「松田聖子を育てた伝説のプロデューサーが『豊洲の女』をプロデュースで話題に!」
■松田聖子を発掘した伝説のプロデューサー
適菜 三沢さんはなぜ歌を歌いはじめたのですか?
三沢 10代の頃からブルースが好きで。憂歌団をよく聴いたり歌ったりしていました。今回ピアノで参加していただいたSIOさんは、大阪のクアトロなんかでブルースを弾いてられる方で、よく一緒にやってました。
適菜 いいピアノでしたね。作曲家の多城康二さんとはどのようなお付き合いだったのですか?
三沢 藤井さんに紹介してもらったとき、多城さんはピアノを弾いてらした。「憂歌団ご存知ですか?」と聞いたら、知らないとおっしゃったので、ちょうど持っていたCDをプレゼントしたんです。おそらく、そのCDのイメージと、適菜さんの詞のイメージをあわせて、今回の「豊洲の女」も「逆賊ブルース」もできあがったんだと思います。
適菜 なるほど。
三沢 多城先生はレコード会社に属してらっしゃって、そこの伝説のプロデューサーの若松宗雄さんに今回関わってもらいました。
適菜 業界では有名な方です。
三沢 松田聖子を発掘し、育て上げた方です。「赤いスイートピー」をユーミンに作らせて、こんなんじゃダメだと全部作り直させた伝説のプロデューサーですね。オリコン1位を連続24曲やったという。
適菜 本当に生きる伝説ですね。
三沢 「豊洲の女」も「逆賊ブルース」も若松さんの感覚で、実質一発録りだった。2回、3回と歌ってると、変に慣れてきちゃうから、一発目が一番おもしろいって。
適菜 若松さんは確実にこの曲は売れるとおっしゃってましたね。
三沢 そうだったら嬉しいです。
適菜 三沢さんに成功していただければ、私も作詞家として……。
三沢 もう本当に素敵な歌詞を。
適菜 曲が売れたら、哲学者を辞めて、作詞家に転職しようと思っているんです。
三沢 じゃあ、若松さんと一緒に、有名な歌手の作詞を手がけられたらいいのではないですか。若松さんも適菜さんの歌詞に感動されて「今、こういう歌詞を書けるのは、なかにし礼と適菜収だけだ」とおっしゃったそうです。
適菜 お世辞にしてもうれしいです。先日若松さんにお会いしたとき、「松田聖子の歌詞を書きたい」と伝えておきましたが。
三沢 ははは。ジェロはどうですか?
適菜 すぐ書きますよ。すぐに仕事回してください。
三沢 適菜さんの本を読んだときは、こんなにすばらしい曲をつくる人とは気づきませんでした。僕がこの歌詞で一番好きなのは最後の「次の季節が巡ってきても やはり私は豊洲の女」の部分です。お前は永遠にそこにいろみたいな。女の悲哀がホロっときます。だから気持ちを込めて歌わせていただきました。
適菜 ありがとうございます。詞の意味を受け取っていただいているので、情感もいい感じに出た。
■「豊洲の女」と現代人の心のさもしさ
三沢 女性は化粧で糊塗できるところがありますが、あまりにもベースが衰えてくると糊塗しきれなくなる。「過去の記憶を糊塗したところで 見極められないジャンヌダルク」という部分もそうですよね。
適菜 そうです。小池の厚化粧にケチをつけているというより、比喩的な意味があるわけです。
三沢 わかります。適菜さんがこの詞で書いてらっしゃるのは、表面的なことではなくて、本質を糊塗してごまかそうとする人間についてです。でも見えている人には見えているんだと。
適菜 隠そうとすると、余計に見えてしまうものもある。
三沢 なるほど。「豊洲の女」の歌詞は、小池百合子という女性を歌ってるようで、現代人の心のさもしさを浮かび上がらせているとも言えますね。
適菜 中心が空虚なので、世間とか空気とか世論の動向にただ流されている。こういう根無し草のような存在を、スペインの哲学者オルテガは、浮標のような人々と言いました。
三沢 藤井さんは「関西の笑いの文化はボケとツッコミだ。この曲は小池現象に対するツッコミなんだ」とおっしゃっていました。
適菜 そうですか。藤井さんはその辺わかってくれているんですね。最近、私がよく例に出すのが、ニーチェのワーグナー批判です。
三沢 ドイツの作曲家のワーグナーですね。
適菜 ワーグナーはニーチェの師匠のような存在ですが、ニーチェは極めて口汚く批判した。それはワーグナーという人間を批判するというより、ワーグナーに表層される「ドイツ文化の虚偽」を批判したわけですね。要するに、ワーグナーという個人を拡大鏡として利用することで病の本質が見えてくると。
三沢 なるほど。
適菜 世の中の問題はなかなか掴みづらい。空気は透明だし、世論の動きも見えない。しかし、それを象徴してるような人物を論じれば大分わかりやすくなります。先日、『安倍でもわかる政治思想入門』と『安倍でもわかる保守思想入門』という本を出したんです。
三沢 存じ上げております。
適菜 表層的には安倍の言葉を批判したり、政治や保守思想の解説をした本ですが、安倍を引きずり降ろせば一件落着という話ではなくて、今の世の中の空気、社会の病が、安倍に表象されているという話です。
三沢 そうなんですね。大阪の橋下徹もそうなのでしょうか?
適菜 そうです。社会の歪みが橋下という形で表出した。今回の「豊洲の女」も、小池的なもの、それを支持する社会の空気を描写しておいたほうがいいと思った。大衆社会を分析した文章は書いているのですが、それにメロディーをつけて、いろいろな角度から攻めたほうがいいかなと思ったんです。
三沢 なるほど。新しい形の現代社会批判ですね。
適菜 そこに、三沢さんの声がぴったりはまった。
三沢 言論としての意味と、もう一つ、音楽としても完成度が高いと評価をいただきました。カップリング曲の「逆賊ブルース」は、天才編曲家でバンドマンでもある多田三洋さんがやっています。次回の対談では、この「逆賊ブルース」を書かれた意味についても、適菜さんにお聞かせいただきたいと思っております。
適菜 わかりました。よろしくお願いします。
《「豊洲の女」プロモーション動画はこちら》
ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm31403961
youtube https://www.youtube.com/watch?v=XBlUEeTdHTk
(対談者プロフィール)
歌手:三沢カヅチカ
年齢不詳。ブルースシンガー。関西の某一流企業のサラリーマン。アフター5で、関西のライブハウスなどでブルースのボーカルをやってきた。ギターでバンドに参加することもある(その場合は、別の芸名SATOでギターを弾いている)。藤井聡京大教授とは音楽仲間。今回、藤井からの声かけで、三沢カヅチカとしてデビューすることになった。
作詞家:適菜 収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作詞家。哲学者。
ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、
『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』(講談社)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、
『死ぬ前に後悔しない読書術』、『安倍でもわかる政治思想入門』『安倍でもわかる保守思想入門』(以上、KKベストセラーズ)、中川淳一郎との共著『博愛のすすめ』(講談社)など多数。
【特別号】松田聖子を発掘した伝説のプロデューサーへの2件のコメント
2017年6月27日 10:12 PM
又の名を岡田光晴。
公人として憤りを感じていても、マスクを被らないと言えない事もあるのでせうか???
時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には、その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くにそのところを変えることを要求するであろう。
その厚化粧の鉄仮面、いつ剥ぎ取られるのやら….
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2017年6月28日 12:07 PM
私も東田剛氏のように替え歌を作りたくなりました。
適菜氏の様な文学的な歌詞は作れませんが歌にはその時代に合った背景を意味する同一性が存在します。新自由主義が出始めの際、世界的に流行したのが破壊をコンセプトにしたヘビーメタル!破壊に熱狂していた日本以外の世界中の若者があれから40年近くたち破壊とは真逆の存在である子供、女性、つまり未来を築く象徴である女の子3人組をボーカリストで構成されたヘビーメタルバンド『ベビーメタル』を世界中の中年が熱狂している姿を見ると意味深なものを感じます。
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