From 佐藤健志
2019年4月30日をもって、今上陛下が譲位されることになりました。
5月1日には皇太子殿下が即位され、改元が行われますので、いよいよ平成も終わりが見えてきたことに。
実際、「一年を通じてずっと平成」というのは来年が最後です。
海外でも注目されているようですね。
https://www.reuters.com/article/us-japan-emperor/japans-emperor-akihito-to-abdicate-on-april-30-2019-idUSKBN1DV3AS
「BLOGOS」の記事によれば、譲位の日取りについては、
2018年12月24日譲位、25日即位の案と、
2019年3月31日譲位、4月1日即位の案があったそうですが
前者は宮内庁が反対、後者は官邸が反対した結果、現在の形に落ち着いたとか。
http://blogos.com/article/262881/
とはいえ同記事によると、皇太子殿下が即位されたあとの皇位継承者は、
1) 秋篠宮様
2) 悠仁様
3) 常陸宮様
の順番。
これが何を意味するか、お分かりですか?
そうです。
今上陛下が譲位されてから秋篠宮様が即位されるまで、わが国には「皇太子」がいなくなるのです。
皇室典範の第八条は
皇嗣たる皇子を皇太子という
と定めています。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003&openerCode=1
しかるに「皇嗣たる皇子」とは
皇位を継承すると定められた人物(=皇嗣)で、今上天皇の子である男子(=皇子)
という意味。
上記の皇嗣の中に、皇子はいません。
一代限りのことかも知れませんが、皇室は大丈夫なのでしょうか。
2018年は憲法改正論議も本格化すると思われますが、日本国憲法の一条から八条までを削除したら、
皇室は消滅、わが国は共和国となるんですからね。
ついでに憲法一条は、こう定めている。
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
(原文旧かな)
素直に読めば、
〈天皇陛下をはじめ、皇室が存続するかどうかは、国民の総意次第である〉
ということになります。
国民の総意が「皇室消滅」に傾いたあと、なお皇室を守りうる根拠は、憲法には存在しないのです。
それはさておき。
「昭和」が64年続いたのに比べると、「平成」は31年で終わり。
半分以下の長さです。
昭和は最初の20年で敗戦という破局にいたり、新たな国のあり方を模索する10年を経て、発展と繁栄の34年間を迎えました。
(※)戦後日本の基盤が安定するのは、55年体制の成立した昭和30年なので。
国運をグラフ化すれば、「右肩のほうが顕著に高いUの字」になるでしょう。
では、平成はどうだったか?
あと2年残ってはいるものの、今までの推移を見るかぎり
十年ごとに悪くなっていった
というのが、偽らざる真実と思われます。
ちょっと振り返ってみましょう。
まずは最初の十年(1989~1998年)。
華やかな繁栄からスタートしたうえ、冷戦終結というおまけまでつきましたが、翌年にはバブルが崩壊。
平成5年(1993年)には55年体制が終わり、平成7年(1995年)には阪神・淡路大震災が発生します。
平成9年(1997年)には消費税が5%になって、デフレへのレールが敷かれる。
構造改革もこのあたりから本格化。
で、次の十年(1999年~2008年)。
平成13年(2001年)に誕生した小泉内閣のもとで、構造改革はいっそう加速。
デフレからの脱却を果たせず、経済が伸び悩む中、格差拡大と貧困が社会問題として浮上します。
昭和の終わりごろは「一億総中流」が謳われ、貧困もほとんど根絶されたのですが、それも昔話となってしまいました。
平成18年(2006年)からは、総理が毎年交代する堂々めぐりがスタート。
そして平成20年(2008年)にやってくるのが、かのリーマンショックです。
ちなみにリーマンショックの前年、わが国の一人当たりGDPはシンガポールに抜かれました。
そして、そのあと(2009年~2017年)。
平成21年(2009年)に誕生した民主党政権はみごとに失敗。
平成23年(2011年)には東日本大震災が発生。
GDPも中国に抜かれました。
平成24年(2012年)に誕生した安倍内閣(第二次以後)に、日本再生の希望が託されたわけですが・・・
平成26年(2014年)の消費税8%アップをきっかけに、デフレ脱却はまたもや失敗。
中国の覇権志向と、北朝鮮の核・ミサイル開発によって、安全保障をめぐる環境もズルズルと悪化。
片やグローバリズムは着実に進行、とうとう外国人労働力(つまり移民)の本格的な受け入れまで・・・
遺憾ながら総崩れ!!
これで2019年には消費税10%ですぞ。
「違うだろ~~~っ!」
──豊田真由子(元衆議院議員)
あまりのことにコメントする気になれません。
かわりに以下の3冊をご覧下さい。
『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)
http://amzn.asia/7iF51Hv(紙版)
http://amzn.asia/cOR5QgA(電子版)
『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』(アスペクト)
https://www.amazon.co.jp/dp/475722463X(紙版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B06WLQ9JPX(電子版)
『新訳 フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)
http://amzn.to/1jLBOcj (紙版)
http://amzn.to/19bYio8 (電子版)
あ、しかし。
さる11月24日、赤坂CHANCEシアターで行ったトークライブ
「勝手にしやがれ、天下国家Vol.2 天高く総崩れの秋~希望も足りない! 絶望も足りない!」で、
私は「西部翁」という夢幻能を披露しました。
西部邁先生がよく口にされるフレーズを、能の節回しに乗せたものですが、平成の時代を総括するうえでも、じつにピッタリ。
抜粋してご紹介しましょう。
あなたの言っていることは
正しいのだとは思いますが
こういうことも言えませんか?
戦後のジャップ!
よるべなき民
国を保守することあたわず
かような国で、なぜ永らえねばならぬ
もはやこれまで
早く死にたい
早く、早く、早く・・・
続いて、どんでん返しがあるのですが、それについては内緒です。
知りたい方は、主催団体「カルティベイトの会」まで、「次回トークショーにて再演希望」という旨をお伝え下さい。
来春には開催される予定ですよ。
https://peatix.com/group/52292
または
cultivate1group@gmail.com
ではでは♪
<佐藤健志からのお知らせ>
1)12月20日(水)、日本文化チャンネル桜の番組『FRONT JAPAN 桜』でキャスターを務めます。共演は浅野久美さんです。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651(番組詳細)
過去の回もどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=OWFlElnkZiY
(12月6日配信、共演・浅野久美)
https://www.youtube.com/watch?v=vsEUk5GMDn8
(11月17日配信、共演・佐波優子)
2)12月23日(土)、日本文化チャンネル桜の番組『闘論! 倒論! 討論!』に出演します。西部先生や、おなじみ藤井聡さんも一緒です。
テーマ:戦後日本人は変わってしまったのか?(仮)
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655(番組詳細)
3)12月28日(木)、文化放送の番組『おはよう寺ちゃん 活動中』に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/
4)『表現者』76号(MXエンターテインメント)に、評論「フリードリッヒ・リストの晩春」が掲載されました。
19世紀前半、「国民経済」の重要性を説いたものの、世に受け入れられず自殺した政治経済学者フリードリッヒ・リスト。
そのリストの名が、小津安二郎監督の名作『晩春』(1949年)で強調されているのをご存じでしょうか?
『晩春』と言えば、結婚をめぐる父と娘の心情を細やかに描いたホームドラマ。
それと国民経済に、いかなる関係があるのか?
ぜひご覧下さい。
5)発展と繁栄の昭和から、低迷と衰退の平成へ。時代の区切りにあたって、戦後史を振り返りましょう。
『僕たちは戦後史を知らない 日本の「敗戦」は4回繰り返された』(祥伝社)
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6)国が総崩れになった結果、保守もリベラルもすっかり認知的不協和に陥ってしまいました。
『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は終わった』(アスペクト)
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7)政治の目的は経世済民の達成です。社会を保守するとは、この状態を保ちつづけることなのです。保守主義の歴史と特徴をまとめました。
『本格保守宣言』(新潮新書)
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8)「このような事態は前代未聞と言える。まったくはじめてのケースなのだから、何が起きるかも予想がつかない」(225ページ)
くだんの状況から、アメリカは独立を勝ち取りました。さて、日本はどうなることか・・・
『コモン・センス完全版 アメリカを生んだ「過激な聖書」』(PHP研究所)
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9)そして、ブログとツイッターはこちらをどうぞ。
ブログ http://kenjisato1966.com
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