From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
凋落する科学技術力を食い止める
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続 骨太の方針2018
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ブログでも書きましたが、実は三橋は
「緊縮路線」における最大の問題は、
社会保障支出削減でも、
公共投資の半減でもなく、
科学技術予算の抑制だと考えています。
以前、【投資のマトリクス】
についてご紹介しました。
【投資のマトリクス】
生産性向上のためには、投資が必要です。
四つの投資のうち、技術投資は
最も長期の蓄積が必要で、
かつリスクも高いのですが、
同時に技術は「全ての基盤」
でもあるのです。
何しろ、技術がなければ
設備投資も公共投資もできません。
おカネは発行できますが、
道路、トンネル、橋梁、鉄道網、
空港、港湾、発電所、送電線網、
電波塔、通信ネットワーク、
ガスパイプライン、上下水道網、
建築物、工場、機械・設備、運搬車両
といった生産資産は、技術無しでは
生産不可能なのです。
全ての生産活動の基盤であり、
最重要な技術について、
政府は緊縮路線の下、
科学技術予算をも抑制。
日本の科学技術力の凋落を招きました。
2000年度を100とし、
直近の科学技術関係予算を比較すると、
中国が11倍、韓国が4.7倍、
アメリカ、ドイツ、イギリス
といった先進国ですら1.5倍強。
それに対し、我が国は1.06倍。
予算を全く増やしていません。
もっとも、科学技術関係予算の抑制は、
二十一世紀になって始まった
わけではありません。
すべての発端である、97年の
「財政構造改革法」では、
「科学技術振興費の額が、
97年度の当初予算の105%を
上回らないようにする(第二十六条)。」
と明記され、科学技術予算に
「枠」をはめてしまったのです。
しかも、伸び率の枠を設定する
ならばまだしも、「絶対額の枠」です。
財政構造改革法の精神は、
二十一世紀になっても引き継がれ、
日本は科学技術関係予算を
「増やさない」方針を貫いてきました。
結果的に、日本は科学技術大国から
凋落したわけですが、
当たり前としか
表現のしようがありません。
さすがの政府も危機感を抱いたのか、
骨太の方針2018には、
「中長期的な視点で官民共同研究
開発投資プロジェクトを
具体的かつ計画的に拡大するとともに、
国の予算について安定的に
研究開発に取り組めるよう
多年度にわたる取組を進める。
政府研究開発投資について、
本基本方針の第3章の新計画との
整合性を確保しつつ、
対GDP比1%にすることを
目指し所要の規模の予算が
確保されるよう努める」
と、珍しく「数値目標」が入りました。
ちなみに、2017年の
科学技術関係予算は
3兆4868億円だったため、
これを直近でいえば5兆4870億円
(2017年の名目GDPの1%)
にまで拡大するという目標になります。
科学技術関係予算を1.5倍にする
というわけで、珍しく
「まともな目標」といえます。
もっとも、
「第3章の新計画との整合性を確保しつつ」
という怪しい文言も
入っている点は見逃せません。
「第3章の新計画」には、問題の、
「2025年度の国・地方を
合わせたPB黒字化を目指す」
が含まれています。
つまりは、PB黒字化目標を
達成できない状況になれば、
またもは科学技術関係予算は
「抑制」されることになるのです。
政府の負債が
100%日本円建ての我が国、
しかも日銀の量的緩和で
国債が買い入れ続けられている
我が国にとって、PBなど
「どうでもいい」目標です。
どうでもいい目標を守るために、
全ての基盤である
科学技術関係予算を抑制してきた。
今後も抑制する可能性がある。
まさに、緊縮路線が日本を
亡ぼそうとしていることがわかります。
【三橋貴明】どうでもいい目標が亡国をもたらすへの1件のコメント
2018年6月18日 9:23 AM
バイオ系の大学で遺伝子工学をしておりましたが、優秀な学生はアメリカに留学(流出)しておりました。
日本では職が無いから。
米国が軍産複合体を維持せざるを得ないのも、こうした背景なのでせうね。
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