日本経済

2018年11月24日

【平松 禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第五十一話 

from 平松 禎史@アニメーター/演出家

○アバンタイトル

10%増税でも未曾有の人災が起こり得るのに、もうこんな話が出ています。消費税率、20%上限に 自民党税調の野田最高顧問
http://news.livedoor.com/article/detail/15618541/
《中長期的な消費税率の水準について「20%は超えない方が良い。今のままなら3割(30%)だという話もあるが、いくら何でもどうかと思う」と述べ、国民生活への影響を考慮した上で一段の引き上げは避けられないとの考えを示した。》20%は超えないほうが良い言い換えれば

20%までは上げる。
ということですね。

しかも、30%はいくら何でも、と言ってますが、そういう声があるってことは

20%以上30%未満の範囲なら、上がる可能性があるわけです。

いくら何でもヒドすぎますね。

………第五十一話:「来年の消費税増税を止める意味」………

来年の消費増税を止めないと、15%…20%…25%と上がっていく可能性がある。

こうした動きは安倍政権のうちに潰す必要があります。

穏やかに言えば、転換させる。

ポクは常々、安倍政権打倒を目的にしない、と書いています。

その理由は、スキャンダルや閣僚の任命責任など政策の結果から遠い理由で安倍政権を倒しても、緊縮財政および緊縮とセットの改革・規制緩和・グローバル化の方針は改められないまま次の内閣に引き継がれてしまうからです。
結果責任に直面することなく、です。

「誰が」ではなく、「中身で」考えれば、失敗し続けている政策方針を転換させ、「政府方針」を変えさせて次に進ませる必要が、絶対に必要なのです。

来年の統一地方選挙。そして参院選、または、ささやかれている衆参同日選挙の前に、消費税増税の凍結・減税と財政拡大の必要性を国民がはっきり認識し意思表示しなくてはいけません。

消費増税(と緊縮財政)を改めねば、自民党に入れない! と選挙の前に意思表示するのです。

ツイッターをやっている自民党政治家に「消費増税をするなら自民党には投票しない!」と繰り返しリプライしましょう。

野党には「消費増税を潰してくれるなら御党に投票しますよー」と。
選挙前に意思を伝えるのがキモです。

万の理屈より、一票の可能性です。

選挙前に伝えなければ政治家は動かせない。

+ + +

なぜそこまでする必要があるのか?

10%以上を明言しているのは野田最高顧問だけではないからです。

自民党総裁選の時、石破茂議員が消費増税にどんな認識を示したか覚えていますか?

石破氏「政治手法も争点」 消費税10%の先、国民会議で議論(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34958850U8A900C1000000/
《安倍政権が消費税率10%への引き上げを2回延期したことに触れて「先送りしたことで10%後のことを語っていないのはよくない」と述べた。「何%と断言できないが、医療、年金、介護を改革することで(引き上げ幅を)どの程度に抑えられるか示さなければならない」と強調した。》

10%増税後に、「どの程度に抑えられるか」と言ってますよね。
つまり、10%以上を考えている。
他のインタビューでは、15%に明言してた記憶もあります。

冒頭引用した、野田最高顧問と異口同音だ。

しかも、医療介護の改革とは、さらなる緊縮改革に違いありません。

現在、石破氏はポスト安倍の最有力候補です。
ほか、岸田氏にしろ進次郎氏にしろ、表面上は違いを主張しますが、消費増税と緊縮路線、グローバル化など政策方針は安倍政権と同じです。

自民党の主流派議員は皆、(財務省のレクチャーを信じて疑わない)消費増税&緊縮派で固められているそう。

となれば、理屈でなく
増税と緊縮じゃ選挙で勝てない…!
と痛感させる必要があります。
でなければ、安倍政権を倒しても、安倍政権の劣化コピーが次々引き継ぐだけなのです。

選挙の前から
「消費増税の凍結・減税」
を繰り返し主張し続ける必要があります。

+ + +

最新のニュースでは
キャッシュレス決済で5%のポイント還元案が伝えられました。
https://this.kiji.is/438226992552756321?c=39546741839462401

支払代金の5%を還元ですから、実質減税です。
0〜2歳の子育て世代への「プレミアム商品券」もひねり出している。

キャッシュレス決済は、外食や高額商品で用いる人が多いことを考えると、一定の減税効果はあると思います。通販も対象なら富裕層に限らないでしょう。

安藤裕議員と「勉強会」の提言が効いている。
藤井先生、三橋先生など当メルマガ執筆陣の先生方の提言が届いていると考えて良さそうです。

ところが、朝日新聞の世論調査では「反対」が上回るとのこと。
https://digital.asahi.com/articles/ASLCM4HPQLCMUZPS002.html?rm=358
《政府が検討しているポイント還元案について尋ねたところ、「反対」は52%で、「賛成」の34%を上回った。》

東京新聞は、高額商品を買える富裕層ほど恩恵があるから不公平だ、と書いていた。
他には「バラマキだ」と聞き飽きた財政拡大批判もある。

「プレミアム商品券」は子育て世代は歓迎し、高齢世代が反対する、という具合に世代間で対立が生まれている。

付け焼き刃の方法では、格差が拡大し、国民の分断をさらに広げることになる。
新聞は、ルサンチマンを煽り立てるなら、そもそも不公平な消費増税そのものに大反対してもらいたいものです。

オリンピックまでの時限措置ってことは、前回増税時より期待が薄い「駆け込み消費」を、増税後のオリンピック時期にズラして、景気の落ち込みを防ぎたいってことでしょう。
でも、オリンピック後の落ち込みは更に激しくなり、

貧困化は更に悪化していることでしょう。

…その頃には安倍首相は任期満了、矢面に立たないから平気、てことでしょうか?

いずれにしても
短期的な景気悪化対策しかなく
長期的な景気回復政策がひとつも存在しない。

これが安倍政権の実態です。

○エンディング

当メルマガや、「安藤提言」、表現者クライテリオンの意見を広げていきましょう。
お読みになっている皆さんの力で、消費増税を阻止しなければいけません。

ポイント還元率の引き上げは、政府与党に景気が良くならない状態で10%増税を断行する不安、が増大しているせいと考えられます。

もっともっと「消費増税を凍結せよ!」を、多数派に育てましょう。

○コマーシャル

『さよならの朝に約束の花をかざろう』
DVD・Blue-ray、10月26日より発売中。

『ICE ADOLESCENCE ユーリ!!! ON ICE劇場版』
YouTube動画です→ https://youtu.be/-wjrCriMOO8
2019年公開予定!

『平松禎史 アニメーション画集』発売中。
『エヴァンゲリオン』シリーズや『彼氏彼女の事情』などカラーイラストを多数収載。
http://amzn.asia/hetpEPD

画集第二弾『平松禎史 Sketch Book』発売中。
キャラクターデザインのラフや楽描き、国民の祝日の絵「ハタビちゃん」シリーズなど収載。
http://amzn.asia/hUQoCkv

ボクのブログです。
http://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/

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【平松 禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第五十一話 への6件のコメント

  1. monotone より

    先日衆議院議員会館で税制改正要望フォーラムという会合があり、参加してきました。国会議員にアプローチするための税理士の政治団体が税制改正について国会議員を呼んで考えを聞くものです。

    この時は石原伸晃が最初にちょろっと話をしたあと、自民党の若手二人、公明党一人、野党一人の計四人からパネルディスカッション形式でそれぞれの意見を聴く形で行われました。話題は消費税の増税反対と軽減税率導入反対が主な要望であり論点でしたが、安倍総理の増税宣言の後でしたので何とも煮え切らないイライラさせられるものでした。

    ただ、この中で公明党の議員が「そもそも論として増税の必要性があるのか?という議論も実はある」としたうえで、公会計基準を持ち出し、「プライマリーバランス」「国の借金」「財政破綻」なんて財務省のウソであり幻想に過ぎない、我々国会議員としてももっと勉強しないと役人の言いなりになってしまう、といった、大変切り込んだ話をしていました。

    あとからちょっとだけ腰が引けたのか『という話もある』という締め括りをしましたが、公会計基準の話を的確に用いて論を進められるということは、完全に仕組みを理解しているんだろうと思います。
    あの場所で公会計基準の話を聞けるとは思いませんでしたし、しかも自分があれだけ毛嫌いしていたはずの公明党の議員から『三橋理論』そのまんまを聞くとは思いもよらず、率直に言って感激しました(入信はしませんが)。

    三橋さんにはこれからも国会議員へのレクチャーを地道に行っていただいて、一人でも多く財務省のウソを見抜ける人材を育てていって欲しいと思います。私は税政連というというところに加入しましたので、もっと泥臭い形でアプローチしていくことになりそうですが、目指すところは同じなのかなと思っています。頑張りましょう!

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  2. あまき より

    スキャンダルをネタに政権打倒を叫ばない。本当にその通り。
    石破氏もひどいが、やはり安倍さんはすごいですよ。
    先日、岸田政調会長が記者会見で、総裁の説明を披露。

    「消費税率引き上げはデフレ脱却への一つの試練」

    さすがの石破氏にもこの認識はないでしょう。

    石破氏の方がマシですよ。保守が名指しで猛批判するから。
    いままで安倍さんを名指しで批判した保守がいましたか。
    ごらんなさい、あの商売連中を。み~んなダ~ンマリ。

    キャッシュレス決済で5%ポイント還元の案。
    この大不公平はすでにJRが「えきねっとトクだ値」で実施中。
    クレカがないと、スマホPCが使えないと割引に預かれない。
    現有システムを見れば、現金不可の理由も何となく想像がつく。
    だが等しく恩恵に預かって戴くという鉄道の伝統からは乖離。
    使えないと知って怒る高齢客が増えているとか。当然。

    安倍さんも経産官僚の合理的説明に易々と乗っちゃダメですよ。

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  3. 赤城 より

    >でなければ、安倍政権を倒しても、安倍政権の劣化コピーが次々引き継ぐだけなのです。

    これには同意できません。
    なぜなら安倍政権になってからの日本社会破壊スピードと
    日本社会大改悪の数々は圧倒的だからです。
    これは小泉ネオリベ工作員親子のレベル以上の売国壊国亡国力でしょう。
    これがイシバなどに政権交代すれば運営は不安定になり
    自称保守の批判と
    アメリカ勢力とシナ朝鮮勢力からの板ばさみで大改革改悪や
    売国壊国は遅々として進まなくなるでしょう。
    だからこそ何より一刻も早く安倍の改悪を止めるべきです。

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      1. F-NAK より

        「目的」と「手段」を取り違えてはいけないものの、私も「打倒安倍政権」は意味のあるものと捉えています。

        組織運営が上手くいっていないとき、何を最初に行うか?もちろんマネージャ(組織のトップ)の交代です。

        これは単なる頭のすげ替えではなく

        ・組織のトップには責任がある、というメッセージを後任者に伝える
        ・今の組織の状態はよくない、というメッセージを組織のメンバーに伝える

        という役割があります。
        もしトップを変えない場合、逆のメッセージになってしまいます。
        (責任の所在が曖昧になり、行動も喚起しない)

        あくまで、政治の方向を修正するための手段としてですが、「打倒安倍政権」は無意味ではありません。

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  4. 利根川 より

     TV番組7DAYS REPORTSで見かけたのですが、

    >>財務省主税局税制第二課・加藤博之課長補佐が来年の消費増税に伴い導入される軽減税率についてメディア向け説明会を行った。
    コンビニなどで食料品を買った場合、持ち帰りは8%、店内で飲食する場合は10%。
    この点について質問すると不機嫌な態度で説明。>>

    本当に機嫌が悪そうでしたね。
     まあ、分かります。財務省としては軽減税率など導入せずに10%へ増税したかったのでしょう。
     しかし、与党内でも「安藤提言」にあるように、消費税増税自体に反対する意見がありますし、連立を組んでいる公明党からも10%にあげるならせめて大幅な軽減税率をと言われて、渋々導入したのでしょうしね。
     そもそも、消費税は何のために増税するのでしょうか。
     

    <消費税増税は税収を上げるためのものではない>

    安藤提言を見ていただけばわかるように、消費税増税をするとかえって税収の増加率が下がってしまう。
    当たり前の話、増税で消費が減れば収入も減ります。収入が減れば税収だって減ります。

    <消費税増税は社会保障を賄うためのものではない>

    山本太郎議員の質疑、あるいは安倍総理自らがおっしゃっていますが、

    「費税8%へ増税した場合、その増収分は100%社会保障の為に使う」

    と言っていたのに、実際には2割しか社会保障の為には使われなかった。
    当たり前の話、毎回

    「社会保障費を賄うために増税は必要なんです」

    と言って国民を納得させているのだから、次なる増税のためには「社会保障費が賄えていない状態」の方が都合がいいわけです。
    その方が、後々15%、20%へ増税する際も「社会保障の為に増税」という手口が使える。
    消費税が10%になろうと15%になろうと、社会保障の為にお金を使う気など財務省にはないのです。
    (そもそも、PB黒字化目標を廃止していないので、税収によらず支出は減らす方向)

     消費税増税の目的が税収増を狙ったものでもなければ社会保障費を賄うために行われるものでもないとするなら、いったい何のためにやるものなのでしょうね。
     ここのところ、自民党が出す酷い法案(移民受け入れ法案、IR法案、水道民営化法案、種子法廃止法案)ばかりが審議されていますが全ての元凶は緊縮増税路線にあります。

    日本政府「国民の為にお金使いたくない。徴収する額は増やしたい」

     最低限、財政出動の方向にシフトする必要がありますが、残念ながら現状ではどこの党も緊縮派が大勢を占める状況かと思います。(議員本人が、という事ではなく、支持者が十分に財政出動の必要性を理解していないと言う意味において)
     つまり、どこの党の誰が総理の座についても緊縮路線なのは一緒、と。
     財政出動の必要性を地道に広めていくしかないのでしょうね。
     それでも、最近は与野党問わず、一部の議員や言論人は針の筵に座りながらも緊縮に反対の声を上げてくれているので大変ありがたい事です。
     とりあえず、財政出動へのシフトは今すぐには難しいかもしれませんが、種子法の復活については野党に反対する人間など居ないのだからすぐにでも出来るはずです。
     自民党は保守政党だとの事で、そうであるならきっと種子法の復活は行ってくださるものと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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  5. 反孫・フォード より

    >野田最高顧問

     老害も今だ健在なんですね。最高顧問だなんて知りませんでした。さぞ経済破綻の足音が今だ聴こえる蝙蝠の如き超音波(人頭)徴税器なBionics耳なんでしょうね。
     考えてみると真っ当な税制を考えることが出来ない政治家が存在する中ではデフレが解消されたとしても、再びバブル発生のほったらかしにコロンでいくでしょうからどうコロンでもなんとなく繰り返しの未来しか想定出来ません。
    やっぱり世界的に洞話が解消されない限りこういう人達は滅びないのでしょうね。こういう老害者だけをあの相模原事件の犯人は危害を加えるべきなのに・・・・犯人も進次ケート政治家も導師ようもないコンクリート頭ですね。そんな奴らこそコンクリートから人へ・・・であるべきです。政治家にも犯人にも憎しみが湧いてくるだけでした。それでこそ猿から進化した人間ではあるのでしょうか。だとしたらもうどうにもこうにもコンコンチキですね。
     またもや超スーパーウルトラ支離滅裂な文章しか書けないCommentでした。失礼しました。

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