アジア

2017年10月10日

【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危機。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

トランプ米大統領の、金正恩に地する挑発は、どうやら既に一線を越えているやに見える。10月7日付けのCNNニュースによれば、彼はツイッターで次のように呟いたという。

「過去25年間、歴代政権が北朝鮮といろいろと合意し、大量のカネを支払ってきたが、そんな合意は全てインクが乾く前に反故にされてきた。我々アメリカをバカにするにも程がある。申し訳ないが……もう、こうなると残された手段は一つしかない
http://edition.cnn.com/2017/10/07/politics/trump-north-korea-negotiations-tweet/index.html

言うまでも無く、この「手段」というものが「武力攻撃」を示していると考えざるを得ない。

我が国もまた、先の国連総会で、安倍総理大臣は「必要なのは対話では無い。圧力だ」と高らかに宣言している。いわば総理は北朝鮮に「啖呵を切った」のである。

こうしたトランプ大統領や安倍総理の諸発言に対して、金正恩も激しく挑発し返している。

アメリカに対しては「米国の地を焦土化しよう。報復手段を総動員して我々の恨みを晴らそう」と核攻撃を示唆し、日本に対しても「日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない」と激しく威嚇している。

・・・大方の国民は、これは金正恩の威勢の良い「ブラフ」であり、話半分で聞いておけばよい──と感じているように思う。そうでなければ、希望の党が失速しているだの安倍内閣は森・加計学園を隠蔽しているだの等の問題が喧しくメディア上で囃したてられる様な状況にあるはずもないだろう。

しかし筆者は今、極めて近い将来に何らかのかたちで有事が朝鮮半島で勃発する危機が現実的に存在し、しかも、その帰結として我が国に核攻撃による「被爆」も含めた「深刻な破壊」がもたらされるリスクが否定できない状況にある、と真剣に危惧している。

以下、筆者のこの危惧が単なる「杞憂」であることを祈念しつつ──筆者のこの確信の理由を(普段よりも少々長文となるが、国家の危機管理を司る国土強靭化の視点も交えつつ)順をおって解説してみることにしよう。

(1)北朝鮮とアメリカのチキンレース
そもそも今、北朝鮮とアメリカは、いずれか一方が降りない限り衝突する「チキンレース」の状況にある。

北朝鮮は核を保有し、北朝鮮に誰も手出しできない状況を創出しようと日夜努力を重ねている。

ここでもしもその努力を止めれば、(かつてのリビアの様に)米国側から瞬く間に潰されることになろう。それを恐れる金正恩は、現体制を持続させるためにも、核開発を辞めることはできないのだ。

一方で、アメリカは、「北朝鮮の核に怯えながら、おそるおそる北朝鮮と外交を続けるというような事態」は絶対に回避したいと考えている。だから、アメリカまで届く核が完成するまでに、北朝鮮の核攻撃能力を無力化したいと考えている。

もしも圧力をどれだけかけても無力化出来ないのなら、アメリカはどこかの時点で、核を無力化するための軍事的攻撃を北朝鮮にしかけざるを得なくなる

だからこのまま、アメリカも北朝鮮もその態度を変えなければ、その内衝突し、北朝鮮有事が勃発する他なくなってしまうのである。

(2)アメリカが「降りない」場合の「犠牲」は甚大である
かくしてこのまま北朝鮮が核開発を続ければ、早晩アメリカが北朝鮮に総攻撃を仕掛けることになると予期されるのだが───現実は必ずしもそうではない。

なぜなら、アメリカの攻撃は「多大なる犠牲」を伴うからである。

もちろんアメリカが北朝鮮を攻撃すると決断したのなら、アメリカ側の犠牲を最小化するべく、瞬時に北朝鮮軍を確実に無力化するオペレーションを細心の注意を払いながら展開するだろう。

しかしだからといって、それが100%成功するとは限らない。米軍の徹底攻撃にも関わらず一部の反撃能力が残存する可能性は十分に考えられる

まず少なくとも、テロ能力の残存は避けがたい。
http://www.sankei.com/world/news/170909/wor1709090035-n1.html

さらに考えられるのが、数十発は存在すると言われている「移動式ミサイル」だ。その内、「ノドン」と呼ばれるミサイルは日本をターゲットにしたミサイルで、これが50発ほど現存しているのではないかとも言われている。

これらの内いくつかは初期の米軍の攻撃で破壊することはできるのかも知れないが、この50発とも言われる全てのミサイルを破壊し尽くすことは、ほとんど不可能だと懸念される。

もちろん、今、このミサイルに核兵器を搭載できる能力を北朝鮮が持っているとは断定できない。しかし、飛距離の短いノドンに、水爆ではない通常の核爆弾ならば搭載できる可能性は十分考えられる。仮に核兵器の搭載が不可能であっても、化学兵器の搭載は今でも容易に可能なはずである。

以上の軍事的状況を踏まえれば、米軍がどれだけ徹底的な攻撃を仕掛けようとも、北朝鮮の攻撃能力の一部が残存し、それがアメリカの同盟国の韓国、そして日本に即座に差し向けられる事態は十二分に考えられるのである。

その時のターゲットとして第一に考えられるはもちろん在韓、在日の「米軍」だ。例えば在日米軍の中心的存在は横須賀基地である。横須賀基地は、対中国等との軍事オペレーションにおいて枢要な役割を担う、アメリカ太平洋軍にとって超重要的な基地である。こうした軍事拠点がターゲットにされる可能性は十分考えられる。

さらには、韓国のソウルや日本の東京といった、アメリカの同盟国の首都や大都市もまた、北朝鮮の反撃のターゲットになる可能性は排除できない。そもそも北朝鮮は韓国と「戦争中」であり(朝鮮戦争は単に今、休戦中であるに過ぎない)、かつ、金正恩は公式に日本に対して「核攻撃をする」と宣言している状況にあるのだ。

したがって、以上の諸状況を総合的に考えれば、もしもアメリカが「チキンレース」から降りず、対北朝鮮攻撃を仕掛けると決断すれば、韓国、そして日本の米軍基地や首都等が北朝鮮に攻撃され、徹底的に破壊されるリスクが生じてしまうと考えざるを得ないのである。

つまり、アメリカの北朝鮮攻撃は、アメリカの世界戦略にとって重要な基地が深刻な被害を受け、韓国や日本が核や化学兵器等によって攻撃されるという「犠牲」を伴うリスクをもたらすのである。

(3)元米海軍大将が「核戦争の確率は10%」と明言

実際、元米海軍大将ジェームズ・スタブリディスは、通常兵器による米朝戦争が起こる確率はフィフティ・フィフティだと指摘した上で、「核戦争の確率は10%」も存在すると明言しているのである!
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8543.php

言うまでも無くその犠牲は、極めて深刻なものだ。

例えば実際、これまでの米国の歴代政権は、その犠牲を支払うことを回避するために、北朝鮮への直接攻撃を避けてきた。つまり、イラクやシリアに攻撃を仕掛けてきたアメリカに、攻撃することを「尻込み」させる程に、その北朝鮮からの反撃に伴う「犠牲」は深刻かつ重大なものだと、アメリカは認識し続けてきたのである。

───こうした見立てから筆者はこれまで、今回もまた、この「甚大なる犠牲」を支払う事に躊躇し、「チキンレースから降りる決断」をする可能性の方が高いのではないかという見通しを立てていたのである。

なお、アメリカがチキンレースから降りるということはすなわち、「アメリカが北朝鮮の核保有を実質的に認める」ということをもちろん意味する。さらに言えばそれは、「アメリカに向けて核攻撃を仕掛けないように最大限の配慮を差し向けつつ、北朝鮮との外交を継続すると、アメリカ側が決定する」という事を意味する。

つまり、北朝鮮が現時点で所持している反撃能力の高さ故に、アメリカが北朝鮮を攻撃する事を躊躇し、その結果として、致し方無く北朝鮮の核保有を実質上認める方向に,米政府は動く可能性の方が高いだろう──と筆者は考えていたのである。

(4)アメリカは甚大な「犠牲」のリスク覚悟で、攻撃しようとしている

──しかしこうした筆者の(ならびに、多くの軍事アナリスト達の)見通しから乖離するかたちで事態は激しく加速度的に進行しているように思える。ここ最近の日米両首脳の言動を踏まえれば、筆者の想定とは逆に、アメリカが北朝鮮を攻撃する方向に大きく舵を切りつつある事は、冒頭で指摘した通りだ。

それにはもちろん、どれだけ深慮遠謀の下で発言しているか分からぬ発言を「ツイッター」なる道具を駆使して公表し続けるトランプ大統領がアメリカ軍の最高責任者に就任しているという現実が、大いに影響していると考えざるを得ないだろう。

そしてそうした大統領の「つぶやき」に加速される格好で、アメリカは今、「日本や韓国の米軍基地や、諸都市が犠牲」になってもかまわないと決断した(あるいは、しつつある)ように思えるのである。

そもそも我々日本人を含めた極東の人々は、トランプ大統領が次のように発言している事を忘れてはならない。

「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ
https://jp.sputniknews.com/politics/201708023950787/

これはつまりトランプは、「アメリカ本土の人間」でなく、「北朝鮮人であり韓国人であり、そして日本人が死ぬのだ」と考えている事を示している。

実際、東京やソウルが核攻撃に晒された場合、死者は200万人や300万人規模にのぼるだろうというシミュレーションが発表され始めたが、これは「観測気球」あるいは「予防接種」の様なものだと言えるのかもしれない。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/380.php
http://www.sankei.com/world/news/171006/wor1710060012-n1.html

あるいは、今回のアメリカの「決断」や、与党が「対北朝鮮外交は圧力を中心とする」という外交方針を総選挙の第一番目の公約に掲げたこととも関連している可能性すら考えることもできるかもしれない。

もちろん、今の日本国民で攻撃される事を望んでいる者など皆無だ

しかし日本では今、「攻撃されるリスク」についてはメディア上でもほとんど言及されていないのが実態だ。だから、「北朝鮮に対して強行的姿勢を選択し続ける」という事が一体どういう帰結をもたらすのかについて思いを馳せている日本人などほとんどいない。結果、ほとんど何も考えずに、単なる気分やムードで「北朝鮮への圧力を高めるべし」という意見に同調する国民が増えたとしても何ら不思議ではない。

こうした状況にある以上、国民がそうと気付かない内に、今回の選挙を通して自分たちが戦争を是認したという事にされてしまう事態は、十分に危惧されるのである。

(5)日本を守るために。
こうした状況を鑑みたとき、我が国はいかなる対応を図るべきか──。

長期的に考えるのなら、十分な自主防衛能力さえあったのなら、「米朝激突によって深刻な被害を日本が受けるというリスク」は最小化できたであろう、という事は言えるだろう。

しかしそれを今更言ったとしても、どうにもならない。

そうした長期的な「筋」(実は筆者は、これこそが何よりも大切だと感じている)を大局的にしっかりと見据えながら、可及的速やかに、北朝鮮の核やテロ、化学兵器による攻撃から日本を、日本国民を守る為に一体何が出来るのかを全力で考えなければならない(だからそれは、筆者が今政府で取り組みを進めている巨大自然災害への対応を図る強靭化や防災と全く同様の構図の内にあるのだ)。

もしも、米朝激突となるのなら、その際に懸念されるミサイルやテロに対する徹底的な「専守防衛」を図る対策を講ずることが第一である(防災)。

そして、パニックのリスクを最小化する事を前提としながら、「リスク」に関する冷静な事実情報を適切に国民に周知していくことが肝要だ(リスクコミュニケーション)。

そして、日本への攻撃リスクがあることを知りながらアメリカが北朝鮮に攻撃を仕掛けるとするのなら、日本政府はアメリカ政府に対して、同盟国への攻撃を徹底的に防ぐ陣容を最高度に高めることを要求し続ける事が必要不可欠だ(防災における集団安全保障)。

折りしも集団的自衛権の考え方でもって、米朝激突において日本が米国の後方の支援等を行うかたちで米軍に協力するのなら、
同盟国日本を守るための布陣の最大化を要求することが日本政府の義務だ。例えば、米国のPAC3やイージス艦など、世界中に展開する防衛能力を極東に集結させることは、不可能では無いはずだ。そしてそれは、日本の国民の生命と財産を守るだけでなく、アメリカの国益上極めて重要な横須賀をはじめとした在日米軍を守るためにも必要な筈だ(防災における集団安全保障)(無論、そうした展開が北朝鮮を刺激し、北朝鮮からの先制攻撃を誘発するリスクは最小化せねばならない)。

そして言うまでもなく、表面上では激しい舌戦を繰り広げつつ、水面下では「核の無力化」「亡命」等の可能性も幅広く見据えた、開戦を回避するための全力を賭したギリギリの交渉を粘り強く続けることもまた必要不可欠だ(ハザードリスクの最小化)。

いずれにせよ、我々は今、どうすれば日本人や韓国人、そして米国人や北朝鮮人の犠牲が最小化できるのか、さらには、「今」戦争が始まることで将来の犠牲者が最小化される可能性や、その「逆」のリスク等の全てを見据えながら全力で知恵を絞り、果敢なる取り組みを図らねばならない。

「第二次大戦後、初の核戦争」を回避し、「日本という世界初の複数被爆国」の誕生を全力で阻止することは、右や左、さらには民族や国境の別すら問わず、全日本国民、全人類が今、全力で取り組まねばならぬ人類にとっての最重要課題なのである。

いずれにせよ───本稿で論じた懸念の全てが単なる「杞憂」に過ぎぬことを心から祈念したい。

関連記事

アジア

【三橋貴明】後戻り不可能な非核化

アジア

【三橋貴明】続 米朝首脳会談は開催されない

アジア

【佐藤健志】ジャイアンをなくしたスネ夫

アジア

【三橋貴明】超国家組織「TPP 規制整合性小委員会」

アジア

【佐藤健志】やはり番狂わせだったトランプ勝利

【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危機。への7件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    本日のエントリーに全面的に賛成です。
    すごく小さいことを1つだけ、

    >そして、日本への攻撃リスクがあることを知りながら
    アメリカが北朝鮮に攻撃を仕掛けるとするのなら、
    日本政府はアメリカ政府に対して、同盟国への攻撃を
    徹底的に防ぐ陣容を最高度に高めることを要求し続ける事が
    必要不可欠だ

    「要求」、自分はそうは思いません。日本も当事者です。
    防ぐ陣容を最高度に高めるために、日本は全面的に協調体制を主張するべきだと思います。そのための日米同盟であり、訓練であり、共通装備であります。

    北朝鮮はその政体の存在自体、自由や民主主義を完全否定するものであり、アメリカという国家が過去の例から、それを理由に突如軍事攻撃して政体崩壊を行う以上、核兵器による恐喝で存立を維持する必要があります。外交で核危機を取り除くことは絶対にありえません。
    米朝の軍事衝突は規定の事実として、日本に最もよいのは、早急に北朝鮮の軍事力を削ぐことしかないと自分は思っています。でもそれは政府も百も承知でしょうし、具体的な軍事力より、地下鉄サリン事件のような、日本国内でのテロによる後方かく乱、またそれら蠢動を抑止させないようなマスコミ操作のほうが怖いかもしれません。

    日本政府はすでにそれら対策の線表によって進んでいると自分は考え、ならばなおさら、今、政権交代などやってる場合ではないというのが正直な思いです。
    今、選挙をやるということは、戦争が戦後処理、それはテロ組織の根絶まで含めて、相当な時間がかかるということかもしれません。

    その大きな扉を潜り抜けないと、明日は見えないと思っております。今はもう、そういう覚悟のとき、ではないでしょうか。
    自分にできることは缶詰、防塵マスク、医薬品、水の確保計画ぐらいですが。

    今日はずいぶんな体育の日ですね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. 神奈川県skatou より

        ヤクザの理論は恐怖とカネのようですので、行動原理がとても似ていそうです。
        どんな圧力でも暴発せず屈せず、法に従わず、恐喝で生き残ろうとNever giveup かもしれません。非常に都合悪いのですが。。

        北朝鮮がアメリカの攻撃を受けた時にまだ反撃力が残っているのならば、それ相応の実力行使、ということで、標的はアメリカ本土という最終抗争でなく、限定的な攻撃、つまりどこまでも威嚇の延長行為を行うわけで、前線基地への報復ということになるのではないでしょうか。

        核弾道弾(最終抗争)は使わないとすると、実はもっとも実現性の高いのは、韓国、もしくは日本国内でのテロ活動による報復行為かもしれません。

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

  2. ひろ より

    今更何を言っているのか?
    北朝鮮の反撃力が大きいから攻撃をためらう?アメリカはそんな国ではない。ノースウッド作戦やトンキン湾事件を見れば判るように、アメリカは自身の死活的利益に関われば手段を選ばず行動するとても恐ろしい国である。

    アメリカがこれまで北朝鮮を攻撃してこなかったのは、アメリカにとっての死活的利益がこの地域に存在しなかったというだけの話である。北朝鮮が中東にあり、石油でも産出する国であればとっくに攻撃しているはずだ。

    戦争は他の手段を以ってする政治の延長であるとしたクラウゼヴィッツの言葉のとおり、戦争には目的が必要である。したがって、北朝鮮を叩くためには米国の国益に合致した戦争目的が必要となる。要は、それによって何を得るかだ。

    北朝鮮を叩いて何を得るというのか?こんな国、叩いても何も出ない。リターンのない一方的コスト負担になる戦いはやる意味が無い。せいぜい、ミサイルの在庫処分が出来てメーカーが喜ぶくらいだろう。政治的には何の意味もない。

    それがアメリカまで届くミサイルが完成しようとした今になってはじめて死活的利益が発生した。東西冷戦以来のことである。

    ともあれ、軍事力行使にあたっては、死活的利益の大きさや優先順位などを総合的に評価し、攻撃するかどうかが決定されるだろう。そこには感情的要素はあまり入り込む余地はない(もちろんゼロではないが…)

    攻撃の可否を判断する評価パラメータの一つとして、同盟国における損害が考慮されることになるとは思うが(そう願いたいが…)それがどれほどの重みを持つのかわからない。

    いずれにせよトランプ政権だからやる・やらないという話にはならない。多少、大統領の気質などによる調整がかかるだけで、核心的利益をどのように獲得するかが冷静に検討されるだろう。

    核心的利益に比べ、被る損害が大きすぎると判断されれば攻撃はない。クリントン政権の時はこのケースだった。

    しかし、核心的利益のほうが被る損害よりも大きい(価値がある)となれば、損害には目をつぶって攻撃することもありうる。

    様々な報道に接するに、今、アメリカは核心的利益のほうが大きいと思っているようにみえる。

    このまま北朝鮮を放置して更に実力をつけさせることが得策か、今この段階で再起不能になるまで叩くことが得策か、慎重に検討されているはずだ。

    現在、北朝鮮に対する圧力によって翻意を促すオペレーションが行われているが、これは効果がないように見える。しかし、原油の輸入にあたっては米ドルによる決済が通例であると聞く。であるなら、米ドルを獲得する機会を狭めていけば、北朝鮮は原油を輸入しづらくなるだろう。

    しかしそれが結果として北の暴発を招くかもしれない…などなど、色々と想定される事態はあるが、もし、日本が核攻撃された場合、アメリカがこれに報復することになって北朝鮮は壊滅的被害を受ける事になるだろう。

    体制の存続を第一目的とする北朝鮮がそのような暴挙に出るかどうか…出るとするなら、金正恩が「先はない」と自暴自棄になって自殺的特攻を決断したときくらいか。

    核戦争の確率が10%というのは、金正恩がどの程度まで核攻撃を我慢できるかという一点を推定した数値ではあるが、まあ、根拠はないと考える。ただ、可能性がゼロではないという点は踏まえておく必要がある。

    いずれにせよ、アメリカがこの核攻撃に対して報復しなかった場合、日米同盟はその瞬間に終了となり、日本は核武装へと突き進むことになる。在日米軍基地は閉鎖され、アメリカはグアムまで後退を余儀なくされる。

    アメリカの主流派にとってこれは受け入れがたい状況だ。これまで築いてきた利権が大幅に後退することになる上に、北朝鮮ならまだしも、日本が本気になって核開発を行ったら、ICBMなど簡単に作れるからだ。それがアメリカを指向することがないとはいえない以上、日本の核武装は断じて容認出来ないはずだ。

    だからアメリカはなんとしても北の核攻撃を阻止し、もし攻撃があった場合は全力でこれに報復することになるだろう。北もそれは十分わかっているはずだ。

    ということで、北はおそらく通常弾頭型、もしくは化学兵器型弾頭のミサイルで攻撃を仕掛けてくると思われる。後は工作員によるテロ攻撃か。

    いずれにせよ、一国民としては、食料と水を備蓄して不測の事態に備えることくらいしか出来ない。のんきに選挙なんかしている場合じゃないとは思うが、まあ仕方ないか…

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. クレヨン より

    東京への核攻撃を防げなかった場合、それは、統治機構の敗北を意味するから、軍事クーデターが可能になるね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. 赤城 より

        東京への核攻撃が現実に起きたらその後はヒャッハー世界ですかね。
        アメリカが進駐する気が無ければシナがやってきそう。
        それを防げる力が日本に残っているとは。

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

        1. クレヨン より

          たとえ三千万人死んだとしても、まだ一億人の日本人がいるわけで、だったら、守れるか守れないか分からなくても、少なくとも守ろうとしなければいけないよね。

          返信

          コメントに返信する

          メールアドレスが公開されることはありません。
          * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「10%消費税」が日本経済を破壊する―――そのメカ...

  2. 2

    2

    【小浜逸郎】消費税制度そのものが金融資本主義の歪んだ姿

  3. 3

    3

    【三橋貴明】残酷な消費税を本当に増税するのか

  4. 4

    4

    【三橋貴明】三橋TV始動(前編)

  5. 5

    5

    【三橋貴明】三橋TV始動(後編)

  6. 6

    6

    【三橋貴明】消費税のもう一つの「重大な問題」について

  7. 7

    7

    【上島嘉郎】ごまめの歯軋りでも

  8. 8

    8

    【藤井聡】「消費増税」すれば、「税収」が減ってしまいます。

  9. 9

    9

    【藤井聡】「反緊縮」は「反グローバリズム」と共に進めよ ~第...

  10. 10

    10

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】10%消費税増税の「凍結」:風は少しずつ、しかし「...

  2. 2

    2

    【藤井聡】「10%消費税」が日本経済を破壊する―――そのメカ...

  3. 3

    3

    【藤井聡】国土強靱化2.0:「財政」でなく「安心」のための防...

  4. 4

    4

    【藤井聡】「反緊縮」は「反グローバリズム」と共に進めよ ~第...

  5. 5

    5

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

MORE

最新記事

  1. アジア

    【三橋貴明】帝国と民主国家の最終戦争が始まる

  2. 日本経済

    【三橋貴明】食の安全

  3. 日本経済

    【三橋貴明】消費税のもう一つの「重大な問題」について

  4. 政治

    【上島嘉郎】ごまめの歯軋りでも

  5. 日本経済

    【小浜逸郎】消費税制度そのものが金融資本主義の歪んだ姿

  6. 日本経済

    【藤井聡】「10%消費税」が日本経済を破壊する―――そ...

  7. 日本経済

    【三橋貴明】残酷な消費税を本当に増税するのか

  8. 日本経済

    【三橋貴明】三橋TV始動(後編)

  9. 日本経済

    【三橋貴明】三橋TV始動(前編)

  10. 日本経済

    【三橋貴明】官も民も等しく良くもあり、ダメでもある

MORE

タグクラウド