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2013年1月28日

【三橋貴明】日銀の責任逃れ

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●肝心なことが載ってない
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三橋はラジオ(文化放送「夕やけ寺ちゃん活動中」)などで、今回の政府と日本銀行の共同声明について「10点(100点満点で)」と評価しましたが、最大の理由は「目標の期限がない」ためです。

今回の共同声明において、インフレ目標2%達成は「できるだけ早期に実現する」となっていたわけですが、野田前首相の「近いうちに」を思い出してしまった人は、三橋だけではないでしょう。

さらに、共同声明において、「革新的研究開発への集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図る」と入っていることも問題です。

革新的技術開発への投資やイノベーション基盤強化(具体的な中身がさっぱり分かりませんが)はともかく、その後の「大胆な規制・制度改革」とは、要するに構造改革です。

最近、「規制緩和」というフレーズのイメージがあまりにも悪くなってしまったため、構造改革派は「規制改革」という言葉を使うようになりました。

放映されるかどうか分かりませんが、本日の「ビートたけしのTVタックル」の中で、三橋は岸氏に「規制改革って、規制緩和のことでしょ?」と質問しています。それに対し、岸氏は「規制緩和と規制強化の両方」と答えたのですが、何と言うか「レトリック」の匂いがプンプンします。

規制緩和と言うと、「そりゃあインフレ対策だろ! デフレ期にやることか!」と反論されてしまうため、規制改革と呼び換えているだけのような気がしてならないのです。

さて、日銀の話に戻りますが、そもそも中央銀行が政府に「構造改革」やら「規制緩和」やら「経済構造の変革」やらを要求する時点でおかしいのです。完全な越権行為だと思うのですが、日銀は以前から

「金融緩和だけでデフレ脱却は難しい。合わせて規制緩和などの構造改革が必要だ」

と言い続けてきました。これが「合わせて財政出動による雇用・所得創出が必要だ」ならば話は分かるのですが、日銀が政府に要求するのはなぜか「構造改革」です。

これも日銀の責任逃れの一種だと思います。

「デフレ深刻化は日本が構造改革を実現できていないためだ。日本が構造改革できていないのは、日銀の責任ではない。よって、デフレは日銀の責任ではない」

と、例の人口減少デフレ論と同じく、自分たちの責任逃れのための論法として、構造改革、規制緩和と繰り返しているとしか思えないのです。

さらに、日本銀行は消費者物価を「なぜか」コアCPI(生鮮食料品のみ除く)で見ています。どう考えても、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除いた消費者物価指数」すなわちコアコアCPIで測るべきだと思うのです。

2012年の日本の消費者物価指数は、コアCPIで対前年比0.1%下落、コアコアCPIでは対前年比0.6%の下落となりました。コアコアCPIの下落幅の方が大きいわけです。コアコアCPIからは「原油価格の上昇」などの影響が省かれています。外国の事情で値段が上昇捨てしまう原油、天然ガスなどのエネルギー価格を含めたコアCPIで「デフレ? インフレ?」を判断するのは、少なくとも現在の日本にとっては適しているとは言えません。

確かに、政府と日銀の共同声明で「物価安定目標2%」が設定されたことは画期的です。とはいえ、それ以外には何一つ評価すべきポイントが無いわけでございます。

せめて、インフレ目標の達成期限だけでも定めて欲しいと切に願います。いずれにせよ、3月の日銀総裁人事の後になってしまうとは思いますが。日銀総裁が交代しても、日本銀行の動きが鈍いままだと、さすがに日銀法改正の声を抑えられなくなってしまうでしょう。

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【三橋貴明】日銀の責任逃れへの2件のコメント

  1. ballplayers より

    チャンネル桜で三橋さんの経済のお話を伺うようになって、目からウロコ。経済というものが少しずつ見えてきました。前回参院選、全国区、いやせめて東京選挙区から立候補して頂けたら、清き一票を投票できたのに・・・と残念無念でした。これからも応援していきます。

    返信

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  2. Isahai より

    いつもブログを拝読させていただいて居ります。経済オンチなわたしにも経済のなんたるかの一角を分かり易く説明していただきありがとうございます。リーマンショック後のことですが、経済オンチのわたしは「円高にして、世界は日本におんぶにだっこしてるだけなのじゃないだろうか?」などとオンチを丸出しに勝手に考えていました。その程度のわたしも「三橋先生」のブログを拝読するようになり、少しは(ほんのすこし分かった気がしてるだけなのかもしれません・・・笑)こういった議論を読める・聞けるようになりました。新自由主義とか意味すら分からなかったとこが分かるようになりました。コアコアCPIについても初めて知りました。いろいろ、わたしにとっては初めてな分野だけに最近は勉学(40の手習い?笑)に励んで居ります。今後とも宜しくお願い申し上げます。

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