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2015年4月9日

【島倉原】「大阪都構想」の基本的哲学?

From 島倉原@評論家

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●●月刊三橋最新号のテーマは「農協改革のカラクリ」。
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※※※ フルバージョンが聞けるのは、4/10まで ※※※

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おはようございます。
このたび、拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』が刊行されることとなりました。
http://amzn.to/1HF6UyO

本書については、また機会を改めて取り上げたいと思いますが、

「日本経済はなぜ長期低迷しているのか?」
「アベノミクスは果たして正しい経済政策なのか?」
「バブル経済崩壊やリーマン・ショックのような大規模な金融危機が、なぜ周期的に発生するのか?」

という問いに対して、「積極財政論」「内生的景気循環論」という立場から、包括的な解答を提示し、「積極財政を柱として行われるべき適切な経済政策とは何か」を論じたものです。
もちろん、こうした内容の一部は本メルマガでもしばしば取り上げているところではありますが、より詳しく、まとまった形で論じると共に、政策論の背景となっている「世界観」の成り立ちについても、「リフレ派」や「(特に新自由主義的な)主流派経済学」の非現実的なそれと対比しながら詳しく説明することで、

「経済を軸として世の中がどのように動いているのか」

について、より理解を深めていただけるように仕上げたつもりです。

なお、本書は現実のデータに基づく検証を1つ1つ積み重ねるスタイルを取っているので、現実と乖離した難解な経済学の知識は決して必要ではありません。
是非、一人でも多くの方が経済の姿をより現実的な形で理解し、ひいてはより良い社会の形成につなげるための「手引き」として、ご活用いただければと思います。

さて、本題に移りましょう。
今回は、「大阪都構想」について、前回とは別の切り口から考えてみたいと思います。
前回、「大阪都構想=緊縮財政と構造改革の政策パッケージ」と述べました。
そして、GDP統計を踏まえれば、「大阪市において二重行政の無駄が生じている」という大阪維新の会の問題提起自体がそもそも事実誤認であり、大阪経済を立て直すには逆に、公共投資を中心とした積極財政を行うべきではないか、というのが前回の結論でした。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/03/26/shimakura-20/

ところで、「緊縮財政と構造改革のパッケージ」と言えば、何か思い出しませんか?
そう、本メルマガでも何度か取り上げた「小泉構造改革」です。
小泉内閣のスローガンは「構造改革なくして景気回復なし」で、国債発行額を30兆円以下に抑制することを、公約として掲げていました。

つまり、「大阪都構想」とは、小泉構造改革の発想を地方行政に当てはめた政策、と位置づけることができるのです。
「それって、単なるこじつけじゃないの」と思われた方もいるかもしれません。

いえいえ、決してそんなことはありません。
れっきとした根拠が存在します。
何せ、橋本徹大阪市長自ら、「基本的な価値観、哲学は、僕は竹中さんの考え方ですね」と述べているのですから。
https://www.youtube.com/watch?v=z1fuRZWaRKc

上記の映像は、「日本維新の会」が2012年衆院選の候補者選定のために設けた「公募委員会」委員長に、小泉構造改革を推進した竹中平蔵氏を起用した際、橋下氏がテレビ局のインタビューに答えたものです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC2701D_X20C12A9EB1000/

そういえば、橋下市長就任5ヵ月目から、「財政関係」で大阪市特別顧問を務めているのは、小泉政権時に竹中氏を支えた、かの高橋洋一氏です。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000157541.html

ちなみに、「地方に出来る事は地方に、民間に出来る事は民間に」と称して小泉政権時に行われた地方自治体の実質的な財源カットは、「二重行政の排除」ならぬ「三位一体の改革」と呼ばれていました。
これもまた、形を変えた小規模政府側(今回のケースでは大阪市)からの財源流出ではないでしょうか。

では、小泉構造改革の結果、日本経済はどうなったか。
「改革の結果、日本経済は戦後最長の景気拡大を達成した」は良く言って錯覚、悪く言えばデマゴギーに過ぎません。
なぜなら、戦後最長の景気拡大とは、アメリカ住宅バブルを筆頭とした世界的な不動産バブルによって実現した「追い風参考記録」に過ぎないからです。
同時期の日本経済は、追い風が吹いたにもかかわらず「実感なき景気回復」しか達成できず、結果として、1人当たり名目GDPの国際順位が著しく低下してしまいました。
つまり、小泉構造改革とは政策パッケージとして明らかな失敗作であり、到底真似すべき代物ではないのです。
http://on.fb.me/1ui8vDo

小泉構造改革をどのように評価すべきか、詳しくは下記メルマガ記事、および(メルマガ記事からもリンクしている)拙ブログ記事でご確認ください。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/29/shimakura-16/
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-79.html

失敗作であるはずの小泉構造改革がなぜポジティブに評価されてしまうのか、その背景をお知りになりたい方は、是非冒頭でご紹介した『積極財政宣言』を参考にしてみてください。
http://amzn.to/1HF6UyO

「『大阪都構想』が実現したことで、大阪経済の地盤沈下がより一層進む」といった事態がどうか起こりませんように…。

↓島倉原のブログ&フェイスブックページはこちら
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/
https://www.facebook.com/shimakurahajime

PS
4/10〆。月刊三橋「農協改革のカラクリ」
https://www.youtube.com/watch?v=tdZJGFU19ac

PPS
これを聞けば「成長戦略」のカラクリもわかります。

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【島倉原】「大阪都構想」の基本的哲学?への3件のコメント

  1. 地方解体 より

    >「基本的な価値観、哲学は、僕は竹中さんの考え方ですね」とそらそうですわな、至極納得です…

    返信

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  2. 小野裕幸 より

    「大阪都構想」とは、小泉構造改革の発想を地方行政に当てはめた政策の根拠が、橋本徹大阪市長自ら、「基本的な価値観、哲学は、僕は竹中さんの考え方ですね」と述べていることだというのは、いったいどういう論理なのか、さっぱりわかりません。 価値観として竹中氏の考え方の影響下にあることは事実なのでしょうが、だからといって小泉構造改革と同じ方法をとるだろうというのは、めちゃくちゃな飛躍です。 橋下氏はすでに府知事、市長を歴任しているのですから、すでに彼の方針に基づく経済政策は実行されているとみるべきで、小泉竹中論を持ち出すまでもなく、現在の大阪市の運営を見れば、彼の施策が概ね正しいのかどうかはわかります。大阪都構想に反対という立場はわかりますが、こういう無茶な屁理屈を言っているだけでは、人々の理解は得られないと思います。ほかに、もうちょっとまともな都構想批判の論理はないのでしょうか? 今の反対論を見ていると、検察が立件してみたものの、十分な証拠がなくて、小さな状況証拠を積み立てて何とか公判を維持しているような冤罪事件の裁判を見ているような気がします。 もちろん、検察に勝ち目はありません。

    返信

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  3. たかゆき より

    バカは死ななきゃ治らない♪死を経験しなければ、、永遠の命は得られないと聖書にもあります(たぶん)リフレにしろネオリベにしろ直観で嘘と判断可能な諸説を信奉なさる方々には一度でよろしいので「死」を経験していただきたいと心底願っております。死の間際にも彼等は呟くのでしょうかそれでも地球は止まっている。。。

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