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2013年4月19日

【施 光恒】TOEFLもマスト?

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

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おっはようございま〜す(^_^)/

この日清カップ・ヌードルのテレビCM、皆さん、ご覧になったことあります?
よく時代の雰囲気を風刺しているなあと感心しました。
http://www.cupnoodle.jp/cm/0329survive/survive_60s.html
(SURVIVE!グローバリゼーション篇 60秒版)

「明日からわが社の公用語は英語にします!」と言われたビジネスマンが、「いまさら英語なんて」、「俺、トーイック300点」、「英検3級なめんな!」などとつぶやきながら、鎧武者すがたで、西洋人の新しい上司の率いる外国人軍団に突撃していく、というCMです。
(言葉で説明してもわかりにくいですね。スミマセン。ぜひリンク先のCM自体をご覧ください)。

「グローバル化は時代の必然的流れだ!」「世界に打って出ろ!!」みたいに言われて、やれTPPだ、やれ会社の英語公用語化だと、ほんとに良いことなのかよくわからないけど、突き進まないわけにはいかない。もううんざり!だけど取り残されるわけにはいかないし…。ええぃ、しょうがない、突撃じゃ〜!!

そういう現代の日本の状況をよく描いていると思いました。
突撃していって、サムライはほとんど無残な討死ですね、きっと…
こっちは刀と弓矢なのに、向こうは鉄砲とか大砲ですし。

自国のおバカな指導者に追い立てられ、グローバル化の果てのアメリカ基準の枠組みのなかでそもそも圧倒的に不利な戦いを強いられ、多くは滅びていく日本人の将来を物語っているように感じました…
(ノ_・。)

えーと、本題です。
自民党の教育再生実行本部が、先日、提言をまとめて安倍首相に手渡しました。

その中に教育改革の「目玉」として盛り込まれているのが、すべての大学入試について、アメリカ製の英語テストであるトーフル(TOEFL)で一定の成績を取ることを受験資格として義務付けようということです。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130321/edc13032101310000-n1.htm

トーフルのスコアを、大学入試に義務付けるというこのアイデア、どう思います?

私は、またバカなことよく考えるよなあ、と正直あきれています。

「社内では英語、社外ではルー語」((C)東田剛)の楽天・三木谷社長が、トーフル導入にえらくこだわっているようですね。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130321/dms1303211216006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130417/biz13041717460018-n1.htm

トーフル義務化という案、まずいところがたくさん思い浮かびます。

第一に、不公平が生じやすいところ。金持ちの子弟に圧倒的に有利なんじゃないかと思います。

トーフルって、受験料、結構高いですよね(実施団体のHPによると、225〜260ドルとなっていますので、今は2万円ちょっとでしょうか)

おまけに、過去にとったスコアのうちのいちばん高いものを受験先に提出するという形式ですので、何度も繰り返し受験できる金持ちの受験生が有利になってしまうと思います。

それに、小学生、中学生の頃から、短期の語学留学を繰り返すような金持ちの子が増えるんでしょうね…。

第二に、似たようなことですが、大都市に住む生徒が有利になってしまうこと。トーフルは受験地が限られているので、地域格差も出てくるんじゃないでしょうか。
大都市に住んでいる生徒のほうが、地理的に容易に受験できるので、数多く受験しそのなかから良いスコアを狙うという方法がとりやすいでしょう。

第三に、アメリカの大学や大学院で要求される英語力と、日本の大学で要求される英語力は同じではないので的はずれだということ。トーフルは、アメリカの大学や大学院でやっていけるかどうかみる英語の試験です。日本の大学で求められる英語力とは質が違うはずです。

日本の大学でも英語で行う授業を増やすべきだという声を最近よく聞きますが、そういう意見の人でも、多くの場合、すべての授業を英語にすべきだ!といっているわけではないでしょう。(日本の大学が全授業を英語で行うようになってしまったら、日本は「フィリピン化」します…)

日本人が英語を学ぶのは、英語圏に留学するためとか、ビジネスで必要だとかというだけではなく、もっと多面的な事柄があるはずです。

たとえば、最近は、古い英語教育の典型例として悪しざまに言われる傾向があるようですが、英文和訳という作業は結構大切です。
英語を理解すると同時に、英語を通して日本語を客観的にみる目が養われ、日本語への理解も深まるからです。

私は、「翻訳」というのは馬鹿にできないと思います。非常に重要なのです。
外来の知を、自分たちの文化に合うようにうまく変容させ、適切に位置づけていく。そのことが、自分たちの文化を多様にし、活性化し、国力の増大や社会の活気につながっていくからです。

きちんと調べたわけではないので推測ですが、各国の「国民の平均的英語コミュニケーション能力」と、「外国語の書物を自国語に訳した翻訳本の出版点数」を国際比較した場合、ある国の経済力との相関関係が高いのは、後者のほうではないでしょうか。

第四に、実はこれが、「大学入試にトーフル義務化を提言」という今回のニュースを知った時に一番強く感じたことですが、トーフルを作っているアメリカの民間団体に日本から莫大な金をみすみす払うのはいくらなんでももったいないということです。お人よしにもほどがある!!
o(`ω_*)oゲキオコプンプンマル!!(スミマセン、一度、使ってみたかったもので…)。

たとえ、百歩譲ってトーフル型の英語試験が日本の大学入試で望ましいとしても、なんで日本から莫大な金を、アメリカにわざわざ流出させなければならないのか、まったくわかりません。

トーフル型の英語試験のもっと使い勝手の良いものを、日本人が自分たちで工夫して作ればいいだけでしょう。

すべての大学受験者が受験するとなると、現在の大学入試センター試験以上の規模になるわけですから、受験料だけでも莫大です。百億単位のカネをわざわざ国外に流出させる必要はありません。

トーフルから(あるいは英検、IELTS、国連英検などのほかの英語能力試験などからも)学んで、日本人が、より使い勝手のいい英語の共通試験を自分たちで工夫して作って、それを受けさせるようにすれば、莫大な受験料は流出しないし、問題作成や試験実施業務などで国内に少なくとも何百人単位の雇用が生まれると思います。
(受験料とか、受験地とかもわれわれ日本人で決められるので、高校生に大変な思いをさせなくてすみますし)。

著作権料の問題もあります。受験産業が発達した日本のことですから、大学入試にトーフルが義務付けられるとなると、多くの予備校や出版社が高校生向けのトーフル対策の参考書や問題集を作成するでしょう。その作成のために、トーフルの過去問を使ったりすれば当然、著作権料も発生するでしょう。これも莫大な額になるはずです。

「日本版トーフル」のようなものを作れば、この著作権料も国外流出せずに済みます。

トーフル!トーフル!って、ルー語でいうところのフールのワンメモリーで言っている連中は、どこからか頼まれて利権誘導しているんじゃないかとつい邪推の一つもしたくなってしまいます。
ε-(_・ω・`)タメイキ

「グローバル化」や「ボーダレス化」の推進!って、最近、現代の宗教みたいなもんなのかなとよく思います。一昔前、日本のインテリの間で、「マルクス主義」が一種の疑似宗教みたいだったのと同じ意味で。「かぶれ」ってやつかもしれません…

だとすれば一般国民を巻き込まずに、仲間内だけでやってほしいですね。

相変わらず長々と失礼しますた<(_ _)>

PS
このメルマガとは全く無関係な中野剛志氏と一緒に、
こんな本を書いています。
http://amzn.to/Ud4Pl5

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【施 光恒】TOEFLもマスト?への13件のコメント

  1. ゆう より

    最近頻繁に聞かれるTOEFLを導入した英語の公用語化。TOEFLの導入化なんか施さんもおっしゃるとおり、地域格差が出てくるでしょうし、お金持ちの子供が有利になるのは間違いないと思います。 TOEFLを受けるなら英検を受けた方がいいと思います。 英検はTOEFLに比べれば安いし、日本人が作ったテストですから金が外国に流れないですからね。TOEICなんかTOEIC800点以上取らないと日本人はグローバル化に取り残されるとかポジショントークかましてる連中が多いですけど、クソくらえって感じですよね。日本人の平均点が580点ちょいですからTOEICなんて700点ほど取れば十分だと思います。それほどグローバル化が進んでない国ほど国が安定してるというのが分かってきました。 TV、新聞や広告見てもグローバル、グローバルとか言ってるけど、隣の韓国なんかグローバル化しすぎで貧富の格差が広がって大混乱してる状態ですよね。 最近は究極のグローバル化=韓国化もしくはフィリピン化というのも分かるようになってきました。 日本をそのような国にしては絶対にいけないですよね。ただ、従軍慰安婦等の件もそうですが情報戦に勝つためには英語での情報発信が必要になってくるのは事実です。諸外国のプロパガンダに怯まないための英語力は欠かせないでしょうね。 最近言われてるNSCやロビイスト育成機関というのを国が支援していく必要があるかもです。 

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  2. 翻訳こんにゃく より

    今やスマホに翻訳機能が付く時代ですよ。程なく翻訳こんにゃくレベルのものができますよ。電子書籍も一瞬で翻訳する機能が付くでしょうね今の子供たちが成人するころにはかなりの精度になっているでしょう。20年前から現在までの進歩を上回るペースで技術は進むはずですし。母国語でしっかり考える論理的思考力こそ必要なのでは?遠い未来にはそれさえも不要になってたりして・・・

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  3. 名前はまだ無い より

    施さんと柴山さんは隔週になっているようですが正直毎週書いてほしいです。まあお忙しいと思いますが。楽しみにしております。

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  4. ヨケネコ より

    施先生の回がメルマガで一番読んでで面白いです。さずがは右の姜 尚中ですね(笑)。正論すぎるほどに正論なのに、なんでみんな分からないだろうって思いますし。ところで先生は新書は書かれないのですか?先生のこれまでの考えをまとめたような本がでたら是非読みたいなーと去年くらいからずっと思っています(笑)。ぐろうばるか!!ぐろうばるか!!と意味も分からず叫んでいる人を啓蒙するためにも、新書を出してください。(出版社の関係もあるでしょうから、先生だけではどうにもならないのは分かっているのですが・・・)

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  5. くるみ より

    施先生のおっしゃるとおりです。トーフルなんて日本の大学に必要ないです。

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  6. nanashi より

    >「グローバル化」や「ボーダレス化」の推進!って、最近、現代の宗教みたいなもんなのかなとよく思います。一昔前、日本のインテリの間で、「マルクス主義」が一種の疑似宗教みたいだったのと同じ意味で。「かぶれ」ってやつかもしれません… 日本人にとって「グローバル化」はすでに縄文時代、あるいはそれ以前から始まっていたこと(まあ、その意味では何人にとってもそれはアフリカのルーシーあたりから始まっていたのでしょうが)で、「かぶれ」って言うとちょっと語弊があると思います。もっともルーシーや縄文人の「グローバル化」も「かぶれ」だという意味では、昨今の「グローバル化」(TOEFLやTPP)も「かぶれ」でしょうが。日本と西洋との関係でいえば大航海時代に端を発する種子島や宣教師や出島あたりが「グローバル化」の始まりであり、それが明治の文明開化で急速に加速し、戦後のアメリカ化でさらに加速されたということでしょうか。要するに「グローバル化」の「かぶれ」は今に始まったことではないのではないかと思うのです。「グローバル化」は本居宣長なんかが騒いでいたらしいし、明治時代では福澤、漱石、鴎外などが憂慮格闘していましたね。そして日米戦あたりでは京都学派などの近代(グローバル化)の超克。日本の英語教育は以上のような文脈でも議論されうると思います。日本の英語教育は、一般には中学程度の英語が4技能(会話は難物)においてできれば上等で、あとは適宜選択的に特化していくべきだと思います。大雑把にいって、政界財界学界その他で日本のリーダーシップをとる人間は思考様式も含めてバイリンガルでないといけない。それと中野学校みたいな諜報員養成の組織をつくってそこでもバイリンガル、マルチリンガル教育を徹底させるべきでしょう。英語早期教育、エリート教育は選択制のもとで必須です。つまり意欲適性のある子供には早期、エリート教育の門を開いておくこと。JETみたいなものはないよりましかもしれないが、焼け石に水という面がかなりあるのではないでしょうか。なぜ早期エリート教育が必要かというと、日本語にとって英語は相当な異言語で日本語脳に固まってしまってからでは習得困難だからです。スポーツや楽器と同じです。余談ですが、日本の世界に対する英語での発信力は、シナ、韓国などに比べて極端に弱い。安倍政権が日本を取り戻すとか戦後レジームから脱却するとか言うなら英語での情報戦に国を挙げて取り組まないといけない。外務省の英語ホームページで慰安婦について謝罪している(安倍さんも)ていたらくではどうしようもない。

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  7. ことよさし より

    いつも楽しみに読ませていただいております。本日の内容も100%同意いたします。ただし、自民党案のトーフルの受験資格の義務化については、自民党内でも反対意見が多く、山谷えり子議員の預かり事項となっているとのこと。そして、山谷えり子議員は、希望する大学のみでの実施ということで落とし所を探っているようです。

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  8. これからが肝心 より

    トッフルが受験資格に? どう考えても、とんでもないことですね。日本はすばらしい国で、5万人から10万人くらい英語で仕事をする人がいれば十分と思います。 安部政権は新自由主義をまっしぐらという感じですね。国民を巻き込まないで欲しいですね。フィリピン化・・・ほぼ全員が英語教育を受けているので、ハリウッド映画を英語で完全に理解できるのできちんとタイミングよく全員が笑える。小生は、映像理解なので、笑えません。(笑い)優秀な人材から2割ほどが外国に出稼ぎに行っているので、国内に残っている人材のレベルが相対的に低い。母国語(タガログ)と英語が混じって話すため外国人からはタガリッシュと言って馬鹿にされている。氏名、地名はスペイン語、生活はタガログと英語の混ぜ混ぜ。アイデンティティも何もあったものではありません。・・・ 日本をこんな風にしたいのですね。

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  10. Yuriya Kaito より

    カップヌードル survive! 初めて見ました。北海道で流れていないかも。大きな声で笑っちゃいましたね。本当は笑いごとではないけれど、日本人のユーモアは自分を笑う奥ゆかしさがあるので。これはもしかすると、自分を貶める自虐と通底しているかもしれませんね。

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  11. はっちゃん より

    すべての大学入試に必須とはめちゃくちゃ過激ですね。社内公用語を英語にするのも過激ですが、それは勝手にやっといてくれって感じですが大学入試は国民全体の問題ですからね。私は20年前後前に英語の苦手な大学生(理系)でしたが、結局英語は英文和訳しか使ったことがないですよ。聴いたり喋ったりする英語なんて仕事で必要な人とかドクター以上で外人相手にしゃべる人(これも仕事みたいなもんか。)が必要に応じてやればいいんじゃないですか?そんな風に感じます。最も感じたのは、自民党にはまだコレ系の人がたくさんいたんだなぁと言うことです。 大丈夫かいな。ご指摘の問題点、とても的確だと思います。ホンマ、日清のCMそのままですね。よくこんな面白いの見つけられたもんだと思います。

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  12. Takao M より

    そんな提言する輩はアホです。どんな面して言えるのか。確かに英語ができたら色々な機会は拡がるでしょう。でもね、それでどうするのかと疑問に思います。言語は思考の道具であって思考そのものではありません。アホな提言をする識者さん達は、学校だとか会社だとかそんな組織を離れて外国での暮らしをしたことあるのかね?先ずはしっかりした母国語を使いこなせることが必要です。私はアメリカの地場企業で働いてます。私ゃ日本語大好き。誇りに思ってるよ。

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  13. 黒江朋子 より

    日本に生まれて、日本人として日本語で育ち、母国語しかしゃべれないまま老いていく大半の日本人は、グローバル社会に通用適応できない不要なゴミ扱いされるのでしょうか。本当の意味での、愛国心や保守思想について、わからぬながらも、日本人として大切なことを示唆していただいていると痛感し学ばせていただいています。

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