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2014年12月24日

【佐藤健志】安倍政権の「三段逆スライド」化

From 佐藤健志@評論家、作家

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総選挙の結果は、みなさんご存知の通り、自民党が291議席を獲得、選挙前の勢力を維持しました。
「維持」と言っても、解散したころは、270議席を取れるかどうかが勝敗ラインと言われていたのですから、やはり大勝でしょう。

マスコミの中には、自民党が300議席を取るとか、果ては全体の三分の二にあたる317議席まで行くと予想したものもありましたが、さすがにそこまでは行きませんでした。
ただしこれらの予想については、当の自民党からも懐疑的な声があがっていたので、あるいは「勝ち側に賭けすぎた」ということかも知れません。

とまれ2012年、自民党総裁の座にカムバックしていらい、安倍晋三さんは国政選挙で三連勝。
ふつうに考えれば、長期政権の基盤がいっそう固まってきたというところでしょう。

今回の選挙では、最大野党である民主党の候補擁立が進まなかったこともあって、「政権選択」がそもそも争点とならなかったわけですが、結果を見ても、国民は「自民党が政権を担うのは自明の前提」のごとく判断している感が強い。
じつのところ、これは戦後政治の王道。
自民党は1955年に誕生したわけですが、それから1993年に細川内閣が成立するまで、同党が政権を担うのは、いわば当たり前だったのです。

その意味でわが国は、いわゆる「55年体制」へと回帰しつつある印象を受けます。
ならば安倍総理、いよいよ強力なリーダーシップを発揮して、経済はもとより、外交や安全保障まで含めた「日本再生」に邁進できそうなものですが・・・

権力基盤が強固になった(はず)にもかかわらず、総理が掲げるスローガンは、一貫してスケールダウンというか、穏健化しています。

2006年、最初に政権を取ったとき、安倍総理が謳ったのは「戦後レジームからの脱却」。
それが2012年、第二次政権になると「日本を、取り戻す」になります。
そして現在、第三次政権にいたっては「まっすぐ、景気回復」。
はじめは穏健なスローガンを掲げておいて、足固めがすんだらスケールアップさせてゆくのなら分かるのですが、実際にはその逆なのです。

ここで連想されるのが、静岡県は伊東市にあるホテル「ハトヤ」の売り物として知られる「三段逆スライド方式」。
ハトヤには釣り堀があり、宿泊客が利用できるようになっているらしいのですが、魚が多く釣れれば釣れるほど、一匹あたりの値段が安くなるようになっているらしいのです。
三段階で安くなるので、「三段逆スライド」という次第。

とはいえ、なぜ安倍内閣のスローガンも「三段逆スライド」化しているのでしょうか?
ここには興味深いジレンマがうかがわれます。

総理として強力なリーダーシップを発揮するうえでは、「自民党が政権を担って当たり前」という雰囲気ができるに越したことはない。
55年体制への回帰は望ましいわけです。

しかし55年体制が存続していた時期は、戦後日本のシステム、いわゆる「戦後レジーム」が最も有効に機能していた時期でもある。
いいかえれば同体制への回帰は、「戦後レジームからの脱却」を否定する意味合いも持ってしまいます。

「日本を、取り戻す」という第二次政権当時のスローガンが、「戦後日本(の全盛期)を、取り戻す」にすり替わった。
そう形容することもできるでしょう。

しかも55年体制下、自民党が長期政権を維持できたのは、まずもって経済成長に成功してきたから。
スローガンが三段逆スライド化するのも道理ではありませんか。

55体制の構造について、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
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本紙編集長の三橋貴明さんは、安倍政権が緊縮財政路線を取りつづけるかぎり、いかに議席が多くとも長期政権とはならないだろうと述べていますが、もっともな話です。
世の中、「負けて勝つ」こともあれば「勝って負ける」こともある。
景気回復が達成できるか、さらには「戦後」を変えてゆけるか、2015年こそ安倍政権にとって正念場になると思われます。

では皆さん、素敵なクリスマスを♪

<お知らせ>
KADOKAWAちょくマガ「踊る天下国家」が更新されました。
今回のテーマは「アベノミクスの成否はゴジラに聞け!」です。
http://ch.nicovideo.jp/k-chokuron/blomaga/ar691866
または
http://chokumaga.com/magazine/free/152/15/
(ともに12月24日の08:00より)

また12月29日(月)、「西部邁ゼミナール」の年末スペシャルに出演します。
おなじみ、藤井聡さんとご一緒させていただきました。
TOKYO MXテレビで、17:00〜18:00放送です。
http://s.mxtv.jp/nishibe/

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