日本経済

2018年7月3日

【三橋貴明】高度プロフェッショナル制度の真実(後編)

From 三橋貴明@ブログ

【Front Japan 桜】
「高度プロフェッショナル制度」の真実(他)
[桜H30/6/29]
https://youtu.be/jDTVs9WCTNc
http://www.nicovideo.jp/watch/1530250446

さて、デフレ化でヒト余りが続き、
経営者(特にサービス業)は
生産性向上のための努力をせず、
ヒトを「安く買い集める」形で
事業を成り立たせてきました。

製造業にしても、
2016年度の資本装備率は、
96年比で1.01倍なのです。

デフレーションは、
経済を資本集約型から、
労働集約型に変えていくのが
よく理解できます。

『「高プロ」制度は誰のため?
働き方改革法案に残る懸念
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3408329.html

働く全ての人たちにとって
大きな影響がある法案が、
29日にも成立しようとしています。

政府・与党が、今の国会の
最重要法案と位置づける
「働き方改革関連法案」が、
28日夜、参議院の委員会で
可決されました。

過労死が増えるのではとの
懸念は解消されたのでしょうか。

午後7時半、参議院・厚生労働委員会。

「働き方改革関連法案」が、
与党などの賛成多数で
可決されました。

法案には、同一労働・同一賃金の
導入などが盛り込まれる一方、
最大の焦点となったのは、
高度プロフェッショナル制度、
通称「高プロ」。

年収1075万円以上の
アナリストやコンサルタントなどの
一部専門職について、
労働時間の規制の対象
から外すものです。

「高プロ」が適用された場合、
年間104日の休日取得は
義務付けられますが、
残業代や深夜手当、休日手当は
一切支払われなくなります。

理論上は、48日間休みなく
働き続けることも可能になり、
野党側は「過労死を招く恐れがある」
などと強く反対しています。(後略)』

高プロについて、

「過労死を招く恐れがある」

「年収1075万円超なら
会社に対する交渉力があるなど
決めつけるのはおかしい」

など、様々な批判がありますが、
わたくしは高プロ制度の
「根本思想」である、

「労働基準法による呪縛から、
経営者を解放する」

第一歩であることことが、
最大かつ最悪の問題だと考えます。

日本は過去70年間続けてきた、

「政府の規制で労働者を
過重な労働から守る」

という労働者保護政策を
捨てようとしているのです。

政府は、高プロについて、

「労働者が柔軟な働き方が可能になる」

と説明していますが、
現実には経営者が労働基準法という
規制から解放されるのです。

解放されるのは経営者であり、
労働者ではありません。

ちなみに、桜の番組でも
解説していますが、

「年収1075万円以上の専門職」

が対象ではありますが、
当然ながら対象範囲は
次第に拡大していきます。

何しろ、派遣労働がそうでした。

派遣社員に関する規制緩和は、
中曽根政権期(1985年)に、
専門13業種のみを対象に、
派遣期間は原則1年、最大3年と、
極めて狭い対象範囲で
進められました。

その後、次第に対象範囲が拡大し、
小泉政権期(2003年)に
製造業の派遣が解禁。

派遣労働が一気に
広まることになったのです。

派遣労働が製造業に広まるまで、
二十年弱。

高プロも、二十年後には相当に
対象範囲が広がっていることでしょう。
(もはや「高」プロとは
呼ばれていないでしょうが)

また、労働者の労働時間を
法律(労働基準法)で縛ることは、
人的リソースの制限を強化する
という効果がありました。

つまりは、「人手不足」の
方向に進むのです。

だからこそ、高度成長期以降の
日本の経営者は、
設備投資や技術投資で
資本装備率を高め、
生産性向上に努めることで
日本の経済成長が実現しました。

現在の日本は、
少子高齢化に端を発する
生産年齢人口比率の低下により、
否応なしに人手不足が
深刻化していきます。

その状況で、高プロにより
労働規制を緩和し、
労働時間に関する縛りをなくす。

本来、人手不足は資本装備率を高め、
生産性向上により達成するべきです。

それが、

「労働者に無理をさせても、
労働基準法は適用されない」

となると、今後の日本の労働環境が
いかなるものになるのか、
背筋が寒い思いを覚えます。

日本は

「経営者に優しい、労働者に冷たい」

労働政策を転換し、
経営者や労働者が共に努力し、
生産性向上で経済成長する
方向に舵を切りなおさなければ
なりません。

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