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2015年6月5日

【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その七)

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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●●三橋貴明が実践する経済ニュースを読む技術とは?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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この5月25日、作家の浅田次郎氏が自民党の「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」で、幕末以降の日本外交をテーマに講演しました。

そこで、安倍晋三首相の戦後70年談話に関し、
「『侵略』という言葉を入れるべきだ」
「中国が待っているのはこの言葉だ。それでお互い大人になれる」と述べたそうです。

「侵略」という言葉を談話に入れることが近隣諸国への“配慮”になるということなのでしょうが、振り返って、こうした配慮が日本に何か良い結果をもたらしてきたでしょうか。

韓国政府の要望を受け入れ、「和解」の可能性を信じて出した河野談話の禍根を思うと、歴史の事実を棚上げするような配慮を続けることは、将来に新たな禍根を残すことにしかならないと考えます。

平成7年の村山談話には次の一文があります。
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」

浅田氏が「中国が待っている」言葉は、この時点で入っているのですが、そして歴代内閣はこれを踏襲してきたわけですが、「お互い大人になれる」状態にはなっていません。
それは、日本の配慮、譲歩が足りないからでしょうか。

中国や韓国が一方的な歴史解釈をもって日本を糾弾し続ける限り、「和解」はあり得ないでしょう。

以前も書きましたが、和解を法理的にいえば、「争いをしている当事者が互いに譲歩しあって、その間の争いを止めることを約する契約」のことです。

この契約の前提は、事実関係の正確な認識です。これに関心のない、あるいは無視して構わないと考える相手とは和解は成立しない。

日本の過去の歩みについて、村山談話は「国策を誤り、戦争への道を歩んで…」というのですが、では、なぜ誤ったのか。

「欧米諸国は日本の権利を完全に無視し、無謀な経済的圧迫をなした。また真珠湾に先だち、数年間故意に、かつ計画的に、共謀的に日本に対し経済的、軍事的圧迫を加え、しかもその結果が戦争になることは十分に承知しており、そう言明しながら、彼らが右の行為をとったという事実がある。
また肯定的弁護として、つぎの事実が証明される。すなわち情勢はいよいよ切迫し、ますます耐え難くなったので、日本は欧米諸国の思うツボにはまり、日本からまず手を出すようにと彼らが予期し、希望した通り、自己の生存そのもののために戦争の決意をせざるを得なくなった。

この一文は、東京裁判で木戸幸一の弁護に当たったローガン弁護人の冒頭陳述です。

「東京裁判は、日本が侵略戦争をやったことを懲罰する裁判だが、それは無意味に帰するから、やめたらよかろう。なぜならば、それを訴追する原告、アメリカが、明らかに責任があるからである。
ソ連は日ソ不可侵条約を破って参戦したが、これはスターリンだけの責任でなく、戦後に千島、樺太を譲ることを条件として、日本攻撃を依頼し、これを共同謀議したもので、これはやはり侵略者であるから、日本を侵略者呼ばわりして懲罰しても、精神的効果はない。」

これは米国陸軍法務官プライスが、1945年12月にニューヨーク・タイムズに寄稿したものです。

前回触れたロード・ハンキーも概略こう述べています。

「“侵略”という概念は歴史の夜明け以来、人類がもてあました問題で、定義不可能な問題は不可能なまま放置するのが、正直な態度で、権力によって無理な解釈を押し通せば歴史によって必ず復讐される
日本が不戦条約(ケロッグ・ブリアン条約)に違反して侵略戦争を行ったという非難は当たらない。不戦条約の提唱者の一人である米国務長官ケロッグ自身がこう語っている。
『自衛権は、関係国の主権のもとにある領土の防衛にとどまらず、この条約のもとにおいて、いかなる行動が自衛の範疇に入るか、いつ自衛権を発動するかは、各国が自ら決定する優先的権利をもち、ただ、その声明がその他の世界各国によって容認されない危険が残るだけである』
したがって、日本だけを侵略者だとするのは欺瞞である。」

戦後の日本人が祖国の歴史を「侵略」と断じ続け、それを他国に宣布し続けるのは、あまりにも異様です。

日本の戦後の本質は占領軍による「思想改造」である、と述べたのは入江隆則氏ですが、その思想改造はどのように巧妙に行われたか。
これについて今の日本人は無自覚に過ぎます。

真に脅威を取り除くには敗戦国民の精神に自分たちの過去への嫌悪の念を植えつけると同時に戦うこと一般への忌避の気持を育て、しかもそれが勝者の戦後処理の政策として押しつけられたのではなくて敗者の自発的選択として為されたようにする。

勝者への復讐心を取り除くためには、勝者は敗者に対して寛大だという印象を与え、思想改造を強制する場合も、それが勝者による強制だという印象を薄めて敗戦国民の自発的な自己批判の形をとらせるのがよい。

戦勝国から強制されたとなれば、占領の終結と同時に元に戻ってしまうが、自発的変身だと信じ込ませておけば、より長期的な効果が期待できるからである。この精神的武装解除がかつてなかったほど巧妙に実施された典型的な例が日本の戦後であると思う。」
(入江隆則著『敗者の戦後』)

結局、戦後に生きる私たちは、このことに覚醒し、改めて祖国の歴史を見直すことから始めなければ何も立ち行かないと思います。

PS
大阪都構想、緊縮財政、TPP、成長戦略、、、
2015年上半期に起こった日本経済の大問題を三橋貴明が徹底解説。6/10まで
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

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【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その七)への4件のコメント

  1. コパラ より

    日本の歴史を考える世界の歴史学者はこういう事実は考慮に値しない項と分別するのだろうか。 それとも詳細事実成るが故に無視?無知?無関心であり、世界に日本の存在価値が増すことを嫌う勢力に陰ながらの援助交際に励んでいるのだろうか?

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  2. オガハラ より

    村山談話を踏襲するとすれば。。。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、(中国の)植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え(ています。)ました。」で、どうですかね。

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  3. たかゆき より

    PERFECT♪戦後の日本は勝者によってものの見事に詰まされてしまいましたね。しかるに中東、、どうして詰まされないのか?自己を相対化できる絶対神の存在が大きく作用しているのではと愚考しております。さて詰まされてしまった日本東京裁判という初手に戻ってじっくりと感想戦を積み重ねていくしかないかな。。。

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  4. 菊地原照子 より

    何か、本意ではないですが三橋さんを詰まらいことに巻き込んでしまいましたね。すみませんでした。日本人やってて一番情けないと思う時です。勝ち負けとか、偉い偉くないとか。フェアに物事進めるのではなく、一流の振りした田吾作社会なんですから。

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