From 三橋貴明@ブログ
———————————————
【オススメ】
月刊三橋最新号
「2017年の世界と日本『政治的タブーの罠』を見破れ!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
※この号に申し込めるのは明日2/9(木)まで
———————————————
さて、2016年の実質賃金がようやく出ました(速報値ですが)。
『去年の給与総額 実質賃金で5年ぶりプラスに
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170206/k10010866141000.html
働く人1人当たりの去年の給与総額は、
月の平均で31万5000円余りとなり、
物価の変動分を反映した実質賃金でも
0.7%増え、5年ぶりにプラスになりました。
厚生労働省が全国のおよそ3万3000の
事業所を対象にした調査の速報値によりますと、
基本給やボーナス、残業代などを合わせた去年の
給与総額は、働く人1人当たりの月の平均で
31万5372円でした。これは前の年を
0.5%上回り、3年連続で増加しました。
また、物価が下落したため、物価の変動分を
反映した実質賃金では0.7%の増加となりました。
実質賃金がプラスになるのは5年ぶりです。(後略)』
実質賃金とは、物価の影響を除いた賃金です。
実質賃金が上昇するとは、稼ぐ給料でモノや
サービスをたくさん買えるようになる、という話
なので、「豊かになる」と表現することができます。
逆に、実質賃金の下落は「貧困化」です。何しろ、
稼ぐ給料で買えるモノやサービスが減っていくのです。
第二次安倍政権発足以降、日本の実質賃金は
13年、14年、15年と連続で落ちました。
ようやく、デフレから脱却し、みんなが豊かに
なる局面を取り戻し始めたのかと思えば、さにあらず。
まず、話を整理しますが、NHKの記事は現金給与
総額で見ています。わたくしは、「デフレ脱却」の
ためには、それこそフリードマンがいう恒常所得が
増えなければならないと考えているため、現金給与
総額ではなく「きまって支給する給与」で見ます。
きまって支給する給与の2016年実質賃金
(速報値)は、+0.3%でした。ただし・・・、
【図 日本の実質賃金(きまって支給する給与)の推移】
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12245412036-13863053561.html
出典:厚生労働省
※2016年12月は速報値
上図の通り、我が国の実質賃金(きまって支給する
給与)は、16年10月以降「対前年比0%」が延々と
続いています。それにも関わらず、なぜ2016年の
実質賃金(きまって支給する給与)がプラス化したのか
と言えば、16年9月まではプラス化していたためです。
9月まででの「貯金分」で、16年通年でプラス化したわけです。
しかも、まずいことに16年12月の現金給与
総額の実質値は、▲0.4%と落ち込んでいます。
日本の実質賃金は16年10月以降、
再び下落方向に圧力を受けているのです。
現金給与総額の実質賃金は、16年10月以降、
0%、0%、▲0.4%と、着実に落ち込んでいっています。
それ以前の話として、NHKの記事のもある、
「物価が下落したため、物価の変動分を反映した
実質賃金では0.7%の増加となりました」
では意味がないのですよ、意味が!
デフレ脱却とは、
「物価が安定的に上昇するが、それ以上に
名目賃金が上がり、実質賃金が上昇する」
状況のことなのです。今の日本は、
「物価が下落し、名目賃金が上がり、実質賃金が上昇する」
という、野田政権期の「停滞」と全く同じ状況に
なってしまっているのです。先日の「2016年
インフレ率 」からも分かる通り、2016年の
日本はデフレ化の方向に進みました。
2016年通年の名目賃金は、現金給与総額が
+0.5、きまって支給する給与が+0.2。
ここにインフレ率の「マイナス分」が乗っかり、
それぞれ+0.7、+0.3と、実質賃金を
押し上げてしまったのです。
整理すると、日本の2016年の実質賃金は、
● 夏頃の実質賃金の上昇の貯金により、
通年の実質賃金がプラス化したが、
直近ではゼロもしくはマイナス
● 通年の実質賃金は、インフレ率の
マイナスにより押し上げられた
と、デフレ脱却からは程遠い状況にあることが分かります。
それにしても、有効求人倍率がバブル期並である
にも関わらず、実質賃金が相変わらず低迷する。
理由はもちろん、人口構造の変化(少子高齢化に
よる生産年齢人口比率の低下)によるものですが、
この「現実」を踏まえて政策が立案されない限り、
我が国が「物価上昇+それ以上の名目賃金の上昇」
という正しい実質賃金上昇局面に戻ることはない
のではないかと懸念しています。
ちなみに、マクロ視点で実質賃金を上昇させる
ためには、生産性向上以外に方法がありません。
そして、生産年齢人口比率の低下による人手
不足の解消法は、もちろん生産性向上です。
—発行者より—
【オススメ】
★★★★★:眞鍋千之様のレビュー
「今月号に限らず、大学時代に習いたかったことばかり…」
54年前に経済を勉強しに大学に入って、
手応えのある講義はただの一度もなかった。
ケインズの経済学を基にして研究する現実から
離れた理論上の学問でしかなかったのだ・・・。
ただの自己満足の論理的趣味の世界でしかなかったのだ・・・。
月刊三橋で経済は経世済民だと知ったのだ。
そりゃそうだろう、経済学のための経済で
あるはずがないのだ。学生時代に聞きたかったが、
まだ生きている中に知ったのだから幸せ者だ。
世の中、世界の見方が完全に変わった。
月刊三橋最新号
「2017年の世界と日本『政治的タブーの罠』を見破れ!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
※この号に申し込めるのは明日2/9(木)まで
【三橋貴明】2016年 実質賃金への1件のコメント
2017年2月8日 4:04 PM
まあ、平成バブル崩壊で酷い目に合った土地持ち、家持、借金持ちのぼんぼん子息の私からすれば上がった資産価格を羨むよりも、ひたすら自分の賃金を上げる建設的な努力が賢明で、多数はそのような建設的ではなく、人の足を引っ張る事の方が大事なのは平成バブル崩壊とその前後の全ての所業から明らかでしょうな。その結果、例え自分らが家を買ってもデフレで資産価格が下がっていくと言う、人を呪わば穴二つなんですし、雇用制度なんかも全てそうでしょう。まあ、結果から自分らのやってる事が自分らを不幸に貶めているのですけど、その結果を受け入れられないで今後もやり続ければ自然災害や戦争など有事の時に平時からのその不手際が露出して死んでとまるでしょうな。いくらちゃぶ台返しをしてもやるべき事をやってる人は自然に浮かび上がりますって水槽の中の軽石みたいにね。それを水槽の底からみて、軽石コノヤローとブチ切れていてもはじまらんでしょうにねえ。まあ、馬の耳に念仏でも三橋さんや藤井先生は頑張るべきです、駄目な物を相手に必死やると金もスキルも身につきますからな。死が待っていても走れメロスであります。ああ、ちゃぶ台返しとお盆返しを間違った。カンタダではなくカンダタだ。すいません。蜘蛛の糸の話も100年前の創作で原話は私はもっと古い物と勘違いしておりましたな。それでもあの話は痛い程、真理をついています。芥川さんはほんと凄い作家だなあ。蜘蛛の糸って公の最低限のルールを象徴してますよね。私はそう思います。まあ、他者の答えを信じちゃいけませんと言う事でwああ〜ギリシャのイカロスの唄が聞こえて来た。世は本当に無常でありますなあ。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です