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2014年8月27日

【佐藤健志】幻想のバイアグラ

From 佐藤健志@評論家・作家

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●国民がどんどん貧乏になる政策が、なぜ韓国で行われたのか?
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

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先週のメルマガ「朝日の異常な愛情」では、慰安婦強制連行をめぐる朝日新聞の報道が事実無根だったことを取り上げ、これを「インポの憧れた絶倫の夢」とまとめました。

憲法九条的な平和主義の理想においては、安全保障に関して無力であることこそ、国が正しく強いことの証拠となる。
つまりは「インポほどの絶倫はない」という話です。

しかし正常な愛国心を持っていれば、自国が本来の意味で強くあってほしいと願うのが当然。
だとしても「インポこそ絶倫」と構えた以上、真の絶倫を肯定的に扱うわけにはゆかない。

かくして朝日は、過去の日本の強さにこだわりつつ、それを「いかに日本が悪かったか」という否定的な形で取り上げる。

要するに、
「かつての日本は、真に絶倫だったが悪党だった。今はインポになったものの善良である。そして信じない者もいるかも知れないが、インポほどの絶倫は存在しないのだ!」
という屈折したワケワカ論法で、自国のポテンシャルを確認したがっている次第。

慰安婦の強制連行は、セックスに直結する話なので、この構造がストレートに浮き上がったのです。

『震災ゴジラ!』から引用しましょう。

「国力、とりわけ軍事力は、性的ポテンシャル(とくに男性の精力)と深い象徴的な結びつきを有する。
国家の存立と発展を保障するうえで武力の行使がときに不可避であり、武力の行使にたずさわるのが今なお基本的に男性であることを踏まえれば、かかる結びつきは必然と見なしえよう」
(199ページ)。

国家もインポになりうる点について、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
http://www.vnc-ebook.com

さて。
これについて、「あまき」さんよりコメントをいただきました。
抜粋してご紹介します。

さすが。この新聞(朝日)の本質を言い表すのにこれ以上適切な表現はない。
サンゴのイニシャル事件が起きた時だったと思うが、この新聞は猥褻(わいせつ)だと年上の人が言うのを聞いて、その意味がわからなかった。
意とするところを問うと、

「教師というのは、オトコもオンナも大抵ムッツリ(スケベ)だ。
その連中が(朝日を)支持して飽きないってんだから、うす汚ねえキワモノの類に決まっている。
つまり、スケベネタはすぐ飽きられる。連中の飽きが来ないようにどんどん過激にして繰り返す。
連中のアタマが真っ白になって、昂奮で何も考えられなくなるまで、刺激がないと収まらなくなるまで繰り返すんだよ」
と平気で言い切った。
(読みやすさを考え、表記を一部変更。カッコは引用者)

「サンゴのイニシャル事件」とは、1989年、沖縄の西表島で、朝日の記者がみずからサンゴに「K・Y」の文字を刻んだうえ、「サンゴ汚したK・Yって誰だ」という捏造(ねつぞう)記事を書いたもの。

一般に「朝日新聞サンゴ記事捏造事件」とか、「KY事件」などと呼ばれますが、この「KY」というイニシャルも意味深長。

サンゴに傷をつけた記者(ちなみに懲戒解雇処分)は本多嘉郎というので、自分のイニシャルを刻んだわけではありません。

片や健康医薬品メーカーのジョンソン&ジョンソンは、不感症の女性のために「KYゼリー」という水溶性の潤滑ゼリーを開発・販売しているのです。
絶頂感の持続に役立つのだそうで。

ウソだろうと思った方はこちらをどうぞ。
http://www.bestkusuri-jp.com/ky/

「あまき」さんのコメントに出てきた「年上の人」が、朝日をワイセツと評したくなるのも分かるものの、正直、これはちょっと酷な評価だという気がします。

朝日新聞は、
「政治的インポ、ないし不感症に悩む戦後日本人に絶頂感を提供する」
という使命感のもと、
「社会の木鐸(ぼくたく)」ならぬ
「社会のバイアグラ」をめざしているのではないでしょうか。
これにはこれで一種、高貴なものがあります。

しかるに問題は、慰安婦強制連行報道が虚偽であり、サンゴ記事が捏造であったことに示されるとおり、
この絶頂感が幻想でしかないこと。

現実の裏付けがないのですから、すぐ物足りなくなってくる。
さしずめ幻想のバイアグラ。

となれば、あとはコメントにあるように、どんどん過激にして繰り返すしかない。
「アタマが真っ白になって、昂奮で何も考えられなくなるまで、刺激がないと収まらなくなるまで」です。
早い話、幻想のバイアグラに中毒しているんですね。

しかし。
これは本当に朝日だけの問題でしょうか。

今度は『僕たちは戦後史を知らない』をご覧下さい。
1980年代以後の日本のあり方は、こんなふうにまとめることができるのです。

「(1)時代の変化に対応し、繁栄を維持、または回復するという名目のもと、さまざまな分野で(自由主義的な)制度改革が推進される。(中略)
(2)繁栄の維持や回復が期待されるかぎり、改革は支持される。けれども期待が薄れると、路線の見直しが始まる。
(3)しばらくすると、やはり自由主義でなければ経済は活性化しないという風潮が復活し、(中略)改革がまた推進される」
(243〜244ページ。カッコは引用者)

この改革路線、1980年代初頭には「行政改革」、1990年代初頭には「政治改革」、1990年代後半以後は「構造改革」と呼ばれました。
現政権が行っている成長戦略も、この延長線上にあるわけですが・・・

「飽きが来ないようにどんどん過激にして繰り返す」という特徴は、改革路線にも明らかに見られるのです!

ついでに改革路線の大義名分は、時代の変化に対応し、繁栄を維持、または回復すること。
「日本を取り戻す」と言えば聞こえはいいものの、要するにポテンシャルの復活です。

つまり改革路線とは
「世界的な繁栄という『経済的絶倫』の喪失に悩む日本人に、新たな絶頂感を提供しようとする」
ものにほかなりません。

さしずめ経済的バイアグラ。
これについて、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
http://amzn.to/1lXtYQM

しかるに問題は、朝日の提供する「社会のバイアグラ」同様、改革路線というバイアグラも、現実の裏付けを欠いている恐れが強いこと。

本紙編集長、三橋貴明さんが「悪夢のループ・ルート」で指摘するように、日本人の実質賃金は1997年をピークに、ずっと下がりつづけている。
これは「構造改革」が推進されはじめた時期と、ほぼ完全に重なります。

実質賃金が下がったせいもあって、日本の婚姻率は低下、少子化に拍車がかかることに。
つまり人々は、文字通りセックスをしなくなったのです。

虚偽報道であれ、改革路線であれ、幻想のバイアグラに中毒したら最後、容赦なくツケが回ってくるのですよ。
ところが困るのは、この事実を直視しないかぎり、人々はどうにか絶頂感を得ようと、さらに過激なバイアグラを求めかねないこと。

ふたたび「アタマが真っ白になって、昂奮で何も考えられなくなるまで、刺激がないと収まらなくなるまで」です。

「悪夢のループ・ルート」という表現は、その点でじつに秀逸。

三橋さん、「実質賃金低下による国民の貧困化→少子化の進行→外国移民受け入れ→労働市場の競争激化による実質賃金のさらなる低下→国民のいっそうの貧困化」という悪循環を指して、この言葉を使いました。

しかし、かかる悪循環が成立しかねないのは、日本人が改革路線という「幻想のバイアグラ」にハマりすぎているから。
つまりは悪い夢にひたっているからなのです!

私の公式サイト「DANCING WRITER」(http://kenjisato1966.com)でも、このような現実と幻想の関係、および政治とセックスの関係について、さらに掘り下げています。
ぜひ、あわせてご覧下さい。

ではでは♪(^_^)♪

PS
三橋貴明が無料Videoで解説。「EUの闇」とは?
https://www.youtube.com/watch?v=DID9wg3PIVo

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【佐藤健志】幻想のバイアグラへの1件のコメント

  1. poti より

    まぁ、身も蓋もない言い方をすれば、より刺激の強い薬物を求める麻薬中毒患者みたいなものですわな

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