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2013年1月30日

【東田剛】「改革派」官僚の罠

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FROM 東田剛

東谷暁先生がまたも時流に逆らう重要な著作を出されました。
『「東電叩き」シンドローム:脱原発論の病理』(日刊工業新聞社)です。
皆さん、是非、お手にとってください。

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この本は、福島第一原発事故以降、電力改革や脱原発論を巡って発言したさまざまな論者たちの支離滅裂や倒錯ぶりを明らかにしていくものです。
実際、読んでみると、彼らのデタラメぶりは、もう完全に病気です。

この中から、非常に重要な点を一つだけ、ご紹介しましょう。

そもそも原子力賠償法第三条第一項は、原発事故の損害賠償の責任は電力会社にあるとしながら、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」による損害の場合に限っては、国が責任を引き受けるとしています。そうしないと、民間会社で原発を運転することなど、とてもできません。

電力会社は、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」の場合は、国が損害賠償責任を引き受けてくれるものと信じ、政府の許認可の下、原発を運転してきました。

この「異常に巨大な天災地変」とは、関東大震災の三倍以上というのが、従来の国会審議や専門部会における共通認識でした。
東日本大震災のマグニチュードは9.0、マグニチュードは対数を用いるので、関東大震災(M7.9)の四十倍以上の規模でした。したがって、当然、国家による損害賠償の対象になります。ところが、菅政権は、そう認定せず、東電に賠償責任を押し付けました。

さらに、経済産業省は、電力会社が自らも被災しながら原発事故の終息や電力供給の確保に奔走している最中だというのに、発送電分離・電力自由化という、原発事故とは明らかに何の関係もない議論を進めたのです。

これは、要すれば、こういうことです。
政府は、損害賠償の予算を出すのを惜しみ、政府に対する責任追及の矛先を逸らすために、東電に第一義的な責任を負わせ、国有化に追い込み、東電の手足も口も完全に封じた上で、かねてより望んでいた発送電分離を実現しようとしたのです。
原発事故のどさくさと東電叩きの風潮を利用して、自分たちは責任を逃れつつ、発送電分離によって電力業界の力を削ぐという一石二鳥を狙ったというわけです。いかにもコガコガしい「改革派」官僚が考えそうなことです。

ちなみに、発送電分離の議論を進めた「電力システム改革専門委員会」の委員長である伊藤元重氏は経済財政諮問会議、委員の大田弘子氏は規制改革会議のメンバーになっています。「改革派」官僚たちは、安倍政権下でも中枢に残って、カイカクの続きをやるつもりなのです。

こんな仁義にもとる政策が進められているとは、一般国民はつゆ知らず、むしろ東電叩きに手を貸しています。しかし、電力業界や産業界は、政府がいざという時に助けてくれるのではなく、むしろ弱みに付け込んで後ろから鉄砲を打ってきたという現実を、目の当たりにしてしまいました。
もはや、電力業界をはじめとする産業界は、経産官僚のことを全く信用できなくなっていることでしょう。

良き経済政策は、官民の間の信頼関係がなければ、うまくはいきません。
しかし、「改革派」官僚たちは、その大事な官民の信頼関係を、完全にぶっ壊してしまいました。

PS
本日の必読文献は、東谷暁『「東電叩き」シンドローム:脱原発論の病理』(日刊工業新聞社)

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脱原発・電力自由化の問題点については、東田剛さんとは無縁の中野剛志『日本防衛論』でも論じられています。
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【東田剛】「改革派」官僚の罠への2件のコメント

  1. コメントに返信する

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  2. サイトウ ノボル より

    やはり菅直人は刑事告発すべきですね。単に政策を間違えた以上の罪を犯していると感じます。

    返信

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