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2014年2月12日

【東田剛】日本の凄い外交戦略?

From 東田剛

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●三橋貴明の無料動画「日本企業が中国から撤退する本当の理由」
https://www.youtube.com/watch?v=Wzz3dqOIGrY

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2月22日から25日、シンガポールでTPP交渉の閣僚会合が開かれるそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140207/t10015083451000.html

4月には、オバマ大統領が訪日するそうで、TPP交渉は、大詰めを迎えているようです。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201402/2014020300114

米国は、「コメは棚上げしてやるから牛肉と豚で、降りろ」と言ってきているようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0602X_W4A200C1EA2000/
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000021136.html

コメを許してやるから、他は全部寄越せというわけです。
米韓FTAと同じ手口ですね。

「次回会合で米国が軟化して一部の例外を認めれば、日本も五項目のうち一部の撤廃に応じる可能性がある」とか報じられています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014020802000118.html

五項目は関税維持するって国会決議したのに?
しかも、「米国が一部の例外を認めるなら、日本は一部の撤廃を応じる」って、これ、全然、取引になってないじゃん。

いやはや、今回は、日本側はどんな凄い外交戦略で、交渉に臨むのでしょう。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/01/29/korekiyo-81/

私が交渉担当だったら、フロマンUSTR代表にこう言ってやりますがね。
「日本人は、米国産の牛豚肉なんか、いらねーんだよ。動物性タンパク質は、イルカから摂ってんだ。キャロラインにも、そう伝えておけ。このブタマン!」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140207/trd14020715330013-n1.htm

ちなみに、安倍政権の外交戦略は、「地球儀外交」と言うのだそうです。
http://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%84%80%E5%A4%96%E4%BA%A4

「世界全体を見渡して、自由・民主主義・基本的人権・法の支配といった基本的価値に立脚した戦略的な外交を展開していくこと」だそうです。

私のイルカ外交と違って、お上品ですね。

では、私たちも、世界全体を見渡してみましょう。

例えば、トルコ。

トルコは、昨年から、フラジャイル・ファイブ(外国資金への依存度が高く、FRBの量的緩和の縮小に伴って、通貨が特に下落しやすい五つの新興国)の一つに数えられていました。
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo206.html

先日の量的緩和の縮小により、トルコの通貨は急落し、トルコは通貨防衛のため、利上げを余儀なくされました。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304882304579351583252569464.html?dsk=y

利上げにより、トルコ経済は苦しくなるでしょう。

しかも、近々、選挙があるので、政治的にも不安定になりそうです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/02/06/shibayama-24/

いや、トルコの国内政治は、すでに昨年からうまくいっていませんでした。
エルドアン政権が、政教分離を定めた憲法に反してイスラム化を進め、強権的な色彩を強めたために、国内で反発を招き、昨年六月には、大規模な暴動が起きています。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95100K20130602
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE95404S20130605?feedType=RSS&feedName=worldNews&pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

エルドアン首相の汚職も問題になっています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39622
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0401I_U4A200C1000000/
http://mainichi.jp/select/news/20140112k0000e030135000c.html

宗教団体の対立も激化しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV19002_Z11Chttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0401I_U4A200C1000000/13A2000000/

こうした中、エルドアン政権は求心力を低下させ、与党から離党者が相次いでいるようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0401I_U4A200C1000000/

問題は、国内政治だけではありません。

トルコは、内戦が続くシリアやイラクと国境を接する国です。
昨年九月、トルコ空軍機がシリアのヘリを撃墜しています。

http://jp.reuters.com/article/jp_mideast/idJPTYE98G00M20130917

トルコには、シリア難民が大量に流入しているようですが、テロリストも国境を超えてくるでしょう。
実際、昨年五月には、テロが起きています。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94C00I20130513

さらに、エジプトで軍事クーデタが起きてからは、エルドアン政権は、同盟国である米国との関係も、うまくいかなくなっています。
バード大学教授のミード氏は、こう書いています。
「事態は困ったことになってきている。つまり、オバマ大統領がかつて世界の首脳の中で最良の友5人のうちの1人として名前を挙げ、「さまざまな問題に関して極めて優れたパートナーであり極めて優れた友人である」とたたえた人物(注)エルドアンのこと)は今、米国政府から非難されている。非難の理由は、その人物がエジプトのモハメド・モルシ前大統領失脚の黒幕はイスラエルだという「攻撃的な」反ユダヤの主張を展開しているためだ。」
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324361104579036462610265116.html?dsk=y

このようにトルコは、国際的にも国内的にも、政治的に経済的にも、非常に危ない状況にあります。

でも、安倍首相は、昨年、そんなトルコを二度も訪問し、何と原発の売り込みに成功しました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131030/plc13103021310014-n1.htm

PS
三橋貴明の新作無料Videoです。
https://www.youtube.com/watch?v=TJwiZbLjwBI

PPS
「構造改革って、新しい商売?」と疑問をお持ちの方には、役立つかもしれません。

<東田剛からのお知らせ>

今回も、とっても面白い話です。
http://chokumaga.com/author/124/

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【東田剛】日本の凄い外交戦略?への8件のコメント

  1. メイ より

     地球儀外交・・うわあ・・。こういう考えの方が靖国を参拝したんですね。英霊の皆さんに心の中でどんな言葉をかけたのだろう?「国のために戦った事に尊崇の念を」等と言っておられましたが、本当かしら?だって「国籍も国境もこだわらない」という地球市民みたいな思想があるのに、英霊の皆さんは「国の為に」戦って下さった方々ですものね。 あと、安倍さんは靖国の英霊は、神となられ祀られていることを、失念されているような・・。 私としては、東田先生の「イルカ外交」の方が、ずっと良いです。 

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  2. 名は無くとも より

    いつも楽しく拝見しております。地球儀外交ですか・・・。そういえば大航海時代を取り上げたような物語で、世間知らずの青二才貴族が、地球儀を”くるくる”回しながら誇大妄想している場面を見たことがありますが、何かの暗喩かもしれませんね。しかし、このご時世に、くるくる・・外交じゃなくて、地球儀外交ですか・・・。ここで一句地球儀を、くるくる回す、くるくるパー。うーん微妙!ちなみに、メルカトール法の地図ですと本国が中心の世界地図になりますが、地球儀の場合違います。ぐろーばる症候群の症状の一つかもしれませんね。その内、「宇宙から見ると国境線は無い!」とか「俺も青二才だけど地球も青い」とか言い出すんじゃないですか・・・。あ〜、嫌だ嫌だ!また宇宙人襲来か・・・(勘弁!)

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  3. ハヒフヘーゾー より

    >>私が交渉担当だったら、フロマンUSTR代表にこう言ってやりますがね。 「日本人は、米国産の牛豚肉なんか、いらねーんだよ。動物性タンパク質は、イルカから摂ってんだ。キャロラインにも、そう伝えておけ。このブタマン!」東田外交官ならばこう言って突っぱねるのでしょうけど、「へいへい、分かりました。TPPに入らせてもらうためにイルカ漁は自粛します。」とアメリカ様に媚びへつらい、太子町に「イルカ漁止めねえかゴラァ!」と見事な内弁慶っぷりを発揮するそれが安倍クオリティです。

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  4. ぱなとりん より

    イルカ外交で「このブタマン!」の部分、すし詰め満員電車なのに思い切り吹いたではないですか!!どうしてくれるんですか。(笑)でも、相手の嫌がる部分を突いてこちらの主張を飲ませる見事な戦術だと思います。<イルカさすが東田先生です。>>これ、全然、取引になってないじゃん「こちらの最低限曲げられない主張の一部を飲ませるために、こちらの最低限曲げられない主張の一部を曲げる」という戦術の意味がわかりません。担当しているのはどんな交渉術を持っている方なのか、非常に気になります。さぞ交渉術に卓越したエキスパートなのだろうと思いますが。そもそも交渉戦術の前に、戦略がダメなのでどんなエキスパートでも効果は出せないと思いますけれども。

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  5. はいらんだー より

    世界全体を見渡して「地球儀外交」ですか。かつて「全方位外交」を党是に掲げていた政党がありました。日本社会党です。社会党などと一緒にするなと言われるかも知れませんが、昔、自民党議員の決して少なくない数が社会党議員と共に金日成の祝賀に詣でて恥じませんでしたし、こんにちこの期に及んでなお多額のODAを中共のようなザルに投じて止められないでいます。「地球儀外交」なるものはいまに始まったことではありません。トルコに対する懸念もそうですが、安倍自民党のインド傾斜もかなり危なっかしい気がします。カーストということばを安易に用いて国内の世相をうまく言い当てたつもりになっている物書き連中がいますが、おそらく不可触民のような凄まじさを知識としてもまったく知らないからでしょう。インドという国はなかなか魅力的ですし、歴史上果たして来た役割に敬意を持っています。しかしインドがそれこそ「地球儀外交」の基本的価値とする民主主義とはまるで程遠いこと、つまりなくなったはずのカースト制度が生き残っているどころの話でないことは、きちんと捉えておく必要があります。

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  6. ヌコ より

    慰安婦問題だって南京大虐殺だって、戦勝国筆頭のアメが、自国の国際法超越(笑)の残虐行為(東京大空襲、長崎広島原爆投下)を正当化する為、中韓に飯の種として与えたプロパみたいなものでっさろ?日韓が共闘されて困るのは実はアメなんじゃないんでしょうか?特に、脱英米グローバル経済植民地、脱国際(他国債)金融資本を日韓に掲げられて困るのがアメなのではないでしょうか?わざと、米韓FTAの悲劇について日本に警鐘を与えようとしている韓国の良心派の声を、慰安婦問題で掻き消そうとしているのではないでしょうか?と勘ぐりたくなるほど、アメに怒り心頭ですよ。

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  7. 名無しの権兵衛 より

    アメリカ「日本と韓国とが対立することは望まない」  ↓米国内で慰安婦像乱立  ↓米州議会「“日本海”“東海”を教科書に併記」燃料投下し過ぎw本当にアメリカには失望します。

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  8. poti より

    地球儀外交=地政学を多少は考慮した外交ではございましょうが、相手の事や国際情勢をまるで考えていないのではちょっと何というか、空気読まない裸の王様外交と言い直すべきなんではないでしょうか政府高官の頭の中では平和が続いているのかもしれませんが、控え目に見ても燻った非常時、率直にはバルカン状態というのが現状ですし……外交戦略というか、青臭い子供が片思いのラブレター書いてるようなスメル若しくはアメリカの真似っこして世界を混乱させてるスメル

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