日本経済

2016年6月21日

【藤井聡】 国民所得を80万円増やす経済政策

FROM 藤井聡@京都大学大学院教授、内閣官房参与

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【ステップ1:名目GDP600兆円実現は、国民所得80万円増】
政府は今、2020年頃に「名目GDP600兆円」の実現を目指しています。

GDPというのは、国民全体の所得の合計値、であり、今日のGDPは約500兆ですから、これは国民所得が「1.2倍」になるということ。

そして、今日の平均年収は400万円強ですから、
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2013/pdf/001.pdf
これが1.2倍になるということは、「年収が80万円増える」ということ。

ですから、600兆円経済を目指すということは、国民の所得が80万円増える、ということを意味しているのです!

【ステップ2:『年収』が80万円増えるためには?】
ただし──「経済政策の展開」を誤れば、「名目GDP600兆円」が実現できていたとしても、(仮にそれによっていわゆる「一人当たりGDP」や「一人当たりの国民総所得」なる数字が80万円程度増えていたとしても)「国民の所得は全然増えない」、という事態は余裕で生じます。

なぜなら、500兆円から600兆円への「100兆円の経済の拡大」が、家計(世帯)、企業、政府の三者に等しく分配されず、例えば企業だけに集中して分配され、家計には何ら分配されなければ、600兆円経済が仮に実現したとしても、国民の年収は何ら増えません。

仮に家計に分配されるのだとしても、例えば「富裕層」のみに株主配当や利子等の金融所得の形で分配されてしまえば、やはり大半の日本国民の所得は増えません(ほとんどの国民は労働賃金で大半の所得を得ています)。

要するに、GDPがどれだけデカくなっても、企業や大金持ちだけが豊かになっているだけでは、結局は国民生活など改善しない、という次第です。

だから国民のホントの「実感」が伴う形で80万円の国民所得を増やすためには、一般世帯や中小企業も含めたあらゆる主体の経済活動が「せーの!」で1.2倍に拡大していく──という「絵姿」を描く必要があります。

【ステップ3:デフレ完全脱却が、「所得80万増」のために一番大事】
じゃぁそんな「絵姿」を描くにはどうすればよいのかと言えば──

  ・(中小企業も含めたあらゆる)企業収益が増えて、
  ・それを通して普通の世帯(家計)の所得が増え、
  ・それらを通して「消費」と「投資」が増え、
  ・さらにそれらを通してさらにまた企業収益が増え──

という「循環」を拡大させていく形で、600兆円経済を実現することが肝要です。

そしてそんな「循環の拡大」を果たすために、一体何が最も強く求められているのかと言えば──「デフレを完全に脱却すること」を置いて他にありません。

なぜなら「デフレ」とは先に示した「循環」が、次に示すような「負のスパイラル」で展開していく経済現象を言うからです。

  ・(中小企業も含めたあらゆる)企業収益が「減って」、
  ・それを通して普通の世帯(家計)の所得が「減り」、
  ・それらを通して「消費」と「投資」が「減り」、
  ・さらにそれらを通してさらにまた企業収益が「減り」──

だから、この「負のスパイラル」(デフレスパイラル)を「終わらせる」ことが、国民所得を上げる上で何よりも求められているのです。

【ステップ4:デフレ完全脱却のためには、財政政策が、絶対必要!】
では、「デフレ完全脱却」のために何が必要かといえば、その経済対策は結局は、「デフレギャップを完全に解消させる、短期集中的な財政政策」抜きには考えられません。

なんと言っても20年にわたって「構造改革」をどれだけ展開してもデフレギャップは埋まらなかったのだし、「異次元の金融政策」をもう既に3年間継続しているにも関わらず、やはりデフレギャップは埋まらず、デフレが未だ継続しているのが現状だからです。

完全にデフレを終わらせるには、国内最強の経済主体である「政府の力」がどうしても必要だ、という次第です。

【ステップ5:財政政策やるなら『かしこく』(ワイズスペンディング)すべし!】
じゃぁ、財政政策の中身は何でもいいのか言えば──決してそうではありません。カネを使うなら、「かしこく」使うこと(=ワイズスペンディング)が必要。

何よりも最悪なのは「デフレギャップが埋まらないカネの使い方」。

例えば、国民の給料が全然上がらないような財政政策ならそれは「愚の骨頂」。「供給力」が直ぐに拡大してしまうような財政政策も、得策ではありません。

一方で、国民の所得が効果的にあがり、消費や投資が効果的に拡大し、しかも、供給力が「長期的」に増えていく「財政政策」こそが「ワイズスペンディング」なのです(そしてそれに加えて、賃金を下げたり非正規労働者ばかりを増やすような「改革」は差し控えるとともに、それとは逆に賃金を上げたり安定的な正規労働者を増やすような構造政策も求められています)。
・・・・

以上が、「国民所得を80万円上げる経済政策」のあらましです。

が、それぞれの取り組みの詳細を一つ一つ詰めていかなければ、本当に「わたしたちの所得」が80万円も上がっていく、という未来を手に入れること等できません。

そして筆者はこの度、そんな「経済政策」の具体的な中身を一人でも多くの国民の皆様に理解してもらうことを企図し、それを開設する書籍をこの度、出版することになりました。

題して、

「国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案」

https://goo.gl/xkQukg
筆者は、豊かな国民生活を実現するために、ここで提案する経済政策が一つ一つ実現していくことを心から願っています。

ついては、本書出版に先立ち、本書で提案している「5提案」を、官邸にて安倍総理に直接何度かご説明申し上げたところ、最後に総理から本書を推薦するメッセージをいただきました。

本書「帯」には、そのメッセージを、以下のような形で掲載させていただきました。

 「日本経済再生に必要な、具体的かつ実践的な提案だ──内閣総理大臣 安倍晋三」

ただし───本書提案が、将来において実現されるのかどうかは、現時点では確定的に申し上げることはできません。とはいえ本書の考え方が多くの国民に広く共有され、国民的支持を得ることとなれば、総理から推薦をいただいていることも踏まえれば、その実現可能性はグンと高まることは間違いありません。

80万円の国民所得を一人一人が得られるような未来を実現するためにも──是非とも一人でも多くの国民に、本書を手に取っていただきたいと、心から祈念しています。

何卒、よろしくお願い申し上げます。

PS 「国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案」

アマゾン
https://goo.gl/xkQukg

晶文社
http://www.shobunsha.co.jp/?p=3905

ーーー発行者よりーーー

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【藤井聡】 国民所得を80万円増やす経済政策への7件のコメント

  1. ひかり より

    リップサービスですね。2012年の衆議院選挙では200兆円の国土強靭化を語って当選して、全てを判こにした。それ以後の行動を見ても信用できない。今こういったから大丈夫ではなく、その人のやってきたことを見て判断する必要があります。安倍晋三総理の今回の行動は、参議院選挙の票取りのリップサービスと100%判断できます。藤井教授は総理の感想を載せるべきではなかった。また、総理も、本も見ずに捨てているでしょう。それが現実です。自民党の票取りに加担する以上、藤井氏・三橋氏は責任を取る必要があります。

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  2. はっちゃん より

    安倍総理が藤井教授の本に顔写真入りで推薦文を書いてくれるなんて、いつの間にこんなすごいことに・・・。推薦文を書かれたのはその気になったらやれてしまう総理大臣ですからあらためてすごいと思います。。しかも中身が「日本経済再生に必要な、具体的かつ実践的な提案だ」って、完全に肯定しておられますね。今私にできることはまずこの本の読者の一人になることと、たくさんの人にその考えが共有されるように願うことだと思います。80万円か・・・。自分の所得が80万円増えたら嬉しいですけど、同時に日本経済が正常に成長して明るい世の中になってくれたらもっと嬉しいです。

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  3. 日本晴れ より

    藤井先生の本に安倍総理がメッセージを寄せてるのは凄い期待したいんですが実際やってる事はそうじゃないのが不安です。どこまで安倍総理は本心なのかと期待と不安半々です。藤井先生の本が実際政策として反映する事期待してます。

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  4. sin より

    熱心に支持しているところ水を差すようで申し訳ありませんが、安部総理の行動実績を見る限り、帯のメッセージ程度では信用出来ません。選挙が終われば藤井氏の素晴らしい提言はどこかに消え去るだけでしょう。

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  5. あまき より

    安倍首相から念書を取ったと見るべきか。それともDaedalusの息子と同じ行く末をたどろうとしていると見るべきか。

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  6. 學天測 より

    一番の問題は私はそれを知っていて、それを判断できるという大嘘をついている愚かな人間が多すぎる事です。やはり判断には正邪の天秤たる基準が必要で、その基準は自己の人生を超越した膨大な知の蓄積によってなされる物であります。私は国家も含め組織の経営モデルの無い人間があれこれ財政や経済など、枝葉末子論を、もっともらしく語った処で、こいつは嘘つきだとすぐわかります。全体を俯瞰し見通したモデルもなく、部分を語るのは数学的にも部分集合を語ってるだけで、そこには全体の調和がありませんからね。蓄積たるコスモロジーという物が無い、リアリティのある世界観が無い。それなりの蓄積によってこの世界がどういう物でなのか理解してないで、その一部だけああだこうだと語るのは少しでも哲学の初期の頃を学んでいるなら支離滅裂で理解不能ですし、なによりもそれは美しくありません。そういうのをオタクといいます。例えば構造改革や規制緩和=自治と言う言葉にしてもです、それをやるのは、まず日々の組織運営の中で今有る実態に合わせてハード、ソフトインフラの整備といったやる事をしっかりやり、インフラを利用して組織の成長、発展が起り、イノベーションが発生、活用され、その実態に制度が合わなくなってきた処で会って、それもないのに制度の在り方をいじるなんてあり得ない話です、それより日々の活動を重視し充実させる支援する事が大事ですし、これは大阪都構想がどうだとかいっている大阪でおきている話でしょう。ネットもないのにネット社会に合わせた制度をやりますか?こういう考えは大日本帝国憲法の立憲の考え方でもなされた話です。いきなり近代的な政党政治を明治の先人はやろうとしましたか?自然状態で万人による闘争状態を治める為に政府による調整は有る訳で、政府が退いた場合、規制緩和と自治でそれを引き受ける民間がいなければ先日のバス事故の様に無政府状態の無法無秩序の闘争状態に戻るだけです。こういうことは全体の経営モデルを自分なりに学術から学び実務を経験しないと解らない事が多い話で、受け売りをコピペしてるだけで、そのコピペを理解できないレベルで権威主義でぺらぺら相手を心底馬鹿にしてピーチク、パーチクいう知ったかの軽薄な道徳たる美学の無い恥知らずの嘘つきが多すぎるんですよ。ともかく、今、私ができるのは全体を見ている長老政治家に向けて、ここでいう全体を俯瞰した提言をきちんと、まとめて骨子とその論理展開を書く事であり、それを、今また暇を見て、少しづつやっております。私は兵法の兵は国の大事という観点から算少ないなら、悪戯に事をしかけるべきではないとは思いますが一方で、孫武ですら、どんな知恵者にもどうにもらない事態という状況が語られていますので、そんな撤退の状況ではどうしようもない連中の為に先生が頑張る事はもはや特攻命令ですから、私はそんな、お願いはとても、できませんと言う立場でありますね。殿をやられる方は一方でとて評価される物だと考えますが、安倍総理を見ていると今後も、情報を軽んじて、算少なく、戦を仕掛け、結果、状況不利で敗走し逃げながら、戦うという、中途半端で出鱈目な事しか期待できないのではないでしょうかとは思います。戦いにおける最初の部分がこけている訳ですからね。孫武は兵法で、そんな消耗戦をやって民や兵士に負担をかける戦を仕掛け、国家を疲弊させ某国に追いやる、思いやりが無く、無能な君主のとこからは私は去ると明言しておられます。

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  7. 拓三 より

    政治家は国民の鏡。鏡を動かす事より現実つまり国民を動かす事が真実と言う事でんな。言いたい事は山ほどあるけど、それが現実やしな…..。でも、行き過ぎたらただのポピリスとやし…..。それに加え、偽りばかりの世界やし….。でも諦めたら終わりやし….。

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