学院教授

先日、消費税をこのタイミングで
本当に10%に上げてしまえば
どうなってしまうのか、ということについて、

『増税すれば日本経済は「パキスタン級」になる』
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20181126/

という記事を配信いたしました。

要するに、
今増税すればデフレ脱却は終わらないだろう、

今の日本の成長率は今後も
現状程度(=過去20年間の平均)を維持し、
50年後には、
日本のGDPはおおよそ今の「6割」くらい
になるだろう、

一方で世界は、成長し続けるだろうから、
日本経済の世界経済に対するGDPシェアは、
現状の6%弱から、さらに縮小し、
50年後には、約0.4%にまで激減するだろう、

これは、凄まじく小さなシェアであり、
おおよそ今の「パキスタン」や「フィリピン」級の水準。

だから、50年後の未来を考えれば、

『増税すれば日本経済は「パキスタン級」になる』

―――という訳です。

この話は、デフレの「恐ろしさ」、
つまり、「低い成長率を放置すること」の恐ろしさを、
明確に示すものです。

「そんな馬鹿な!?」という方もおられるでしょうが、
日本はデフレのせいで、GDPシェアが、この20年間で
「三分の一」にまで急激に縮小したわけですから、
デフレが続く限り、50年後を考えれば、
以上のようになるのも当たり前なわけです。

ただし、このシナリオは、
至って「楽観的」なものでもあります。

なぜならこのシナリオは、
「過去20年間の成長率が維持できる」
事を前提としていますが、
来年からは消費税率はこれまで以上の
10%になる訳ですし、
かつ、増税派は「20%くらいにするのは当たり前」
公言してはばかりません。
https://www.sankei.com/economy/news/181119/ecn1811190025-n1.html

ですから、我が国は今後、
過去20年間の成長率すら確保できないことも、
十分考えられます。

しかも、以上のシナリオでは
巨大災害の発生を想定していません。

首都直下地震や南海トラフ地震などの大災害が
日本を直撃すれば、
さらにそれ以下の経済力に下落することは
間違いありません。

しかも、今のような「緊縮」財政が続くとするなら
防災、強靭化対策が不十分となるのも決定的です。

ちなみに、
50年以内に首都直下地震と南海トラフ地震が
双方とも起こる確率は実に75%、
いずれか一方が起こっている確率は実に98%です。

地震が来ないだろう、
なんて絶対言えないですよね(苦笑)。

そしてこれらの被害を考えれば、
日本のGDPはさらに縮小することは間違いないのです。

どれくらい凋落するかは条件次第ですが、
「パキスタン以下」になることは確実。

そう考えると、
パキスタンの約「三分の二」のベトナム級
に落ちぶれる程度のことは、覚悟すべき、という次第。

あるいは、巨大地震の破壊が凄まじく、
その後の復旧復興も「緊縮」に支配されて、
スマトラ沖地震の時のタイやスリランカのように、
ほとんど何の対策もなされない最悪の事態が生ずれば、
ミャンマー程度にすらなる可能性も想定できます。

まさに、
土木学会が巨大災害の被害についての
研究結果を発表した時、
前土木学会会長が、巨大地震の連発で、

「東アジアの最貧国の一つ」
https://www.decn.co.jp/?p=100086

にまで凋落することも十分想定内だ、
と指摘した通りの未来になるわけです。

トンデモない最悪の未来ですが、
あれこれ冷静に考えれば、
以上に述べた話は何も「非現実的」なのではなく、
至って現実味のある余裕で想定できる未来の姿なのです。

ただし・・・これまで何度も論じてきたように、
経済の「趨勢」は、
政策によっていくらでも変えられます。

例えば、消費税を凍結したり減税すれば、
日本はいくらでも成長できますし、

財政規律を過剰に考慮せず、
十分な「強靭化」を図れば、
巨大災害による被害を最小化することも可能です。

その結果、将来においてもわが国が、
今のままの「先進国」であり続けることが可能なのです!

ここに、筆者が今、「国土強靭化」のみならず
「消費増税凍結」に向けた言論戦を決意した
根本的な理由があります。

ついては、筆者の主張に少しでもご関心の方は是非、拙著、

『消費増税10%が日本経済を破壊する』
http://ur0.biz/MCc2

をお読み頂きたいと思います。
同時に、別冊クライテリオンである

『消費増税を凍結せよ』
https://the-criterion.jp/backnumber/s01_201812/

にも是非、お目通し頂きたいと思います。

そして、これらの書籍、雑誌を、
周りの方にご紹介いただけると、
なお、ありがたく思います。

未来は未だ、変えられます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

追伸:
「大阪万博」が決定しましたが、
これだけで大阪・関西の復活もデフレ脱却もあり得ません。
では一体、大阪、そして日本には今何が必要なのか・・・
この問題を考えるためにも是非、
12月8日(土)の大阪でのシンポジウム
『大阪で考える保守思想――日本の再生は大阪から始まる』
https://the-criterion.jp/osaka_symposium_2018/
ご参加ください。

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【藤井聡】「消費増税と緊縮」で日本経済は最悪「ミャンマー級」に凋落するへの6件のコメント

  1. たかゆき より

    お言葉ですが、、

    未だに アメリカの属国に甘んじている

    日本より 下に見られることは

    パキスタンもヴェトナムも 心外かと、、、

    ヴェトナムは アメリカや 支那の侵略を撥ね除けてますし

    パキスタンも核を保有する 独立国

    主権を有しない日本など

    堕ちるところまで 堕ちないと 目が覚めない のでは??

    目は覚めたけど 起き上がれなかったら、、、

    そのときは ごきげんやう さやうなら ♪

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  3. 日本晴れ より

    藤井先生には申し訳ないけど
    もう安倍政権は駄目だと思います。外国人労働者の受け入れもやり
    この調子や今の流れだと増税も予定どうりやるでしょう
    もう安倍政権は亡国政権だと思います。

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  4. 医療人 より

    本当に安倍政権はダメだ。ようやくこの言葉が言えるようになってきて良かった。本当に生活がキツくて仕方がない。小泉もそうだったが、安倍も無茶苦茶。野田政権の時代の頃と、保険収入が1/4~1/5。同じ仕事してて、バカバカしい。「民主党政権を悪く言わないとダメ」とか「安倍政権を批判してはいけない」という雰囲気だったが、正直言って、民主党政権の頃の方が生活しやすかった。外国人もこんなにいなかったし。アベノミクスで良い思いしてる人なんて、周りに誰もいないし、もっとまともな政治家が現れて欲しい。

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  6. ろきのん より

    消費税の増税は消費行動に抑制的にはたらくので、景気が
    過熱してインフレの状態のときに有効な政策だと思います。
    不景気の対策として消費税を増税することは、逆効果でしょう。
    こんなこと、常識でわかると思うんですが。今の政府は常識が
    通用しないんだろうなあ。藤井先生がんばってください。

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