アーカイブス

2014年8月16日

【三橋貴明】毎度お馴染みの「国の借金」問題

From 三橋貴明@ブログ

————————————————————

●韓国の不都合な真実とは?
https://www.youtube.com/watch?v=BX2vC35PCFQ&list=UUza7gpgd6heRb8rH4oEBZfA

————————————————————

さて、毎度お馴染みの「国の借金」問題でございます。

『国の借金最大、6月末1039兆円に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF08010_Y4A800C1EE8000/
財務省は8日、国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が6月末時点で1039兆4132億円となり、過去最大を更新したと発表した。国の借金は昨年6月末に1000兆円を超え、推計では借金の総額は14年度末には1143兆円に到達する。
今年7月1日時点の総務省の人口推計(1億2710万人)をもとに単純計算すると、国民1人当たりの借金は約818万円。3月末から約12万円増えた。
3月末時点から6月末時点にかけて借金は14兆4563億円増えた。その前の3カ月の増え幅(7兆110億円)に比べて拡大した。東京電力を支援している原子力損害賠償支援機構に交付する国債の残高が3兆5429億円増えたことなどが影響した。
残高の内訳は国債が10兆1243億円増の863兆8880億円。一時的な資金不足を補う政府短期証券が5兆2201億円増え、120兆9085億円となった。』

すでに1000回くらい突っ込んでいる気がしますが、
「国の借金1039兆円に! 国民一人当たり約818万円の借金!」
というレトリックは、最初から最後まで間違いです。

まず、「国の借金」という言葉が変。国の借金と聞くと、日本国民は「日本国の借金」とイメージしてしまいます(そう思わせるために「国の借金」という言葉を使っている)。とはいえ、国債、財融債、国庫短期証券(政府短期証券)は国の借金ではありません。

正しい意味における「国の借金」は、我が国の対外負債ですが、2013年末時点で500兆円あります。もっとも、我が国は対外資産が820兆円に達しています。
「外国に貸している金が820兆円、外国から借りている金が500兆円」
というわけで、我が国は320兆円の対外純資産状態にあるわけです。

そして、この320兆円という対外純資産は「世界最大」です。日本国は「国家」として見た場合、世界一のお金持ち国家なのです。

その「世界一のお金持ち国家」において、「政府」が借りているのが財務省(やマスコミ)のいう「国の借金」です。英語では、government debt と言います。直訳すると「政府の負債」です。日本銀行の統計では、「政府の負債」です。

そりゃまあ、「政府の負債」なので、当たり前なのですが、これが財務省に言わせると「国の借金」になります。
要するに、「いわゆる従軍慰安婦」問題と同じなのです。大東亜戦争期、戦場に慰安婦はいましたが「従軍慰安婦」などいませんでした。従軍慰安婦とは、戦後の造語なのです。慰安婦に「従軍」を付けることで、日本軍が慰安婦を「強制連行した」というイメージを植え付けることに成功したわけです。

同様に、「国の借金」も、政府の負債について「日本国民の借金」であるという嘘を国民の頭に植え付けることに成功しています。新聞が「国民1人当たりの借金は約818万円」などと書くわけですから、尚更です。

実際には、「いわゆる国の借金」とは、政府の負債であり、国民は債務者ではなく「債権者」です。何しろ、日本国民の金融資産(預金、保険、年金など)が政府に貸し付けられて運用されているわけです。それにも関わらず、国民は「いわゆる国の借金」という言葉に騙され、債務者としての罪悪感を持たされてしまいます。結果、財務省の増税路線や緊縮政策に逆らえないどころか、むしろ積極的に賛成してしまうという不気味な状況がすでに二十年続いています。

まさに、いわゆる従軍慰安婦問題と同じです。

【2013年末時点 日本国債所有者別内訳(総額:828.7兆円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_47.html#Kokusai

現実には、独自通貨国で、中央銀行が国債を買い取ると「政府の負債」がチャラになってしまう国において、財政破綻などあり得ません。ところが、いわゆる国の借金問題に縛られ、緊縮財政が継続し、国民が貧困化し、インフラが老朽化し、防災、防衛といった安全保障が脅かされ、土木、建設、医療、介護といった業界の賃金を上げられず、人手不足となり、外国移民の受け入れが推進され、さらに混合診療などの間違った構造改革が推進されているのが日本国なのです。

とにもかくにも、この「いわゆる国の借金問題」のウソを国民が認識し、政治家を動かさなければ、日本経済の諸問題のほとんどは解決しません。

先方(財務省)は三か月に一度、新聞を使いキャンペーンを展開してきますので、こちらは数を打ちまくるしかないのです(わたくしは講演のたびに上記の話をしています)。皆様のご支援、ご協力を切望致します。

PS
マスコミが言わない韓国の正体とは?
https://www.youtube.com/watch?v=lvJ52DpgTGE&list=UUza7gpgd6heRb8rH4oEBZfA

関連記事

アーカイブス

【三橋貴明】道州制

アーカイブス

【施 光恒】おバカな三代目の経済学

アーカイブス

【宍戸駿太郎】なぜ民間設備投資がもり上がらないのか

アーカイブス

【三橋貴明】日本経済の正念場

アーカイブス

【藤井聡】「所得」ターゲットへと転換した「アベノミクス2.0」

【三橋貴明】毎度お馴染みの「国の借金」問題への2件のコメント

  1. 勝元 より

    財務大臣の話を全く聞きませんが……。平成のコレキヨとやらは、何処で何をしているんでしょうか?

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 福永晶彦 より

    いつも勉強になっています。例の「国の借金」ですが財務省の児童用の税金解説パンフにまでこのレトリックが使われています・・国を家計に例える愚劣な比較です・・こうなると財務省に抗議することも考えないといけないですね

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【三橋貴明】民主主義国「日本」最悪の問題

  2. 2

    2

    【三橋貴明】おカネとは何なのか?

  3. 3

    3

    【三橋貴明】実質消費の四年連続減少が意味するもの

  4. 4

    4

    【三橋貴明】イタリアの「国の借金」問題

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人手不足のリスクとチャンス(前編)

  6. 6

    6

    【藤井聡】危機と対峙する保守思想誌、『表現者クライテリオン』...

  7. 7

    7

    【三橋貴明】移民問題の「国民 対 国民」

  8. 8

    8

    【小浜逸郎】技術文明との向き合い方

  9. 9

    9

    【竹村公太郎】西部邁先生の教え

  10. 10

    10

    【三橋貴明】またもや「デフレ型」経済成長

MORE

累計ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実

  2. 2

    2

    【藤井聡】「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク...

  3. 3

    3

    【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

  4. 4

    4

    【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人間の屑たち

最新記事

  1. 日本経済

    【上島嘉郎】「移民立国」こそ時代に逆行

  2. 日本経済

    【三橋貴明】人手不足のリスクとチャンス(前編)

  3. 日本経済

    【三橋貴明】実質消費の四年連続減少が意味するもの

  4. 欧州

    【三橋貴明】イタリアの「国の借金」問題

  5. 日本経済

    【三橋貴明】民主主義国「日本」最悪の問題

  6. 日本経済

    【三橋貴明】おカネとは何なのか?

  7. 欧州

    【三橋貴明】移民問題の「国民 対 国民」

  8. 日本経済

    【三橋貴明】またもや「デフレ型」経済成長

  9. コラム

    【小浜逸郎】技術文明との向き合い方

  10. 日本経済

    【三橋貴明】日本国の縮図

MORE

タグクラウド