From 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/
——————————————————-
●●日本は「発展途上国」へと転落するのか? 豊かで安全な日本を後世に残すための条件
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp
——————————————————-
チャンネル桜「桜プロジェクト」に出演しました。
【無差別バトルロイヤル】医療費抑制に競争原理導入は適切なのか?[桜H27/6/10]https://youtu.be/_8D-QrdMBLA
【国立競技場】財務省の緊縮財政路線が、かえって事業費の高騰と信用の失墜を招く事態に[桜H27/6/10]https://youtu.be/o7JgGwYCYR0
【明るい経済教室】その「競争」は、「切磋琢磨」じゃなく「弱肉強食」ですよ[桜H27/6/10]https://youtu.be/acl5uBO0JM8
【三橋貴明】山梨県立リニア見学センター「どきどきリニア館」レポート[桜H27/6/10]_https://youtu.be/ab6tZzhJXRk
リニア見学センターの取材が、やたら好評で吃驚してしまいました。わたくしはすでに取材で何度か訪れているのですが、初めて見た人にはインパクトがあるんでしょうね。
さて、【明るい経済教室】で取り上げた「競争」と「切磋琢磨」のように、言葉の問題は極めて重要です。わたくしが各経済用語について、必ず「定義」するのは、
「分かったような気がしている言葉を聞いて、分かったような気になったが、実は何も分かっていない」
に陥ることを防ぐためです。
医療費に関連し、都道府県を「医療費の削減で競争させる」という異常な提言が報じられました。
『医療費、都道府県ごと管理 厚労省懇、20年後にらみ提言 総額超過なら診療報酬下げ
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO87899310Q5A610C1EE8000/
厚生労働省の懇談会は9日、2035年を見すえた中長期の医療政策の提言をまとめた。都道府県ごとに医療費の総額を管理し、想定を上回った地域は保険医療の公定価格である診療報酬を減額する案を提起。医療費そのものの伸びを抑えるため、健康への影響が指摘されるたばこや酒、砂糖などへの課税を強化する案も盛り込んだ。(後略)』
最近の厚生労働省は完全に「財務省の下請」と化しており、懇談会は「医療費削減のための政策」以外は提言しない状況になっています。すなわち、緊縮財政の協力する学者「だけ」が、厚労省の懇談会(今回は「保険医療2035」)の委員になるのです。
今回の提言では、都道府県の医療費が「想定」を越えた場合、その地域の診療報酬を減らすことで総額を管理するものになっています。事前に都道府県にベッド数や医療サービスの提供量の目標を提示させ、実際の供給量が上回った場合は報酬を引き下げるわけです。
すなわち、「医療機関の犠牲」もしくは「患者の損」に基づき、医療費総額を管理しようとしているわけです。
例により、地方自治体同士に「競争」を求めており、
「医療費の抑制にきちんと取り組まない都道府県は、医療費の地方負担を増やす」
という発想になっているわけです。
直近のデータでは、一人当たり医療費が最も高いのは高知県(62万5千円)で、最も低いのが千葉県となっています。高知県の一人当たり医療費は、千葉県の1.6倍です。
チャンネル桜の番組でも話しましたが、医療費が増えるか否かは、多分に「運」に左右されます。ある年の医療費が高くなってしまうケースもあれば、低くなることもあるわけです。
だからこそ、「国家全体」「国民全体」で負担を分かち合うというのが、社会保障の基本なのですが、そこに「競争原理」を持ち込もうとしているわけです。
さて、上記の提言が政策化されて言った場合、一部の日本国民は「地方切り捨て!」と、批判するでしょう。
果たして、本当に「地方切り捨て」で話が済むのでしょうか。済まないでしょう。
診療報酬が引き下げられた都道府県は、医療サービスが劣化していき、人口が流出していくでしょう。最終的には、人口が東京圏に「さらに」集中し、国家全体の安全保障が弱体化していくことになります。
地方の人口流出と経済停滞は、「その地域の切り捨て」ではなく、日本国家全体の安全保障を弱体化させる政策、すなわち「日本国民切り捨て」の政策なのです。
上記の類の政策を聞いたとき、都市部の住民は、
「ああ、どうせ、地方の話だろ。自分には関係ない」
と、思うかも知れません。とはいえ、地域の衰退は、都市部に居住する国民の安全保障をも弱体化させます。何しろ、都市部に大震災などの自然災害が襲い掛かってきたとき、助けてくれるのは地方の国民なのです。
自然災害発生時に互いに助け合わなければ、国民が生き延びられない。
上記の国土的条件を持つ日本国において、地域間を競争させ、敗者を見捨てる政策は、
「地方切り捨て」
ではなく、
「国民切り捨て」
の政策であるということを理解する必要があるのです。
PS
「安倍政権は『国民切り捨て』の政策をやめろ!」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php
PPS
「大阪都構想」騒動とは一体、何だったのか? 三橋貴明が解説中
https://www.youtube.com/watch?v=ox0dS84nBHQ
【三橋貴明】日本国民切り捨てへの4件のコメント
2015年6月13日 2:50 PM
国民が派遣会社から派遣されて不要になったら切り捨てられる時代も間近ですね。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2015年6月14日 5:22 AM
企業経営者などが、よく「競争」という言葉を行政にも持ち込みますが、これら経営者が「マネジメントを行う経営者」なのか「お金の計算だけする経営者」なのかといえば、後者だと思います。米国の著名なマネージャの本では「内部での競争はすべて破滅的で、健全な競争など存在しない」と語られています。お互い相手が勝つのを妨げようとし、非協力的な態度が取られるようになるからです。私達エンジニアの世界でも、腕を競い合う競技・コンテストのようなものはあります。しかし、それは「勝ち」「負け」を決めるものではありません。業界全体の技術向上が目的です。競技が終わった後は、お互いに情報交換をし、上位入賞者は次第に教える側に回っていきます。負け組はいません。優勝した人も、トロフィーなどはもらえますが得をするわけではありません。むしろ忙しくなるので損でしょう。(^^;こういった全国の自治体で情報交換、ノウハウの共有などができる環境が整うとよいと思いました。今はネットもあるので、離れた自治体同士でもお互い切磋琢磨することは可能だと思います。大事なのは、そこに業務評価、待遇、報酬のようなものを持ち込まないことです。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2015年6月15日 3:17 PM
>日本国家全体の安全保障を弱体化させる政策 先日、“おかあさんの木”と言う映画を観ました。戦闘戦争映画よりも戦争映画らしく思えました。息子六人みんな戦争に取られ、ひとり生き残った息子がやっと帰ってきた時にはおかあさんは亡くなっていたなんて…。 昔の武器戦闘とは違うものの、今の政府は労働的に戦闘状態を造り過熱させて行っているのと変わらないと思います。そして過酷さは若者にもツケをまわしていくとしか思えません。普通に仕事に従事することが昔の戦争に息子をとられていったことと何ら変わらない世界が造られているのです。 まさに政府は戦争突入状態をこしらえているようなものです。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2015年6月17日 6:31 AM
倫理の誤謬政治における統治の倫理経済における市場の倫理これらを取り違えてはならない と柴山桂太さんが仰ってたように記憶しております。政治に市場の倫理を導入するとどうなるか?このようになるのでございますね。消費税増税やら緊縮財政の自傷行為は己の手足を切り刻むまでにエスカレートし最後は壁にむかって死ぬまで頭を打ち続けなければ気が済まぬのでしょうか。。。彼等の行為はすでに病名を冠すべき状態にあるとぼくは認識しております。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です