FROM 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
●刑務所の稼働率
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11601397954.html
●ミャンマー 驚きの素顔
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11602133894.html
前回、本メルマガで取り上げた「ミャンマー」の政商と軍官僚との「癒着」の問題が、産経新聞に取り上げられていました。産経の記事には、
「現地の事情通は「政商は政権幹部に食い込み、賄賂と引き換えに事業の許認可を独占的に得ていった。欧米の経済制裁の下で、政権も彼らを経済発展、開発の担い手として使った」と解説する。」
とありますが、何となく「現地の事情通」が誰かわかったような気がいたします(笑)。実際、現地に常駐している日本人は、誰でも同国の「所得格差」に気がつくでしょう。何しろ、月収が日本円で9000円程度のミャンマーで、日本の中古車が新車価格の二倍以上で売られているのです。書き間違いではありません。日本の中古車が、新車の二倍の価格で売られているのがミャンマーです。しかも、国民の平均月収は9000円。
「い、一体、これはどうなっているんだ〜っ!!!!」
というのが、実は「ミャンマー驚きの素顔(http://www.amazon.co.jp/dp/4408110205/)」を書くことを決心した最大の動機だったりします。ちなみに、ミャンマーは世界で最も「日本車率」が高い国です。(日本よりも高いと思います)
それはともかく、公共交通機関が発達しておらず、民族資本の自動車企業が存在しないミャンマーでは、外国からの輸入車が経済やビジネスの必需品です。そういう意味で、ミャンマーはギリシャと似ています。ギリシャも交通交通機関が貧弱で、国民車が存在しません(というわけで、ドイツ車だらけ)。
日本の「中古車」に対する需要が大きいミャンマーで、中古車輸入を「独占」することができれば、これはもう「巨万の富」を築くことが可能なわけです。そして、軍事独裁のミャンマーは、以前はあらゆる経済活動が「認可制」でした。特に、外国からの製品輸入が「認可制」だったのは、これはミャンマーの国民経済にとって極めてよろしくない状況といえます。すなわち、認可を下す「誰か」と結びついた政商が、所得を独占することを可能としたのです。
さて、ミャンマーから遠く離れたアメリカでは、刑務所や少年院までもが民営化され、コンセッション方式により「企業の美味しいビジネス」になっています。
民間刑務所株式会社は、刑務所の運営という「サービス」を供給することで、行政府から「サービス費用」の支払いを受けます。
問題なのは、刑務所株式会社に支払われるおカネが、刑務所の稼働率で変わってくるという点です。
犯罪者が多ければ多いほど、収監された受刑者が長くいればいるほど、刑務所株式会社は売上を増やすことができます。
もちろん、刑務所株式会社に支払われたおカネの出所は、国民の税金です。ということは、論理的には、
「本来は収監不要な人間を長く収監すればするほど、刑務所株式会社の売上は高まり、国民が余計な負担を強いられる」
ということになります。不当に収監される人に対する人権侵害であるのはもちろんのこと、国民から制度的にレントを吸い上げるという点でも問題です。
ん・・・・? 上記の構図、何かに似ていませんか? そう、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)です。
アメリカ(及び日本)の公共サービスの「民営化」を調べれば調べるほど、
「ああ、彼らにとって【あの国】が理想なんだなあ・・・・」
ということが分かってきます。
【あの国】とは、ミャンマーではなく、中華人民共和国でございます。
PS
月刊三橋「アメリカ格差社会〜グローバル資本主義の悪夢」の配信は9/10まで。
今ならお試し音声を聞けます↓
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PPS
10月号は「尖閣」がテーマです。日本の防衛問題の本質とは?
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