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2013年11月20日

【東田剛】予想通り不幸な展開

From 東田剛

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●月刊三橋最新号のテーマは、「アベノミクス再検証」。

安倍政権の成長戦略の大問題について三橋貴明が語りおろしで徹底解説。

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index.php

※デフレ、TPP、インフラの規制緩和、医療保険の改悪、薬のネット販売の問題点
新古典派経済学の問題点、日本の薬価を操作しようとするアメリカの製薬企業ほかについて
語り尽くしています。

※今、日本が直面する問題が70分でまるごとわかる内容になっています

————————————————————

TPPも、いよいよ、予想通りの不幸な展開となってきました。

米国は、日本にすべての輸入品の関税をなくすよう求め、コメなどの農産品「重要5項目」も、20年以上の猶予期間をつくるなどして撤廃するよう要求しているのだそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131117-00000008-asahi-bus_all

安倍総理は、聖域を確認したから交渉に参加したんじゃなかったっけ?

さすがの日本政府も、反発を強めていると報じられています。

頑張れ、ニッポン!
多国間交渉なんだから、他の国と連携して交渉を有利に進められるって話だぞ!

と思ったら、他の交渉参加国も、日本に対し、すべての貿易品目を関税撤廃の対象とするよう求めていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131117/k10013116411000.html
http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013111501002657.html

しかし、TPPで守るべきは、関税だけではありません。
非関税障壁も重要です。
ところが、TPP交渉の非関税分野の議論は「ほとんどすべて安倍首相の3本目の矢の構造改革プログラムに入っている」(米通商代表部 カトラー次席代表代行)のだそうです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11679367149.html
非関税分野は、交渉妥結前に、すでに降りていたんですね。

安倍総理は、「攻めるべきは攻め、守るべきは守る!」そうですから、「攻め」もあるはずです。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20131015shoshin.html

と思ったら、米国の自動車関税の撤廃は、協定発効から20年程度先となる公算が大きくなったとか。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131104-OYT1T00859.htm

そう言えば、経済産業省は、日本がTPPに参加すると、交渉力が強化されて、交渉の自由度が拡大するなどと言っておりました。

(参考)資料4「経済産業省試算(補足資料)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/pdfs/siryou20101106.pdf

しかし、EUは、日EU・EPA交渉で、市場開放についてEUにもTPPと同じ待遇を求める方針だそうで、交渉の自由度は、むしろ著しく狭まってしまっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO61360530R21C13A0NN1000/
てことは、EUの自動車関税も撤廃も難しいでしょうね。

TPPは多国間交渉だから二国間交渉とは違って、交渉を有利に進められるという話も聞いたことがありますが、多国間交渉と並行して、日米二国間でも絶賛交渉中です。

USTRのフロマン代表は、日本の自動車や保険などの非関税措置の是正について、「TPP交渉全体の進展に不可欠だ」と語り、日米二国間の並行交渉で解決を目指していると報じられています。
アフラックだけじゃ、満足しなかったらしい。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201311/2013111500199

もはや、何のために交渉参加したのか、おそらく政府やTPP推進論者すらも、分からなくなっているんじゃないでしょうか。

だから、あれだけ言っただろうが・・・。

とは言え、いいニュースもあります。
オバマ米政権がTPPを発効させるのに必要な「大統領貿易促進権限(TPA)」法案の年内成立が、米議会の与野党の反発によって難しくなっていると報じられています。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131115/amr13111520070009-n1.htm

アメリカの言わば「敵失」で、TPPが空中分解する可能性もあるのかもしれません。

フロマン代表が、自動車分野や保険分野で強硬姿勢を示しているのは、おそらく、年内妥結のために、議会を納得させるためでしょう。

でも、安倍総理は「年内妥結に向け日本が主導的な役割を果たす責務がある」と述べています。
http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1100S_R11C13A0EB1000/

だとすると、年内妥結のため、自動車分野や保険分野で、日本が主導的に譲歩する「責務」があるってことになるんじゃないでしょうか。

しかも、安倍総理の認識によれば、TPPは、「アジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組み」、「国家百年の計」「歴史の必然」「自由、民主主義、人権、そしてルールに基づく秩序の背骨」だそうです。
ここまで妄想がふくらんでしまっては、もはや、引っ込みはつかないでしょう。

引っ込みがつかなくなったのは、TPP推進論者も同じです。
例えば、「交渉に参加して、駄目なら離脱すればいい」と言っていた先生方の中で、現状を見て「駄目だから交渉から離脱すべきだ」と言っている人、誰かいますかね?

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月刊三橋最新号では、安倍政権の成長戦略と新自由主義を徹底検証。
景気減速、デフレ悪化は確実か?
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【東田剛】予想通り不幸な展開への21件のコメント

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  2. 匿名希望改めメイ より

     もちろんです。 私たち、ちょっと古めのエントリーで長い間お話ししていましたものね。私は一筆さんとお話しできて少し楽しかったです。ありがとう。私が引き留めてしまった気もします。 お返事下さっても、そうでなくても良いので、無理しないで下さいね。 やりとりが随分長くなり過ぎてしまったので、そろそろお開きでも良いと思います。 貴方を疲れさせてしまったのではないかとも思いますが、「女のお喋りは長いものだ」と思って、お許し下さいませ。  

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  3. 一筆 より

    他の中野氏の記事で返事します。この記事に辿り着くのに大変なんで。良いですかね、メイさん

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  4. 匿名希望改めメイ より

     雇用問題については、一筆さんと全く同意見です。本当にその通りですよね。それこそが、こちらのサイトの先生方の、強い願いで、私も同じ願いを持っているのです。「もうこれ以上、若い人たちを苦しめないで!」と叫びたい思いです。 就職面接を数百件も受けて全て断られて自殺した子がいたと、報道で聞いた時には泣かずにいられませんでした。テレビに向かって「貴方が悪いんじゃないのに」と呟きました。 そういう事に対して、「自己責任」とか「仕事を選んでいるんじゃない?」とか「自然淘汰されるようなタイプだった」とか、そういう人情のない、冷たい事を言えるような人には本当に怒りを覚え、なぜそんな事が言えるのか、と情けなくなりますが、そういう考え方が色んな分野に蔓延してしまった。 社会経験の浅い若い人が多少、効率が悪かろうと、社会性がアレだろうと、当たり前じゃありませんか。ねえ? 会社のありようも今と昔とでは、随分変わってしまったのですね。自分たちで苦労して若い人を育てるより、資格でも持った安くて簡単に辞めさせられる派遣社員等を使った方が楽だし、「効率的」でしょうからね。 企業というのは本来、営利も大事でしょうが社会貢献することが重要な役割でした。雇用を生み出すこともそうですし、植樹や森林の保護、寄付など、社会のためという責任感を持った企業があった。会社は仕事をする場所だったけれど、皆の共同体という役割もあった。安定した雇用と心が、充実した仕事ができる原動力にもなっていたと思います。 今は企業側の為の論理で、雇用も不安定でふわふわ、人間関係も派遣さんが多くてふわふわ、足元がふわふわしてる印象です。行き過ぎた資本主義は企業側にとって有利な面が多いでしょうが、雇われている方にとっては不利な面が多いと思います。 更にTPPという「人、物、金」の自由化で外国からの労働者がどっと入ってきたら、安い外人労働者に押され、日本人は雇用の場が少なくなる。企業は「コスト削減」して「効率的」にすれば褒められる時代。 言いにくいけれど、安倍さんの政策が日本的な「ほどほど資本主義」ではなく「行き過ぎた資本主義」に傾いているような気がして、皆が苦しむ事を恐れています。 一筆さんを含めて、お会いした事もないけれど、若い人達が幸せである事を切に願っている大人はたくさんいると思います。だからこのサイトの先生方の支持者が多いのだと思っています。 麻生さんについてですが、ここでは、しばしば批判されていましたが、一筆さんが仰りたかった事は消費税に対する批判だったのですね。 消費増税の決定は大変なショックでした。若い人の雇用もままならない中で、デフレの中で、自然災害の被災者だらけの状況で、増税ですか!?と。一筆さんも、すごく辛い思いをしたに違いありません。家ごと財産、家族、仕事、ふるさと、人生の全てを失った方が大勢いらっしゃるのに、増税されて、皆が元気にお金を使うとは思えない。あんまりです。どうしてあと一年か二年待つ事ができないのでしょう。 増税の決定は皆の心にも混乱を起こしました。増税に反対していた人同士が反目し合って争うようになって、敵国の思うつぼ・・。上念さん・倉山さんという識者の方は「安倍さんは悪くない。批判する奴は味方のふりしたコミンテルンだ。」というような事を言ってますが、そんな事を人に信じ込ませれば、愛国者同士が疑心暗鬼になって国力が衰えるだけだと思います。本来なら両陣営が普通に話し合えた筈なのに・・。もし、上念さん・倉山さんのファンの方がいらしたら、ごめんなさい! 財務大臣である麻生さんの責任はあると思います。しかし、消費税増税という非常に大きな政策というのは総理大臣が決断しない限り、決定しません。 財務省が増税に邁進していた事は事実でしょうし「安倍さんは木下財務次官との戦いに負けたのだ。事務次官を変えるなんてできないし」と上念さん達は言ってますが、そうではありません。財務省より大きな力を持っているという法政局長官は変えたのですから。 それに本当に増税を阻止したかったのだとしたら、入念な準備や根回しが必要だったのです。増税慎重論を大きくする努力が必要だったのに・・。安倍さん自身が「消費税増税の結果について私が責任を持つ」とまで言って決断したのです。 上念さん達が総理大臣より財務大臣の責任の方を重くみたり、総理大臣たる重い責任を持った人間をそこまで免責しようとするのは、悪気が無くても、政治が歪み、正道から外れる事になりかねません。安倍さんを大事にする事にはなりません。 それにリフレ派というのは、「デフレは貨幣現象である」と定義づけているので、増税反対としては理論は弱いのではないでしょうか。増税するなら金融緩和をもっと行えばそれでいい、という話になるのでしょうから。必死に増税反対してくれた事はありがたかったですし、感謝ですが、若い人を取り込み、利用するためのパフォーマンスの可能性は無いのか、警戒しています。あの人達を信じた、若者を利用したら・・許せないですが、まだ判りません。そうで無いことを祈るだけです。 一筆さんを傷つける内容になってしまったでしょうか・・。   

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  5. 一筆 より

    まぁ、ここに寄稿されている方々が、安倍さんを批判する理由はTPP参加表明による反動なのでしょうが、それがデフレ脱却を目的とした景気政策の足を引っ張るとする、消費税増税を後押しした麻生さんを批判しない理由にはなりません。通商政策と財政政策を白か黒かで判断する愚かさには、日々暗雲が立ちこめていると感じますね。安倍批判の急先鋒なのは三橋さんですが、その根底には、中野さんが批判するTPP参加に対する憤慨とは次元が違うように見えます。寄稿者の中で、その発言の背景に見え隠れする人物の思想が私には受け入れ難いため、彼等が吐いた唾に私は責任を取って欲しいものです。私は麻生太郎の政治家としての変遷して行く思想信条が嫌いであり、西部邁の変遷して行く評論家としての思想信条が嫌いなだけですよ。共通する性格は「自惚れ」。己惚から大多数の人間を納得させる智慧は生まれ得ないと、確信しています。私はTPP参加には賛成していますが、日本企業が勝ち抜く事を前提としています。恐らく勝利するだろうとの意見ですが。また私は、藤井さんの国土強靭歌論にも賛同していますし、中野さんが最近主張している東アジアに於ける我が国の軍事力プレゼンスにも賛成です。しかし国政としての一番の要は、若者を中心とした「雇用」問題をどう解決して行くのか。この大問題、あまり議論が為されていない事実に危機感を感じています、皆に勤労の意欲と喜びを取り戻させる政策が、政治の命題でもあると思うのですよ。

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  6. 匿名希望改めメイ より

    一筆さんへ (返信欄が細くなったのでスレを新しくしますね)。 そうね、麻生さん、どうしていらっしゃるのかしらね?どうしても首相の方が報道の量が多いためか、あまり表面に出てきてない印象ですよね。 ある一部の識者の方々が「麻生さんを批判しない人がいる」ような事を仰っていたのですが、話しの内容からすると、このサイトの先生方の事を指しているみたいで。でも実際にはそうではなくて、批判すべき時に批判されていたのです。その一部の識者の方は大変知識の豊富な先生達なのに、事実と異なる事を仰るので、何か勘違いされているのかなあ、と不思議に思っています。 気の毒でもあるけれど、批判されるのも民主主義国家の政治家の仕事のような所があるんですね。 どんなに支持している政治家でも、支持するだけではなく、同時に監視する目も持たなければいけないのかもしれません。こんな意見を言うと貴方を寂しい気持ちにさせるのではないかと心配ですが・・。政治家というのはどんな影響を受けて変わるか判らないし、本心を隠す事もあるでしょうし、人間に絶対という事はないでしょうからね。それに本当の心の中は、本人しか判らないのに、信じたいときには想像しすぎてしまい、判断を間違う事もあります。だから表面に出ている発言や政策のみで判断するしかないんじゃないかな、と考えています。 安倍さん批判を危惧している方は、かつてのマスコミによる政治家への激しいバッシングと重なってしまうのかもしれません。あれは本当に酷かったですものね。批判なんて言えるものではなく、単なる上げ足取りの悪口レベルで、朝から晩までやっていましたからね。あれに義憤を感じた人が多かったと思いますし、私もそうでした。 本来、マスコミというのは権力が暴走しないよう監視して、適切に批判することも仕事ですが、あの時は、聞くに値する適切な批判ではありませんでしたし、自分たちの意に沿わないから攻撃したに過ぎない、と思っています。あの時を思い出して、「安倍さんを批判するのはマスコミの仲間で悪意があるんだろう」と思ってしまう人がいるかもしれませんが、このサイトの先生方が政治家について批判される時は、明確な理由があり、ただの攻撃であるマスコミのバッシングとは質の異なるものです。このサイトの記事を読んで下さればおそらく判って頂けるかもしれません。批判の基準は大きく言えば「国民の為になる発言か?政策か?」だけだと思います。 今はマスコミは安倍政権にそこまでひどいバッシングはみられません。反省してくれたのか、必要無いと思っているのか判りませんけれど。 

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  7. 一筆 より

    逆にお尋ねしたい。安倍総理大臣は俯瞰的に政治を見過ぎて、様々な課題も残しているというものの、外交は対中政策を軸に戦略的に上手くやってると思うのだけれど、副総理大臣兼財務大臣の麻生太郎はこの1年何をしていたのでしょうか。過去のデフレ期を脱する重要なこの時期に、消費税増税を、財務省盲信という体でお決めになっただけ。ポスト安倍等ある訳でもないというのに、大局観も無く、国際公約といったありもしない論理で押し通した罪状は、かなりヘビーであり、その思考そのものが吉田茂の孫というだけで、私には何に対してもポチと感じる。

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  8. 匿名希望改めメイ より

    すみません!補足です。 麻生副大臣、何かあったのでしょうか。最近、「批判すべき」という意見を散見するのですが・・。このサイトでは執筆陣のどなたかが何度か批判された事がありました。確か、直近では、麻生さんが水道民営化に言及した時と、「消費税増税は外国との公約だ」というような発言をした時だったと思います。安倍さんについては政治家で一番重い権力と責任を負っているので、批判にさらされなくてはいけない立場ですし、批判してはいけないとなると独裁っぽい感じになりそうで、安倍さんもそれは本意では無いんじゃないかしら。でも良い政策を行って下さればそれに対してはもちろん支持したいのです。

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  9. 匿名希望改めメイ より

     一筆さん、返事が遅くなってしまって本当にごめんね。せっかくお返事を下さったのに、申し訳ないです。一筆さんからのお返事は、私の意見を尊重しようとしてくれた事が感じられて、感謝の気持ちです。 「グローバライゼーションは日本の病巣」という貴方の言葉は その通りかもしれませんね。海外との貿易も、海外での事業展開も必要なものがたくさんあると思うので、極端になり過ぎなければ良いのですが、今は極端に走りそうで怖いのです。皆が一筆さんのように「外国の方々へ日本の技術や製品で貢献しよう」という志を持って下さっているなら、ここまで心配では無いのですが。血眼になって「外需を取りに行くんだ!」と考える方もあり、その国の企業が得られる筈だったお金がたくさん日本企業に流れてしまったら、その国が困ってしまうのではないかと。こういった事が高じて「外国が俺たちを食いに来るなら、俺たちだって生き残るために同じ事をやるさ」とお互いが食い合う事になったら世界は殺伐とした焼け野原になりそうで・・。まずは日本経済が体力を取り戻して欲しいと思いますが、それにも色々な意見があるらしいですね。 以前に柴山先生が仰っていたのですが、「戦前を見てもグローバル時代というのは帝国主義の時代であり、戦争の時代であり、資本主義が今日よりはるかに野蛮な時代だった」。私程度の素人考えですが、国境という壁が低くなって、「人、物、金」の移動が自由になるほど、経済的危機にしても感染症等にしても、世界中に蔓延しやすくなりそうで、危険を感じます。 だからといって、海外進出を志向する企業を一方的に批判する気になれないのです。今の日本で物が売れない、電気代は高い、消費税も上がるとなれば、海外に行かざるを得ないところもあるでしょうし、そもそも「弱肉強食の世界で競争すべき。潰れたら自己責任だ。効率的じゃなかったんだ」と言われたら、企業は何としても生き延びようと鬼にならざるを得ないですものね。企業が選んだ道、というよりは政治家の選択だったと思います。 こういう事を人と話していて「経済に国が介入しすぎるのは共産主義みたいだ」と言われた事があるのですが、それで「ああ、なるほど!共産主義に反発するあまり国家の介入を危惧する人がいるのか」と気づいたのです。 「共産主義」は私有財産を認めないし資本家の存在を認めない、と考えれば「資本主義」と対立する思想のように思えますが、資本主義も極端に振れすぎれば人を幸福にしない。もちろん、共産主義の方がより過激であるには違いないのですが、両者には共通項があるようです。「国家システム・秩序・資本家というものは、人を縛り富を搾取する忌まわしいものなので人民を解放しなければならない」というのは社会主義特有の考え方ですが、国家というのは本来自国民を守り、利益を目的としない存在なので、人民をコントロールして富を集中させ独裁を行うには、邪魔な存在だったから、革命で消した。そういう事ではないかと感じています。資本主義も、利益を得る為に手段を選ばなくなると、国家という存在が邪魔になりますから、小さくなってもらったり、資本家の論理が国家より上位にくるようしてほしい、と思ってしまうのかもしれませんね。 ISD条項に関する貴方の考え、よく判ります。ISDそのものが問題と言うよりも、訴訟大国を相手に米国の息のかかった所で争うのが大変、という事なのでしょうね。 一筆さんは排除、という言葉を所々で使っておられますが、私には難しいような・・。考えが違っても、それぞれの自由ともいえますし、よほど国家に仇なす意図が無い限り、心を持った人間同士、まずは考えを聞いてみたいのです。寂しいですが排除が必要な時も、ある・・のでしょうか・・。 長くなりすぎて、この辺で終わらなければいけないと思います。話しが逸れて関係ない話しもしてしまったかもしれません。ごめんなさいね。それでは、また。

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  10. 一筆 より

    メイ氏の文調から察するに、初老のご婦人に辿り着くのですが、それが事実であろうと無かろうと、意図される所はその文脈から類推できるので、このまま続けましょう。私はここで、価値観の違いと問われたので、玉虫色の「保守」なる言葉に軸足を置かず、敢えて「保守」なる我々を「右翼」と定め、貴方への言承けとさせてもらいます。翻って、「左翼」なる存在は、冷戦体制崩壊後、その対立軸の不明瞭さから「平和主義」を奏でるだけの変異な死霊と化してしまったため、議論に入れません。よって私は、この日本に於いて「保守的右翼」と「革新的右翼」が、一層メリハリを付けなければならないと推し量ります。極論すれば、「保守的右翼」が反米派にして日本の伝統文化を重んじる立場、「革新的右翼」が知米派にして日本の伝統文化を重んじる立場です。親米ポチは、思考的に恐らく「左翼」と同類の輩ゆえ、無視すれば良いのではないでしょうか。ポチを議論に入れると、内容が錯綜してしまうので、貴方も排除に努めて頂きたいですね。自民党支持者の背景には、この親米ポチが有象無象に存在します。既得権益で守られ、それが生計に影響する事を恐れ変化を拒んでいる連中です。お上から収入がある連中も、机上の空論では体裁を繕いますが、所詮民間に放り出されるのに拒絶を感じ続けていますよね。よって、議論の昇華には、「右翼」的立場と国家依存度により速度が変わるからややこしい。とは言うものの、国公立大学教員や官僚の意見に耳を貸さないという訳ではないですし、正論には襟を正してく所存です。TPPに懸念を持つ貴方は「保守的右翼」なのでしょうか。2009〜2010年に起こった米国トヨタのリコール問題に対し、ISD条項が機能していれば、あのような理不尽な扱いは受けなかったと私は確信しています。国際通商政策の延長線上には条約があり、それが不平等でなければ、法による秩序を遵守する国々には必要不可欠な存在です。TPP参加とグローバライゼーションを同列に扱う次元は、日本側の病巣を見て見ぬ振りをしているとしか思われません。戦前の日本でも、グローバライゼーションに突き進む動きがありました。その背景には、旧財閥の存在を抜きに語る事ができません。貴方の指摘したモンサント社も、1950年代に三菱グループの支援で日本法人を作り、悪名高い遺伝子操作による種子ビジネスよりも根深いビジネスである「除草剤」に関しては、今も住友グループが協力体制にある訳です。安倍総理を筆頭とする「革新的右翼」が推奨する、日本人の技術やアイデアによるビジネス上のグローバル化を批判する前に、「保守的右翼」はその回りに散見できる、麻生元総理や経団連米倉のような、親米ポチを先ずは排除すべきではないでしょうか。

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  11. 一筆 より

    ネルソン・マンデラ氏が死去された事に哀悼の意を表しつつ、人種差別には反対であるが民族差別には目を瞑ろうという、最近の日本の傾向にパラドックスを覚えつつ、メイ氏へ返事をしようと考えますが、このコメント欄もか細くなってきたため、別にスレを立ち上げます。

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  13. 匿名希望改めメイ より

    お返事、遅くなってしまってごめんなさいね。一筆さん、たくさん意見を書いて下さったんですね。ありがとう。 とても勉強されていて博学な方なのですね。貴方が国の経済を豊かにしたい、雇用を増やしたい、という熱い想いがあること、よく判りますとも。伝わってきました。私だって、同じ気持ちです。ただ、その方法について意見が違うだけだと思うから。 「私の考えも判ってほしい」と言いたいところだけれど、無理強いしないよう自制するわ。「考え」は価値観に依るし「価値観を変えて」なんて人様に言えないですものね。だから、ただ、私なりに考えている事を書いてみます。色んな人の受け売りも含むので貴方も知っている事かもしれないけれど。 まず、一筆さんが教えて下さった事(戦後経済や海外との貿易等々)貴方ほど詳しくないかもしれないけど、少しは知っていました。日米同盟と自由貿易は確かに戦後の基軸として我が国は繁栄したんですよね。当時は米ソ冷戦の時代。世界中の国がアメリカ資本主義(西側陣営)につくかソ連共産主義(東側陣営)につくかで別れていましたよね。日本はアメリカについていた。アメリカは日本を共産化させずに、自らの陣営につなぎ止める安全保障上の目的と、ドル経済圏を確保するため、アメリカは市場を解放し、日本は貿易で利益を得る事ができた。当時のアメリカは圧倒的な経済力と軍事力を誇る覇権国家だったのでこのような事が可能でした。日本は日米同盟に守られながら恩恵を受ける事ができた。これはアメリカが日本の為にやった、という事ではなく、あくまでもアメリカ自身の利益の為であり、どの国も自国の利益を第一に考えるのは同じなのですね。 ところが今は時代が大きく変わってしまって、冷戦はとっくに崩壊しているのに、まだ冷戦時代であるかのような意見を持っている識者の方もいます。でも当時は特殊な条件が重なっていたし、同じ夢を見る事は難しい・・。アメリカは経済も軍事力も凋落しもはや覇権国家とは言い難い状況。日本以上の経済危機にあり高い失業率を保持したまま。世界中がそうです。日本だって苦しいけど、他国からみれば随分マシですし、膨大な資産を持っています。 経済不況を脱せず、飢餓状態にあるアメリカは日本の資産が欲しいのです。外国は日本を親切に遇する余裕は失われている。アメリカの陰謀などではなく、オバマ大統領がはっきりと公言しています。曰く「アメリカは2010年からの5年間で輸出を倍増する」「輸出を増やして雇用を拡大する」これは安い外国人労働者が大量に入ってきて日本人の雇用が少なくなる事を意味します。また不良外国人の流入で治安の悪化も懸念されます。更にオバマ氏は「いかなる国も米国に輸出さえすれば繁栄できると考えるべきではない」と。TPPとは米国の輸出倍増計画の一環として、仕掛けられていると思われます。とりわけ多くの人が警戒しているのはISD条項だと思います。TPPは条約なので日本人に不利があっても国内法で国民を守れません。更にISD条項。他国ではこの条項で米国企業に訴えられるケースが増えていて米国側は負けた事がないとか・・。裁判に負けて莫大なお金を払わされているそうです。だって、ISD条項により訴える先は投資紛争解決国際センターですが、ここは世界銀行の傘下で本部はワシントン。世銀の人事は米国が牛耳っていて、紛争センターでの裁判は米国の意向が強く反映され実際米国は負けたことがない、となれば日本に不利なのは見える気がします。外資系企業が日本に対して、「商売上これが不満だ」とか「これがあるから我が社の物が売れないじゃないか」と注文をつけられたら、日本の言い分は通りづらいですし、日本人が暮らしにくくなりそうです。さらにモンサント社等の遺伝子組み換えした得体の知れない農産物が安く大量に入ってくれば、食の安全も心配ですし、復興の進んでいない東北被災地を絶望させてしまう・・。 安倍さんは「聖域無き関税撤廃を要求されるならTPPに参加しない」と仰っていましたが、今はその言葉が虚しいです。つぶさに見ていると、どんどん押し切られている印象を持ちますが、交渉は密室で秘密裏に行われているので詳細が判らない事も不安を感じる要因です。 残念ながら外国はある程度警戒した方が良いかなあ、と思いました。一筆さんはビジネスマンなのかな。貴方のように誠実に外国に対し、かつての恩義を感じているような方が傷ついてほしくないです。 TPPへの懸念はまだまだありますがコメントとしては長くなりすぎてしまいますから、終わります。意見の違う所もあって嫌な感じを受けたかも知れませんが悪く思わないで欲しい。悪気ではないのです。長くなってしまってすみません。

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  14. 一筆 より

    メイ嬢、私は腹を立てていないし、揶揄している訳でもない。逃避行動の前には先ず判断があり、それが臆病か否かを問うているんだ。臆病者を単なる怖がり屋と定義するのなら、私には問題無い。TPP参加が怖いから反対という者達は、保護すべき対象なんでね。只、私が定義する臆病者とは、やるべき事が分かっていてやらない連中を指す。だから鼻につくんだよ。

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  15. 一筆 より

    日本企業や日本製品を受け入れてくれた多くの国やその国民に対し、貴方は何の思い入れも無いのですか? それら企業は、世界に需要がある限り、日本へはその分の「生産力」を二度と戻さないでしょう。この現実から、数十年先の日本に対し、貴方は何を予見しますか?西部ゼミ2013年7月6日の動画で、中野さんはエドマンド・バークやアレクシ・ド・トクヴィルを引き合いに出し、その予見力の背景にある直感力と度胸を絶賛しているのですが、彼はどうも、日本国内の知識人同士の言論闘争に終始していると思わざるを得ません。私がトクヴィルなら、TPP参加です。何故TPPに日本が参加して、100%我々は負けるのですか? その根拠は何ですか? 少なくとも我ら日本人は実業である製造業で、欧米列強を撃破してきたではないですか。私の根拠はその歴史にありますし、それが完勝とは言い切りませんが、負けない根拠なのです。金融でも農業でも、最後に選ぶのは我々消費者ではないですか。過去努力をしてこなかった連中には、この際転業して頂きたい。TPP参加反対で現政権の足を引っ張るのでは無く、今の日本に必要なのは、若者も含めた日本国内での雇用創出にあります。外国企業が進出し多くの雇用を確保してくれれば、現実論として私は反対できません。それは、戦後多くの国々が日本企業を歓迎してくれた事に非礼であるからです。TPP参加が「有害」ではないと、私は書いた覚えは無いですし、TPPが無害とも言っていませんが、以上の説明から私の見解は理解出来るでしょう。つまり私は、後顧の憂い無しという日本であった欲しいだけであり、「不幸」と決めつける中野氏は、何を考えてるのやら…です。

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  16. 路傍花 より

    言論の自由はありますよ。税金で飯食ってるなら名前くらい正直に出せばと言ってるだけで。やたら支那には甘い中野信者は偽装転向コミンテルンですね。

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  17. 匿各希望 より

    長文とか、URLが含まれていいるとか、禁止文字が含まれているとか、あとなんだろ? とりあえず他を疑う前にまず自分を疑うのが鉄則(システムエンジニアの格言)。試しに全て二バイト文字(例えば「/」なら「/」にする)にして短い文章に分割して投稿してみては如何でしょうか。どうしてもだめならシステムの仕様だから諦めるか、運用側の善意で調査してもらうか(当然運用側にコスト発生)。

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  18. 一筆 より

    投稿量や回数を制限されてるのか、荒しと認定されたのか「403 Forbidden」と拒否されます。昨夜の投稿の残りがお披露目出来ません。

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  20. 匿名希望改めメイ より

     今日明日と法事があってこれからでかけるから、お返事は明日か明後日になっちゃうと思います。すぐにお返事できなくてごめんなさいね。まだよく読んでないのだけど、必ず読んで、お返事しますからね。では、取り急ぎ!

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