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2019年1月11日

【上島嘉郎】西郷隆盛が語る「国の本体」

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

博多から鹿児島に向かう九州新幹線の車中で本稿を書いています。
思うところあって、南洲神社と南洲墓地を訪ねるところです。
昨年のNHK大河ドラマは「西郷どん」でした。
ご覧になった方も多いと思います。

筆者も関心を持っていましたが、
端的に「これは現代劇だなぁ。
幕末維新の青春群像に仮託しなくともよかろうに」
というのが感想です。

さて、手元に『大東亜戦争肯定論』で知られる林房雄が解説を加えた
『現代語訳 大西郷遺訓』があります。
(初版・昭和49年新人物往来社刊、平成22年新人物文庫)

『南洲翁遺訓』は、旧庄内藩士たちが
明治8年に筆録した西郷隆盛の「語録」で、
西郷が自ら筆をとったものではありません。

西南戦争の12年後、
明治22年2月11日の大日本帝国憲法発布の日、
明治天皇によって西郷の〝賊名〟が解かれたことで、
翌年、「遺訓」として世に出ました。

車中でページを繰っていると、
改めて西郷の遺訓はいささかも古びていないと痛感します。

林房雄は同書で

〈西郷隆盛は不思議な人物である。
十年か十五年ごとに復活して、また立ち去って行く。
日本人は彼と対談することによって幾度か危機を乗越えた。
危機は戦争のみとは限らぬ。精神の衰弱こそ大危機である。
いまは、その時が来ているようだ。西郷の声を聞こう〉

と述べているのですが、「まさに!」です。

新しい御代はどんな時代になるのか。
筆者は以前、日本文化チャンネル桜の
「Front JAPAN 桜」という番組で、

「国を閉じて戦うというもう一つの考え方」
と題して話をしたことがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=qyrSaNCjOIc

日本人が日本人として生き、
日本が日本であり続けることを望むのは古くさいことなのか。
国際社会の趨勢に逆らうことなのか。
そしてそれは良くないことなのか。

年頭に当たって、『大西郷遺訓』に記された
「国の本体」を噛み締めたいと思います。

[原文]広く各国の制度を採り開明に進まんとならば、
先ず我が国の本体を据え、風教を張り、然して後、

除(しず)かに彼の長所を斟酌するものぞ。
しからずして、みだりに彼に倣いなば、国体は衰頽し、
風教は萎靡(いび)して匡救(きょうきゅう)すべからず。
終(つい)に彼の制を浮くるに至らんとす。

[意訳]広く各国の制度を採用し、開花文明に進もうとするならば、
まず、我が国の本体を据え、その基礎の上に教化を行ない、風俗を改善し、その後に
おもむろに外国の長所を取入れて行くべきである。
それをせずに、みだりに外国を模倣したならば、国の本体は見失われ、
破壊され、風俗は乱れ、教化も衰え、国民は邪道に走って、救うべからざる状態になり、
ついには外国の支配を受けることになるであろう。

これが「遺訓」ではなく「預言」とならないように、
心して行かねばなりませんね。
毎回同じようなことばかりを書き連ねていますが、
なお「寄せては返す波の音」を続けるつもりです。
――では、皆さん、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

〈上島嘉郎からのお知らせ〉
●慰安婦問題、徴用工問題、日韓併合、竹島…
日本人としてこれだけは知っておきたい
『韓国には言うべきことをキッチリ言おう!』(ワニブックスPLUS新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/484706092X

●大東亜戦争は無謀な戦争だったのか。
定説や既成概念とは異なる発想、視点から再考する
『優位戦思考に学ぶ―大東亜戦争「失敗の本質」』(PHP研究所)
http://www.amazon.co.jp/dp/4569827268

●日本文化チャンネル桜【Front Japan 桜】に出演しました。
・平成30年12月21日
〈IWCの脱退と日本人の殺生観/北方領土問題~ロシアの主張に学べ/ゴーン再逮捕~日本人の他力本願と被害者意識/マティス米国防長官辞任〉
https://www.youtube.com/watch?v=gH7pE2fokls

・平成30年12月26日
〈沖縄県民投票~歴史を直視せよ/言葉を削り取ると時代が見えなくなる/トランプ大統領「チベット相互訪問法」に署名/IWC脱退 閣議決定〉
https://www.youtube.com/watch?v=_yzOPQYK2dg

●靖国神社社報「靖国」
(第760号/平成30年11月)に拙稿が掲載されました。
https://38news.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/Yasukuni760_Saipan.pdf

 

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【佐藤健志】平成は十年ごとに悪くなっていった

【上島嘉郎】西郷隆盛が語る「国の本体」への2件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    上島先生のお話、いつもとても楽しみにしております。
    自分も大西郷遺訓を読み、西郷隆盛という人物が、いったん入水自殺して生き返ったゆえの、あるいみ存在の抽象化、それは薩摩人でなく日本人の原型になる、ということだったのかもしれないと、一人合点しております。
    あまりに簡単すぎる説明でお恥ずかしいですが。

    ところで違う話でたいへん恐縮ですが、なぜ沖縄で民間人巻き込んだ集団自決をしたのか、について現代人が気づいてないかもしれないことを最近想像しています。

    きっかけは、戦前、戦中の、千島その他、北方でのソ連軍の蛮行、とくに民間人に対する、です。中国の通州事件もそうですが、そういう過去の現実を知ると、戦前の日本人が、なにを守ろうとしたのか、なぜ集団自決までしたのか、が、分かってくるのではないかと、思います。
    戦争が悲惨で帝国陸軍が悪い、という安いテンプレートを、様々な角度で打破したい、そう思っております。

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      1. 神奈川県skatou より

        1月31日頂きましたメルマガ拝見いたしました。
        自決のなぜがありありと語られ、これをいつの日にか、今はまだ幼いわが子に、それを考えられるときに伝えたいと思います。

        鬼畜米英は嘘だけのプロパガンダだったのか。

        自分の祖母は大正生まれで、地元では有名人かつ有力な地位だったのか、地域の出征兵士の見送りをするなど、ことの子細をよく知っていたと思われます。子供の自分には語りませんでしたが、日本の周辺国人に対する嫌悪以上のものが、亡くなってだいぶたつ最近になってようやく自分にも腑に落ちつつあります。
        小学生のころの自分といえば、日教組の濃い学校の教えに従い、朝鮮人差別は良くないとか世界平和とか、通り一遍のことをいう子供で、祖母は何も言わず微笑んでいました。

        「今の日本人は別の日本人」とは、大学院で指導してくれた教授のことばで、「日本人は溶けている」「人はいったん手にした利便は離せない」「これからのことは君たち世代だ」と残して亡くなりました。

        日本人の連続性は敗戦で切れてしまったのか。
        「終戦で大人のいうことがすべて嘘になった」「焼野原で若者がすがったのがマルクス主義だった」は昭和ヒトケタの母の告白でした。
        今では孫と遊びサッカー中継を見るばかりで政治ばった話はしませんが、昨今のアジア杯の暴力プレー、政治パフォーマンスに対する根本的な違和感を、大陸の権威主義と日本の権威権力分化した法治主義、法に基づく民主主義、という歴史的経緯の解釈で共有することができました。

        連続性を今、どのようにメンテナンスするか。
        すでに長期間である戦後のなかに日本らしさを見直して、過去から消えたものと残ったものを自覚するのが、連続性維持なのかと、最近感じております。

        上島先生のご活躍を、熱く熱く応援しております。

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