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2015年3月4日

【佐藤健志】うわべ高潔、じつはガツガツ

From 佐藤健志

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●世界を動かす力の正体とは?

https://www.youtube.com/watch?v=xSpcGUoATYk&feature=youtu.be

※※月刊三橋『激流グローバルマネー』より

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田母神俊雄事務所で発生した資金使い込み事件は、いわゆる「保守派」全体を揺るがす騒ぎに発展しかねない模様です。

2013年秋、安倍総理が消費税の8%引き上げを決めたあたりから、保守派では内部対立や離反が少なからず見られたわけですが、今回の事件は重大さが違う。

まず田母神氏は、自衛隊出身ということもあって、保守派のヒーローと目されてきた人物。
2014年はじめ、都知事選に立候補したときなど、チャンネル桜の水島社長が選対本部長を務めたこともあって、保守派が総出で応援した感がありました。
本紙編集長、三橋貴明さんもその一人です。

そんな人物の事務所で数千万円規模の使い込みが起きた。
当の資金(の大部分)は、田母神氏が日本を良くするだろうと信じた支援者が寄付したもの。
田母神氏自身、ツイッターで「浄財」と形容しています。
https://twitter.com/toshio_tamogami/status/568555440969277440

政治資金をめぐる法的な規制もさることながら、道義的・倫理的に言って、一円たりともムダに使うことは許されないお金のはずなんですね。
支援者の期待や信頼を裏切った、そう言われても弁明の余地はないでしょう。

のみならず。
使い込まれたお金は、当初、生活費や遊興費に消えたと説明されていました。
これだって、とんでもない話です。
ところがここに来て、そのうち2000万円程度は、都知事選を手伝った人々への買収に使われたのではないかという報道がなされました。
何名かはお金の受け取りを拒絶したが、もらってしまった人もいるとのこと。

さらに。
くだんの報道によれば、田母神氏本人も「14,000,000」なる金額を受け取ったとか。
単位が「円」なら1400万円です。

田母神氏自身はこれを否定していますし、他にも関係者の話が食い違うところがあるものの、警視庁も重大な関心を寄せているらしいので、いずれ全容が明らかになるでしょう。
だいたい使い込みが起きたこと自体は誰も否定できない以上、田母神氏が支援者の期待や信頼を裏切ったのは揺るぎません。
あとは、どこまで裏切ったのか、という点をめぐる検証が残るのみ。

あまりのことに三橋さん、すでに三度にわたり、ブログでこの問題を取り上げました。
発表順に
・「愛国のパラドックス」(前編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/day-20150220.html
・「愛国のパラドックス」(後編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/day-20150221.html
・「正気(せいき)の歌」
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11994529086.html
となります。

とくに「正気(せいき)の歌」では、こう嘆いています。
いわく。

(都知事選の際)わずか一晩で12000枚の「田母神俊雄」のポスターを、公示板に貼ってくださった皆さん。
凍えるような寒さの中、懸命に「日本国のために」ビラを配り続けたボランティアの皆さん。
勝利の可能性が極めて低いにも関わらず、それでも「勝利」のために毎日、ポスティングをして下さった皆さん。
「田母神俊雄が日本国を『良い方向』に変える」ことを信じ、献金し、懸命に選挙運動を戦い、全国から東京都民に電話をかけて下さった皆さん。
国を愛する「日本国民」の努力が、穢(けが)されてしまいました。

・・・ここで私が思い出すのは、
「NICE GUYS FINISH LAST」
という英語のことわざです。

直訳すれば「善良な人々がゴールにたどりつくのは一番最後」で、つまり「善人は冷や飯を食わされる」の意。
しかしアメリカの社会学者マリオン・リーヴィ(女性風の名前ですが男性です)は、これを辛辣にひっくり返しました。

すなわち「LAST GUYS DON’T FINISH NICE」。
ふたたび直訳すれば「一番最後にゴールにたどりつく人々は善良でない」ですが、要するにこういうこと。
自分は冷や飯を食わされてきたという被害者意識を持っている人間は、いい思いができそうだとなるや、人一倍ガツガツする」

残念ながら、これはしばしば真実です。
しかるに問題なのは、戦後日本では左翼的なイデオロギーの方が、ずっと主流だったこと。
ついでに自衛隊も、長らく日陰者扱いされてきた組織です。

言い換えれば保守派(少なくともその一部)は、「自分は冷や飯を食わされてきた」という被害者意識を抱えている恐れが強い。
そんな人々が、第二次安倍内閣の成立によって「これでやっと自分たちの時代が来た!」と舞い上がったら、どうなるか?
お分かりですね。
人一倍ガツガツするんですよ!

しかも厄介なことに、この手の人々に限って「自分は真に日本のためを思っている、公平無私で高潔な人物だ」という自己欺瞞に陥っている。
「LAST GUYS DON’T FINISH NICE」が、もともと「NICE GUYS FINISH LAST」のひっくり返しなのを踏まえれば、なぜかは明らかでしょう。

つまり当該の人々は、「冷や飯を食わされている」という被害者意識に苦しんだあげく、
「自分は公平無私で高潔な人間だからこそ、私利私欲の塊みたいなヤツらに敵視され、冷や飯を食わされているんだ」
とする言い訳に救いを求めたのです。

そんな言い訳に救いを求めること自体、自分の中に「もっといい思いをしたい」という私利私欲がひそんでいる(=「うまくやっている」連中に嫉妬している)ことの表れなのですが、むろんそれに気づきはしない。

こうして、
「うわべは国を思う高潔な人物のふりをしているが、じつはガツガツした私利私欲に突き動かされており、しかもそのことに無自覚」
という人間ができあがります。

このような人間が、ガツガツするチャンスが回ってきたとき「ずっと冷や飯に耐えてきたのだから、これくらいは許されて当然」と食らいつくのは、避けがたい顛末と言えるでしょう。

断っておけば、上記の分析は
1)「冷遇された」という被害者意識を持つ人間はガツガツしやすい。
2)戦後日本では、左翼的なイデオロギーが主流だった。
3)そして自衛隊も、長らく日陰者扱いされてきた。
という三つの事実を踏まえた一般論です。

田母神俊雄氏という特定の個人、あるいは氏の事務所からお金を受け取ったとされる人々が、この一般論に当てはまるかどうかは分かりません。
心から日本のためを思って公平無私に行動していたが、ちょっと脇が甘かっただけという可能性もありえます。

ただし善意の方々から寄せられたお金が数千万円規模で使い込まれたのも、否定しがたい事実。
そして安倍総理がおっしゃるとおり、政治はあくまで結果が全てなのです。

ではでは♪

<お知らせ>
1)「社会改革を目指したからといって、いきなり聖人君子になれるはずはない」(91ページ)
「保守派について一番気になるのは、戦後レジームの解体を目指す自分の中にも『悪』がひそんでいるのではないかという疑問を持とうとしないことだ」(56ページ)

三橋貴明さんも「読んで『これだ!』と思った」と絶賛!
発売以来、37日間連続でアマゾンのイデオロギー部門1位を記録しています
「愛国のパラドックス 『右か左か』の時代は終わった」(アスペクト)
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2)恋愛に関心を持てず、セックスには嫌悪感までおぼえる若者が増え、夫婦の半数近くはセックスレスとなっている現在の日本。
その背景には何があるのか?
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最近のバックナンバーもどうぞ。
「『テロに屈しない』という現実逃避〜政府と野党の欺瞞の構造」
http://ch.nicovideo.jp/k-chokuron/blomaga/ar726619
「日本よ、自己欺瞞をやめろ!〜イスラム国の拘束事件をめぐって」
http://ch.nicovideo.jp/k-chokuron/blomaga/ar716370

3)いわゆる保守派が、どんな自己欺瞞に陥りやすいかについては、この本もどうぞ。
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4)「言志」03号(2015年3月号、ビジネス社)に「戦後日本のサクリファイス」が掲載されました。
同号には「愛国のパラドックス」の書評も掲載されています。

5)「表現者」59号(2015年3月号、MXエンターテインメント)に、「ヒトラーがSF作家だったら」が掲載されました。
同号の特集座談会「プラトンに倣(なら)い、民主主義を疑え」にも参加しています。

6)そして、ブログとツイッターはこちらです。
ブログ http://kenjisato1966.com
ツイッター http://twitter.com/kenjisato1966

PS
月刊三橋の次号のテーマは「農協改革のカラクリ」。
マスコミが報じない裏のカラクリを徹底解説
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

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