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2013年2月1日

【柴山桂太】株高による危機

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FROM 柴山桂太@滋賀大学准教授

アメリカ経済は順調に回復中、と報道されています。住宅価格も底入れしたと言われていますし、株もダウ平均が1万4000ドルに近づくなど、リーマンショック前の水準に戻りました。長期金利もじわじわ上昇しています。つまり国債のような安全資産から株などのリスク資産にお金が動き始めているのです。

リーマンショックから5年がたち、アメリカ経済は深刻な不況局面から抜け出したという楽観論が拡がっています。しかし本当に、そう考えてよいのでしょうか。

アメリカ経済の先行きに私が懸念を持つのは、日本の経験を思い出すからです。

日本が本格的にデフレに突入したのは九八年。日本の住宅バブルの崩壊が九一年だとすると、ちょうど七年後です。

つまりバブル崩壊の影響はすぐに現れるのではなく、じわじわと効いてくるというのが日本の教訓です。

しかも日本の場合、九五、六年は景気も回復傾向にあり、株価も戻り始めていました。バブル崩壊から4、5年後のことです。

このとき、橋本内閣は財政再建路線をかかげて、消費税増税も断行しました。いわば「小さな政府」路線をとったわけです。

これが裏目に出て、その後の景気減速を招いたのはよく知られています。日本は九八年から本格的なデフレに突入し、いまに至るまで抜け出せていません。

この時の景気減速は、消費税増税ではなく、アジア通貨危機の影響だという人もいます。97年のアジア通貨危機は、日本の金融システムに大きな打撃を与えました。その影響も間違いなく大きいと言えるでしょう。世界経済の大ショックと財政引き締めが、日本の場合、最悪のタイミングで重なってしまったわけです。

さて、この経験から今のアメリカを見ると、何が言えるでしょうか。

2008年のバブル崩壊から4、5年後というと、2012年から2013年、つまり今です。景気も株も戻りつつあり、悲観論が後退しています。議会では、「財政の崖」や「債務上限問題」などで、政府支出を減らすよう野党から要求されています。景気が回復したんだから、いまのうちに政府支出を削って赤字拡大をくい止めろ、という政治圧力が高まっているのです。

しかも、欧州債務危機やBRICs諸国の景気低迷など、次のショックがいつくるか予断を許しません。今のアメリカの株高は、こうした地域の低迷も大きな要因でしょう。相対的にマシに見える地域にお金が集まっているだけで、バブル崩壊の傷が本当に癒えたわけではないのです。

それを勘違いして、アメリカが財政引き締めをやり、しかも次の大きなショックが起きるとどうなるか・・・。日本の二の舞ですね。日本の場合は一国だけが苦しみましたが、アメリカとなるとそうはいきません。

いずれにせよ、この1、2年が、今後の世界経済の動向を決める重要な分岐点になるでしょう。

確認されるべきは、バブル崩壊の影響はかなり長期に及ぶ、ということです。それを無視して緊縮財政をとれば、アメリカだけでなく世界全体が「失われた10年」に突入してしまう。大げさでも何でもなく、われわれはその瀬戸際に立っているのです。

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世界は「静かなる大恐慌」に突入しています。
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