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2014年4月24日

【青木泰樹】国家を守る唯一の手段

From青木泰樹@経済学者 http://keiseiron-kenkyujo.jp/member/

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●韓国大崩壊 ただ1つの理由
https://www.youtube.com/watch?v=ZK5RY5rIGs8

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はじめまして。今月より月一回こちらへ寄稿させて頂くことになりました青木泰樹です。
政治経済の潮流や個別の話題に関して所見を述べたいと思いますので、宜しくお願い致します。

第二次安倍政権発足後、500日余りがたちました。
本日は、これまでの安倍政権の歩みと今後の行く末について考えてみたいと思います。

「経済は生き物である」とよく言われますが、政治の世界はそれ以上に変転万化だと思われます。
それゆえ、政治家の宿命が「理想と現実のバランスのとり方」にあるとすれば、単に過去の発言と現在の行動との些細な相違を指して、「変節!」と断じるのは早計でしょう。
それが長期的観点に立脚した目的達成のための政治的技法、戦術であるかもしれないからです。
特に政治権力に近づきつつも、未だ掌中にしていない政治家であるならば、尚更、「方便」の可能性は高いのです。

しかし、政治家がひとつだけ「ぶれてはならないもの」がある。
それは自らが目指すべき国家観(像)です。
国民を導いてゆく目的地です。
もちろん、目的を達成するための手段、具体的には多数派工作の仕方は多々あるかもしれません。
時には迂回も必要でしょう。

ただ目的地を途中で変えてはならない。
国民を謀ることになる。
それが政治家としての矜持でしょう。
目的地を国民に明示し支持を得て政治家になったならば、当然のことです。
万一、変える場合はその理由を説明し、再度選挙で信を得ることが政治家として本道であることは論を俟ちません。

さて、これまでの安倍政権の歩みを自分なりに振り返って見ますと、「賞賛から困惑へ。そして懐疑へ」というのが偽らざる心境です。
目的地にまっすぐ進んでいるとの確信が、多少揺らぎ始め、昨今は船首が転じ、別の目的地に向かうのではとの疑念が湧いてきました。
そうした思いを共有する方も多いのではないでしょうか。

橋本政権に端を発し小泉政権で開花した市場原理主義は、強欲資本主義のベースとなる思想です。
市場メカニズムの完全に機能する場は、同程度の実力をもつ多数のレスラーの参加するバトルロイヤルのリングに似ています。
そこで競争するのが効率的だと主流派理論は教えています。

しかし、現実は違います。
現実のリングには、強い人と、中程度の人と、弱い人がいるのです。
そこに無差別に競争原理を持ち込めばどうなるか。
結果は明らかでしょう。格差がますます拡がるのです。
それゆえ小泉政権を支えた新自由主義思想は、国民の支持を失い、後に民主党政権の誕生という最悪の形で幕が引かれたのです。

当然、この反省を踏まえ、安倍総裁は戦略を練ったはずです。
そこで「デフレ脱却」という経済の旗印と、「瑞穂の国の資本主義」という政治の旗印を掲げました。
アベノミクスはもっぱら前者に関わるものであり、後者は強欲資本主義からの転換というメッセージを国民に与えました。
この戦略は奏功し政権奪取につながったことは周知のとおりです。

アベノミクス自体は、デフレ脱却を目的とした単なる政策のパッケージですから、進むべき針路(国家像)を指し示すものではありません。
いわば溺れかかっている人を助け、船に乗せるようなものです。
これまでのところ、「第一の矢」および「第二の矢」を使った救助方法は間違っておりませんでした。

日本丸の目的地を明示したのが「瑞穂の国の資本主義」です。
安倍総理のこの国家観に、保守層を中心に国民は沸き立ちました。
特に、行き先の全く見えなかった民主党政権後ということもあり、安倍政権は盤石の基盤を築いたのです。
ここまでは良かった。

しかし、政権発足時から、旧小泉政権時代に新自由主義的政策を推進してきた面々が登用され、民間議員が主導する各種会議で「第三の矢」の内容が徐々に報道されるにつれて違和感が生まれました。
しかし、その時点では、最終的な決断は安倍総理のすることであって、政権基盤を安定させるための多数派工作の一環とも解釈できました

そうした楽観論に水を差す出来事が、消費税増税の決定でした。
なぜ、もう一年なり二年待てなかったのかと臍をかんだ人も多かったに違いありません。
財務省の財政均衡主義の呪縛から安倍総理も逃れることができなかったことは残念至極です。
しかし、これは国内問題ですから、対策も打てるし、後の変更も可能です。
日本人の手の中にある限り、まだやりようはあるのです。

しかし、本年1月のダボス会議での安倍総理の演説は、他の論者の方達も厳しく批判されているように、青天の霹靂でありました。
第三の矢の内容が徹底的な規制緩和策であることを安倍総理自身が言明されたわけですから。
これでは小泉時代への先祖返りです。
それからは、堰を切ったように、安倍総理は新自由主義的政策の具体化を各省庁や各会議に指示して現在に至っていることはご存じのとおりです。

明らかに安倍総理は舵をきりました。
目的地を変えたのです。
トリクルダウン政策の行き着く先は、再びの強欲資本主義です。
それは瑞穂の国の資本主義の真逆の方向です。

この転換の原因は何でしょう。私には、「親米保守」という言葉が浮かんできます。

政治思想に関して門外漢の私は、保守という言葉を字義通り「保つべきものを守り抜く」と解釈しております。
保つべきものとは、国家を国家たらしめる伝統・文化・慣習等の国の形だと思います。
対するに、その保守に冠される「親米」とは何でしょう。
もちろん、それは情緒的な意味ではなく、国防および経済上の緊密なる関係を重視することでしょう。
戦後、親米政策によって日本は繁栄してきました。
いわば、親米は国益にかなうものであったことは事実です。

しかし、時代は変わりました。
覇権国家のないGゼロの時代です。
米国の日本を庇護する軍事力は格段に低下しました。
現代において経済関係における親米は国益と対立することになったのです。
親米によって国家の形が崩される事態に至りました。
明らかに親米は保守と対立するのです。その象徴がTPPでしょう。

現代において親米保守の立場を堅持することは、保守の上位概念として親米を置くことになります。
その場合、親米はもはや「追米(米追従)」に他なりません。
国益を棄損することになる。親米と保守が対立概念となった状況下で、本来、日本の取るべき方策は一つです。
常識的に言って「国益の範囲内での親米政策」しかないのです。
安倍総理には是非このことを認識していただきたいものです。

ただ、懐疑が失望に変わったとしても、そこは終着点ではありません。
意気阻喪してはなりません。
その次に備えなければなりません。
私達が日本国民である限り、保つべきものを守る必要があるからです。
戦線が多少後退しても、状況が若干不利になっても、そうした環境変化の中で次善策を考えねばなりません。
倦まず弛まず、声を上げ続けることが国家を守る唯一の手段なのです。

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