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2015年1月21日

【佐藤健志】景気回復と経済再生はイコールか

From 佐藤健志

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先週の記事では、「地方自治は取りこぼしが許されない」という達増拓也・岩手県知事の発言をご紹介しました。
そのうえで、これは地方自治に限った話ではなく、国政にも当てはまる(あるいは、国政にこそ当てはまる)という議論を展開したわけですが。

達増知事の発言には、まだまだ注目すべき点があります。
あらためて、引用しましょう。先週とは抜粋の仕方、および範囲を少し変えました。

地方自治法にある「住民の福祉の増進」は、すべての住民の方が一人残らず享受すべきものです。
被災者であればなおさらで、現在も仮設住宅などに避難されている方は、岩手県だけで3万6825人に上ります(2013年10月10日現在、復興庁による)。
被災の範囲をもっと広く取ると、5万人もの被災者の皆さんが今日も不自由な暮らしを余儀なくされています。大事なのは、一人ひとりに事情とニーズがあり、その人ごとの復興があるということです。
「一人一復興計画」の総体が、県の復興計画です。県がスイッチを押せば、全体が自然に動くというものではない。

まったくの正論です。
しかるに震災復興のみならず、経済再生、ないし「日本再生」についても、同じことが言えるのではないでしょうか。

文中の「住民」を「国民」に、また「福祉の増進」や「復興」を「経済再生」に置き換えてみましょう。
すると、以下の論点が導き出されます。

1)経済再生の成果は、すべての国民が一人残らず享受すべきものである。
2)国民一人ひとりに事情とニーズがあり、その人ごとの経済再生がある。
3)国の経済再生策とは、「一人一経済再生」の総体でなければならない。
4)政府がスイッチを押せば、全体が自然に動く(=半ば自動的に経済再生が実現される)というものではない。

(4)の「スイッチを押せば」は、「規制緩和や構造改革を推進すれば」と読み替えられるでしょう。

なるほど、(1)や(3)について、100パーセントの実現を望むのは「ないものねだり」に属します。
だとしても、この理想に少しでも近づくことをめざさなければ、経済再生の達成はありえません。

となると、「景気回復」と「経済再生」は、必ずしもイコールではないことになります。
景気回復は、国民の一部が成果を集中的に享受する形(=社会的な格差の拡大を伴う形)でも達成可能かも知れない。
それどころか、経済のグローバル化が進んだ現在では、日本における景気回復の成果を、外国の富裕層が(少なからず)享受することだって考えられます。

しかしそれでは、経済再生、まして日本再生が実現されたとは言えないでしょう。
経世済民、つまり「世の中を治め、人民の苦しみを救うこと」(『広辞苑』の定義です)の実現をめざすのが、本来の意味での経済。
景気回復の成果を、原則的にすべての国民が享受できて、初めて経済再生、ないし日本再生と呼ぶに値するのです。

ならば「景気回復」を、「経済再生」へと変換するには何が必要か。
お分かりとは思いますが、社会的な連帯感であり、それに支えられた健全なナショナリズムです。

景気回復_(社会的連帯感+ナショナリズム)=経済再生、または日本再生

そんな等式を想定することも可能でしょう。

しかるに上記の等式にしたがうと、「社会的連帯感+ナショナリズム」がマイナスの場合、「景気回復」がプラスであっても、「経済再生(日本再生)」はマイナスになってしまう。
片や「社会的連帯感+ナショナリズム」がマイナスとは、(新)自由主義とグローバリズムが強すぎることにひとしい。
これからの世界では、ナショナリズムとグローバリズムの対立が大きな軸となるのではという三橋貴明さんの主張も、このような文脈で考えるとき、さらに重要な意味を持ちます。

「景気回復」がマイナスで、かつ「社会的連帯感+ナショナリズム」がマイナスでも、「経済再生(または日本再生)」はプラスとなりますが、こちらは「景気が悪く、かつ人々が助け合おうとしないことに絶望したあげく、経済や政治のあり方を根本から変えようとする動きが盛り上がる」と解釈できるでしょう。

ただし中野剛志さんとの対談「日米関係のコモン・センス」(『Voice』2014年9月号)でも述べたように、政治では数学と異なり、マイナスにマイナスをかけても、結果はまたマイナスになってしまう。
経済再生、ないし日本再生への正しい道は、社会的連帯感とナショナリズムを踏まえた景気回復しかないのです

ちなみに達増知事、地方創生についても、本年1月11日のブログ「平成27年・一年の計」でこう語られました。

「地方創生」は、地方が主役になる内需拡大型の経済社会を実現する構造改革でなければなりません。岩手の農林水産業、ものづくり産業、商業・サービス業の担い手が価値創造力を高め、高付加価値の財やサービスを提供し、岩手経済の生産性が高まる、というサイクルを目指します。人間を大切にする経済社会を、「地方創生」の目的としたいと考えます。
http://ameblo.jp/tassotakuya/

生産性の向上をカギとする内需拡大型の成長を通じて、「地元(の人々)」がゆとりを持って暮らせる社会をつくる。
「地元」を「日本」に置き換えれば、まさに今、われわれがめざすべき方向にほかなりません。

アベノミクスも、ぜひこちらの路線に進んでほしいものです。
ではでは♪

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