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2014年10月25日

【宍戸駿太郎】 消費税10%値上げは延期せよ ―津波は第2波以後が怖い!

FROM 宍戸駿太郎@筑波大学・国際大学名誉教授

1.誤った羅針盤で死地に追い込まれるアベノミクス

消費増税の影響はいま10月の現時点で、明快に経済指標で表れている。

また自民党内部からも増税延期説が盛り上がりつつある。海外の有識者の中にもこれを支持し、むしろ減税で景気を浮揚させよとの声まで上がっている。アベノミクスは掛け声倒れで、いったいどこへ行ったのか?・・・という声で失望の空気があふれている。このままでは第3の成長戦略をいかに巧妙に組み立てても、外資は見向きもしなし、法人税減税効果も期待できない。

元来消費税は付加価値税(VAT)が本名で、そのデフレ効果は輸出を除く全産業に波及する。犠牲は家計消費者のみでなく、財政支出、設備投資、住宅投資、を支える全産業に波及するから、複雑な減税措置に膨大な時間と費用をかけで経済のデフレ効果:とくに低所得対策に政府は追い回されることになる。

ヨーロッパの中小国ではGDPに対して輸入品の比率が大きく、デフレ効果が海外に漏出する割合が大きいため、軽減措置に費用と時間をかけても、税収は確保されてきたが、日本やアメリカのような経済大国となると、GDPに対する輸入比率は小さいから、デフレ効果は国内で膨張し、総需要と生産と雇用の収縮が大きくなる。

所得への逆進効果も大きいから、よほどの軽減措置を取らないと、国民の反発は大きくなり、将来の社会保障のためとはいえ、税収の目減りは大きくなる。

後述するように、社会保障の王道は速やかなデフレ脱出と完全雇用の持続である。

昨今までの国債の累積はこの不況対策の遅れにあり、手抜きにあるが、この点への自民党の反省はまだまだといった感じである。
なぜ反省が不十分か?それは羅針盤の老朽化に主因がある。以下に表で示そう。

 

2.‘大本営発表’

 

この表は、複数個のマクロモデルのシミュレーションを比較したものである。

shishidozu

まず内閣府はアベノミクスの司令塔の経済財政諮問会議が使用した数値、国家ビジョン研究会の使用するわれわれグループのDEMIOS(KLM型)、日経新聞社のNEEDS、電力経済研究所、大和総研、合計5つの経済効果シミュレーションである。

引き上げ幅は5%ポイントであるから、これまでの引き上げ幅(3%、ないし2%)と比べると、やや大きいが、この5つのシミュレーション結果の比較には十分な資料である。

一見してわかる通り、内閣府の経済効果は極端に小さい。大和総研も小さいが、これは、注記のとおり、GDPの落ち込みを公共投資で相殺しているので大幅に低く、今回の比較の対象にはならない。

他の3モデルのシミュレーションは2年目、3年目と大幅にGDPは低下し、5年目では4ないし6%の減少で収斂している。DEMIOSは6〜7年ごろには収束しているがこの表には表れていない。

 

驚くべきは内閣府の経済財政モデルで5%の増税でも、殆ど低下はみられない。

何故であろうか?

答えは簡単で、このモデルは供給先行型で、増税の影響をほとんど受けないからである。

小泉政権以前の政府の中期マクロモデルは、需要先行型のニュー・ケインジアン型モデルで、官学共同で開発をしてきたマクロモデルであり、内外の評価も高いものであった。

しかし小泉政権以後、IMF型の開発途上国型のマクロモデルに改悪してしまった。高度市場経済の変動予測モデルが、なぜ一次産品国ないし旧ソ連型供給先行モデルに改悪されたかの経緯は知る由もないが、高度先進国でこのような珍奇なマクロモデルを使用して短中期の予測を試みている国は皆無であり、マクロ経済政策を根底から誤り、重大な政策祖語をきたすのである。

 

さすがに民間シンクタンクのレベルは高く、消費増税効果を的確にとらえていることは当然のことで、‘大本営型’の予測発表では自身の信用問題となるからである。

では公共投資の経済効果はどうか。この問題の詳細は他の機会に譲りたいが、結論は上記と同様で、内閣府モデルの乗数効果は数年後1以下となり、財政収支の赤字は累増し、政府債務は上昇する。財政破綻に近い開発途上国の財政収支指導に執念を燃やすIMF当局には好都合のマクロモデルであるが、需要中心の高度市場経済の予測モデルとしては有害である。

xxxx

結論は、潜在GDPの分析を含む需要先行のモデルこそは、政府・民間、学会が一体となって開発し、利用すべきもので、各種の選択肢を含む政策形成のコンセンサスづくりにはこのようなモデルこそ最適の共有財産であることを銘記すべきである。

政府・与党・自民公明党は正しい予測結果の公表と政策づくりに全力を挙げることを期待したい。

PS
雇用崩壊。日本人の給料が奪われる理由とは?
https://www.youtube.com/watch?v=IsJZZaD-rPQ

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