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2013年11月19日

【藤井聡】防災文化を織り込んだ社会

From 藤井聡@京都大学大学院教授

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http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index.php

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語り尽くしています。

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今、国会では、様々な「防災」「危機管理」についての法案が審議されています。

そんな中、「首都直下地震特措法」が、過日衆議院を通過し、近日中に成立する見込みとなっています。
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20131115/3056411.html

そしてこれから、南海トラフの特措法、そして、国土強靱化基本法についての審議が重ねられ、場合によっては近日中に、首都直下地震特措法と同様、衆議院を通過し、成立する可能性があるのではないかとも言われています。

そんな中、過日衆議院の防災特別委員会の参考人質疑が行われ、誠に僭越ながら、当方も、参考人の所見を申し上げる機械を頂きました。

Youtube =_http://www.youtube.com/watch?v=hdGmQCPpOUE
ニコ動= _http://www.nicovideo.jp/watch/sm22253493?ref=search_tag_video

その折、当方はその意見陳述の最後に、次の様に申し上げました。

『つまり、災害に強い社会とは、
「災害のためだけの特別事業を別途行っているだけの社会」では無い。
そうした特別事業を一定水準進めると共に、
「あらゆる事業が、災害を見据えたものに調整されていく社会」である。
つまり、「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会。
これこそが、「強靭化」と呼ばれる取り組みの要諦なのである。』
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2013/11/saigaitaisaku20131114.pdf

もちろん、災害に対して最悪に弱い社会とは、災害を一切想定せず、そのための備えも、訓練も何もしていない社会です。

そして、当方が感じますのは、今の日本というのは、そんな、極めて災害に弱い社会に近づきつつあるのではないか。。。。というものです。

ですから、今の状況では、「災害のためだけの特別事業を別途行っていく」ということが、非常に大切だと思います。

それは例えば、年に一回の防災訓練をやりはじめるとか、防災の会議を地域毎、業界毎に行っていくとか、防災担当者を新たに任命するとか、あるいは、津波堤防を作る等。。。。です。

しかしここで主張しているのは、「災害のためだけの特別事業を別途行っている」という「だけ」では、本当に強靱な社会にはならないだろう。。。という点です。

では、どういう社会が、災害に対して強靱なのかと言えば。。。。そういう特別事業も当然一定程度行っていくことは必要なのですが、それだけでなく、「あらゆる事業が、災害を見据えたものに調整されていく」という状況になっていることこそが、必要なのだと思います。

例えば、首都直下地震の被害を超絶に拡大させる本質的原因は「東京一極集中」です。ではなぜ、この一極集中が生じたのかと言えば、結局は、「どこに住むか考える」という、多くの法人、個人が長期的には幾度となく行う、至極一般的な意思決定の際に、「地震のリスクを考えていなかった」という事が、理由だと考えられます。

もしも、「どこに住むか考える」際に「地震のリスクについてよくよく考える」という風潮が我が国にあれば、ここまで一極集中が進まなかったと考えられるでしょう。

ただし、このように「地震についてよくよく考える」という「特別」な事などしなくても、もっと強力な方法があります。

それは、もしも多くの日本人が、「生まれ育った街や村で生涯を終える事が当たり前だと考える」「生まれ育った街で、しっかりを仕事をし続けるのが当然だと考える」「先祖の墓を守るのが足り前だと考える」という、少し前なら至極当たり前だった風習を、今でも持っていたとすれば、仮に地震の事など何も考えていなくても、東京に一極集中することなく、日本は強靱なままだったのです。

これこそが、『「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会』です。

この様な例は、いくらでも挙げることができます。

家を建てる時に地震のリスクをどこまで考えていたか、という事は、家の強靱化にとって、極めて重要です。

でも、より強力なのは、(例えば、京都なら)「昔ながらの京町屋の建築工法を採用する」というものです。なぜなら昔ながら土壁を基調とした建築工法は、地震に対する粘り強さがハンパ無く高いからです。

ある地域で防災会議を行って、関係者間で意見交換を行うことは、その地域の強靭化にとって、極めて重要です。

でも、そんな防災会議などわざわざ行わなくても、普段からその地域に濃密なコミュニティが存在し、普段から様々な情報を交換する社交の場が存在しているのなら、彼等はどんな災害が起こっても一致団結してそれに立ち向かい、そこから立ち上がる事が可能となるでしょう。

・・・・

筆者が理想とする強靭化の取り組みとは、このような『「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会』を目指して、あらゆる行政、あらゆるビジネス、あらゆる社会活動が、少しずつ少しずつ「調整」されていく「改善」されていく社会です。

それは、「構造改革」と呼ばれる機械的で無機質で暴力的な取り組みとは全く異なる取り組みです。
あえて類似した言葉を用いるとするなら、筆者が理想とする強靭化の取り組みは、

「体質改善」

です。

「構造」という言葉は、対象を機械のように見立てた時に用いる言葉です。

しかし、私たちの社会は機械ではなく、有機体です。だから、構造という言葉よりも「体質」という言葉が適当だと思います。

「改革」という言葉は、それまであったものを全て一旦ご破算にして、ゼロベースで新しいものを、さながらプラモデルを作りあげるようにして設計して作る、という、激しい言葉です。

しかし、私たちの社会は有機体です。だから、そんな改革をしてしまえば、衰弱して、最悪の場合は、その息の根がとまってしまうかもしれません。有機体である以上、その対象に対して為すべき取り組みは、そんな改革ではなく「改善」であるべきだと思います。

。。。。

つまり、強靭化とは、

「今まで、地震リスクがあるという事を想定せずに、度重なる改革を通して作り替えられてきた、有機体としてのこの私たちの社会を、地震リスクがあるという事を想定し、その地震リスクがあるこの環境の中でも上手に生き残る事ができる様な社会に、少しずつ、その体質改善を図っていく取り組み」

というものなのではないかと、当方は考えています。

そして。。。。

今、国会で議論されているその基本法(国土強靱化基本法)は、まさに、そんな体質改善の取り組みを、政府が行っていくことを保証する、日本国家にとって極めて重要な意味を持つ法律なのではないかと、考えています。

今週も、その審議が続けられますが、是非、この基本法の行方を、ご注視願えればと思います。

では、また来週。

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【藤井聡】防災文化を織り込んだ社会への6件のコメント

  1. 匿名希望 より

     本当に同感です。貴方が教えて下さった事を少しずつでもやってみようと思います。議員さん等へのメールなども勇気を出して何度かしたこともあるのですが、意味があるのか悩んだりしておりまして・・。でも皆さんのコメントを拝読しますと勇気を出せそうに思います。 藤井先生に要望を書いている方々は、いとはんさんのような優しい方のお心を傷つけないよう、「安倍さんが変遷したような変わり方を藤井先生はしないで下さいね」という気持ちで書いておられると思うの。こちらのコメント欄は優しい方がたくさんいらっしゃいますね。

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  4. めぐみ より

    藤井先生のお働きには頭が下がるばかりです。最近の動画などでは、お声も辛そうなご様子。どれほど気力体力を振り絞って我々国民のために働いて下さっているかを想像すると、藤井先生をはじめとする諸先生方のお働きを実りあるものにするため、自分に何が出来るかを問わずにはおれません。

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  5. いとはん より

    藤井先生が何か発信されると、それに対する反応の大半が、藤井先生もっと頑張れもっと働けもっとやれ!といったものばかりです。言われなくても藤井先生はもう精一杯戦ってるし働いてる努力されてます。誰よりも誰よりも頑張ってこられてます。国土強靭化は我が国全部の問題であり、これに関係のない国民は一人もおりません。なのになぜ誰もが自分は部外者のほうに傍観者のように、ただひたすらサービスを要求する高慢な客のように藤井先生に要求ばかりされるのでしょう?もっと頑張るべきは国民一人一人です。もっと努力するべきは藤井先生でなく国民全員です!お一人お一人が、ご自分にできることを考えてください。行動してください!国土強靭化を実現するのは藤井先生おひとりの力では為し得ません。地元議員に訴えてください電話し、メールし、報告会に参加して強靭化への質問をして、関心の高さを示してください!どの方にもそれなりにできることはたくさんあるはずです。藤井先生や土木や公共事業を不当に貶める人達がたくさんいます。もっともっと多くの方が、その正当性を主張して、周りの人に知らしめてください!努力するべきは藤井先生ではなく、みなさんおひとりおひとりなんだと、ぜひ胸に刻んでいただきたいと思います!

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  6. 古事記 より

    哲人による政治を唱える氏には歯痒い政治家へメッセージが届くかどうかより、氏が訴えを続けられるかどうかです。五年後までのクダラヌ事への我慢と志の変化の無い事をご期待致します。生活に規範は真の日本的な仏教哲理は全て日本国家と国民の安寧、正しき道を養う教えです。鎮護国家、興禅護国、立正安国、京都の東寺の名称は教王護国寺です。藤井先生の好きな上杉鷹山殿は一生を懸けて藩を建て直し残念ながらも藩の借金を返し、藩を建て直された直後に生涯を終えられた。日本仏教の祖は全て同様に我欲を捨て国の為に教えを広められた。鷹山公は結果的に民の為に建て直しだけで生涯を終えられた。志の為ただ淡々と日々を過ごされた偉人の偉業の上に現在の日本が有る事を忘れ。先生の御指摘のように、今の目の前の事にしか関心が無く、ボケたやさしい言葉、威勢の良い言葉で誤魔かす。過去の事実として国家国土の危機が繰り返されているのを学んだはずなのに(地震も噴火も外からの侵略も実際に有ったのです)にも拘らず。  私には起こらない、今は起こらない、目の前には起こらない、見ない聞かない言わない知らなかった。そんな事より今自身の為に我田引水の行動をしておかなければ、次の当選が無ければ生活に困る、名誉も無くなる、権力も失う等と言い訳を平気で公然と訴えて、先生の主張の様な国民国家の安泰や尊厳を優先順位のイの一番に掲げる政治家、役人が前面に現れないオカシナ時代へと進めて、危機感を募らせる者を裏切る為政者達。国土国民強靭化の前進を願い一極集中を加速させる自由化、規制改悪を憂います。藤井先生にはより一層の訴えをお願いいたします。

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