From 三橋貴明
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恣意的(としか思えない)なデータ操作で「公的債務対GDP比率が90%超えた国の平均経済成長率はマイナス0.1%」という虚偽情報を世界に拡散したラインハート・ロゴフ論文の余波が続いています。とはいえ、本論文の問題は、結局のところアメリカの元国務長官ローレンス・サマーズ教授の以下の言葉に集約されているように思えます。
「緊縮策について彼ら(ラインハート氏とロゴフ氏)を批判するのは馬鹿げている。そうした政策の立案者は最初に政策を選択し、その後に学術的な裏付けを探したのだ。(2013年5月7日 ロイター「コラム:ラインハート・ロゴフ研究の誤りに学ぶ=サマーズ氏」より抜粋)」
よくよく考えてみれば、別に「高い割合」とは言いませんが、自説の正当性を証明するためにデータを操作する学者は常に存在しうるわけです。三橋は学者ではないため分かりませんが、
「この私の仮説が正しいはずだ」
との思い込みが強すぎ、自説を証明するために各種のデータを検証した結果、どうも仮説が成立しないようだ、となっても、
「いや、そんなはずはない。間違っているのはデータの方であり、自分の仮説は正しいのだ」
と、データをいじくり仮説を成立させた論文を寄稿してしまう学者はいくらでも(かどうかは知りませんが)存在するでしょう。問題は、虚偽情報が含まれる論文の検証なのですが、今回はこの「検証」が遅れた結果、世界に災厄をもたらしました。もちろん、
「ラインハート氏、ロゴフ氏のせいで、各国が状況を悪化させる緊縮財政を強行し、国民が貧しくなった」
という話ではなく、
「緊縮財政至上主義に染まり、バブル崩壊後であるにも関わらず緊縮財政を推進しようとしていた政治家や官僚が、ラインハート・ロゴフ論文を利用した」
という意味においてでございます。
ちなみに、三橋は著作等でやたらグラフを使うため、
「三橋は自分に都合がいいデータばかりを使用している」
「三橋のグラフはウソだ」
などと、無茶苦茶を言われたりするわけですが、三橋は単に官公庁のホームページに置いてあるデータをグラフ化しているに過ぎません。つまり、誰でも全く同じグラフを作成できるのです。
「都合のいいデータを使用している」と言われても、当たり前の話として「用途」によってデータは使い分けています。都合がいいというのであれば、確かに「用途にとっては都合がいい」のですが、これを批判されても困ってしまうわけです。
そもそも三橋は学者でも何でもなく、「自説」とやらはありません。単に、データから作成したグラフを読み解く「物語」を書いているだけなので、上記の「仮説を証明する」タイプの学者さんとはアプローチが真逆になります。
いずれにせよ、ラインハート・ロゴフ論文の教訓は、
「人は、自分に都合がいいデータを活用しがちなので、『検証する』という姿勢が欠かせない」
という話のように思います。初期段階でラインハート・ロゴフ論文が検証されていれば、その後、世界の緊縮至上主義者たちに活用されることもなかったわけです。
などと、何となくラインハート氏、ロゴフ氏を庇うような書き方をしてしまいましたが、とにかく彼らの論文が世界経済に与えた悪影響は大きすぎます。この問題は、まだまだ尾を引くことになるでしょう。
PS
月刊三橋5月号は、国土強靭化と公共事業に関する大問題について取り上げました。
日本の根深いねじれ方がよくわかるインタビューです。
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