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2015年2月21日

【三橋貴明】デフレ・レジーム

From 三橋貴明@ブログ http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

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●世界を動かす力の正体とは?

https://www.youtube.com/watch?v=xSpcGUoATYk&feature=youtu.be

※※月刊三橋『激流グローバルマネー』より

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日本の14年10−12月期のGDP成長率速報値が発表になりました。

『GDP予想下回る2.2%増、10−12月成長転換も「極めて緩やか
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJOV3M6K50XW01.html
昨年10−12月期の実質国内総生産 (GDP)速報値は前期比年率で2.2%増と、3四半期ぶりのプラス成長となった。個人消費や設備投資が想定ほど伸びず、事前の予想は下回った。
内閣府が16日発表したGDP速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増。項目別では全体の約6割を占める個人消費が0.3%増。設備投資は0.1%増。公共投資は0.6%増。在庫の寄与度はプラス0.2ポイント、外需の寄与度はプラス0.2ポイントだった。
ブルームバーグ・ニュースによる事前調査の予想中央値は年率換算3.7%増、前期比0.9%増だった。7−9月期の実質GDP成長率は前期比0.6%減、年率換算2.3%減に下方改定された。(後略)』

一文で書くと、
「輸出は回復の兆しがあるものの、個人消費、設備投資が弱く、内需は公的固定資本形成(公共投資から「用地費」を除いたもの)で下支えされている。しかも、実質GDP0.6%成長のうち、0.2%は在庫増分」
という状況です。

細かく見てみましょう。実質値の各需要項目の動きです。(対前期比:%)

・民間最終消費支出 0.3%
・民間住宅 ▲1.2%
・民間企業設備 0.1%
・民間在庫変動(寄与度) 0.2%
・政府最終消費支出 0.1%
・公的固定資本形成 0.6%
・輸出 2.7%
・輸入(控除) 1.3%

GDPデフレータの対前年比は2.3%。もっとも、GDPデフレータは「消費税増税」の影響で上がります。日本のGDPデフレータが「真の意味でプラス化したか、否か」は、2015年4−6月期の数字を待たなければなりません。

2015年の動きですが、少なくとも14年末(速報値)段階までは民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備という三大民需が、精々が「回復の途上に着いた」(民間住宅はまだですが)段階で、政府が緊縮財政というわけです。政府支出が内需を下支えしている状況で緊縮財政を実施した日には、我が国の経済は間違いなく再失速します。

そして、緊縮財政でGDPが伸び悩む中、政府からは、
「デフレには更なる量的緩和で対処」
「成長力回復のための構造改革」
という的外れの政策が出てくることになるでしょう。と言いますか、先日の安倍総理の施政方針演説を聞く限り、
「農業(農協改革、 農業委員会の改革など)」
「法人税(法人税引き下げ)」
「医療(混合診療)」
「電力(発送電分離)」
「ガス(小売全面自由化)」
「社会保障改革(社会保障費引き下げ)」
「地方創生(特区)」
と、日本の食料安全保障、エネルギー安全保障、医療安全保障などを弱体化させ、企業間格差、地方間格差、そして雇用者間格差という三つの格差を拡大する方向に全速力で突っ走ることになりそうです。
正しいデフレ対策である政府の需要創出に背を向け、緊縮財政と構造改革という、まさにバブル崩壊後の日本を弱体化させた「デフレ・レジーム」の推進が、今後の我が国で続くことになります。

先日も書きましたが、デフレにより日本の経済成長が阻害され、近い将来、中国の経済規模が我が国の三倍、四倍に達した時、軍事支出は恐らく十倍に近い差がついていることでしょう。十倍の軍事支出の規模を持つ共産党独裁国、しかも「反日」を国是としている国に、我が国はいかにして立ち向かえばいいのか。立ち向かいようがない、というのが答えです。

個人的に、そんな未来は御免こうむりますので、精々、足掻くと致しましょう。

PS
世界を動かす力の正体とは?(月刊三橋『激流グローバルマネー』より)
https://www.youtube.com/watch?v=xSpcGUoATYk&feature=youtu.be

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【三橋貴明】デフレ・レジームへの3件のコメント

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  2. ぬこ より

    タイトルが、「デフレ」ではなく、「デブれ」となっておりマウスわよ。ある意味、今後国内の内需を高めるべく層の厚い(fat,デブ)公的支援が求められているちゅう事は判りマウスわよね。ちなみに、今後は、反日シナ朝鮮は元より、アメリカのエリート層(民間FRBの投資家人脈)との折り合いが政治家には求められるのでせうか?最近、馬渕睦夫大老がその辺の事を著書になさっておりマウスが、最早陰謀論でもなんでもないと露呈されてきておりマウスわよね。度々こちらで書かせて戴きましたが、ベンジャミンフルフォードさん著書の「図解 世界を牛耳る巨大企業 」を読むと、TPPと多国籍企業と彼ら国際金融家の繋がりがよく判りますよね。日本が20年デフレを継続して、国際競争力が落ちるだけでなく、シナ経済に投資し、その手数料で儲けに儲けたのは彼らウォールの投資銀行だった気がしますのん。そしてその風潮をアピールしてたのがフルブライド上りの所謂新自由主義的傾向のあった経済学者ではありませんどしたっけ?(当時、ガラにも無くビジネス誌を読み漁って洗脳されておりましたので、よく判りますのん)ここまで明確なら陰謀ですら無いと思っておりますが、何故か保守派の皆様はここの視点が抜けていると言うか、意図的に外していつまでもシナコリアで盛り上がってますよね。自らを保守派では無いと公言なさる三橋大老の気持ちも判らないでは無いどすわよね。とはいえ、三橋大老も下手な陰謀論者のレッテルを貼られない様に(実際はもう陰謀でも無いけど)、事実とデータでのみ解説してる辺りが、賢いと言うか戦い方を知っているなと敬服する次第どす。

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  3. 神奈川県skatou より

    未来というものは、理屈を言って笑うものでなく、事実をみつめつつ足掻くものに来ると、自分は信じてます。政府に限らず、リーダーというのは、意外と熟慮する余裕も、詳細を確認する時間もなく、過去の成功体験で押し流されてしまうとすれば、小泉政権の具体的反省が薬になるのかなと、ふと思った次第です。断言するというのは難しく、オモテウラのない現代では断言すると自他ともに信じなくてはいけないという、それはたしかにサヨクな時代かなと、いやいや・・・

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