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2013年7月19日

【柴山桂太】人口大国の憂鬱

FROM 柴山桂太@滋賀大学准教授

FRBのバーナンキ議長が、量的緩和の縮小に言及しはじめたことで、世界中のマネーの動きが慌ただしくなっています。特に影響を受けているのが新興国です。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC15007_V10C13A7MM8000/

特に輸入超過の経常赤字国は、海外からの投資マネーが引き上げてしまうと、とたんに資金不足に陥ってしまいます。新興国には、ブラジルやトルコ、インドなど経常収支が赤字の国がけっこうあります。これらの国がいま、通貨安やインフレに苦しめられています。

ここで注目したいのはインドです。

どういうわけか日本のマスコミでは、「人口の多い国は経済成長する」という根拠のない物語が頑なに信じられていて、少しも収まる気配がありません。(逆に「人口の減少する日本はもうダメ」とも信じられています。)

人口大国の筆頭が中国であり、そしてインドです。

インドは、人口抑制策をとる中国とは違い、今後とも人口が増え続け、2030年代には世界一の人口大国になると目されています。

「人口が多い国が発展する」なら、インドはもっとも有望株ということになり、事実、日本企業も盛んに進出しています。

しかし実態はどうでしょうか。

インドの経常収支赤字は、過去最悪の水準を更新中です。

http://ecodb.net/country/IN/imf_bca.html

また財政収支も、赤字続きでやはり過去最悪の水準になっています。

http://ecodb.net/country/IN/imf_ggxcnl.html

その結果、成長率を超えるインフレに苦しんでいます。

http://ecodb.net/country/IN/imf_inflation.html

しかも投資ブームの反動で、銀行の不良債権問題も指摘され始めました。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV17002_X10C13A7000000/

輸出大国となった中国とは異なり、インドは輸入大国(製造業の国際競争力がない)ですので、海外からのマネーの流入がなくなると、通貨危機が起きかねません。ルピー安が続き、当局は防衛に必死です。

————————————————————

●月刊三橋最新号のテーマは、
「中国大炎上〜破壊し尽くされた大国の断末魔」。

http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php

※中国の金融問題については、月末配信のQ&Aで取り上げます。

————————————————————

インド中銀は外貨準備を積み上げていますので、すぐに危機が起きるとは考えにくいのですが、それでもインドの「双子の赤字」は簡単には改善しないでしょう。インドの政策当局は、マクロ経済を安定化させるための手段をほとんど失ってしまいました。今後も危ない綱渡りが続くでしょう。

前回、政治体制の不安定化に人口、とりわけ若年層の急増(ユースバルジ)が関係しているという話を書きました。インドは、ユースバルジが激しい地域です。民族や宗教が複雑に入り交じったインドで、これから政情が不安定化するのは、避けられないと思います。

そろそろ「人口が多い地域が発展する」という幻想から目を覚ますべきです。二〇〇〇年代のBRICsの発展は、あくまでリーマンショック前の、世界的な信用バブルによって牽引されたものに過ぎません。経済成長が止まれば、今度は多すぎる人口が仇となって、さまざまな政治的、社会的混乱が生み出されてしまうのです。

新興国の混乱は、これから本格化していくでしょう。来るべきショックから日本の産業や雇用をどう保護・防衛するのか。それこそ、参院選後の重要な政治課題となるべきです。

PS
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