FROM 東田剛
一月二三日に開催された政府の経済再生本部の「産業競争力会議」は、予想通り、TPP参加を訴える場となりました。
岡 素之(住友商事相談役)、榊原定征氏(東レ会長)、坂根正弘(コマツ)、新浪剛史(ローソン社長)、長谷川閑史(武田薬品社長)、三木谷浩史(楽天社長)の各氏、そしてもちろん竹中平蔵氏も、第一回目から、わざわざ資料を提出して、TPP交渉への早期参加を主張しました。
凄かったのは、楽天の三木谷社長の資料です。TPPについては、「脱ガラパゴス化。TPPはマスト。」と書いてあるだけ。
楽天は社内公用語を英語にしたそうですが、「TPPはマスト」というのは、日本語でも英語でもありません。強いて言えばルー語ですかね。
政府の経済政策の司令塔とされる会議で、こんな幼稚な言葉遣いを平気でする中年男が、総理イチ押しの企業人なんですかね。
一方、自民党にも経済再生本部が昨年十月に設置され、講師が呼ばれて議論が進められています。
第一回目の講師は、一橋大学経済研究所の深尾京司教授で、TPP推進や規制緩和を訴えました。
http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/detail.php?id=2750
第二回目の講師は、モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン氏で、民間企業の農業参入の完全自由化、農業委員会の廃止、民間団体であるJAの「民営化」(?)を唱えました。
http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/detail.php?id=2753
第三回の講師は外資系コンサルタント企業A・T・カーニーの日本代表・梅澤高明氏で、TPP推進や日本的経営の破壊を訴えたそうです。
http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/detail.php?id=2755
政府にせよ自民党にせよ、経済再生本部で議論されているのは、構造改革論です。
「日本維新の会」や「みんなの党」が選んでもこういう委員や講師の顔ぶれになるでしょう。
結局、自民党は、構造改革路線を反省しなかったのではないでしょうか。むしろ、民主党政権のあまりの体たらくを見て、かつての自民党の構造改革路線が正しかったと勘違いしてしまった可能性すらあります(特に、上の写真でマイクを握って勇ましく立っている、あなたね)。
安倍総理は、月刊「文藝春秋」に発表した政権構想の中で、「瑞穂の国の資本主義」を目指すと述べていました。自民党は、「日本を、取り戻す」というスローガンを掲げて政権奪還を成し遂げました。
「瑞穂の国の資本主義」という理念は、アメリカ仕込みの構造改革で疲弊した日本が、リーマン・ショックというグローバル資本主義の大崩壊の後に、あるべき資本主義の形を表現したものとして、優れていると思います。
また、「日本を、取り戻す」という標語も、自民党の良き伝統である保守思想を体現するものだったと思います。
しかし、「瑞穂の国の資本主義」を実現し、日本を取り戻そうと本気で決意した政治家が、社内では英語、公の場ではルー語をしゃべる社長や、トリクル・ダウンを主張するグローバル企業経営者、新自由主義の経済学者、外資系コンサルタント企業社長、ましてや、外資系金融機関のアメリカ人アナリストなんかの意見を聞くものなのでしょうか?
そして、TPPに参加しようと思うものなのでしょうか?
安倍政権になって、株価も内閣支持率も上がっています。しかし、この政権には、私たち日本人にとって、何か一番大事なものが欠けているように思えてなりません。
PS
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