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2013年4月3日

【東田剛】中国包囲網

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FROM 東田剛

最近、TPPネタが続いて恐縮ですが、

TPPを巡る議論を深掘りすると、日本が色んな意味で終わっていることが非常によく分かり、なかなか味わい深いものがありますので、
もう少し、お付き合いください。今回採り上げるのは、TPPと安全保障の関係を巡る議論です。

読者の皆さんは、「TPPは、中国包囲網である」「TPPに参加して、中国を牽制する」という壮大な戦略論を山ほど聞かれたかと思います。
しかし、この議論の根拠が何なのか、私には、さっぱり分かりません。

例えば、USTRのマランティス次席代表は、この議論を明確に否定しています。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE87804420120809

ドニロン大統領補佐官(ホサ官!)も、オバマ政権のアジア重視は、中国封じ込めを意味しないと明言しています。
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20130326a.html

知日派で知られ、日本のTPPへの参加を促す国際政治学者のジョセフ・ナイ氏は、「中国と協働せよ。封じ込めるな」という論考を発表しています。
http://www.nytimes.com/2013/01/26/opinion/work-with-china-dont-contain-it.html?partner=rssnyt&emc=rss&_r=0

この中で、ナイ氏は、「中国を太平洋海軍演習に参加させてやれ」「TPP交渉にも入れてやれ」と主張しています。
TPPは、中国包囲網ではナイのです。

実際、2014年から人民解放軍が米海軍演習に初参加する予定だと報じられています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013032302000247.html

TPPを米国による中国包囲網だと信じて参加したら、その米国が中国を合同軍事演習に誘っていたなんて!
間抜けすぎて、大笑いですね。
いや笑い事ではないか・・・

ただし、米国には、TPPによる安全保障上の狙いがあるのは、事実です。
ただし、それは、中国包囲網とは逆のところにあります。
すなわち、中国をTPPに入れて経済連携を強化することで、アジア・太平洋の安定を図るというものです。

安倍総理もまた、TPP交渉参加を表明した記者会見で、「経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与する」と述べています。
したがって、安倍総理にも、TPPによる中国包囲網とか中国牽制といった意図はないのでしょう。
だいたい、一方で日中韓FTAを進めていながら、他方でTPPによって中国を包囲するんだとしたら、支離滅裂じゃないですか。

もっとも、中国は、TPP交渉への参加を拒否しました。TPPによる急進的な関税・非関税障壁の撤廃が、国益を損なうと判断したからです。
TPPに中国を参加させたいのであるならば、もっと各国固有の事情に配慮した、ゆるい貿易協定でなければなりません。
ところが、TPPは、国内制度までも米国主導で画一化するものであり、スティグリッツが批判したように、米国の利益集団が管理する管理貿易協定と化しています。

要するに、TPPは、その制度設計の出来が悪すぎて、中国との経済連携という目的に失敗したというわけです。
がめついグローバル資本に乗っ取られた米国には、もはやアジア・太平洋の協調的な経済秩序を形成する能力がないのです。

中国が参加しないんじゃあ、TPPが「我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与する」という話もないということです。

しかし、それ以前に、そもそもの問題として、経済的な相互依存関係を深めて安全保障を強化するという戦略自体が、どうも成功しそうにはありません。
というのも、日中韓FTAの話が進んでいるのに、竹島や尖閣を巡る緊張や歴史認識の対立は緩和せず、エスカレートすらしています。経済連携を進めても安全保障上の懸案は解消できないことを示す現実が、目の前で起きているわけです。

結局のところ、安全保障の問題は、経済ではごまかせず、軍事の問題としてケリをつけるしかないのです。

いかがでしたでしょうか?
TPPのネタは、噛めば噛むほど、日本が終わっていることがよく分かり、なかなか味わい深いとは思いませんか。

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もっと深く味わいたい方には、この本しかないでしょう。
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【東田剛】中国包囲網への10件のコメント

  1. 佐藤鴻全 より

    米国は両睨み。?中国をTPPに参加させ牙を抜き民主化に繋げる。?中国がTPPの条件に応じなければ、中国包囲網を敷く。中国包囲網はオプションの1つ。戦略的、複眼的思考が必要だ。

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  2. トヲル より

    私は安倍首相を支持していますが、TPPには反対です。でも、とあるSNSで「安倍さんを支持するなら黙ってろ!」とか「参議院選までおとなしくしてろ」みたいな事を言われました。ネットなどで色々情報が取れるようになったり今まで政治や経済に興味のなかった人が勉強しだしたりしていますが、やっぱりこういう人は一定数存在するんだな、と思います。大抵そういう人の「なぜTPPに賛成するのか」の理由は「関税0でモノが安く買える」「中国包囲網」「(日本の)輸出産業が海外進出するチャンス」「農業利権などは(ずるいから)潰せ」・・・いちいち反論して説明しても、私からの質問には答えずに「それは陰謀論です!」とオウム返しです。確かに、未だにこんな事言っている人が安倍首相を支持(その政策に、ではなく個人崇拝状態)という図式を見ると、日本終わってる・・って思いますね。

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  3. フォー より

    色んな意味で終わっているのは、TPP芸人のホサ官殿です。あなたは、「ショック・ドクトリン」に影響されすぎです。いつまでTPPみたいな古いネタを続けるのですか。あなたの賞味期限は過ぎました。本業のAKBの活動にお戻りください。

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  4. itinouka より

    いつも勉強させてもらってます。うちは野菜を作っている農家ですが、関税や補助金ではなく、商品の裏ラベルの「国産○○」や「遺伝子組換え云々…」で消費者の皆様から守って頂いてます。でなければ中国の農薬漬けの野菜につぶされるところでした。TPPに参加した場合、もしかしたら「袋詰めだけ日本で行えばアメリカ産とは表示してはいけない」ことになるのではと非常に心配してます。

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  5. はっちゃん より

    とても的確なご指摘でいつも楽しく読ませていただいております。僕は政治関係でもマスコミ関係でもない、自動車関連のサービス業を営んでいるものですが、単に一国民としてTPPにはかなり関心が高いです。そして3月15日にはあの演説を聞いてショックを受けた人間の一人です。「中国への牽制」はちょくちょく聞きます。TPPはあまりにも大きな問題です。僕で良ければ何ぼでも付き合いますのでどんどんいろんなことを掘り下げていただければ嬉しいです。書籍はいつも読ませていただいております。ところで僕には幼い子供が2人います。僕自身もまだ東田剛さんの1歳下という年齢です。(年下だから「さん」ってわけじゃないです。一応。)そういったわけで、日本の将来というものについてはとても大切に思っているほうだと思います。だからTPPには絶対に反対です。もしTPPの具体的な姿を知ったならば、日本人であればたぶんみ〜んな反対すると思いますよ。普通の日本人で賛成する人がいるとすれば、こんなもの、考え方の問題じゃない、知らないだけの問題なんじゃないでしょうか?参加表明したからと言って、一国民としてあきらめてなんかいませんよ。ぜひ東田さんも頑張ってください。

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  6. hehehenohe より

    >TPPを巡る議論を深掘りすると、日本が色んな意味で終わっていることが非常によく分かりつまり安倍政権下で日本は終わる、あるいは終わっているということですか。安倍首相が日本を取り戻すと言っているのは空念仏だということですか。アベノミクスも藤井氏の日本強靭化論も虚しいということですか。

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  7. mari より

    中国共産党の幹部とグローバル企業の株主や経営者は似ているような気がします。共に、低賃金で劣悪な環境で働かせ、環境対策もせずに利益を最大化し、労働者から搾取するといった思想を持っているように思えます。だから、中国共産党の幹部とグローバル企業の株主や経営者にとって中国が民主主義でないことは好都合なのではないでしょうか。また、双方の利害が一致しているようにも思えます。よくドイツとギリシャが、アリとキリギリスに例えられますが、私には、格差が拡大してしまった今、ドイツ国内というか全ての国内に、アリとキリギリスが存在しているように思えます。国民と企業の利益が乖離してしまった今、中国包囲網とか、単純に国家間で物事を判断出来る時代が終わってしまったように感じます。日本は不利な条件を押し付けられても貿易黒字を稼いで勝ち続けてきたとよく言われますが、得意の製造業で輸出で勝っても、不得意な金融、保険分野で日本が勝てるのでしょうか。そもそも、輸出が他国の所得を奪うことだと考えると世界中がデフレに突っ込みそうな今、先進国が輸出攻勢をかけることに嫌悪感を覚えます。ウォール街がアベノミクスを歓迎したのも「アベノミクスで日本を太らせてからTPPで美味しく頂きます。」と言ってるように聞こえます。

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  8. 名前はまだ無い より

    私も日中韓FTAやってる(対中環境援助も)のに中国包囲網なんてあり得ないと思うのですが、最近はモンゴル訪問まで対中包囲網らしいです。いったい何をどう考えればそうなるのかさっぱり分かりません。むしろ対日包囲網がどんどん形成されていることを感じることはしょっちゅうあります。

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  9. 名無しのトロワ より

    そこで、「TPPは安全保障問題だけど、日中韓FTAは安全保障には一切関係ないらしいです。」と大声で言ってあげましょう。バカにしながら。特に「尖閣問題がある」「オバマにお土産を持参すべき」等と言ったマスコミの中の人達をリストアップして晒すべき。RCEPも安全保障には関係ないけど、FTAAPの場合は言って来るはず。TPP is must の話ですが構造改革・規制改革論者が真っ先にやろうとしたのが、解雇規制の撤廃。安倍、甘利、田村が国会で明確に反論。あの会議の本来の趣旨は、産業の新成長分野を図るために、政治家や官僚だけではダメだから民間からのアイデアも組み入れるというものではないんですか?国民の期待だって当然そこにあるでしょう。最新のバカ専用ワードは「構造改革」「規制改革」「既得権」の3つです。この3つが揃うと怪しさ満点。

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  10. 眞原 誠 より

    確かに、”終わっている”と感じます。さて、この終わった状態から、どうやって、再起しましょうか。橘航太郎先生のように、日本国民の思想が、見事に再起できると良いなぁと思います。我々次第なだけに、気合が入ります。

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