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2014年5月16日

【施 光恒】時代は「スーパーグローバル」?

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

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●三橋貴明の公式YouTubeチャンネルができました!
https://www.youtube.com/user/mitsuhashipress

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おっはようございま〜す(^_^)/

前回の記事「オールイングリッシュの愚」では、小学校、中学校、高等学校での英語偏重の教育改革を批判しましたが、今回は、大学を見ていきたいと思います。

今年3月と少し前の記事ですが、こんなのがありました。
「京都大学、総長を「国際公募」へ 競争力強化を狙う」(『朝日新聞』デジタル、2014年3月16日)
http://www.asahi.com/articles/ASG3J4VDWG3JPLZB002.html

上記の記事を少し省略しつつ引用します。

「京都大学の総長(学長)を決める学内組織「総長選考会議」は、9月に任期を終える松本紘(ひろし)総長の後任を国内外から公募する方向で一致した。経営能力に秀でた人材を招いて国際競争力を高めるのが狙いで、国立大では異例。(略)

選考会議は学内の研究科長や学外の有識者ら12人で構成。関係者によると、候補者は学内からの推薦のほか、米ハーバード大、英ケンブリッジ大、東京大などに推薦を依頼する案が出ている。「日本語を話せる人がいいのではないか」という指摘もあるという。(略)

京都大の総長は1919(大正8)年以来、学内投票を通じて学内関係者を選出。国内初の取り組みで、「学内民主主義の象徴」とされてきた。(略)

一方、08年に選出され、従来の学内組織の改編に取り組んでいる松本総長のもとで選考方法の見直しが本格化。この動きに対しては職員組合などから「大学の自治に反する」といった反発の声が上がっており、今後の選考会議では「候補者の絞り込みに教職員の意向をどういう形で反映させるか」という点が焦点になるとみられる。

文部科学省によると、東北大などは学内投票をすでに廃止。文科相の諮問機関・中央教育審議会も昨年12月、「学内の論理」に縛られずに経営を進める視点から従来の学長選を見直す提言案をまとめた」。

本メルマガでも、いく度か言及していますが、グローバル化は、民主主義を破壊していく傾向があります。「国際競争力の強化のため必要である」とか、「グローバル化は不可避の時代の流れだからしょうがない」という理由で、国内の皆で決めてきたルールや基準、規制をいとも簡単に撤廃しようという動きがいろいろなところでみられます。

今回の京大の学長選挙もその一つですね。日本語がわからない欧米人の学長が誕生する可能性は結構あると思います。国立大学は法人化されたといっても、日本国民の税金で予算の大部分をまかなっています。そして日本の学術文化の発展を担っています。それが、日本語もわからない欧米人の意思決定に任せるということになれば…。悪夢ですね。

おまけに、上記の記事にも触れられている通り、文科省は現在、大学の自治組織である「教授会」の権限の大幅縮小を目標に掲げています。「国際競争力ある大学を作るために、迅速な意思決定が必要だから」ということだそうです。まあ確かにへんな大学教員(私もその一人かもしれませんが…)も多いので、すべての組織と同じく、大学もいろいろな面で改善を図っていく必要はあるでしょう。

ですが、教授会の権限大幅縮小と同時に、学長の国際公募などを進める流れは、嫌な感じがします。日本人のものであるはずの日本の国立大学の意思決定や、日本人の学問や文化の発展が、日本人の手でその方向性を決められなくなる可能性が高まるわけですから。

大学の「グローバル化」、「国際競争力強化」に関して述べれば、文科省は先月あたりから、「スーパーグローバル大学創生支援」という事業を開始しています。ただの「グローバル化」では飽き足らず、「スーパーグローバル化」を目指すそうです…
(^_^;)

この事業、全国の国公立、私立の大学に対して、公募を行い、応募してきたなかから、30校程度を「我が国の高等教育の国際競争力の向上を目的に……徹底した国際化を進める」「スーパーグローバル大学」として選び、グローバル化の断行のための多額の予算を与えようとするものです

文科省は、近年、通常の大学の予算は削り、このような競争型の予算配分を好みますので、今回のこの「スーパーグローバル大学」の公募に漏れると、実際上、大幅な予算削減となります。旧帝大や大手私立大など「一流大学」と世間から認知され続けたい大学は、こぞって応募することになるでしょう。

興味深いというか懸念すべきなのは、「スーパーグローバル大学」を選ぶ際の審査基準です。文科省が公開している評価の項目として次のようなものが並びます。いくつか抜き出してみます。

(1)「教員に占める外国人、および外国の大学で学位取得した専任教員の割合」

(2)「外国語による授業科目数」「外国語のみで卒業できるコースの数」

(3)「ナンバリング(授業科目に通し番号を振ること)実施状況」、「GPA導入状況」、「シラバス(授業概要)の英語化の状況・割合」

(4)「柔軟な学年歴(秋入学など)の設定の有無」、「入試における国際バカロレア」の活用、「TOEFLなど外部試験の学部入試への活用」

(5)「国際通用性を見据えた(教職員の)人事評価制度の導入」

(6)「意思決定機関などへの外国人の参画」

(審査基準の詳細は、下記の文科省の外郭団体「日本学術振興会」HPからご覧ください。リンクをクリックするとPDFファイルが開きます)。
http://www.jsps.go.jp/j-sgu/data/download/03_sgu_shinsakijun.pdf

少し補足しますと、上記の(3)の「ナンバリング」とは、アメリカの大学のように、授業科目名に「政治学 1110」などのように番号を振って、基礎か応用か、どの学年に置かれている科目なのか見やすくしようというものです。「留学生などが困らないように」「外国の大学と提携しやすいように」ということのようです。

また同じく(3)のGPAとは”Grade Point Average”(成績評価値)の略称で、これもアメリカの大学で一般的なのですが、「優」=4、「良」=3、「可」=2などといった具合に、各科目の成績を数値化して、平均して、その学生の評価に使おうというものです。たとえば、「○○君の今期の成績は、GPA2.8でした」というふうに評価します。これも外国の大学との単位互換などがしやすいように、ということでしょう。

(6)の「意思決定機関などへの外国人の参画」は、教授会レベルではなく、もっと上のレベル、つまり企業でいえば取締役会に当たる「経営協議会」などへの外国人の参画を求めているようです。例えば、そのレベルの意思決定機関への外資系企業の外国人経営者などの参画を想定しているのでしょう。(皮肉を言わせてもらえば、京大は学長を外国人にしてしまえば、この項目、最高点を叩き出すことができ、文科省の覚えが大変めでたくなるかもしれませんね…)。

以上のような「スーパーグローバル大学」の審査基準から何が読み取れるかと言えば、少々乱暴に言ってしまえば、「なるべく日本の大学っぽくなくして、アメリカの大学みたいにしましょうね」ということではないでしょうか。

ここで不安になるのは、日本の「学問の独立」っていったいどうなってしまうのかということです。

昨今、大学はどこも予算の減額には敏感です。今回の「スーパーグローバル大学」事業の公募だけでなく、大学「改革」を促す文科省の同種の事業はこのあともしばらく続くでしょうから、それに備えて今回の審査基準に沿ったかたちで自主的に「改革」を進めておこうとする大学は今後増えると思います。

すなわち、どういう学生を入学させるかについては「トーフル」や「国際バカ ロレア」などを導入し、日本人教員が考慮できる領域を減らし、欧米由来の「グローバル基準」に合わせる。教員も外国人か、外国の大学で学位を取得した人をなるべく増やす。授業もできれば英語する。学年歴もグローバル化対応のために秋入学を認め、授業科目の名称や評価の仕方もアメリカ化する。教職員の評価も欧米基準に合わせる。おまけに、大学経営の高次の意思決定機関にもなるべく外国人を加える。

予算獲得のため、こうした「改革」が各大学で行われるようになるでしょうから、日本の「学問の独立」というものが失われる方向に進むのはほぼ間違いないでしょう。
(_ヘ`;)ウーム…

明治時代の大学関係者や知識人は、「学問の独立」を大切にしました。

たとえば、大隈重信の親友で、大隈とともに早稲田大学(前身の東京専門学校)の創設に深くかかわった法学者の小野梓(1852-1886年)は、東京専門学校の開校式(明治15年)で次のような演説を行っています。

「一国の独立は国民の独立に基ひし、国民の独立はその精神の独立に根ざす。しかして国民精神の独立は実に学問の独立に由来するものなれば、その国を独立せしめんと欲せば、必ずまずその民を独立せしめざるを得ず。その民を独立せしめんと欲せば、必ずまずその精神を独立せしめざるを得ず。しかしてその精神を独立せしめんと欲せば、必ずまずその学問を独立せしめざるを得ず」(山本利喜雄編『早稲田大学開校・東京専門学校創立廿年記念録』早稲田学舎、明治36年、所収)。

すなわち、一国を独立させるためには、国民の精神の独立を図らなければならない。国民精神の独立は、学問の独立に由来する。したがって、一国の独立のためには、学問の独立が必要だ。そのように小野梓は開校式で主張し、学問の独立、ひいては日本の独立を確立するために東京専門学校を作るのだ。そのように宣言したのです。

ちなみに「学問の独立」を実現するために、東京専門学校が非常に重視し、開校の理念の一つにしたのは、「邦語による授業」です。つまり大学の講義を日本語で行うことでした。

明治の最初のころの日本の大学は、東大をはじめとして、講義をすべて英語などの欧米諸語でやる場合が大部分でした。日本語の教科書もなく、日本語の専門的語彙も不足し、日本人の教員も育っておらず、「お雇い外国人」の教員などが、英語などで授業を行わざるを得なかったからです。日本人教員の場合も、英語などで講義する場合がほとんどでした。

大隈重信や小野梓、あるいは高田早苗(政治学者)などの東京専門学校の創設メンバーは、これでは日本の学問の独立は達成できないと考え、日本語で授業を行い、日本の学問の独立や発展を担う人材を育成する学校を作ろうと考えました。それが、東京専門学校、つまりのちの早稲田大学の創設趣旨の一つでした。

小野梓は、上記の東京専門学校開校式の演説のなかで次のようなことも述べています。

「当時(明治15(1882)年)の世界情勢では、独立を保っている非欧米諸国は、かろうじて日本と中国(清)のみだ。インドは英国に、インドネシア(ジャワ)はオランダに、ベトナムはフランスに植民地化されてしまった。

独立を維持している日本も、欧米諸国との不平等条約改正問題や、清や韓国との関係など深刻な国際問題が山積している。日本に隙あらば付け込もうとする外国も多い。

日本国民の元気を養い、その独立の精神を発揚しなければ、日本の独立を保つのも危うい。日本国民の元気を養い、その精神を独立せしめる方法はいろいろあるとしても、その根本的基礎となるものは、やはり学問の独立である!」
m9(`・ω・_)キリッ!

現代の日本も、TPPにしても、東アジア情勢にしても、難しい国際問題に直面しています。しかし明治初期の日本が直面した数々の難題に比べれば、だいぶましでしょう。

明治の日本人は、そうした難局を乗り切るためには、何よりもまず国民の気力の充実、国民精神の独立が必要だと考えたのです。そしてそのためには、学問の独立こそ求められると主張したのです。

どんな難局に直面しても、国の独立、国民精神の独立を保つべきだ。そのためには学問の独立を保持すべきだ。そのような気概が、日本の近代化を成功させたのです。

しかし現代の日本は、残念ながら、その気概も、国際情勢や国の将来を冷静に見つめる知性も失いつつあるようです文科省自身が率先して学問の独立を脅かすような政策を推進してきているわけですし…。
(_・ω・`)ショボーン

いやいや元気を出さなければいけませんね!!
明治初期に比べれば、現在の日本を取り巻く国際的状況はずっとマシですし。「グローバル化」というアホな一種の強迫観念から多くの国民が覚醒すればいいだけなのですから。
ヤッパリm9(`・ω・_)キリッ!

ながながと失礼しますた…。
<(_ _)>

<施 光恒からのお知らせ>

教育のグローバル化の批判は下記でも。
http://amzn.to/17Z0fkf

柴山さんが熊本にくる!
http://ninigi74.com/info/645967

PS
日本企業が中国から撤退し始めた本当の理由とは?
https://www.youtube.com/watch?v=Wzz3dqOIGrY

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【施 光恒】時代は「スーパーグローバル」?への15件のコメント

  1. 和魂洋才 より

    教育問題は重い。これから何年も先にどういう人材になっているかが大事だ!小生ですら娘を御三家と言われている女子学院に一律三十万の寄付金を払って入学させたのだが、見事に失敗した。娘には恨まれ寄付金返せと言いたくなる。最近ではインド人の学校に入れたがる親が多い様だが、数学能力を伸ばすには良い。日本の伝統の読み書き算盤も捨てたものじゃ無い。

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  2. ロータス より

    色々と関係者に聞いてみると結局日本の大学を二つに割ってしまうということみたいだ、択ばれた37大学はこれから予算をつけるから研究機関としてがんばれということだが外れた大学はお前のところは研究はそこそこでいいからそれより学生の教育機関としてがんばれということらしが、そんなことで外れた大学は「あ、そうですか」と納得なんかするはずないだろう。それどころか隠れた優秀な研究者の目をつむことにもなる。又現政権が進める故郷創生にも大きな障害となる。俺ははっきり書くけど下村文科相というのは大バカだ。

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  3. ロータス より

    まあ東北から3大学も択ばれるのは明らかに震災後の優遇措置層化は明らかに政治的な配慮、四国地域なんかゼロ。立命は本部だけじゃあなく3流の大分の姉妹校までいれている。安倍政権もなんでこの時期にわざわざ外された大学や地域が反発を覚えるようなことをするのか理解不可能。

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  4. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    だから、「連想」だと言ってるじゃないですか。(かなり強引なのは、あっさり認めちゃいます)で、そういう「日本人だけのための学問」みたいな引きこもりでなければ、「学問の独立」って一体何? と問うているわけで。「横のものを縦になおしたのを、みんなで一生懸命習い覚えて富国強兵、国家的独立をどうにか堅持、ついでに列強の一員にもなっちゃいました」的な「坂の上の崖」式の、サクセスストーリー()みたいなのを考えているとしたら(仮定です、念のため)、そういうのじゃ、お話にならないぞ、とも。

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  5. ゆう より

    ヒップホップグループ”Public enemy”のリーダーのChuckDの歴史観をここで引用させて頂きますね。 かなり長いですが。”公民権運動の勝利に続いて始まった70年代は意識の低い時代だった。 それにあの頃は、重要な指導者も殺されてしまったし、裏切る奴や、逃げ出す奴も多かったからね。 黒人を取り巻く状況は変わったと思い込ませるような国家のプロパガンダがあった。名ばかりの人種差別撤廃だ。TV業界とか目立った所で、ごく少数の黒人を重要な地位に就かせるんだ。でも残りの大多数は、もちろん今までどおり低い地位にままさ。 だが、抜擢された黒人達が、その理由をきちんと理解していなかった。 だから奴等はこれまでの苦労を忘れ、すっかり怠け者になって。自分達が60年代を通じて学んできた歴史や文化を若い世代に伝える役割を怠ったんだ。黒人がどれだけタイトに結束しなくちゃいけないかって事を教えなくなってしまったのさ。こうして黒人はアイデンティティを喪失した。ようやくアメリカ人として受け入れられたなんて錯覚し始めたんだ。 実際は、常にダブルスタンダードに直面していたのにな”この言葉は今の日本の状況に照らし合わせても何の違和感もないかもです。 うちら多くの日本人も日本人としてのアイデンティティを失ってる状況ですし、上の世代を含めた多くの日本人が自国の歴史や文化や価値観を意識しなくなってきてるのはマズいなと日々感じてるところです。。 最近の安倍政権の移民受け入れや国家戦略特区や家事をメイドに任せるといった事には正直唖然とさせられます。。

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  6. nanashi より

    精神の独立、学問の独立とはなにか。精神の独立と日本精神の独立との異同は?小野梓などが言う学問の独立とは、和魂洋才のようなものか。宣長の学問のようなものか。漱石や鴎外などが悩んだ問題でしょう。芥川の『雛』も同様の問題を扱っています。我々はいまだに英吉なのではないでしょうか。戦前日本語で高等教育をしていた日本がなぜ米英に敗れたのか。それもあれほど無惨、無様に。そしてなぜ戦後は東京裁判史観に唯々諾々と洗脳され続けているのか。福島原発事故を起こすのか。STAP細胞騒動を起こすのか。日本精神が足りなかったからか。かえって欧米精神が足りなかったからではないだろうか。小村寿太郎も松岡洋右も相当な英語使いだったのでしょうが、追いつかなかった。伊藤博文が暗殺されたときその手に握っていたという『日本の禍機』の朝河貫一でも間に合わなかった。我々の学問の独立とは、「和魂洋才」対「洋魂和才」の二項対立を脱構築していわば英吉をヴァージョンアップしたものに見出されるのかもしれません。

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  7. 海外助教 より

    っていうか、京都大学ってそういう精神を「校風」にもってたはずなんですけどね。「変人万歳」な。私は一般教養で木下先生の心理学の講義をとりました。(歳がばれるな〜)どの時間も印象的な、面白い授業でしたが、「単位は空から降ってくる」という京大のユルさについて「京大には4年間アメフトにはまるヤツもいる。単位を厳しくして、そういうヤツを減らすことは出来るが、そうすると今度は天才が出なくなる。京大はあえて天才を生み出す方向を採っている」という話がありました。そんな京大が何故?とショックです。色々と背景は考えられるけど、その根源に「日本の社会全体が自信を失ってるのかな?」と。

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  8. 海外助教 より

    企業の特許や兵器開発などは別として、一般的な学問についてですと、学問の「成果」は世界で共有されるべきものですが、学問の「方向」は独自性が尊ばれます。例えば、日本アニメなどの「文化的コンテンツ」の基礎となる日本文化の研究は日本がもっとも有利でしょう。そして、日本の文化的コンテンツを発表することで、世界に対し「新たな価値観を提案する」という貢献が可能になります。これがもし、「日本文化は遅れている」と切り捨ててしまったら、日本のアニメは「ハリウッド映画/ディズニーもどき」になり、価格のみの競争となります。そうなると、日本のアニメ産業は衰退し、世界の価値観は単一化して「ネタ切れ」に苦しみます。自然科学分野でも、例えば日本は海洋国家であり、海洋資源の開発が重要である、という地域性があります。学問も「人間の営み」ですから、社会の構造の制限は受けます。「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」というのはパスツールの言葉だそうですね。ここで「シェールガス開発に携わってきた石油化学の権威」がアメリカから来て「メタンハイドレートよりシェールガス技術に予算を割くべし」と主張したらどうなるでしょうか?利権に関わる倫理的問題は当然として、エネルギーで日本はアメリカに依存することになます。目先の経済性に疑問があってもあえて日本独自のエネルギー源を研究することで、将来シェールガスが(収支的に)枯渇した場合に「メタハイがあるさ」と世界に貢献が出来ます。地域性に基づく多様性は、普遍的な発展のための基礎となりえます。これは「畑に一種類の作物を植え続けると病気が出やすくなる」などの生態系の話と似ていますね。いわゆるモノカルチャーの経済的・文化的問題です。

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  9. 匿各希望 より

    大学側・組合側の意見としては参考になりました。(後半はちょっと抽象的な展開でしたが)

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  10. poti より

    学問の独立とは1)国内において他の影響から独立していること2)外国の影響から独立していること3)母国語で高等教育、思想哲学を行えること辺りでしょうか。何よりも言語とは思考の根本な訳ですから、勢い、「何語で考えるか」という事は文明の根っことなるでせうなのでたかが金、たかが流行りで先人が築きあげた母国語による学問を破壊しては後々の世がまともになれば必ずや断罪を食らう事になるでしょうね「あの時代の馬鹿共は何てことしてくれたんだ先祖からの贈り物を手前勝手に台無しにした挙句、自分の利益ばかり考えて子孫に大迷惑をかけるとは、本当にどうしようもない奴らだ」と、そんな風にともあれ言語を軽視し、金で文化を売り渡すような輩は本当にどうしようもございません失われると取り戻すのに途轍もなく大変になると理解できないんだろうなぁ

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  12. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    学問の独立?要領を得ませんな。もちろん、高等教育のネタになりうるコンテンツが、使いなれた言語で読み書きできれば便利でしょう。というより、それが、日本の近代化の初期段階において、自国民の知的レベルの底上げ(ひいては国民の平準化と国力の増強)に必要とされたであろうことは想像に難くありません。とはいえ、そうした事柄を指して、「学問の独立」と称するのはいかがなものか。「学問が独立している」などという言葉を聞かされると、「日本的学問」なるものが、いわば「敵性的学問」でも言うべきものと切りわけられたかたちで別個に存立しうるかのような連想を、私などは抱かずにはいられません。あたかも、(十進数の)”7+5″が「敵性的学問」のもとでは”12″の値しがとり得ないのに、「日本的学問」のもとでは”11″にも”13″にもなりうるかのように。もちろん、すべての知的営為が国籍やエスニシティから自由であるとまでは言わないし、「日本人ならではの知的創造物」となるものが無価値だとも考えているわけではない。しかし、そういうものは、普通、「学問」とは言わない。まさに、そのことこそが、「学問」の「学問」たる所以だと思うのです。「日本人だけのための学問」、などというものは、形容矛盾に満ちたナンセンスな概念と言うべきでしょう。「学問の独立」というのは、私にとって、そういう連想を誘うもの言いです。(大事なことなので二度言いました)

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  13. widelogic より

    大学側はこれらの政策に対して意義を申し立てる気は無いのでしょうか?仮にも「日本の最高学府」であり、そこから多くの優秀な学生が官僚や学者、財界のエリート、つまり日本の指導層と巣立っていくにも拘らず、彼らの大切な学生生活を単なる「グローバル」に染め上げてしまっては、長期的に見れば正に致命的な事態を生み出すことに成るでしょう。(もちろんそれが狙いなのでしょうが)世界を見ること、それ自体には実に賛成なのですが、あくまでも日本が本位の考え方を身につけなければ、恐らくこれからの混迷の時代に泡を食らって「いざ」という時に適切な判断ができなくなると思います。(あ、今の指導層がそうだった。と、いうことはもう手遅れかな?)近代日本はもう一度茶番を繰り返そうとしているように思われます。佐藤建志先生が指摘しているような日本人の世界観、歴史観の矛盾にいち早く気づいて、将来を担う学生たちを正しく導けるのは、やはり社会の激流から少し離れて冷静に物事を判断できる学者の方々だと信じています。勝手な直感ですが、社会は「学者と女性」が最後の砦だと思っています。ここが崩れてしまえば完全な末期です。大学が連盟組んで反対する声が上がったりしないのでしょうか?金なんかいらねぇから学問の自由の権理を奪うな!と皆で合意できないのでしょうか?どうか、30年先、60年先を見据えた議論が深まりますように。

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  14. 赤い彗星 より

    正月だったか年末だったか忘れましたが、施さんがNHKの討論番組で、「母国語で高等教育を受けられるのは非常に恵まれたことだ」と話されていましたが、その通りだと思います。それが大学の教員に外国人が増え、しかもその人たちが日本語が話せないとなると、日本人が母国語で高等教育が受けられなくなります。言葉は民族そのものです。ツールとしての外国語は必要ですが、外国語でなければ高等教育が受けられなくなるというのは危惧しなければなりませんね。

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  15. selectson より

    グローバル!!グローバル!!大学もアメリカ化!でも、アメリカの大学は、州の人間じゃないとけっこう高いらしい。外国人はもっと高い。日本だったら、外国人を呼びこんで、さらに、奨学金です補助金でさ!(返済の必要もなし)とかやりそう…いまでさえ、大学とかで中国人に奨学金援助して、技術だけ奪われて、本国にかえる。なんのメリットがあるんだろうか…もうグローバルはいいよ…

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