From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家
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●中国バブルの実態と今後の行方、、、
●汚職追放が中国経済を失速させたカラクリとは?
●中国に進出した日本企業の末路はいかに?
「中国の読み方–地獄に引きずり込まれないために日本人が知るべきこと」
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http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
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おはようございます。
この2週間、経済ニュースに関しては話題に事欠かないといった感じでした。
今回はマクロとミクロ、それぞれの話題を取り上げてみたいと思います。
まずはマクロ経済の話題から。
先週14日、政府の月例経済報告が発表され、
景気の「総括判断」を「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」に下方修正した。前月は「一部に鈍い動きもみられる」という表現だった。内閣府によると総括判断の下方修正は1年ぶり。「緩やかな回復」という基調は維持したが、景気全体の表現は3カ月連続で下向きに変えた。
と報道されています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL13HHM_U5A011C1000000/
「総括判断の下方修正は1年ぶり」といったそばから、「景気全体の表現は3カ月連続で下向きに変えた」というのは何ともわかりづらいところ。
上記の引用記事にもあるように、7月には単に「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」と述べられており、その文言は10月まで維持されています。
ところが翌8月以降、「改善テンポにばらつきもみられるが→一部に鈍い動きもみられるが→一部に弱さもみられるが」といった具合に但し書きが付加され、かつ月を追うごとに徐々にネガティブな表現に変遷しています。
「弱さ」という表現を使うまでは、「下方修正」ならぬ「誤差の範囲」ということなのでしょうか。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2015/0826getsurei/main.pdf
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2015/1014getsurei/main.pdf
また、冒頭の先行き判断では、前月の「緩やかに回復していくことが期待される」から「緩やかな回復に向かうことが期待される」に変更されています。
現在進行中のニュアンスが含まれていると言えなくもない「回復していくことが期待される」ならまだしも、「回復に『向かう』ことが期待される」と言われると、「今は回復状態にない」と読むのが自然に思えます。
だとすると、「緩やかな回復基調が続いている」という表現とツジツマが合っていないような気がするのですが、いかがなものでしょうか・・・。
他方、基調判断の部分を見ると、生産活動についての判断が下方修正されているのに対し、「個人消費は、総じてみれば底堅い動きとなっている。」「設備投資は、総じて持ち直しの動きがみられる。」の箇所は全く変わっていません。
個人消費が「底堅い」というにはほど遠い、憂慮すべき状況にあることは、以前もお伝えしたとおりです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-110.html
では、設備投資はどうでしょう。
日本工作機械工業会が毎月発表している「工作機械統計」という統計があります。
「機械を作る機械」である工作機械の受注動向は、設備投資動向を先取りすると言われています。
折しも月例経済報告の前日13日、工作機械統計の9月速報値が発表されましたが、内需については前年同月比マイナス3.2%、外需も含めた全体では2カ月連続の二桁マイナスという結果でした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ13I02_T11C15A0TI1000/
個人消費や輸出のような最終需要の不振が、タイムラグを経て設備投資に及んできたと考えられます。
景気循環の観点も交えて長期的に眺めてみると、長期デフレ不況の入り口となった、1998年初頭の状況に似ているとも言えそうです。
http://on.fb.me/1Nkbg2h
https://twitter.com/sima9ra/status/656099761309679618
ちなみに、内閣府自身が作成している「機械受注統計」の8月実績でも、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需受注額」は前年同月比でマイナス、「季節調整値の前月比」では3カ月連続のマイナスでした。
こちらの発表は、月例経済報告の約1週間前の10月8日。
「持ち直しの動き」とはほど遠いことが、既に相当明らかになっているようにも思えます。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL08H3N_Y5A001C1000000/
さて、今度はミクロの話。
経済のグローバル化について、「ビジネスの論理から見てもデメリットの方が大きい」という理論武装を検討している、というのは前回お伝えしたところ。
それから2週間のうちに、ファーストリテイリング(ユニクロ)とウォルマートという、日米を代表するグローバル小売企業の株価が1日で10%近く急落する、というニュースが相次ぎました。
いずれも、決算あるいは業績見通しが市場の期待を下回ったのが株価急落の原因、と報道されています。
あるいは、不透明感が増している中国経済の動向と結び付ける向きも、少なからずおられるようです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVQP7N6S972E01.html
http://jp.reuters.com/article/2015/10/14/wal-mart-shareholders-idJPKCN0S826K20151014?sp=true
しかしながら、長期的な観点で見れば、今回のニュースは、そうした目先の変化だけで生じたものではない、という分析が可能になります。
株式市場というと、目先の情報で不規則に動いているだけに見えるかもしれませんが、実は長期的な経済動向と密接に結び付いて変動しています。
今回のニュースはその典型的な事例であり、さらには、経済のグローバル化と関連した論点も見出されます。
そうした背景を踏まえた論稿を、以下の通りまとめました。
タイトルはそれぞれ、『ユニクロの株価はなぜ急落したのか』『グローバル小売業の相次ぐ株価急落』。
「グローバル化とビジネスの論理の衝突」に関する議論の一端として、是非、ご覧になってみて下さい。
http://foomii.com/00092/2015101102515929151
http://foomii.com/00092/2015101800100029284
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