アーカイブス

2013年5月13日

【三橋貴明】教訓

From 三橋貴明

————————————————————

●「いいね!」をくれた方には、三橋貴明の音声ファイルを
無料プレゼント。世界を読むための3つの原則とは。

三橋貴明の「新」日本経済新聞 公式Facebookページ
⇒ http://www.facebook.com/mitsuhashipress/app_109770245765922

————————————————————

【今週のNewsピックアップ】

●緊縮ドグマの終わり 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11525690112.html

●緊縮ドグマの終わり 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11526296625.html

●続 緊縮ドグマの終わり
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11526944925.html

恣意的(としか思えない)なデータ操作で「公的債務対GDP比率が90%超えた国の平均経済成長率はマイナス0.1%」という虚偽情報を世界に拡散したラインハート・ロゴフ論文の余波が続いています。とはいえ、本論文の問題は、結局のところアメリカの元国務長官ローレンス・サマーズ教授の以下の言葉に集約されているように思えます。

「緊縮策について彼ら(ラインハート氏とロゴフ氏)を批判するのは馬鹿げている。そうした政策の立案者は最初に政策を選択し、その後に学術的な裏付けを探したのだ。(2013年5月7日 ロイター「コラム:ラインハート・ロゴフ研究の誤りに学ぶ=サマーズ氏」より抜粋)」

よくよく考えてみれば、別に「高い割合」とは言いませんが、自説の正当性を証明するためにデータを操作する学者は常に存在しうるわけです。三橋は学者ではないため分かりませんが、

「この私の仮説が正しいはずだ」

との思い込みが強すぎ、自説を証明するために各種のデータを検証した結果、どうも仮説が成立しないようだ、となっても、

「いや、そんなはずはない。間違っているのはデータの方であり、自分の仮説は正しいのだ」

と、データをいじくり仮説を成立させた論文を寄稿してしまう学者はいくらでも(かどうかは知りませんが)存在するでしょう。問題は、虚偽情報が含まれる論文の検証なのですが、今回はこの「検証」が遅れた結果、世界に災厄をもたらしました。もちろん、

「ラインハート氏、ロゴフ氏のせいで、各国が状況を悪化させる緊縮財政を強行し、国民が貧しくなった」

という話ではなく、

「緊縮財政至上主義に染まり、バブル崩壊後であるにも関わらず緊縮財政を推進しようとしていた政治家や官僚が、ラインハート・ロゴフ論文を利用した」

という意味においてでございます。

ちなみに、三橋は著作等でやたらグラフを使うため、

「三橋は自分に都合がいいデータばかりを使用している」

「三橋のグラフはウソだ」

などと、無茶苦茶を言われたりするわけですが、三橋は単に官公庁のホームページに置いてあるデータをグラフ化しているに過ぎません。つまり、誰でも全く同じグラフを作成できるのです。

「都合のいいデータを使用している」と言われても、当たり前の話として「用途」によってデータは使い分けています。都合がいいというのであれば、確かに「用途にとっては都合がいい」のですが、これを批判されても困ってしまうわけです。

そもそも三橋は学者でも何でもなく、「自説」とやらはありません。単に、データから作成したグラフを読み解く「物語」を書いているだけなので、上記の「仮説を証明する」タイプの学者さんとはアプローチが真逆になります。

いずれにせよ、ラインハート・ロゴフ論文の教訓は、

「人は、自分に都合がいいデータを活用しがちなので、『検証する』という姿勢が欠かせない」

という話のように思います。初期段階でラインハート・ロゴフ論文が検証されていれば、その後、世界の緊縮至上主義者たちに活用されることもなかったわけです。

などと、何となくラインハート氏、ロゴフ氏を庇うような書き方をしてしまいましたが、とにかく彼らの論文が世界経済に与えた悪影響は大きすぎます。この問題は、まだまだ尾を引くことになるでしょう。

PS
月刊三橋5月号は、国土強靭化と公共事業に関する大問題について取り上げました。
日本の根深いねじれ方がよくわかるインタビューです。

関連記事

アーカイブス

【三橋貴明】本当に思考停止状態なんだなあ・・・・

アーカイブス

【施光恒】朝顔と日本人

アーカイブス

【小浜逸郎】98%の絶望と2%の希望(その1)

アーカイブス

【施 光恒】ゆるキャラの秘密

アーカイブス

【東田剛】日米同盟という経済政策

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】政府与党の「増税」断行で、日本の「先進国からの脱落...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】MMT週間が始まる

  3. 3

    3

    【三橋貴明】数字は残酷で素晴らしい

  4. 4

    4

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  5. 5

    5

    【竹村公太郎】不思議な日本共同体(その3)情報共有の日本共同...

  6. 6

    6

    【三橋貴明】ステファニー・ケルトン教授の出演

  7. 7

    7

    【小浜逸郎】熊さん、増税に大いに憤慨

  8. 8

    8

    【室伏謙一】その場しのぎの御都合主義の説明の先にある外交の破...

  9. 9

    9

    【三橋貴明】史上最悪の緊縮政権

  10. 10

    10

    【施 光恒】外国人労働者受け入れは誰の利益なのか?

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】政府与党の「増税」断行で、日本の「先進国からの脱落...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】ステファニー・ケルトン教授の出演

  3. 3

    3

    【藤井聡】「事を荒立てず、仲良くしようとする」だけの、情けな...

  4. 4

    4

    【三橋貴明】思想の対立

  5. 5

    5

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

MORE

最新記事

  1. 未分類

    【saya】TBS〝音楽の日〟〜歌は世につれ、世は歌に...

  2. 日本経済

    【三橋貴明】数字は残酷で素晴らしい

  3. 日本経済

    【三橋貴明】MMT週間が始まる

  4. 未分類

    【竹村公太郎】不思議な日本共同体(その3)情報共有の日...

  5. 政治

    【小浜逸郎】熊さん、増税に大いに憤慨

  6. 日本経済

    【藤井聡】政府与党の「増税」断行で、日本の「先進国から...

  7. 政治

    日本経済

    【室伏謙一】その場しのぎの御都合主義の説明の先にある外...

  8. 日本経済

    【三橋貴明】史上最悪の緊縮政権

  9. 日本経済

    【三橋貴明】社会科学からのアプローチ

  10. 政治

    日本経済

    【施 光恒】外国人労働者受け入れは誰の利益なのか?

MORE

タグクラウド