From 佐藤健志
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先週の記事では、中野剛志さんの著作『資本主義の預言者たち ニュー・ノーマルの時代へ』(角川新書)を題材に、
社会規模において、過去・現在・未来に(おおよそ)
という点を提起しました。
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しかるに「過去・現在・未来に筋を通す」というのは、じつは「
論より証拠、中野さんは京都大学にいたころ、
私との対談本『国家のツジツマ 新たな日本への筋立て』(VNC)で、
(人間が物語を必要とする理由の一つは)時間という問題ですね。
三十のときの僕、二十のときの僕、十五のときの僕、今の僕、
(22ページ。カッコは引用者。文中の年齢は刊行当時のもの)
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つまり経世済民の実現は、「社会全体で<良い物語>
ならば<良い物語>をつくるうえでポイントになるのは何か。
まず重要なのは論理性です。
筋の展開がワケワカでは、
名演出家・浅利慶太さんの言葉を、
芝居は太い筋の上に、
(『浅利慶太の四季』第二巻、慶應義塾大学出版会、
しかるにお立ち会い。
物語の論理性を弱める大きな要因の一つは、
この傾向、「プロット・ヘヴィー」(起伏過剰)と呼ばれます。
典型的な例は、最近のハリウッド娯楽映画ですね。
「とにかく盛り上げなければ!」とばかり、
すると、どうなるか?
まず登場人物の描写が浅薄になる。
独自の意志と人格を持った存在というより、
台詞も、どこかで聞いたようなものになりやすい。
つづいて場面と場面の間のつながりが弱くなる。
派手な見せ場ばかり、
映像自体は、アクションが工夫されていたり、
けれども筋が緊密さを欠き、人物描写が浅薄な作品で、
そうです。
「何でもあり」の印象が強まり、
さて。
これを『資本主義の預言者たち』における、
不安定に変動する、不確実性の高い社会においては、人間は、
(256ページ)
将来の見通しをおおよそ立てることができる安定した社会でなけれ
そのような不安定な社会で自由を認められても、
(270〜271ページ)
そっくり同じだと思いませんか?
実際、中野さんの記述をちょっと書き直せばこうなります。
メリハリをつけようとしすぎた作品は、不安定に変動する、
筋の見通しを(観客が)おおよそ立てることができる、
そのような不安定なシナリオのもとでは、
中野さんは『資本主義の預言者たち』の結論部分で、
さらに当該の経済システムは、
この主張、経済論議としてはパラドキシカル(逆説的)
過剰なメリハリから解放されたシナリオのもとでこそ、
登場人物もふくらみを持ち、
そんな作品は、爆発的大ヒットにはなりにくいものの、
シェイクスピアは演劇を「時代にたいして掲げられた鏡」
ではでは♪
PS
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<佐藤健志からのお知らせ>
1)パラドックスと言えばこの本!
三橋貴明さんも「読んで『これだ!』と思った」と絶賛!
こんなコメントもいただいています。
「三島由紀夫の言葉を借りれば、
「愛国のパラドックス 『右か左か』の時代は終わった」(アスペクト)
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2)<プロット・ヘヴィー>でコケるのは、
自分の発言に無理やりメリハリをつけようとすると、
KADOKAWAのメルマガ「踊る天下国家」最新号、
「<お花畑>と全体主義〜自民党大会から見えてくるもの」。
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バックナンバーもどうぞ。
どれも音声ファイルがついています。
「恐怖の<ダブルお花畑>〜曽野綾子さんのコラムをめぐって」
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「さらば、愛の行為よ〜日本で男女関係は成り立つか」
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「『テロに屈しない』という現実逃避〜政府と野党の欺瞞の構造」
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「日本よ、自己欺瞞をやめろ!〜
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「石原慎太郎から安倍晋三まで〜2015年はどんな年になるか」
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3)戦後という物語の筋立てがはらむ問題点については、
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4)「国家のツジツマ」には、
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5)「金銭の扱いに強いのは良いことである。ただし、
225年前の警告は、現在も生き続けています。
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6)そして、ブログとツイッターはこちらです。
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