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2015年6月10日

【三橋号外】国家の自殺

From 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

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●●発展途上国への転落を防げるか? 見えざる日本の危機とは
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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日本が1997年以降、公共投資・公共事業を容赦なく削減し、さらに公共調達の一般競争入札化や談合弾圧により、国内の土木・建築企業、つまりは、
「国内の土木・建築という需要に対し、供給する力という意味の経済力」
を叩き潰して来た現実について、わたくしは講演で「国家的自殺」と表現しています。

世界屈指の自然災害大国であり、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震といった大震災の脅威が迫り、先日取り上げた下水道を始め、高度成長期に建設したインフラストラクチャーが老朽化し、さらに将来的にインフレギャップになるのが(人口構造上)必然で、生産性を高めるためのインフラ整備が欠かせない我が国において、土木・建築の供給能力を政策的に毀損してきたのです。これを、国家的自殺と呼ばずして、何と呼ぶべきなのでしょうか。

しかも、政治家やマスコミが土木業者、建築業者を叩き、公共投資・公共事業の予算を削減していくことを、国民は支持しました。デフレ期に「需要削減」を支持したのに加え、いざ非常事態(大震災など)が発生した際に、自分たちを助けてくれる国民(土木業・建設業)の方々を、ルサンチマン丸出しで攻撃することを続けたのです。

まさに、愚民、でございます。

ちなみに、国家的自殺は今でも続いており、特に財務省は公共事業の予算拡大を防ぐべく、経済財政諮問会議の民間議員と称する民間人の学者に公共事業を否定させ、さらに手下の公正取引委員会に土木・建設プロジェクトについて「談合探し」の嫌がらせをさせています。

なぜ、公正取引委員会が財務省の手下と断言するのかと言えば、歴代の公正取引委員長のほとんどが大蔵省=財務省を出身母体としているためです。現在の杉本 和行委員長にしても、もちろん元財務省の事務次官でございます。

財務省から予算削減、談合禁止法違反疑惑など、様々な嫌がらせを受け、国内の土木・建築業の方々のビジネスは困難になっていっています(現在も)。こんな有様で、「次の大震災」という非常事態を、我が国は乗り越えることができるのでしょうか。事実を知れば知るほど、不安になります。

そもそも、大震災が来なかったとしても、我が国は「インフラ老朽化」により、国民の普通の生活が脅かされる事態に至っているわけです。

『関東の橋の3本に1本が“今すぐ”崩落してもおかしくない!? 「歩道橋・橋梁」老朽化の惨状
http://nikkan-spa.jp/854342
51年前に開催された東京五輪に際して、大規模なインフラ開発が行われた首都圏。しかし、2度目の東京開催となる’20年五輪を控えた今、足元を支えるインフラは次々に老朽化の危機を迎えている。現地で目にしたその惨状は想像を絶するものだった……
◆老朽化で通行止め、通行規制だらけに<歩道橋・橋梁>
歩道橋や橋梁については、なんと昨年、道路老朽化に関する国交省の有識者会議で「最後の警告 今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」と、まるで最後の審判を予感させるような悲壮な言い回し提言が出たほど深刻だ。
同提言では「橋梁では、通行止めや車両重量等の通行規制が約2000箇所に及び(中略)この5年間で2倍と増加し続けている。地方自治体の技術者の削減とあいまって点検すらままならないところも増えている」とまで書かれた。(後略)』

老朽化インフラの点検、整備、メンテナンスは、「予算(おカネ)」があったとしてもできるとは限りません。予算があっても、実際に現場で作業を「高品質」に実施できる技術者、技能者がいなければ、老朽化インフラは「崩壊インフラ」と化すだけです。

経済力とは、おカネの有無ではありません。例えば、老朽インフラのメンテナンスといった「需要」を、国内の供給能力で満たせるかどうか。満たせる国のことを「経済力が高い国」もしくは「先進国」と呼ぶのです。

我が国は財務省の緊縮財政主義、構造改革、そして国民の「世論」によって、土木・建築関連の需要を満たせない「発展途上国」への道をひた走っています。特に、このまま若い世代への技能継承、技術継承が進まない場合、現役世代が引退した途端に、我が国は、
「インフラは老朽化しているが、どうにも対処のしようがない」
国へと落ちぶれているでしょう。と言いますか、すでに落ちぶれつつあります。日本はすでに、発展途上国化しているのです。

とはいえ、嘆いてばかりいても始まりません。解決への道は、明らかなのです。

わたくしは政治家でも官僚でもないため、緊縮財政や構造改革を政策的にストップしろと言われても、不可能です。とはいえ、世論を動かすことはできます。

世論を動かし、政治に影響を与え、我が国の国家的自殺にストップをかける。皆様のご支援、ご協力をなにとぞよろしくお願いいたします。

PS

「日本の国家的自殺にストップをかけよう!」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを! 6/10まで。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

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【三橋号外】国家の自殺への3件のコメント

  1. lemoned@F-NAK より

    >1。…経済の場合は理論だけで歴史の後付けをして、経済学は、いまだに工学的な概念がないのが未熟だと私も思いますね。少なくとも社会科学の要素がな強くなければいけないのに、自然科学や酷い場合は形式科学であるかのような言説さえ見かけます。>2。大阪都構想に…大阪を2極の1つに育てなければいけない、というのは私も賛成です。そして大阪都構想というプロジェクトが、それを実現するものであれば「大阪都構想にも賛成」で問題ありません。しかし、プロジェクト計画書である「協定書」は、それを実現するものになっていたでしょうか?工学を実践している技術者であるなら分かると思いますが、プロジェクト計画がプロジェクトの目的を全く達成でいないのであれば、却下せざるを得ません。>3。改革しないで…技術者は「改善」という言葉は使っても「改革」という言葉は使いません。プロジェクトの規模が大きいほど「無計画」が致命傷になるのを知っているからです。「改革」とは計画性のあるプロジェクトを表す言葉ではありません。>4。評論家は何を言っても責任を取ることはない…「評論家」を「改革者」に置き換えても全く違和感のない文章になります。技術者であるあなたは、どのような結果を観察し、今回の協定書の理論の正しさを結論づけたのでしょうか?

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  2. 山田裕 より

    1。いつも読んでおります。私は技術者でしたから経済の理論は殆ど知りません。技術の場合は実験を観察し結課から理論の正しさを結論つけます。経済の場合は理論だけで歴史の後付けをして、恰も自分の信じる学派の政策が正当と思っているみたいに感じます。2。大阪都構想に僕は賛成でした。大阪は2極の1つに育てあげなければ、東京に大災害が起きた時日本の司令塔がないのと同じ。大阪市だけの話ではなかったはずです。 3。改革しないで今まで通りの方法では元の木阿弥になる可能性が大きい。貴方達は行政改革の推進を阻止したことになる。大阪市だけを考えれば、そうかもしれないが日本全体を考えた時あなたや藤井教授は間違っていると思う。4。評論家は何を言っても責任を取ることはない!でも、世論誘導する場合には責任を持つ必要があるだろう。もっとも結果が出る頃には生きていないかもしれないほど長い時間か今の制度ではかかる。

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  3. 村越 より

    本日の三橋先生のメルマガを拝見し、コメントしたくなり駄文承知の上でお送りしました。以前にも似たテーマで同じようなコメントをお送りしていますので、シツコイかも知れませんが悪意はありません。私は、藤井先生や三橋先生のようなちゃんとしたデータに基づいた緻密な思考は出来ません。NHKの大河ドラマを見て、初めて世の中の事を思ったりする程度の人間です。従って、正確で責任を持て言えるような議論はできず、「佐藤健志氏がメルマガで強調されている物語」で世の中の動きを理解しようとする類の人間です。私は、本日の三橋先生の文を読み、尊皇攘夷に揺れた幕末を想起しました。勿論幕末の時代を体験した訳でなく、また歴史に詳しい筈の無い私ですので、NHK大河ドラマ (竜馬伝) がその元になっています。欧米列強の脅威に晒されながら同時に底辺であえぐ民衆(竜馬とその仲間は郷士の身分で事実上は被差別民並であったとか?) が、尊皇攘夷を唱えながら最終的には倒幕に梶をきり、攘夷そっちのけで寧ろ列強の手助けを頼りに倒幕を断行した姿がダブリます。底辺で喘ぐ人間は、高所の視点 (マクロ) よりもっと強烈に意識するのは個人の熱 (情念・怨念) であり、結局幕藩体制と言う絶対不動のピラミンドの破壊であったような気がします。それを達成しない事には始まらないと言う意識であったのでは?当然、これは文字通り革命です。しかも、国外の手助け (外圧) を利用した。今日の状況も、何かそれに類するものがあるような気がしてなりません。幕藩体制と言うピラミッドは、公共事業中心の土建業界です。談合は常に影で行われ、ピラミッドの頂点にはゼネコンが君臨し、その下には下請け孫請けの序列が形成され、この関係は事実上不動のように見えます。上下関係が厳しく、最底辺の民は常にピンハネされるのが世間相場となっています。これでは、幕藩体制そのもです。この事実があったにしても、三橋先生や藤井先生の言われる高所マクロな議論は、間違っていないと私は思っています。しかし、それをそのまま推し進める事は、事実上幕藩体制 (ピラミッド) の是認となる事も事実であります。公共事業嫌いの多くは、幕末に動いた志士同様の思いがあるように思えてなりません。

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