日本経済

2017年2月4日

【三橋貴明】プライマリーバランス目標の破棄を!

From 三橋貴明@ブログ

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 シムズ教授が日本のプライマリーバランス
(基礎的財政収支)目標の年限撤廃を提言しました。

『日本に必要なのは財政拡大、
基礎的収支の目標年限撤廃を=シムズ教授
http://jp.reuters.com/article/japan-economy-profsims-idJPKBN15G3KM

 ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学の
クリストファー・シムズ教授は1日、日本経済研究
センターで講演し、プラスの物価上昇を実現するには
現在の財政赤字を拡大することが役立つとの「物価
水準の財政理論」を前提に、将来不安により支出が
萎縮している日本で必要なのは継続的な財政拡大と
インフレ実現への政治的コミットだと指摘した。

基礎的財政収支(プライマリーバランス:PB)
黒字化に固執するとデフレから脱却できないとした。

――関連インタビュー:
消費増税、物価目標達成後が望ましい=シムズ教授

 現在安倍政権は、PB黒字化を2020年度に
達成するという期限を決めているが、同教授は
それは誤りだとみている。(後略)』

 基礎的財政収支とは、本来は「財政健全化」の
一手法に過ぎません。ここでいう「財政健全化」とは、
政府の負債対GDP比率が下がることであって、
政府の負債の削減ではありません。

 政府の負債対GDP比率の決定要因は、以下の三つになります。

(1) 名目GDP成長率
(2) 国債金利
(3) 基礎的財政収支(以下、PB)

 PBは、国債費を除く歳出と、税収(及び税外収入)の
収支です。つまりは、政府の支出をどれだけ税収で賄えて
いるのかを意味する指標になります。

 PBが赤字化しているとは、分かりやすく書くと
「政府の負債が増えている」という話になります。
 とはいえ、上記を見ればわかりますが、PBが
赤字化したとしても、政府の負債対GDP比率が
上がるとは限りません。名目GDPの成長率が
十分であり、国債金利が低ければ、PBが赤字で
あろうとも政府の負債対GDP比率は下がります。

 すなわち、財政が健全化するのです。
 逆に、PB目標にこだわると、「政府の税収を
無理やり増やす。政府の支出を無理やり削る」
というスタイルになってしまいます。すなわち、
14年4月の消費税増税以降、安倍政権が
採用してきた緊縮財政路線です。

 デフレの国が緊縮財政を推進すると、当たり前
ですがデフレ深刻化です。名目GDPが伸びなくなり、
つまりは国民が貧困化していきます。

 ちなみに、ギリシャはユーロ危機の後、
「狂気」と表現したくなる緊縮財政を実施し、
15年にはPBが黒字化しました。同時に、
名目GDPが08年比で30%近くも
縮小してしまったのです。

 日本でPBを「言い出した」のは、竹中平蔵経済
財政担当大臣(2001年当時)です。竹中氏が
PB目標を「骨太方針2001」に導入し、

「平成14 年度において、財政健全化の第一歩として、
国債発行を30 兆円以下に抑制することを目標とする。
その後、プライマリーバランスを黒字に
することを目標として政策運営を行う。」

 との表現で、PB黒字化目標が掲げられました。
 竹中氏は、なぜPB黒字化目標などという、デフレ
深刻化間違いなしの目標を言い出したのでしょうか。
日本のデフレを長期化させるため、以外の理由を思いつけません。

 のちに、2010年に菅直人政権が2020年
までのPB黒字化目標を閣議決定。安倍政権は、
菅政権のPB目標をそのまま引き継ぎ、各種の
緊縮財政が実施され、物価がマイナスに
逆戻りしてしまったのです。

 日本のデフレという闇を吹き払うためにも、
PB目標の「破棄」が必要です。「年限撤廃」
では不十分で、「破棄」が必要です。

 そもそも、PBが「財政健全化」の一決定要因に
過ぎないという事実を理解すれば、PB目標がいかに
ナンセンスであるか、同時に日本のデフレ脱却の
重しになっているかが、誰でも理解できるはずです。

—発行者より—

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2016年は激動とも言える一年だった。

イギリスのEU離脱(ブレグジット)、
アメリカ大統領選挙のトランプ氏の勝利、
さらにはフランスやドイツでテロが多発した。

これから世界はどうなっていくのか。
その中で、日本はどう動くべきなのか。

三橋貴明が思考停止の世界と日本を目覚めさせる。

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【三橋貴明】プライマリーバランス目標の破棄を!への4件のコメント

  1. 學天則 より

    竹中先生?はなぜPBを設定できたか?それは皆さんの小泉内閣への絶賛的なご支持の賜物でありましょう。任せて(*_з`)ぶ〜たれるw近代憲法秩序はそういう制度ではない、憲法は運用が大事。天下りは文科省だけが悪い?腐ってるけど一応、大学なんですよw公序良俗に反する事を智の中枢として正義と文明の先頭に立つ事を期待されて強力な自治を許されている大学が組織的にやっているwそれこそ、まさに長い物にまかれろという皆さんの姿じゃないですかwケラケラwデモクラシー\(^o^)/ばんじゃいwこの辺、大学の教授たる藤井先生はどう考えられるのか?深刻な話ですよね。京大にさなぎマンが出ると言う都市伝説よりも。この様な世に洞窟の影たる答えだけで本質たる真実を知る事は出来なく、本質に対する人の無知という本質を知るまともな人がいれば無知を知らない人々の為に出来る事は仏典を読み、経を唱え、聖書を読み、十字架に祈り、コーランを読み、アッラーにひれ伏すしかないでしょうねえ。どうしろちゅうんですかあ?りんごという洞窟の影=答えだけ見ても、そのりんごの真実はわからんのです。ふりかえらなきゃ、洞窟からでて広い世界から考えなきゃ!なにがまともだ!こらあ!まともだと言う奴がまともじゃないんじゃあ!まともとは何か?お前は知らないだろう〜!この、うそつきめがwそんな、お前の!どこがまともじゃあ!まともとは死んでどうせ駄目だけど、一生懸命生きる人解らないし理解しえないだろうけど対話し追求する矛盾した存在だと言う事。人に答えなど有る訳がない。我々は矛盾が全くない合理的な神ではなく、不完全で無知で矛盾に満ちた不合理な人間だもの  み〇お

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  2. robin より

    個人的には「地球温暖化」という言葉は営利目的のスローガンであった、と思うけどプライマリーバランス、単年度基礎的財政収支というのも世界が一つの価値観、経済効率や経済合理性の基に一つになろう、という建前を金科玉条の如く必死に守ろうとしている日本政府、のように見える、日本語話者は模倣能力、作り変える能力は高いけど0から創造するのは避ける、特に米国から輸入した言葉は無条件で信仰するように見える、官僚エリートは米国から経済学を学んで劣等感を日本人に押し付ける、猿山のボスのような存在か、受験勉強だけに特化したエリートは日本文化常識誇りというものは無い上に論理厳密性というものに芸術性とか神性を見るのだろうか。消費社会では事実より幻想の方が価値を持つし、生活もその幻想の上に成り立つ、という建前だから事実は重要視されない、むしろ事実そのものに価値は無く、秘匿されて初めて価値を持つようになる、事実を秘匿、曖昧にすることで幻想が量産可能になり、皆豊で楽しい消費生活を送ることが出来る、あらゆる事実は刹那的に使い捨て出来れば良いものになる。マスコミの仕事、意思表示の手段は「宣伝」であるため手段の限定が思考を、目的を方向付ける、だろうか、ここでは全てそれらしさ、事実よりも事実らしさ、の方により強い現実感が付与される、政治家も「生存、権力」や不信等の強いバイアスを受ける、相互不信の社会において経済活動を競う上で必要なのが財政均衡、だろうか、即物的で現実的、あるいは自己中心的、容易に人を信じないで自己生存を優先する場合、金は貸さないし自分が存命中になんとしても今すぐに金は返さなければならないだろう、人を信じないのが当然の人や政治家、自己生存とお金を最優先にする人達にとっての、互いを信用する建前としての約束事、相互不信の人達が互いを信用する建前となる拠り所、だろうか。偉い人たち程人を信用しないのでこれを大事にするのだ、信用は甘えを生じ、競争を鈍化させ、経済停滞の一因となる、はずだから。建前を信じ込み、金科玉条の如く思考方向を決定付ける、事実より虚構の方が圧倒的に多く、また日常的なので、事実の方が「ノンフィクション」となる、虚構の社会、大量消費社会ではより多くの人が願望や欲望を叶えることが出来る社会だが、それは我々全員を騙すことにより始めて成り立つ社会でもある、一片の事実もあってはならないのだ、財政均衡という嘘もなんらかの秩序のために必要なのだろうが、その背景にありそうな経済合理性という唯一神の単一の価値観で世界を統一しようというのであれば恐ろしい話だと思う、人は神ではないのだし、そもそも言葉を話す時点でなんらかの偏見や排他的な前提仮説がないと無理だろう、現実(数値分析)より幻想の方に価値があるのだからデフレ病気という現実からは目を逸らし、まずどういう病気か診察させてくれ、と言ったら拒否する、それでいてどういう病気か尋ねる、予め決まった診断結果が出るまで続く、といったお芝居が続くのか。相互不信の社会なら嘘が、信用社会なら神話が必要になるのだろうか、グローバル化はもちろん嘘が必要だろう。より多くの人の幸せのために必要な嘘、という建前だが日本の場合は世界から1億人の経済圏に孤立した方がまだ幸せではないか。

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  3. 拓三 より

    最近、一部のポチ達がシムズ氏の影響からか PB黒字化に対し、ヘナチョコ理論でインフレを語り出しているが….多分…いや確実にインフレの根本を解っていないと思うのであります。インフレとは未来への投資です。なのにポチ達はカネ(数字)に価値を求めているせいかハイパーインフレを異常に怖がります。これは経済学?以前の問題です。例えば金融中心派、財政中心派、これは未来への投資が民間主導か政府主導かの違い(時と国土感の認識の違い)であって、インフレ=未来投資は同じです。しかしポチ達は予測困難な未来に投資をするより、今あるカネを価値付けしようと必死です。ポチに一言!『地球上に生きる価値なし!滅びゆく生命体!』カネと言う幻想に騙され『生命の活動』を疎かに考える生き物は地球上には存在しません。また未来を疎かに考える生き物も存在しません。当たり前です。生命は未来に向けてしか生る価値がないからです。不確実性の未来に挑むに当たって無駄も合理性もありません。民間も政府もありません。そんなものは誰も解りません!今やれる事を必死でやればいいだけです。カネは生命活動を単位化にしたに過ぎず、人間が作った一つの物差し。所詮理屈。理屈は理屈で返したらええだけ。ただしカネに価値を求める人間は『理解出来ない』より『理解しない』方が正しいやろな。

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