From 三橋貴明
————————————————————–
●三橋貴明の最新無料Video「中国リスク徹底検証〜不動産バブル崩壊で、、、」
http://www.youtube.com/watch?v=IZ8B1f1g7Kc
————————————————————–
【今週のNewsピックアップ】
●パクスアメリカーナの終わり
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11786966649.html
●続 ウクライナのエネルギー安全保障
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11788814646.html
今回の「ウクライナ紛争」は、日本国民にとって学ぶべき点が多い紛争です。
例えば、アメリカやEUはロシアの軍事介入を理由に、暫定政権側に立ち、対ロシア経済制裁を実施しようとしています。とはいえ、現在のウクライナ暫定政権に「民主国家の政権」としての正当性はありません。何しろ、暫定政権はデモ、暴動によりヤヌコビッチ大統領を追放し、事実上のクーデターで政権を握ったわけです。
無論、ロシア側が正当という話ではありません。ヤヌコビッチ大統領という「ウクライナの民主的に選ばれた元首」がロシアに亡命し、軍事介入を要請したからといって、「はい、わかりました」とロシア軍が動いたわけではないのです。そもそも、今回のウクライナ紛争の相当部分はは、オレンジ革命後にロシアが散々「天然ガス」という武器を使い、ウクライナ経済を混乱させたことに起因しています。
とはいえ、ロシアはロシアで、ウクライナの南部のクリミア半島に海軍の基地を置いています。黒海艦隊の本拠であるクリミア半島が、EUもしくはNATOの勢力下に入ることなど、認められるはずがありません。
更に、クリミア半島は露土戦争以降、ロシア領で、ソ連時代にフルシチョフがウクライナに移管した地域です。住民の六割はロシア系で、さらに九割がロシア語を話します。
今回のプーチン大統領の「本当の狙い」であろうクリミア半島ですが、すでにクリミア自治共和国議会が「ロシアへの編入」を求める決議を採択しました。さらに、自治共和国の「地位」に関する住民投票を、3月16日に実施することを決定しています。
このままでは、クリミア半島は「民主的に」独立の方向に向かうことになるでしょう。(ロシア側は、即座にクリミアをロシア領に編入することはないと予想していますが)
すなわち、クリミアの人々は「民主主義」に基づき、独立とロシア領編入を求めているのです。それを、民主的に選ばれたわけではないウクライナ暫定政権は、止めることができるのでしょうか。クリミアの独立を止めるには、それこそウクライナ軍を送るしかありません。とはいえ、ウクライナ軍の実力から考えると、相当に困難です。
そうなると、NATOに支援を要請することになるのでしょうか。NATOは「民主的に選ばれたわけではないウクライナ暫定政権」の要請に応え、民主的に独立しようとするクリミアに軍を派遣するのか、という話になってしまいます。
断っておきますが、別に三橋は「民主主義が絶対に正しい」などと言いたいわけではありません。あるいは、クーデターで成立したウクライナ暫定政権には全く正当性がない、と主張しているのでもありません。
要するに、「民主主義は常に善」「クーデターは常に悪」といった勧善懲悪なシンプルな理解をすることからは、日本国民はそろそろ卒業する必要があると考えているのです。今回の件では、ウクライナ暫定政府もヤヌコビッチ大統領も、ロシアも、アメリカも、EUも、クリミア自治共和国も、それぞれが自分の「利益」を追求し、自らの行動を正当化するためのお題目を掲げているに過ぎない、といいたいのです。
アメリカは他国にちょっかいを出す際に、「民主主義」を錦の御旗に掲げることが多いです(というか、ほとんどそうです)。「独裁者を倒せ! ○○国に民主主義をもたらせ!」というのは、他国の主権を侵害する際のレトリックとして、説得力が(今の世界では)高いのです。
とはいえ、現実は民主主義側が「常に善」、クーデター側が「常に悪」という単純な構図ではありません。というより、誰もが自分の利益のため「のみ」で動ていている、というのが現実の世界なのですよ、残念ながら。
例えば、日本では「民主的」に成立した民主党政権から「菅直人」という、とんでもない総理大臣が出現してしまいましたが(前任者も相当でしたが)、国民は別にクーデターもテロも起こしませんでした。とはいえ、菅氏が例えば中国と結び、権力強化のために人民解放軍を日本に駐留させよう、などと言い出した場合はどうでしょうか(例え話、ですよ)。その時、日本国民がデモや暴動を起こし、クーデターで菅内閣を打倒したとき、これは「善」でしょうか、「悪」でしょうか。
「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」
と、語ったのは、イギリスのチャーチルですが、わたくしたち日本国民も、そろそろ「民主主義は常に正しい。民主主義は絶対正義」といった単純な思考から抜け出す必要があります。
別に、民主主義を否定しているわけではありません。チャーチルの言葉通り、民主主義は随分と「マシ」な制度です。とはいえ、民主主義が国民を不幸にするケースもあるという現実を、日本国民は学ぶ必要があり、そのためには今回のウクライナ紛争が様々な示唆を与えてくれると考えるのです。
PS
YouTube三橋貴明チャンネルで「米国格差社会」を解説中
http://www.youtube.com/watch?v=7lvVjiqpsvs
【三橋貴明】ウクライナ紛争から学ぶべきことへの3件のコメント
2014年3月11日 12:07 AM
ウクライナの領土は、旧ハザール王国(ウォール街や軍産屋や白い家に多き,白人の改宗ユダヤ教徒の故郷)の版図も含むみたいどすわね。欧米のユダヤ系ロビー(旧ソ連人脈)と、プーチンを始めとするスラブ人との対立ちう側面もあるのでせうか????
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年3月12日 12:24 PM
民主主義について。青山繁晴さんなどが仁徳天皇の民の竃の故事をあげ主張する日本的民主主義。また、十七に曰わく、それ事は独り断(さだ)むべからず。必ず衆とともによろしく論(あげつら)うべし。広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシなど。>「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」チャーチルがこれを言ったのは首相落選(故にこの苦いユーモア)し、インドがイギリスから独立した直後だったと思うが、それにしても民主主義を称揚するチャーチルは愉快(hilarious)な人種差別主義者だった。白人の北米侵略支配について優越人種が劣等人種を支配するのは当然だとうそぶいている。ルーズベルトも日系アメリカ人強制収容、政権維持のために黒人差別容認(元KKKメンバーを重要ポストに指名していた)など人種差別主義者だった。また、欧米の民主主義というのは衆愚政治、全体主義に堕しやすいのではないか。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年3月13日 12:19 AM
>オレンジ革命後にロシアが散々「天然ガス」という武器を使い、ウクライナ経済を混乱させた欧州向けのガスを途中で抜き取ったりガス代の未払いが貯まったりしていたのでガスを止めたのではありませんでしたっけ?天然ガスを使ってロシアがウクライナ経済を混乱させたというのはちょっと言い過ぎでは?
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です