日本経済

2016年3月7日

【三橋貴明】前資本主義経済

From 三橋貴明

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2016年2月4日、日本はTPPに署名した。

まだ国会での批准手続きが残ってはいるものの、これによって日本はグローバル投資家の狩場となることがほぼ決定してしまった。「月刊三橋」では、以前からTPPに潜む数多くの問題点を指摘してきたが、いまだにTPPの恐ろしさを理解していない(できない/しようとしない)人たちも多い。

伊藤元重氏をはじめ、多くの人はTPPの内容を知らずに議論している。自動車の関税が撤廃されて、日本の自動車メーカーの輸出が増えるだろうと期待する声もあったが、蓋を開けてみれば、アメリカはSUV車の関税を29年間維持するなど、日本が期待する経済効果はほとんど見込めない内容になっている。

TPPはアメリカの巨大グローバル企業に日本という市場を差し出すための条約だったことが明らかになったのだが、そのことには目を瞑り、「これでアメリカとの安全保障が強化された」などと意味不明な理解でTPP賛成を叫ぶ寝ぼけた人たちに、三橋貴明が目覚めの鉄槌を振り下ろす。

『月刊三橋』最新号
「TPP大検証〜日本を貧困化させる新たなる不平等条約なのか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
※このテーマを聞くには3/10までにお申込みください

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「前資本主義経済」
From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
日本「新」社会主義宣言(前編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12134006373.html
日本「新」社会主義宣言(中編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12134360695.html
日本「新」社会主義宣言(後編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12134711183.html

多くの日本国民が勘違いをしているように思えるわけですが、社会主義と「対」になる言葉は、資本主義ではありません。自由主義です。
「極端な社会主義国」の代表が、今は亡きソ連になります。ソ連は、あらゆる経済活動を規制でがんじがらめにし、全てを「計画」に従わせようとしました。

企業や労働者間の競争は存在せず、結果的に生産性向上のための努力が行われず、人々はモノ不足、サービス不足に苦しめられることになりました。

逆に、「極端な自由主義国」の代表が、現在の(あくまで「現在の」)アメリカになります。レーガン政権以降のアメリカでは、政府の規制を緩和、撤廃し、市場原理に従い「企業活動の自由」を拡大していきます。

国境の「高さ」は引き下げられ、資本移動も自由化された結果、アメリカからは良質な雇用を生む製造業が外国に流出。極端に所得が大きい「1%」と、それ以外の多数派の低所得者層に、アメリカ国民は「二分化」されていきました。

現在、アメリカでは所得上位1%が、所得全体の25%を獲得するに至っています。これは、大恐慌期前のアメリカ同様に「世界最悪の所得格差」の状況です。

さて、上記のソ連型と現在のアメリカ型の「どちらがいいですか?」と問われれば、

「どちらも嫌!」

としか、回答のしようがありません。少なくとも「国民が豊かになる経済」すなわち経世済民を望むならば、ソ連型と現在のアメリカ型の間のどこかの地点、すなわち、
「国民の実質賃金が上昇し、所得格差が縮小し、中間層が分厚くなり、完全雇用が実現し、過剰投資が国内に再投資され、内需拡大型で経済成長を遂げることが可能な経済」
を目指すべきなのです。

自由主義だろうが、社会主義だろうが、産業革命以降の世界では「資本」の蓄積が経済を成長させるという点では違いはありません。自由主義と社会主義の違いは、資本を「誰」が蓄積するか。あるいは管理するのか、になります。

物凄く大雑把に書くと、資本の蓄積や管理を、民間企業や投資家の「自由」に任せろというのが自由主義です。古典派経済学や新古典派経済学は、基本的に「市場に任せろ」という発想になっています。

逆に、資本蓄積や管理を「政府」に任せろというのが、社会主義です。産業革命以降の資本主義で、資本を「自由」に委ねた結果、所得格差が拡大し、社会が不安定に陥ったことを受けた「解決策」の一つとして、社会主義が生まれたわけです。
三橋に言わせれば、「どちらも極端でしょ」という話になります。各国は自国の状況に応じて、自由主義と社会主義の間の適切なバランスを探るべきなのです。

現在の日本が「自由主義」の方に過度に傾いているように感じられるため、「少し、社会主義側に位置を戻しましょ」ということで書いた一冊が、「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる」になります。
http://www.amazon.co.jp/dp/419864022X/

もっとも、日本の政治はさらにバカバカしい状況に陥っており、
「生産力はヒト(労働者)の数に依存する」
といった、産業革命前の経済、つまりは「前資本主義」の考え方に基づいた政策が推進されて言っています。すなわち、外国移民(=外国人労働者)受け入れ政策です。

資本主義の時代において、労働者不足を生産性向上のための投資ではなく、「外国人で〜」などとやっている連中は、「前資本主義経済」に住んでいるという事実を知って下さい。

ーーー発行者よりーーー

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2016年2月4日、日本はTPPに署名した。

まだ国会での批准手続きが残ってはいるものの、これによって日本はグローバル投資家の狩場となることがほぼ決定してしまった。「月刊三橋」では、以前からTPPに潜む数多くの問題点を指摘してきたが、いまだにTPPの恐ろしさを理解していない(できない/しようとしない)人たちも多い。

伊藤元重氏をはじめ、多くの人はTPPの内容を知らずに議論している。自動車の関税が撤廃されて、日本の自動車メーカーの輸出が増えるだろうと期待する声もあったが、蓋を開けてみれば、アメリカはSUV車の関税を29年間維持するなど、日本が期待する経済効果はほとんど見込めない内容になっている。

TPPはアメリカの巨大グローバル企業に日本という市場を差し出すための条約だったことが明らかになったのだが、そのことには目を瞑り、「これでアメリカとの安全保障が強化された」などと意味不明な理解でTPP賛成を叫ぶ寝ぼけた人たちに、三橋貴明が目覚めの鉄槌を振り下ろす。

『月刊三橋』最新号
「TPP大検証〜日本を貧困化させる新たなる不平等条約なのか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
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【三橋貴明】前資本主義経済への4件のコメント

  1. 學天測 より

    さすが三橋さん。切れますね。おっしゃるとおり、我々の社会秩序の究極の根本規範の憲法視点から見れば自由とは公共の責任を政府か民間のどちらで引き受けますかと言う話で明らかに市場メカニズムの事ではありません。水や空気あるいは常識など希少性のない物を評価できない市場を公共の視点から政府か民間どちらが管理するのかという話です。地方分権と規制緩和は本質的に同じ性格の物となりますね。これは人類の歴史が自然災害や侵略の脅威から常に身を守るという観点から容易に導き出される結論です。歴史は自らの都市や国を守る為に有利なように王制、貴族制、民主制と、どんどん民に任されていきます。共同体が発展するとやはりマネジメントの為に幅広い参加者が必要になりますからね。故に歴史はリベラリズムに至る訳です。自治も含め規制緩和し、民間に任せるなら、政府を代替する公共的機能が民間に必要となると言う事です。それがない状態で市場任せにするってのが平和ボケと言うか歴史を知らない昼行燈と言う感じですね。嘲笑。この辺、理解している側からすれば、ほんと嘘と欺瞞を平気で言う相手の人格を軽んじている人格破綻者のクズが平気なつらして徘徊していて嫌になります。今の自治体の都市内分権議にしても、この辺の公共の代替機能を理解できてない事が多いと思います。しかし、私って下手な学者より凄い事さらっと書くなw

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  2. はてな〜 より

    上念 司3月6日 9:42 _1980年代に「日本は最も成功した社会主義国である」というジョークがありましたが、これを真に受けて本を書いた人がいるそうです。バカの突破力ってすごいねw*****()発見器がさっそく

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  3. 夏みかん より

    ミシェル・アルベールの『資本主義対資本主義』では、21世紀の資本主義は大きく二つに分けられるとのことでしたね。アングロサクソン型のアメリカ・英国の「ネオアメリカ型資本主義」と、日本を含めたドイツ・スイスの「ライン型資本主義」。二つを比較すれば、「ライン型資本主義」が経済的に、社会的に優位である、と。しかし、今の世界では「ネオアメリカ型資本主義」が蔓延している。そして日本は愚かにも、自らの強みであった「ライン型資本主義」を破壊し、「ネオアメリカ型資本主義」に社会を創り変えている。こちら側は、その自滅的な愚行を批判しているのに、「自由主義」対「共産主義」の単純な二項対立で思考停止した人たちは、「資本主義そのものが否定されている」と勘違いするんですよね。それで「奴らは共産主義者だ!」「コミンがテルンだ!」とヒステリックに叫ぶと。一体、何十年、この状態で思考停止しているんでしょうね。「彼ら」はいつになったら絶滅してくれるのかな。ハッキリ言って、「彼ら」は左翼よりも嫌いです。

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  4. robin より

    調和する二つは完全なる一つに勝る(全体は部分の総和に勝る)という言葉を連想しますね。もしくは導体と絶縁体の組み合わせである半導体が様々な働きをするとか。極端な自由を追求すれば超格差社会になるし極端な平等を追求すれば働く意欲は失われてしまう。矛盾する両方(本能と理性)をいかに両立(相補完)させるかは社会的課題ですね。男女の片方だけ、生死の片方だけを語るだけでは人間の片面、一面しか語れないし、社会的持続力も生まれないかな。アメとムチとか褒めて伸びるタイプと叩いて伸びるタイプ、動物園では能力を発揮出来ないしサバンナだと常に飢えていなければならない。それぞれ手段、傾向、環境における裏表的関係か。政治家が褒めてもらう対象に選ぶのは「世界」だろうか?世界化(もしくは対米対中追従化、奴隷化)する程評価される「客観的評価」とか「グローバル普遍的価値観」である自由平等差別撤廃とかファッション化された権威とか求める傾向があるだろうか?討論や議論における主題、問題設定というのは難しいですね。年齢を重ねれば主観的に問題の価値も変わり時間経過により自然と問題が解決したり場所により問題の見え方が変わり文化圏により価値も違う。財務省により提出される問題とは既に財政均衡の枠組みが嵌っていてそこから外へ自由に議論することは出来ないか。でも制限が無いと対象問題の認識も出来ず方向性も定まらず行動の確信が得られないし、楽も出来無いのか。傍からみると自縄自縛にも見えるが。日本の方向性が「米国領」日本の「前提」でありその目的の達成だとしたら方向転換して欲しいですね。一神教圏と違い我々は社会に育ててもらった恩や感謝の念を向けるのは社会や先祖に対してであって神から負債を背負わされた訳ではない。不安や恐怖は畏怖や尊敬、感謝に変形(騙)した方がより健全で持続的な社会生活が可能だろうか。

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