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2014年9月17日

【佐藤健志】朝日の失態から学ぶこと

From 佐藤健志@評論家・作家

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●『月刊三橋』最新号のテーマは、「朝日新聞<従軍慰安婦>誤報問題」になります。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_china.php

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かつてこの国には、「革新三原則」と呼ばれるものがありました。
いやしくも「革新」、つまり左翼を名乗りたいのなら、満たすべき条件が三つあるということです。

順番に(1)反自民党、(2)反米・反安保、(3)憲法擁護。

しかるに現在は、「保守三原則」が代わって登場したようです。

つまり(1)反朝日新聞、(2)反中国・反韓国、(3)安倍擁護。

わけても朝日新聞批判の高まりはめざましい。
むろんその背景には、同紙が失態ばかり重ねている事実があります。

慰安婦をめぐる虚偽、ないし捏造(ねつぞう)報道だけでも、厳しく批判されてしかるべきところ。
にもかかわらず池上彰さんが、連載コラムで同紙の対応に苦言を呈するや、コラムの掲載を(いったん)拒否する始末。
福島第一原発の事故をめぐる、いわゆる「吉田調書」(同原発の所長だった吉田昌郎さんにたいして、政府の委員会が行った聴取の記録)の報道についても、重大な間違いがあったことが判明しました。

そりゃ、叩かれますわな。

さすがにまずいと思ったのでしょう、さる9月11日には、木村伊量(きむら・ただかず)社長が記者会見を行い、吉田調書をめぐる記事を取り消すとともに、みずからの辞任をほのめかしました。

ただし、これも焼け石に水というか、「対策としても不十分だし、そもそも遅きに失した」感が強い。
同紙の報道姿勢に反感を持っていた保守派の一部には「朝日新聞を解体せよ!」とか、「廃刊に追い込め!」といった主張まで見られるにいたりました。

「救国政権」などと持ち上げた安倍政権が、必ずしも期待通りの方向へと進んでゆかないことへの苛立ちをぶつけているところもあるでしょうね。
相手が朝日なら、今はいくら叩こうが、どこからも文句は来ませんし。

しかし、であります。
トマス・ペインは、かの『コモン・センス』でこう語りました。

「貴重な教訓というものは、えてして敵の言動の中に見出される。敵の失策を目の当たりにして、自分たちにも反省すべき点があることに気づかされ、ハッとさせられるのは珍しくない」
(『コモン・センス完全版』、201〜202ページ)

ペインの知恵について、もっと知りたい方はこちらをどうぞ。
http://amzn.to/1lXtL07

べつに朝日新聞を擁護するつもりはありませんよ。
けれども、朝日をつぶせば良いのだとか、朝日を解体することが「戦後レジーム」脱却への道だといった主張には、重大な盲点がひそんでいるのではないかと指摘したいのです。

ならばわれわれは、朝日の失態から何を学ぶのか?

理解のカギは、施光恒さんが9月6日付で本紙に寄稿した「朝日新聞の深層心理」にあります。

施さんはここで、朝日新聞に限らず、日本の進歩的知識人(冒頭で挙げた「革新三原則」を信奉する人たちです)は、自国を貶めることを好むとして、その理由を以下の二点にまとめました。
いわく、

(1)「知識人」は、「俺は一般人とは違う。かしこいのだ」と思いたい。そのときに「自己批判的」=「知的」という日本的な図式を利用するから。

(2)よく指摘されることですが、戦後のGHQの「日本がすべて悪かった」という政治宣伝の影響もあるでしょう。

他にも多々あるでしょうが、主にこれら(1)、(2)の理由のため、変な話ですが、マスコミや教員などの自称「知識人」業界では、「愛国無罪」ならぬ「日本批判無罪」「自虐無罪」の空気が出来上がってしまい、日本や日本人に対する批判であれば事実関係が少々怪しくてもかまわないということになってしまったのではないでしょうか。
(「朝日新聞の深層心理」より)

注目すべきは、(1)の命題において、「知識人」に「進歩的」という修飾語がついていないこと。
そうです。
自分の知性をひけらかしたがるのは、政治的な思想・信条のいかんを問わず、知識人にありがちな心の動き。

いわゆる保守系の知識人も、この点について例外ではない。
現に保守系の知識人は、戦後日本のあり方について、非常に自己批判的であることが多いのです!

すなわち施さんの分析(の前半部分)が正しいとした場合、保守系知識人も保守系知識人で、日本を貶めるのを好んでいることになる。
進歩的知識人と保守系知識人の違いは、戦前、ことに昭和前半期の日本を貶めたがるか、戦後の日本を貶めたがるかの一点のみ。

となると、(2)で指摘されたGHQ(占領軍総司令部)のプロパガンダにしても、どの程度の影響力を持ったか疑わしい。
当のプロパガンダに批判的な保守系知識人も、戦後日本を貶めるのには異論がないようなのです。

ついでに日本人、とくに知識人が、自国(わけても過去の自国)について批判的になるのは、戦後に始まった話ではない。

福田恆存さんは、1954年の「文化とはなにか」で、ハッキリこう語っています。

近代日本の歴史はどういうふうにして成り立ってきたかということを考えてみると、まことに寒々しい思いをしなければならないのです。
明治の革命(=明治維新)のときも同様ですが、今度の戦争(=太平洋戦争)のあとでも、古いものはすべて悪いのだという、じつに安易な観念ですべてが処理されました」
(福田恆存『日本を思ふ』、文春文庫、1995年、361〜362ページ。原文旧かな、表記を一部変更。カッコは引用者)

明治維新当時、GHQは存在していません。
にもかかわらず日本人、とくに知識人諸氏は、「古いものはすべて悪いのだ」という安易な観念に走ったのです。

裏を返せば、占領期のプロパガンダが果たした役割も知れたもの。
放っておいても「今までの日本(=古いもの)はすべて悪いのだ」と言い出す連中にたいして、ことさら「日本がすべて悪かった」と吹き込まねばならない必要がどこにあるか。

「自己批判的=知的」の図式は、どこまで日本特有のものかはともかく(海外の知識人が、お国自慢に終始しているとは信じられません)、近代日本において顕著であるとは言えるでしょう。
当たり前の話です。
「異質な文明を学ぶことによる、欧米化・近代化の積極的推進」という自己否定を、国の基本的な方向性に据えたんですから。

そして「自己批判的=知的」の図式(または「古いものはすべて悪いのだ」思想)に基づく主張の最新バージョンこそ、昨今、保守派の間で人気の高い「戦後レジームからの脱却」ではないでしょうか?

よって。
朝日の失態から学ぶべき教訓は、以下の3点にまとめられます。

(1)日本を何らかの形で貶めることによってプライドを満足させるのは、近代日本の知識人全般に見られる傾向である。

(2)この点に関するかぎり、朝日新聞が代表するような進歩的知識人と、朝日批判で盛り上がる保守系知識人の相違は、戦前の日本を貶めたがるか、戦後の日本を貶めたがるかというものでしかない。

(3)すなわち保守系知識人、または保守系メディアも、事と次第によっては同様の失態をしでかす危険をはらんでいる。

施さんの表現を借りれば、今回の事態の本質は
日本や日本人に対する批判であれば事実関係が少々怪しくてもかまわない」
という思い込みにある。

この「日本」や「日本人」の頭に、「戦後」がついたらどうなるかということですよ!

『国家のツジツマ』からも抜粋しておきましょう。
「(戦後のあり方に批判的な)保守の人々は、左翼の歴史観を『日本の過去を否定する自虐的なもの』と批判します。
とはいえ彼らの主張も、うわべこそ威勢良く見えますが、根底では負けず劣らず自虐的なのです」
(237ページ)

私と中野剛志さんの対話を、もっとご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
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私の公式サイト「DANCING WRITER」(http://kenjisato1966.com)でも、このような近代日本(人)の問題について、さらに掘り下げています。
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こちらもよろしく!

ではでは♪(^_^)♪

PS
『月刊三橋』最新号のテーマは、三橋貴明が朝日問題を徹底解説
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【佐藤健志】朝日の失態から学ぶことへの12件のコメント

  1. kanata より

    aの答えの場合、「日本を貶めること」が意味をなさない理由が分かりませんね。これは事実を述べているのです。また、なぜ答えをBと決めつけ、愛国無罪という結論が導き出されるのか理解不能です。こういうのを一般的に詭弁というのではないですか?

  2. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >「おまけ」を取り出して「全体」を>批判するのは感心しませんね。その言やよし。では。(あなたの考える)枝葉末節を捨てて、主文に着眼してみる。「ありもしないことを捏造して世界に拡散し、日本を貶めること」はけしからん、というのが、あなたの主張らしい。それでは、尋ねるが、仮にこれが、「ありもしないことを捏造して世界に拡散し、日本を称揚すること」だったら、その事について、あなたはどう考えるのか。a)「やはり、けしからん」というお答えであれば、先の、「ありもしないことを捏造して世界に拡散し、日本を貶めること」における「日本を貶めること」の部分が、意味をなさない不必要な表現であり、したがって撤回した方がよい、ということになるし、b)「いや、それは許される」と仰るのなら、それは、「ありもしないことを捏造して世界に拡散」することについて、あなたがダブルスタンダードで臨まれていることを意味する。こういうのを、普通、「愛国無罪」という。そういうわけで、あなたの言は、「おまけ」云々など関係なく、結局は、擁護しようがない、ということになる。残念でした。悪しからず。

  3. kanata より

    「おまけ」を取り出して「全体」を批判するのは感心しませんね。

  4. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >おまけに、これは反日国家の腹黒い>戦略と結託している。のんきに評論>などしている場合でしょうか?それとも、「反日国家の腹黒い戦略」存否如何で自らの食言が正当化されたりされなかったりするとでもお考えなのですか。それこそ、「日本批判無罪」ならぬ、本家本元「愛国無罪」そのものではないか。

  5. poti より

    しかし、現在の日本人(日本に非ず)に限って言えばその醜態を口をきわめて罵りたくなる気持ちが捨てられない過去はどうあれ、今現在してる愚行を即刻辞めろと歴史上の検証はもっとまともな人間が多くなってから、厳粛かつ神聖な場所で行われるべきであって、一時の熱狂に基づいて判断されるのはそれ自体極めて危ういと思う保守であれ、左翼であれ、そういう空気で出来上がる歴史観なるものが後代の点検や歴史の試練に耐えられるかは疑問がある

  6. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    あなたがそれを問うべきは、佐藤先生に対してもさる事ながら、しかし、第一義的には、むしろ、オリジナルの執筆者に対してではなかったのですか。朝日新聞の失態を指弾するにあたって、「朝日新聞の深層心理」ど題して、「ありもしないことを捏造して世界に拡散し、日本を貶めること」それ自体(表層面)とは(あなたにとって)「全く別物」であるはずの、「自己批判的=知的」「古いものはすべて悪い」という心理(いわば深層次元)の方に焦点を当てての批判を試みたのは、ほかならぬオリジナルの執筆者その人なのだから。何故、あなたは、オリジナルが発表されるに際してその事を不問に付し、今ごろになって、佐藤先生お一人に、立証責任を課そうとなさるのですか?アンフェアだとはお考えになりませんか。

  7. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    「発展的解消」とはかくありたいもの。

  8. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    見事な拡張解釈。ブラボー!(「拡張」とは「変容」のひとつのありよう。そして、「変容」には「否定」が不可欠です。)

  9. Thomas Uttini より

    朝日新聞は、おそ松くんの ”イヤミ” だ西洋かぶれの、日本人をバカにする性質が正体だろう(昭和のころにはウヨウヨいたと思う)wikipediaでは→当時の洋行帰りのマスコミ人の嫌味な言動をオーバーに描いたもの・・・とあるしそれに、記事はギャグだし今、窮地に立たされて ”シェー” と言っている”坊っちゃん” の赤シャツも同じかも知れない夏目漱石はとっくに昔に、今の我々の心境にいたのだ朝日新聞に連載しながら

  10. ネオアベ経済真理教 より

    (自分の腐乱したルサンチマンな新+旧皮質脳回路の出力プリンターにはこの件(事後の拡大拡散方法までも)が、何かを覆う為に事前に水面下で計画されていたのかもしれないと印字してしまいました。) もし万が一、今回の朝日の件がなかったら、マスコミは消費税、内閣改造に焦点を合わせていたかもしれない、と思うと残念無念な気がする。 ネオリベ新興勢力が情報撹乱を起こすために、左翼弱体勢力をマネーで買い取ったのかもしれない。なんか情報を情報で隠そうとしている気がする。昔あった押尾事件⇔ノリピー逃亡?事件(人柱?報道)と、消費税、内閣改造⇔朝日事件(タイムリー的カモフラージュ?報道)が似ている気がする。と考える自分の頭は壊れてるのでしょう。

  11. kanata より

    「自己批判的=知的」「古いものはすべて悪い」という心理と、ありもしないことを捏造して世界に拡散し、日本を貶めることとは全く別物です。おまけに、これは反日国家の腹黒い戦略と結託している。のんきに評論などしている場合でしょうか?

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